ちゅうカラぶろぐ


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職場の飲み会は基本面倒なので行きたくないタイプの私ですが、さすがに3年ぶりのとなるとそう言うワケにもいくまいと参加。焼肉店なのは事前に聞いていたのですが行ってみたら最近主流の無煙ロースターを入れていないタイプの店で、早い話が燻製にでもされてるのかくらいの勢いで煙を浴び、帰る頃にはファブリーズでもごまかし切れそうにないほどの臭いが自身から発されていて、同じ電車の車両に乗ってる人たちに何だか申し訳無い気分に。
 いや、味はとても美味しかったんですけれども。

 こんばんは、小島@監督です。
 そんな飲み会の最中、何故か私は社長と肉を焼きながら「水星の魔女」やらPCエンジンのゲームの話をひたすら繰り広げて周囲から若干引かれ気味に(苦笑)。「釣りバカ日誌」のハマちゃんとスーさんってこんなノリなんかしら。

 さて、今回の映画は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVOLUME.3」です。

 スター・ロードことピーター・クイル(クリス・プラット)は、サノスとの戦いの中で最愛のガモーラ(ゾーイ・サルダナ)が記憶を失い自身の元を去って行ったことに傷付きヤケ酒をあおる日々を送っていた。心配する仲間たちの声もクイルの慰めにはならない。
 そんなある日、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのアジトであるノーウェアが超人アダム・ウォーロック(ウィル・ポールター)の急襲を受け、その最中にロケット(声・ブラッドリー・クーパー)が瀕死の重傷を負った。クイル達は必死にロケットを救おうとするが、ロケットの体内には治療を受け付けないキル・スイッチが仕込まれている事を知る。クイル達はロケットを救うため手掛かりとなる企業オルゴ・コープ社への侵入を計画する。

 もともとはマーベルの中でもマイナーなキャラクターばかりの集まりだった「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」、ジェームズ・ガン監督の卓抜した手腕によって、一癖も二癖もあるコメディであると同時に傷を抱えた者たちの繊細な群像劇でもある物語が評価され、アベンジャーズの中でも屈指の人気を勝ち得たスペースオペラの3作目にして完結編となる作品が公開されました。
 完結編の名は伊達じゃない。見事なまでの大団円へ向けて圧巻の盛り上がりを見せる傑作の登場です。

 ロケットがいかにして人間を超える知性を獲得してしまったかが主軸となりますが、序盤で瀕死になってしまい動けないため回想シーンとして描かれる一方でクイル達の冒険が並行して語られる二段構えの構成として映画は展開します。ここで描かれるロケットの過去もそれだけでスピンオフの題材になりそうなほどの質量ですし、実質2本の映画を同時に観ているようと言って過言ではありません。
 この過程の中でクイル達が心に抱えていた傷や問題にも少しずつ決着や成長がもたらされ次の旅立ちへの準備が整っていく。ここに狂気と狂信に満ちた今作のヴィランであるハイ・エボリューショナリー(チュクーディ・イウジ)のもたらす危機的状況へのアタックが重なりドラマが重層的に盛り上がって行きます。

 もちろんシリーズのお約束というかジェームズ・ガン監督の持ち味でもある不謹慎ギリギリのユーモアや抜群のセンスを誇る選曲の妙は今作でも冴え渡り、150分という長尺を物ともしない高いカロリーの作品に仕上がっています。
 一気呵成にアゲて行きながら、それでいて最後にはじんわり噛み締めたい余韻も残してくれる、これを最高と言わずして何とする。
 長期シリーズとなった弊害か、いささか迷走が目立ち始めたMCUですが、ここぞというところではしっかり決めてくれました。彼等の勇姿をどうぞスクリーンで見届けてください。

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連休の最後に「全プリキュア展」観てきました。しかも1人で。

 正直なところ、おっさんがソロで行くにはハードル高すぎるのは百も承知。だが観たかったんや〜仕方なかったんや〜。
 可愛いとカッコいいの洪水をこれでもかと浴びて来ました。

 こんばんは、小島@監督です。
 さすがの人の多さにゆっくり観ることが叶わなかった箇所もありますが、それでも大満足でございました。

 さて、今回の映画は「聖闘士星矢 the beginning」です。

 幼い頃に姉と生き別れた青年・星矢(新田真剣佑)は、今はカシオス(ニック・スタール)が運営する地下闘技場でファイトマネーを得て暮らす日々を送っていた。ある日、ファイトの最中に自身の内から不思議な力が発した事を感じた星矢は、その直後に謎の集団の襲撃を受ける。星矢の窮地に手を差し伸べたアルマン・キド(ショーン・ビーン)と名乗る男は、星矢が目覚めた力は「小宇宙(コスモ)」と呼ばれるものであり、星矢は女神アテナの生まれ変わりたる女性・シエナ(マディソン・アイズマン)を守る戦士「聖闘士(セイント)」になる運命を背負っていると告げた。

 1985〜90年まで少年ジャンプで連載され、漫画家・車田正美の名をワールドクラスに押し上げた一作である「聖闘士星矢」は、1986年に初のTVアニメ化以降、スピンオフ作品も含めて今日に至るまで度々アニメ化されて来たタイトルです。そんな星矢の初のハリウッド版実写映画が製作されました。監督はNetflixのドラマ「ウィッチャー」を手掛けたトメック・バギンスキー。
 コナンやマリオと言ったゴールデンウィークの大型タイトルと比して、興行的には厳しい声も聞かれますが、直撃世代のガチ勢としては観ない手はありません。ええ、しっかり観てきました。

 「聖闘士星矢」というコミックはギリシャ神話をモチーフにした壮大な世界観や、オブジェのような姿が分解されるとプロテクターへと変わるギミックの楽しさという一方で溜めとハッタリの外連味で押し切る勢いが同居する作品で、その魅力をどこに見出すかは意外と人それぞれなんじゃないでしょうか。最初のTVアニメではロングシリーズだったことも手伝い、設定の緩さも勢いと端正なビジュアルで押してくる原作に近い楽しみ方を提供していたように思いますが、今回のハリウッド版ではその神話的世界観を徹底して掘り下げる形でリビルドしていること、また「the beginning」というタイトル通りに星矢とアテナのオリジンを描き上げているのが最大の特徴です。
 キービジュアルなどが原作の持つ泥臭さを排していますし、登場する聖闘士も数人に絞り込まれていて派手さに欠けるところもあり、一見するとコミックの実写化に良くある原作に対して不誠実に作られたもののように思われますが実際はそうではありません。実は勢いだけで押すには説明の必要な事柄が多いという原作に対し、生真面目なくらいに向き合い映像化しているのが端々から見て取れます。星矢の師であるマリン(ケイトリン・ハトソン)が語る「破壊の根本」のくだりやオブジェから展開される聖衣の装着シーンなど原作やアニメを意識したシーンも数多く、またそれらがただ点として散在するわけでなく物語の中で有機的に機能しています。

 原作から大きく変更しているように見える点として、城戸光政のポジションに当たる役割をアルマン・キドとヴァンダー・グラード(ファムケ・ヤンセン)の2人の人物に割り振っている点や、原作では聖闘士の恥部・暗部という存在だった暗黒聖闘士が、テクノロジーを駆使して生み出されたTVアニメ版でいう鋼鉄聖闘士のような存在として登場する点がありますが、いずれもNetflix版アニメ「聖闘士星矢:Knights of the Zodiac」で取り入れられた要素であり、双方に東映アニメーションが製作に入っている事から鑑みて新たに展開する上で共有したい箇所なのかもしれません。
 一方で完全に予想外だったのが原作で城戸沙織の執事だった辰巳徳丸に当たるマイロックの存在です。演じるマーク・ダカスコス渾身の役作りとガン=カタのようなアクションのキレがシビれる程にカッコよく、原作のイメージ皆無なのにこの改変はアリと言わざるを得ない迫力があります。

 この映画、ホントにマズいのは映画そのものではなくむしろプロモーションがイマイチ上手くないことでしょうか。300館クラスの公開規模でゴールデンウィークに上映するならもっとハイボリュームにPRして来場者特典を用意するくらいのことはして欲しかったところ。
 アクションファンタジーとしても見どころは多く、コミックを実写化するに当たっての方法論としても面白く、決して駄作などではありません。むしろかなり秀作の部類に入る一本です。この解釈での十二宮編やポセイドン編と言った続きを観てみたいくらいでした。
 周囲の声に惑う事なくご自身の目で確かめていただきたいですね。

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これも時代の流れかTOHOシネマズの鑑賞料金が2,000円に。遂に大台に乗ってしまった印象です。私は今のところ自分の行動圏内にTOHOシネマズが無いので影響は少ないですがいずれ他のシネコンも追従する事でしょう。とは言え普段あまり映画を観ないライト層の方たちにとってはたまに観る分IMAXや4DXなど追加料金を必要とするスクリーンへの抵抗も少ないようで、実際コレで影響を被るのは私みたいに毎週のように映画館に行くヘビーユーザーの方だろうなぁ、という印象です。

 こんばんは、小島@監督です。
 実はミッドランドに限って言うと会員特典が強力で、今ほとんど1,300円で観れているから何気に安上がり。あのアドバンテージは維持してもらいたいところですが。

 さて、今回の映画は「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」です。

 ブルックリンで配管工を営む兄弟、マリオ(声・クリス・プラット/宮野真守)とルイージ(声・チャーリー・デイ/畠中祐)は排水管が破損して洪水状態となった街を救うべく地下へ乗り込んだところ、奇妙な土管に吸い込まれてしまう。
 ルイージともはぐれてしまったマリオが迷い込んだ先は「キノコ王国」と呼ばれるところだった。そこでマリオはキノコ王国が暗黒の国ダークランドの大魔王クッパ(声・ジャック・ブラック/三宅健太)に侵攻されつつあること、そして恐らくルイージも捕まっているらしいと知る。マリオはキノコ王国のピーチ姫(声・アニャ・テイラー=ジョイ/志田有彩)と共に冒険の旅に乗り出すことになる。

 1981年にアーケードゲーム「ドンキーコング」でデビューして以降ゲームの歴史の最前線に常に居続けると共に任天堂の代名詞とも呼べるキャラクターともなったちょび髭の配管工兄弟マリオとルイージ。アメリカを中心に何度かアニメ化もされたほか1993年には実写映画「スーパーマリオ/魔界帝国の女神」が製作されました。当時はまだTVゲームの映画化そのものが少なく、また原作への理解度も低かったため未だに「クソ映画」の代名詞の一つ扱いされるほど出来栄えとしてはイマイチでした。それから30年の時を経てのアニメ映画化は、マリオを取り巻く環境、取り分け世界的知名度を勝ち得た今だからこそ可能となったと言える、「原体験」を徹底的に活かした作品になっていました。

 マリオの名を世界に轟かせた「スーパーマリオブラザーズ」ではクッパに攫われたピーチ姫を助けに行くのが目的でしたが、はぐれてしまったルイージを見つけ出すためにピーチ姫とバディを組む、という形になっているなど物語が自然に流れになるような工夫はされているものの正直なところストーリーとしては類型的かつ薄味と言わざるを得ません。批評家筋からそっぽ向かれたというのも頷けます。
 しかしこの映画の魅力はその弱いストーリーを補って余りある映像にあります。「スーパーマリオブラザーズ」「ドンキーコング」「マリオカート」などゲームの要素が極彩色のカラフルな映像の中で躍動します。作中ただ横に流れて行くだけの直線的な映像が長く続くカットがありますが、本来危なっかしいこんなカットも観客にゲームをプレイした「原体験」があれば意味のある映像に変わります。このような映像が全編に渡って登場します。更に言えば劇中のBGMも大半が原作のゲームからアレンジしたものを使っていますし、作中にはマリオに限らず「レッキングクルー」「パルテナの鏡」「パンチアウト」などのNintendoタイトルがイースターエッグのように仕込んであるのもポイントです。
 ゲームをプレイした事のある方に向けた内輪受けの映画のようにも思えますが、今の世の中マリオに全く触れた事の無い人がどれだけいるのでしょう。そういう「自信」が作品全体にみなぎり高いアトラクション性を勝ち得ました。

 昨今の大作クラスの映画ですと150分を超えることも少なくないですが、今作は93分という弛みも退屈もしない上映時間も絶妙です。4DXやIMAX3Dのような上映形式での鑑賞が可能ならそちらを選んだ方がより楽しい体験になること必至。こう言っては何ですが、自宅のTVで観ると却って物足りないと言うかこの楽しさは味わいきれない類の作品だと思います。せっかくならこのビッグウェーブに乗ってしまいましょう。

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昨日開催の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
 と言いつつ私は今回都合が付かず欠席。この土日アイマスライブもあったので私はそっちに行ったか?と思われた方もいるかもですが、悲しいかなそっちにも行けず。巡りの悪い時というのはあるものです。
ま、配信では観ましたが。

 こんばんは、小島@監督です。
 次回の歌会は参加したい所存。

 さて、今回の映画は「名探偵コナン/黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)」です。

 ドイツ・フランクフルトでユーロポールの捜査官が「黒の組織」と思しき者に射殺される事件が発生した。一方、日本では八丈島近海にインターポールの海洋施設「パシフィック・ブイ」が開業しようとしていた。
 鈴木園子(声・松井菜桜子)の計らいで八丈島へホエール・ウォッチングに行くことになった江戸川コナン(声・高山みなみ)は島に白鳥刑事(声・井上和彦)がパシフィック・ブイ視察に来ていることを知りパシフィック・ブイへ向かう船に密かに乗り込むのだった。

 四半世紀にわたりゴールデンウィークの顔であり続ける劇場版名探偵コナン、シリーズ26作目(劇場公開された総集編は除く)となる今作は、ふとしたきっかけでジン(声・堀川仁)やウォッカ(声・立木文彦)ら「黒の組織」に「灰原哀=シェリー」(声・林原めぐみ)であることが気付かれ、コナンたちが窮地に陥ります。脚本はドラマ「相棒」「科捜研の女」シリーズのほか劇場版コナンでは第17作「絶海の探偵」第22作「ゼロの執行人」など5本を手掛けた櫻井武晴、監督には現在「BLUE GIANT」がロングラン上映中の立川譲が務め、まさに喉元に刃が突き付けられたような緊張感が全編にわたり展開する快作になっています。

 劇場版コナンはここ何年か特定のキャラクターにスポットを当てそれを大きく掘り下げるテイストを多彩な作風で展開して来ましたが、満を持して今回は灰原哀をメインヒロインに据え、少々大人向けのテイストとなっています。
 さすが櫻井武晴脚本というべきか、かなり複雑に入り組んだ物語を立川譲がハイテンポなテリングで仕上げ、更に前作「ハロウィンの花嫁」から引き続いて当番の菅野祐悟の音楽がそれを彩ります。

 ところどころかなり強引で無理筋な展開もあるのですが、ほとんど本筋と言って差し支えない内容を劇場版スケールの映像で楽しめる贅沢さはそれだけで魅力。あと個人的に灰原哀というキャラクターがお気に入りというのも手伝い、彼女の強さも弱さも徹底して掘り下げてくれるので今回は何かもうキュンキュンするレベル。彼女のファンは何をおいても観た方が良い。解釈違いで頭に来る可能性も無くは無いですがそれはそれ。
 粗筋が粗筋だけに今作は最終局面への足掛かりになるのかと思いきやラストの展開からするとそれはもう少し先になりそう。毎年興行収入のTOP10に食い込む常連のドル箱なのでなかなか手放してもらえないのでしょうか。まあこうなったら最後まで付き合いますけどね。

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先月末にサービスが終了したニンテンドー3DSのeショップで、終了前に大規模なセールが行われ、私もその際結構色々買い込みました。買うだけ買って手を付けないのもアレだなと、今更3DSを起動しまずは500円でダウンロードした「ファイナルファンタジー」からトライ。何気に1作目は今まで全く触れて来なかったので新鮮な気持ちでプレイしています。本当に広大な最近の作品に比べるとどこか世界が小ぢんまりとしてるのもクラシックタイトルっぽくて良いですね。序盤の早い段階で、それもかなりの勢いで船が手に入っちゃうのにちょっと笑いましたが。

 こんばんは、小島@監督です。
 ファイナルファンタジーは良いけど最終セールは破格の安さに釣られて勢いで買っちゃったのがいっぱいあるのでやってみたら自分には全く合わない、というのも結構ありそう。まあ、それはそれで良いか。今更どうしようもないし(笑)

 さて、今回の映画は「ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り」です。

 フォーゴットン・レルム、そこは様々な種族やモンスターたちが生きる世界。収監されている牢獄から脱獄した盗賊のエドガン(クリス・パイン)と戦士のホルガ(ミシェル・ロドリゲス)は、娘キーラ(クロエ・コールマン)の再会と、ある目的を胸に秘め旅に出た。しかし再会したキーラはかつて自身らを罠にかけた男フォージ(ヒュー・グラント)の元に身を寄せていた。さらにその背後では赤き魔女ソフィーナ(デイジー・ヘッド)が何かの陰謀を巡らせている。エドガンとホルガはフォージとソフィーナを阻止しキーラを救い出すため仲間を探すことになる。

 主人公を操作して敵を倒したり事件や依頼を解決しながらシナリオを進める「ロールプレイングゲーム」、TVゲームのジャンルとして隆盛したRPGは本来その名の通り「役割を演じる」ことを楽しむ遊びで、その始まりこそがゲームデザイナー・ゲイリー・ガイギャックスとデイヴ・アンダーソンにより1974年に生み出されたテーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」とされています。原点にして頂点とも言えるこのタイトルはその後のゲームのあり方に多大な影響を及ぼしました。映像化もこれが初めてではなく2001年〜2012年までに3本の映画が作られているほか、1983年にはTVアニメも製作されています。
 2001年の映画は後年続編が製作されたとは言え出来栄えとしては平凡なものと言わざるを得ませんでしたが、今作はかなりの快作です。

 個性的なキャラクターのアンサンブル、小気味良いテンポの語り口、それだけでもファンタジーアドベンチャーロマンとして充分なくらいですが、何となく「アライメント」(キャラクターの倫理的な属性とでも言うべきもの)を感じさせる人物造形、ゲームマスターが干渉したような気にさせる瞬間やダイスロールが成功または失敗したかな?と思わせてしまう瞬間がある展開に、原作へのリスペクトも感じさせます。
 ついでに言えばコメディ映画としてのギャグの打率の異様な高さもポイントの一つ。中盤に登場して謎にセクシーを振りまく聖騎士ゼンク(レゲ=ジャン・ペイジ)と言った、出てるだけで面白い人物もいますし、このコメディとしての楽しさにどこか「インディ・ジョーンズ」や「グーニーズ」のような1980年代のアドベンチャー映画を観るような懐かしさも覚えます。吹替版では森川智之や津田健次郎、諏訪部順一と言ったベテラン陣を盛大に無駄遣いしてるのが余計に楽しい。

 欠点と言えばバランスが良すぎて総合点が高すぎるが故にむしろ取っ掛かりが見えにくいという点でしょうか。お世辞にも上手いとはいえないプロモーションにその辺りが見え隠れしています。
 興行成績も苦心しているようですが、これはスクリーンで観ておいた方が後でドヤ顔出来る可能性のあるタイプの作品のように思うので、気になってる方は何とか上映期間中に時間を作って観ておきましょう。

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ゲスト出演の芸人が自称した「キュアゴリラ」、自作のアーマーで武装して勝手に名乗った「キュアセバスチャン」という一発ネタから始まり、スカートも着こなす中性的な少年が仲間の声援を得て変身、LGBTの文脈でも語れる画期的なキャラクターだった「キュアアンフィニ」という先達を経て、遂に男の子のプリキュア「キュアウィング」がシリーズ初めてレギュラーキャラとして登場。ちゃんと年相応の少年してる人物なのもポイント。今作「ひろがるスカイ!プリキュア」は今後成人女性が変身する「キュアバタフライ」がレギュラー陣にいることも告知されていて、20作を数えながらも守りに入らないチャレンジが窺えます。

 こんばんは、小島@監督です。
 これら新機軸のメンバー達がここからどんなうねりを巻き起こすのか、楽しみは尽きません。

 さて、今回の映画は「フラッシュ・ゴードン」です。

 惑星モンゴを支配する皇帝ミン(マックス・フォン・シドー)の悪辣な企みにより、地球は10日後に月が衝突するという運命を迎えつつあった。外宇宙からの攻撃を予見していたが故に学会から異端児扱いされていたハンス・ザーコフ博士(トポル)は独自に和平交渉の道を探るべくロケットでモンゴに行こうとしていた。そこに飛行機の不時着で偶然居合わせることになったアメフト選手フラッシュ・ゴードン(サム・J・ジョーンズ)と旅行会社のガイドであるデイル(メロディ・アンダーソン)の2人も宇宙へ向かう羽目になってしまう。果たして彼らは地球の危機を回避することができるのか!?

 アメリカン・ニューシネマの波も落ち着いた1970年代後半に「スター・ウォーズ」「エイリアン」などが登場しSF映画の新たな潮流が生まれました。また1978年にクリストファー・リーヴ主演による「スーパーマン」の公開、1977〜79年にはリンダ・カーター主演のドラマシリーズ「ワンダーウーマン」のヒットもあり、コミックヒーローの映像化が隆盛期を迎えつつありました。そんな折の1980年に後々カルトムービーとして語られる作品が登場しました。それが「フラッシュ・ゴードン」です。公開から40年を経て4Kリマスター版が製作、スクリーン上映されています。音楽を何とQueenが手掛けたことでも知られ、映画を観たことが無くてもバスドラ響く中「Flash!Ahh」と叫ぶイントロを聞いたことのある方多いのではないでしょうか。
 この作品が不思議と愛されていたのは何も日本に限った話ではないようで、例えば2013年のコメディ映画「テッド」にはこのフラッシュ・ゴードンへのリスペクトが捧げられ、主演したサム・J・ジョーンズがカメオ出演しています。

 マッチョで陽気な主人公、色気溢れる綺麗なおねーさん、一見して安っぽさが隠し切れないセット、絢爛と言えば聞こえは良いけどむしろケバケバしい印象の衣装たち。強引過ぎるイントロの割には全体がもっさりしていて陰謀も裏切りもある結構血生臭い話なのに何だか緩い脚本。正直なところ今観てコレが凄い面白いかと聞かれると、そうでもない、と言わざるを得ないのですが、それで切り捨てるにはどうにも惜しい何かがあります。ただ今観ても飛び抜けているのが音楽と色彩感覚。この2点だけは尋常じゃないレベルです。4Kリマスターになった事で更に際立っていると言っても良いでしょう。

 バカバカしくて失笑してしまう、というよりは最初からバカバカしさを作品の魅力として前面に打ち出そうとした作品、そんな印象を受ける映画です。いくら徒花とは言え40年の時を生き抜いてしまうというのはやはり伊達ではありません。今ならスクリーンで観られる上に結構分厚いパンフレットまで買えます。こんな映画が世の中にはあったのねとトライしてみるのも一興ですよ。

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昨夜、音楽家・坂本龍一の訃報が。
 音楽ユニット「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」での活動によりテクノポップの草分けともなる一方、「戦場のメリークリスマス」「ラスト・エンペラー」「レヴェナント/蘇えりし者」など映画音楽でも世界的な名声を勝ち得たほかバルセロナオリンピックでは開会式の音楽を手掛けるなどそのフィールドはまさにワールドワイド。かと思えばバラエティー番組「ダウンタウンのごっつええ感じ」ではコントに出演するなど実に多彩な活躍を見せた人物です。
 アニメやゲームにも度々楽曲を提供し、「王立宇宙軍オネアミスの翼」「天外魔境〜ZIRIA〜」「聖剣伝説4」(メインテーマのみ)などを手掛けました。意外なところではゲームハード「ドリームキャスト」の電源を入れた時の起動音も彼の仕事だったりします。

 こんばんは、小島@監督です。
 現代日本の音楽に多大な足跡を残した人物でした。謹んでご冥福をお祈りします。

 さて、今回の映画は「わたしの幸せな結婚」です。

 近代日本、「異能」と呼ばれる特殊能力を代々受け継ぐ家系の者たちが国を統べる帝と共に幾多の災厄から人々を守り続けて来た。帝都に屋敷を構える異能の旧家・斎森家。その長女・美世(今田美桜)は異能を持たずに生まれたことで継母と異母妹から虐げられてきた。人生に諦観し耐え忍んで生きる美世に嫁入りが命じられる。それは若くして異能者の特殊部隊を率いる冷酷な軍人・久堂清霞(目黒蓮)との縁談だった。

 予備知識ほぼゼロで観てみたらイメージとてんで違った、という映画体験がごくたまにあります。大抵そういう時は「シネコンに着いた時間で観るものを決める」時。そういう出会いもまた楽しいもの。
 タイトルやキービジュアルのイメージからいわゆる純愛物語なのかと思いきや、それだけに止まらない魅力を秘めた作品です。大正時代の日本を思わせる世界観で伝奇ロマン的なカラーも強く、端的に言えば「はいからさんが通る」と「帝都物語」を足した感じ、と言うところでしょうか。ちょっと「薄桜鬼」に近い雰囲気もありますね。実のところいずれも私の大好物なので結構この辺に自分のストライクゾーンがあるっぽいです。ええ、見事なまでに私好みでした(笑)
 監督は「MIU404」「最愛」などTVドラマで高い評価を得る塚原あゆ子。ファンタジックな描写も多い今作のようなタイプの映画は初めて手掛けるのではないかと思うのですが、登場人物の心情を実に丁寧にすくい取りアクションとメリハリを付けています。

 何より主演2人の存在感が素晴らしい映画です。虐げられてきた故に全てを諦め自己肯定感低すぎる灰かぶり姫なヒロイン美世を演じる今田美桜、グレーの長髪というアニメのようなビジュアルをただのコスプレにせずものにしてアクションまでやってみせる目黒蓮、どちらも実に際立っていて映画の柱になっています。

 佐久嶋依里、加藤たく郎らを筆頭とした美術スタッフの手による調度や小道具類、1990年代から活躍し時代劇から現代劇まで幅広くこなす衣装製作の第一人者・宮本まさ江の衣裳デザインと言ったスタッフの仕事も見事で細部まで神経の行き届いた画面が全編に渡って楽しめるのもポイントです。

 着目する点をどこに求めるかは人それぞれと思いますが、幅広い層に訴求できる上質のエンターテインメント。エンドクレジットの後には続編作りたい気満々なシーンがもう一つありますので場内が明るくなるまで席をお立ちになりませんよう。

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