ちゅうカラぶろぐ


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この喪失感をどう言い表したら良いのか。「アニソンの帝王」こと水木一郎さんの訃報が流れてきてさすがにショックを隠し切れません。
 1,000曲を超えるレパートリーを持ち「アニソン」という言葉が存在する前からキャリアを積み続け、アニソンが1つのカテゴリー足りうるに至った道を切り開いた、まさにフロンティアでありトップランナーでした。長い闘病の末に車椅子を使うようになりながらも亡くなる直前までステージに立ち続け生涯現役を貫いた姿は、実に熱くカッコ良い生き様でした。

 こんばんは、小島@監督です。
 それにしてもどちらも高齢だったとは言え、渡辺宙明さんと水木一郎さんが共に同じ年に逝かれるとは。連れて行き過ぎですよ…

 さて、今回の映画は「THE FIRST SLAM DUNK」です。

 父を亡くし、また兄をも喪った宮城リョータ(声・仲村宗悟、少年期の声・島袋美由利)は母と妹とともに故郷の沖縄を離れることになった。家族を喪った痛みを埋められないまま、兄との唯一の繋がりであるバスケットボールだけは続けていた。時が経ち、高校生となったリョータは湘北高校のバスケ部に入部し、仲間たちと念願のインターハイ出場を果たした。その2回戦、生前兄が目標としていた全国最強と謳われる山王工業との戦いに挑む。

 1990年代を代表するコミックの一つと言って良く、当時バスケブームを生み出した立役者でもありこれをきっかけにバスケを始めてプロになった選手も多い「SLAM DUNK」、90年代半ばにTVアニメ化もされ好評を博しましたがそこから実に四半世紀ぶりに、しかも原作者井上雄彦自ら脚本と監督を手掛けてのアニメ映画化です。
 フルCGで描かれるゲームシーンのビジュアルや、前売り券の販売開始後に出演者がTVアニメとは全員違うことが発表される間の悪さも批判の的となり、一抹の不安を感じましたが観てみれば全てが杞憂でした。

 恐らく井上雄彦氏の中に時間感覚や空間認識まで含めた確固たるイメージあるのでしょう、精密に設計された画面が全編に渡り展開します。今回普通の上映方式のもので観ましたが、IMAXやDolby Atmosのような方式で観たら特に音響面で印象が大きく変わりそう。「ガールズ&パンツァー」とはまた一味違う形で音響の凄みを味わえる作品だと思えます。また、なるほど確かにこれほど綿密にバスケの試合を作ろうとするなら手描きよりCGの方が相性が良いでしょう。手描きアニメで作ろうとしたらかかる予算はCGで作るそれより遥かに高くなりそうです。

 主人公を原作と同じ才能に溢れ陽気な桜木花道(声・木村昴)ではなく湘北メンバーの中では比較的地味な部類の宮城リョータに据えたのも観てみれば納得です。物語は試合開始とともに始まり、試合の流れと共にリョータの回想シーンが並行して描かれます。現在と過去を交互に描きリンクさせることで感情のうねりを生みだす。作劇の手法として近いものを上げるとケビン・コスナー主演、サム・ライミ監督の「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」あたりになるでしょうか。奇しくもと言うべきか、喪失と再生が主題になっているという意味で「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」とも共通しています。序盤は一見ドライに見える画面ながらその熱量は素晴らしく、原作は読破していてよく知っているはずの物語に気が付けば食い入るように見ていました。

 よほどTVアニメ版に強い思い入れが無い限りはこのダイナミズムにくぎ付けになること必至の強烈な映画です。原作者が監督まで務めてここまでのものとなると「AKIRA」に匹敵すると言っても差し支えないかもしれません。これは是非映画館で味わって頂きたいですね。

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病院から復職OKの診断が出て、明日から職場復帰できることになりました。少しずつ元に戻していければなと思います。当面は以前の半分以下の業務量で残業も無しという形で職場と話しもまとまっていますしね。

 こんばんは、小島@監督です。
 とは言えまるまる一か月休みを取っていたのでさすがにちょっと気後れします(苦笑)

 さて、今回の映画は「すずめの戸締まり」です。

 女子高生の岩戸鈴芽(声・原菜乃華)は、宮崎で叔母の環(声・深津絵里)と2人で暮らしている。ある朝、鈴芽は「廃墟の扉」を探しているという青年・宗像草太(声・松村北斗)と出会う。
 草太の後を追って山奥の廃墟へやってきた鈴芽は、そこで古びた扉を見つけた。その扉を開けてみると、そこにはここではない別の世界が広がっていた。しかし足を踏み入れようとしてもただ扉をくぐるだけでその「世界」に踏み込むことはできない。鈴芽は扉の近くにあった不思議な形の石を引き抜くと石は猫のような姿へと変わって走り去ってしまった。
 一旦はその場を去った鈴芽だったが、鳴り響く緊急地震警報と共に空に赤黒いミミズのような「何か」が這っているのを目の当たりにする。それがあの「扉」から出ているものだと直感した鈴芽は急いで扉のところまで戻ると、そこにはどうにかして扉を閉じようとする草太の姿があった。

 大ヒットを記録した「君の名は。」「天気の子」に続く新海誠監督の新作は、災厄をもたらす廃墟の扉「後戸」を探す青年と、うっかり後戸を開けたことが縁で奇妙な旅に出ることになる少女のロードムービーです。前作「天気の子」がいささかマニアックというかオタク臭さが強すぎる傾向がありましたが、今作ではそう言った性癖の露出(?)は鳴りを潜めきっちりマスへとアピールするエンターテインメントになっています。その辺のところはまたしても神木隆之介と花澤香菜を良い感じのところに起用するにとどめ(笑)、必勝を義務付けられたメジャータイトルで見事なバランス感覚を見せる新海誠監督のこの辺りの手腕はさすがの一言。スペクタクルに満ちた映像の迫力も見事で、ロードムービーにありがちなテンポの単調化に陥るギリギリのところが見極められ、終盤まで怒涛の展開を見せます。

 隕石落下や異常気象などカタストロフを描いてきた新海誠監督、今作では「地震」が重要なファクターとなっており、作中で東日本大震災がストレートに描き出されます。隠喩ではなくダイレクトにこれが数百館規模のメジャー作品で描かれることの意味は決して小さくないでしょう。「君の名は。」で描かれた隕石落下も震災の暗喩だったに違いありませんが、当時としてはまだファンタジーに落とし込まざるを得なかった部分も、あれから11年の時を経て、ある意味ではようやくここまで来たと言えるのではないでしょうか。
 また、「地震」という要素に着目した時、鈴芽が旅路の中で立ち寄る場所、あるいはその経路がどのような意味を持つか、気づける方は気づくはず。「ブラタモリ」を良く観ていると尚更理解しやすいかもしれません。
 現実に起こった災害を材に取った以上、物語の核心の部分で曖昧なファンタジーめいたことはできず、核の部分へのアプローチは今までより一歩踏み込んで見せた印象です。ある種の「割り切れなさ」を感じさせるのも現実故の重さでしょう。

 知る人ぞ知るアニメ作家の一人であった新海誠監督、スターダムに押し上げられてからも萎縮することなく作品を発表しキャリアを積み重ね独自のスタイルを気づき上げてきました。アニメ作家として名匠の領域に足を踏み入れようとしています。「集大成」といううたい文句は若干大げさのようにも思えますが決して間違ってはいません。「この人の作品を観ておけば間違いない」、そう思わせてくれるところまで来ているように思えますね。

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週末、東京へ遠征してきました。
 昨日は朝から東京競馬場へ。ジャパンカップを観戦してきました。G1レースを直に観るのは初めてです。午前中に開催される未勝利戦の段階から場所を取って時に馬券を買いつつ観戦。次第次第に増えてくる観客たち。場内だけでも数多くの飲食店が営業しているのに場外にも多くのキッチンカーが連なり、更にはレースまでの間に多彩なイベントも催されたりして大きなお祭りのよう。
 11のオープンレースを経て始まるジャパンカップ、ターフに出走馬が入った途端に変わる場内の空気、自身が大きなレースに出てることに間違いなく自覚のある出走馬たちはそれまでの11レースに出てきた馬たちとは明らかに「格」が違いました。始まる前に流している姿を見ているだけで鳥肌が立ってきたほどです。そんな「格」を備えた馬が18頭並び立つ威容。スターティングゲートの最終調整に入るスタッフたち、中継のスタンバイに入るカメラクルー、出走の時を間近に控え、上がっていく観客の期待混じりのボルテージがビリビリ来ます。これが、G1レース…!!

 こんばんは、小島@監督です。
 TVで観ているだけでは決して味わえなかった時間でした。まさに百聞は一見に如かず。あと、こんなに長いこと日の光を浴びたのも何だか久しぶり(笑)

 さて、その前日の土曜日は、ベルーナドームまで「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Twinkle LIVE Constellation Gradation」を観てきました。「冬」と「星」をコンセプトに、一部ブロックではバックバンドとストリングスユニットを擁してのシンデレラガールズの新たなライブイベントです。9月に名古屋で開催された「#cg_ootd」同様にコンセプトを明確に打ち出しセットリストを構成し演出を組み立てているのが特徴で、豊富な楽曲群を思えばこのスタイルは今後も続いていくものと思われます。また、これも前回のライブから踏襲されているのがMC。シンデレラガールズのCVとして、また声優としても比較的キャリアの浅い人とベテラン勢をツートップでメインMCに据えており、今回は昨年新たにCVとして抜擢された西園寺琴歌役安齋由香里さんと、ベテランの北条加蓮役渕上舞さんがMCを務めていました。幕間のコーナーでも仕切りをキャリアの浅い人に任せる場面が多く、これも今後引き続いていく要素かもしれません。 

 野外に近いベルーナドームというロケーションを使い「冬」と「星」をイメージした楽曲に初披露の曲を織り交ぜていくスタイルでセットリストを組む今回のライブ、TVアニメでクライマックスに使われた「流れ星キセキ」を開幕に、「冬空プレシャス」などが展開。中盤にはドームの屋根を全天スクリーンとしてプラネタリウムやVJに活用しダイナミックしたショーアップで「You're stars shaine on me」「星環世界」更にはアイマス5ブランド合同曲として製作された「VOY@GER」を単独ライブとしては先陣を切っての初披露などコンセプトに沿わせながらも驚きを与える選曲で見せてくれます。

 バックバンドとストリングスユニットも登場する後半にも「冬」を連想する「White again」「Memories」などが生演奏ならではのアレンジで披露されたほかバラード調にアレンジされた「Nocturne」では披露メンバーが前川みく役高森奈津美さんと多田李衣菜役青木瑠璃子さんという人選の妙も手伝って実に「エモい」。このブロック、配信で観ていたDay2でもちょっと季節感は無視しているものの「レッド・ソール」「君のステージ衣装、本当は…」「Driving My Way」などバックバンドが映えるところを良くチョイスしていて実に楽しい。

 ライブ終盤には、今年に入り長いスパンでシンデレラガールズとコラボレーションを続けてきたももいろクローバーZがサプライズ登場!というか一度観てみたいと思っていたももクロをこんな形で初めて観ることになろうとは。シンデレラガールズとコラボレーションという形ながらももクロらしいフォーメーション重視のパフォーマンスの華々しさが素晴らしく、やっぱりトップアイドルはオーラが違うなと思いましたね。しかしDay1でこんなサプライズ見せてDay2どうする気だ?と思っていたら「冬だから」という理由だけで広瀬香美を呼んでくる豪腕。パフォーマンスのパワーにもビビりましたが、ただでさえ強すぎる人が好き放題喋り倒す自由なMCにも圧倒。「せっかくだから曲書きたい。書かせてよ」とか「また呼んでね!」とかこちらとしては嬉しいが偉い人が頭を抱えそうなことをポンポン言ってくれます。しかもこの方あまつさえ開幕前にシークレットでピアノを1曲披露してしまうという荒業まで。

 長い付き合いなのに未だに油断できねぇなアイマス!
 来年2月予定の5ブランド合同ライブも楽しみになってきました。それまでに心身のコンディションを整えておかなきゃ。

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いよいよヤバくなってきたTVを先日買い換えました。これまで使っていた42型から55型4Kへ。ここまでインチを上げてもTVそれ自体の大きさは前のと大して変わらない、というのが購入の決め手。何せ前のは15年使っていたので何を買っても前より綺麗だろうなとは思っていましたが想像以上に綺麗。スポーツ中継とか見ても分かり易いくらいに迫力が上がっててびっくり。

 こんばんは、小島@監督です。
 今プレイしている「ブラッドボーン」も暗いところが良く見えるようになってプレイ環境が格段に向上しました。だからと言って難易度の高いこのゲームの進行が速くなるワケではないんですけども(苦笑)

 さて、今回の映画は「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」です。

 ワカンダ国王ティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)は死の床にあった。科学者である妹のシュリ(レティーシャ・ライト)は兄を救おうと懸命に努力するが報われること無くティ・チャラは崩御。それは同時にワカンダは国の守護者たるブラックパンサーを失うことを意味していた。
 ワカンダが独占する鉱石ヴィヴラニウムを入手したいアメリカは、海底の鉱脈を探し当てるが調査船が何者かの襲撃を受け壊滅した。同じ頃、ワカンダにも侵入者が。女王ラモンダ(アンジェラ・バセット)とシュリの前に現れたその人物は海の王国タロカンの王ネイモア(テノッチ・ウェルタ・メヒア)だった。ヴィヴラニウム探査の手が海底にまで及んだことで自国が侵害されることを危惧したネイモアはヴィヴラニウム探知機を製作した科学者の引き渡しを要求するのだった。

 喪ったものはあまりに大きく、その穴を埋めることなどできはしない。
 それはある意味で現実に対する虚構の完膚なきまでの敗北だったかもしれません。2020年に癌で急逝した名優チャドウィック・ボーズマン。世界的に高い評価を得た「ブラックパンサー」の続編は、名優の死を受け敢えて代役を立てることをせずにシナリオを1から作り直し、現実の俳優の死をそのまま物語に反映させました。こういう形で作られた作品は極めて珍しいように思います。
 ティ・チャラというカリスマを喪ったワカンダの人々、特にラモンダとシュリは喪失を受け入れる時間もろくに得られないままに「王の責任と選択」をことあるごとに迫られます。そして観客もこう思わずにはいられないのです、「ティ・チャラならどうしただろうか?」と。
 前作がアカデミー賞作品賞にノミネートされた程に高く評価された一因として優れたポリティカル・フィクションであった点も挙げられますが、今作は前作程の政治性は無く全体を貫くストーリー自体は決して奇をてらわずむしろ正攻法や王道ともいえるラインであるのは、ひとえにサプライズよりも向き合わねばならないことがあるからです。

 もちろんマーベル映画らしくアクションのボリュームやバリエーションも上々で、特に今作で初登場するリリ・ウィリアムズ(ドミニク・ソーン)こと「アイアンハート」の空中戦も行えるアクロバティックなバトルは見事にスクリーン映えする迫力。リリは来年ディズニープラスにて主役作も配信予定であり、そこでの活躍を期待させるデビューとしては十分すぎるくらいでしょう。ただ重要なポイントとしてはワカンダにしろ今作戦うことになるネイモア率いるタロカンにしろ、積み重ねられた理不尽の結果戦うことになってしまった、即ち理由なき戦闘であるが故に激しいアクションを重ねども爽快感やカタルシスとは縁遠いものとしてある点です。

 長い葛藤の末に、ティ・チャラのいない世界への決意と共に新たなブラックパンサーが誕生します。一人の俳優へのリスペクトと追悼を映画一本の全てを懸けて捧げ、そのスピリットを継承し一歩を踏み出す。シリーズとしては異色以外の何物でもないでしょう。しかし、喪失と再生の過程を丁寧に描き上げた珠玉の一本であることは間違いありません。
 さらば、チャドウィック・ボーズマン。

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休職に入って最初の数日、処方されてる睡眠導入剤の効きが良すぎるのか、単に数年分の寝不足と疲れが出ているのか分かりませんが、1日の大半を寝て過ごす日が続きました。それこそ食事や家事に要した時間以外はほぼ眠っていたような状態で、さすがに自分で自分に引きましたね。

 こんばんは、小島@監督です。
 医者の方に相談すると、「あまり続くようなら考えものだが、今のところは問題無い」とのことなのでこれはこれで経過観察。

 さて、そんな折に1つライブに行って来ました。アイドルマスター初めてのフルオーケストラ・コンサート、「THE IDOLM@STER ORCHESTRA CONCERT
~SYMPHONY OF FIVE STARS!!!!! ~ 」
です。名の通り、アイドルマスターを彩って来た数々の楽曲を名門・東京フィルハーモニー交響楽団の演奏で楽しむイベントです。
当初は仕事が建て込む時期だったため見送るつもりでいたのですが一時仕事から離れる格好になって時間ができた事もあり、まだチケットの残っていたDay2を思い切って買って現地まで観に行く事にしました。

 コンサートは2部構成。第1部は「FIVE STARS‼︎‼︎! 〜星の交響曲〜」と題し、「星」をテーマにアイドルマスター各ブランドから選りすぐった12曲をダイナミックにオーケストレーション。各楽章3曲ずつで4つの楽章で組曲を構成。選曲もTVアニメのテーマ曲だった「READY‼︎」で開幕し、「Anniversary」のようにもともとストリングスがメロディの中心を担っていた楽曲だけでなく、アッパーなアイドルポップである「サンリズム・オーケストラ」やゴシック・ロックである「Neo theory fantasia」など「こう来たか!」と思わせられる意外なところもチョイス。良く知っている曲が今まで聴いたこともない音色で新たな輝きを放つ様に時に心躍り時に涙すら目に浮かぶほどでした。

 第2部は「Brillante stage‼︎‼︎!」と題し、こちらはギターやドラムと言ったバンドユニットも加わり更に曲によってはヴォーカルも入りアレンジも第1部ほど攻めの姿勢ではなく原曲の雰囲気を活かしたものに。
 Day2ではまずSideMのAltessimoがスクリーン登場し2曲を披露。続いて作詞という形でアイマスに楽曲提供している音楽家・貝田由里子さんが登場しここでも2曲を披露。作詞家による歌唱はアイマスでも珍しく、声優とは全く違う歌声に聴き惚れました。特に2曲目の「こいかぜ」はDay1でもシンデレラガールズの高垣楓がスクリーン出演する形で披露されており、歌い手の違いによる音色の変化を楽しませてくれました。
 白眉は高山紗代子役駒形友梨さんの「Vivid color」と我那覇響役沼倉愛美さんの「初恋第一章〜片想いの桜〜」、そして2人のデュエットによる「瞳の中のシリウス」の3曲。選曲はもちろんのことオーケストラをバックにした2人のヴォーカルの伸びとハーモニーが素晴らしく、聴きたかったものを最高の形で聴けた思いです。

 アイマス初の企画であった今回のイベント、終わってみれば耳慣れた曲を「本物」の音で体感できる稀有な経験を存分に堪能できました。出来ればこの1回限りで終わる事なく今後も続いて欲しいですね。オーケストラで聴いてみたい曲はいっぱいありますし!ただその時は今回のような幕張メッセではなく東京国際フォーラムとかの本格的なコンサートホールで聴きたいかな(笑)

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休職1日目、かなりがっつり引継ぎはしたのですが、朝からバンバン電話がかかってくるのに苦笑しています。まあ私としても想定外のイレギュラーな話だったりしたので仕方ないところではあるのですが。

 こんばんは、小島@監督です。
 静かな日々がやってくるのはいつの日やら。

 さて、今回の映画は「王立宇宙軍 オネアミスの翼」です。

 「何もしない軍隊」と揶揄され、落第物の集まりと見下されているオネアミス王国の宇宙軍。そこに所属する士官のシロツグ(声・森本レオ)は、かつては水軍のジェット戦闘機乗りに憧れていたがそこに行けるほどの優秀な成績を修められず、仕方なく入った王立宇宙軍で気の抜けた日々を送っていた。
 ある夜、同僚たちと繰り出した歓楽街でシロツグは布教活動を行う少女リイクニ(声・弥生みつき)と出会う。休日に下心を秘めてリイクニの下に話を聞きに行ったシロツグは、「戦争をしない軍隊」である宇宙軍を褒められ、やる気を起こしカイデン将軍(声・内田稔)が推進する有人宇宙飛行計画に志願するのだった。

 のちに「新世紀エヴァンゲリオン」で日本アニメ史に不動の名を刻むことになるアニメスタジオ・GAINAX。その第1回作品として1987年に製作された劇場用アニメ映画です。企画そのものはGAINAXの前身とも言うべきアマチュア映像集団「DAICON FILM」の時期に既にあり、本作を製作するためにDAICON FILMを解散し、GAINAXが設立された経緯があります。そんな作品が製作35周年を記念し4Kリマスター版によるリバイバル上映が現在行われています。昔レンタルビデオで観たコレをスクリーンで観られる日が来るとは正直予想外でした。

 端的に言えば軍のはみ出し者だったメンバーたちが力を合わせてロケットを飛ばす、それだけの物語です。正直に言えば119分というがっつりとした上映時間をしている割には内容は薄く起伏にも乏しく、いささか退屈を禁じ得ない部分はあります。
 しかしその大きすぎる欠点を差し置いてなお魅力的に映るのは、ひとえに異常なまでの濃度と密度を誇る作画にあります。なんてことない動作の一つ一つが緻密に描写され、クライマックスのシャトルの発射シーンなどは実写と比較しても遜色ない境地にまで達しており、しかもすべて手描きというのがもう驚異としか言いようがないレベルです。

 DAICON FILM結成時にはまだ学生であった山賀博之、庵野秀明、貞本義行、前田真宏と言った主要メンバーたちは大学在学中から「超時空要塞マクロス」や「風の谷のナウシカ」などにアニメーターとして参加しており、そんな彼らの新たなステップとしての意味合いも強かったこの作品は、映画が作品としてまとまるバランスを逸脱したのと引き換えに参加したアニメーターたちのセンスを見事なまでに発露させる結果となりました。このアンバランスさは監督の山賀博之を筆頭に平均年齢24歳という若いスタッフで主要メンバーが固められていたことも大きいでしょう。同人レベルでは注目を集めていたとはいえ商業的には全く実績の無いスタッフにいきなり全国ロードショークラスの劇場用アニメをしかもオリジナル作品で任せたところに1980年代半ばの時代性が垣間見える面白さがあります。今でこそ映像製作としても大手となったバンダイも、当時はまだ映像事業に参入して日も浅い時期で、ある種の「攻め」をしたい意図もあったかもしれませんね。

 どうにも保守的になりがちな昨今とは違う、「野心」と「若さ」がそのまま形になったかのようなこの作品を時を経て再見すると言うのはただノスタルジーとは一線を画す何かを観る者に与えてくれるような気がします。この道の先に「エヴァンゲリオン」がある、というのも面白い。90年代のクリエイティブに繋がる礎ともいえる逸品、どうぞスクリーンでご堪能あれ。

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少し前から気分がふさぎがちになり、仕事でもミスが増えたというか思考がクリアにならない時間が増えてきて、これはさすがに何かがおかしいと心療内科への受診を始めたところ、「軽度のうつ病」と診断されました。
 職場にも説明して上司と面談した結果、来週から約1か月間休職することに。今までが過労気味だった影響が遂に出てしまったのかも。しばらくゆっくりしますよ。
 
 こんばんは、小島@監督です。
 職場でストレスチェックとかやるところも多いかと思います。あの結果が芳しくない時はマジでカウンセリングとか心療内科とか行った方が良い。1年放置したらここまで悪化した私からのアドバイスです。 

 さて、今回の映画は「線は、僕を描く」です。

 家族を亡くし深い哀しみに沈んでいた大学生の青山霜介(横浜流星)は、友人から紹介された絵画展設営のアルバイトで水墨画との出会いを果たす。
 巨匠・篠田湖山(三浦友和)に声を掛けられ水墨画を学び始めた霜介は、白と黒の濃淡だけで表現する水墨画の玄妙な世界へ魅せられていく。

 競技かるたに青春をかけた高校生たちを描いた青春映画の金字塔「ちはやふる」、監督小泉徳宏を筆頭にその製作陣が再結集し、今度は「水墨画」をモチーフに新たな青春映画を送り出しました。

 全てが必要十分に整い、音楽も過剰に盛られたりすることも無く実に端正に作り上げられた映画です。作中何度か登場する書家たちによる揮毫会のシーンも殺陣のようなダイナミズムに満ち、一見静的な要素の多いモチーフに思えるこの作品に躍動感をもたらしています。
 何より主人公の青年・霜介を演じる横浜流星が素晴らしい。傷心の只中にあり、恐らく世界がきっとモノクロームに見えていたであろうところから水墨画を知り、色彩を取り戻していく様を繊細に演じています。
 
 一見単純に過ぎる物語の構図に一つの変化球として存在するのが、ヒロインともいえる湖山の孫娘、清原果耶演じる篠田千瑛です。師匠である湖山は、霜介に「何か」を見出し弟子にスカウトするも教えるのが下手過ぎるため、湖山に代わって水墨画の基礎を教えることになります。霜介にとって水墨画への世界の扉を用意したのは湖山ですが、扉を開いた霜介の手を取る導き手となるのは千瑛、しかしその千瑛の方は新進気鋭の美人水墨画家として注目を集めるも彼女自身はスランプに陥っています。師であり祖父である湖山に複雑な感情を向ける千瑛と、喪失の哀しみに折り合いを付けられずにいる霜介、2人の葛藤が交差し物語を牽引します。

 そんな2人を見守るのは湖山だけではありません。特に江口洋介演じる西濱湖峯は年長者として2人を支えると同時に、ある意味で一番おいしいところをさらっていきます。いやもうズルいすよアレは(笑)

 正直非の打ち所がない作品ですが、逆を言えばあまりに端正に過ぎて全てが予想の範囲に収まり突き抜けては行かないのが欠点と言えば欠点です。さらりと気分良く観られると言うのも重要な要素なのでコレは一概に悪いこととは言えません。水墨画というこれまであまり映画では用いられてこなかったモチーフに挑む俳優たちの演技の相乗効果だけでも十二分に楽しい作品です。薫風のような爽やかな作品を観たくなった時に、是非どうぞ。
 

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