昨日は親戚一家が自宅を訪ねて来ました。可愛い盛りの2歳半になる娘さんも来るとあって日頃幼児が生活空間にいない自宅を危ないところの無いように整理したりと準備も大変なら、訪問中も2歳半の溢れ出る生命力と低すぎる視点から見える世界に翻弄されっぱなしで帰る頃には私がぐったり。これを毎日相手している世のお父さんお母さんは偉大だ。
こんばんは、小島@監督です。
そんな娘さん、何故か「となりのトトロ」も「崖の上のポニョ」もすっ飛ばして「もののけ姫」にのめり込んだそうで、将来有望である。
さて、今回の映画は「ひつじ探偵団」です。
イギリスの田舎町、羊飼いのジョージ(ヒュー・ジャックマン)は愛する羊に囲まれながら1人のんびり暮らしていた。ジョージは夕方に羊たちにミステリ小説を読み聞かせるのを日課にしていたが、実は羊たちは物語を理解していてその時間を楽しみにしていた。
そんなある朝、ジョージが死体となって発見された。羊たちはそれを事故だとは思わず、最も賢いリリー(声・ジュリア・ルイス=ドレイファス)、孤高な性格のセバスチャン(声・ブライアン・クランストン)、一度覚えたことは忘れないモップル(声・クリス・オダウド)の3頭が中心となって犯人探しに奔走し始める。
キリスト教世界で羊といえば神に絶対的な信仰を誓う者の象徴として語られ、だからキリストは羊飼いに例えられたりするのですがそれ故に羊は一方で従順で愚鈍、自分で考える頭を持っていない、というイメージを持たれたりしています。ですが、今作の羊は違います。愛するジョージの仇を取るべく持てる知識を総動員して全力で奔走します。
「ミニオンズ」のカイル・バルダを監督とし、「スパイダーマン:スパイダーバース」のクリストファー・ミラーが製作に参画しアニメ畑の人物が中核に名を連ねた今作は、羊が殺人事件で探偵やります、というシュールでコミック的な設定ながらイロモノに堕することなくなかなか侮れない面白さを秘めた作品です。
正直観る前は探偵ものとしては形骸的でもっともふもふカワイイとシチュエーションコメディに振り切った作品だと思っていたのですが、いやもふもふカワイイは間違い無いものの結構ガチなフーダニットを見せてきて、ミステリとしてもなかなか本格的です。言うて人語を理解できても話せるワケではない羊たち、ポンコツ警官のデリー巡査(ニコラス・ブラウン)にあの手この手で推理を伝えようとするのは確かにコメディですが。
しかしこの物語の本質はやはりミステリよりも個性的な羊たちのコミカルなやり取りの向こうに見える哲学的な一面でしょう。この羊たちは嫌なことや悲しいことがあると思考停止を起こし3カウントで全てを忘れる自己暗示をかけてしまいます。容易く忘れられるというのはメリットにも見える一方で捨て去った物の大きさすら気づけなくなる哀しさを孕んでいます。そしてもう一つ、羊社会には言われも定かではないある差別が横たわっています。この差別もまた羊たちは当然のように受け入れていて直視しようとはしていません。犯人探しの過程の中で今まで羊社会で蓋をして見ないふりをして来た物事に気づいてゆくのです。
そして人間たちの方でもジョージの死をきっかけとして犯人探しと同時に継承のドラマが語られていて、2つのドラマが絡み合うことで互いが互いの文脈を強化していくのです。
ミステリとしても寓意を含んだ風刺劇としても味わい深く、極めてハイレベルな作品です。洋画不況の中でシリーズ物でもなくパッと見ではイロモノっぽくもあるこのような作品がスマッシュヒットを記録しているのは嬉しいですね。
なお今回のブログタイトルは別にネタバレではありませんので安心してご覧になってください(笑)
こんばんは、小島@監督です。
そんな娘さん、何故か「となりのトトロ」も「崖の上のポニョ」もすっ飛ばして「もののけ姫」にのめり込んだそうで、将来有望である。
さて、今回の映画は「ひつじ探偵団」です。
イギリスの田舎町、羊飼いのジョージ(ヒュー・ジャックマン)は愛する羊に囲まれながら1人のんびり暮らしていた。ジョージは夕方に羊たちにミステリ小説を読み聞かせるのを日課にしていたが、実は羊たちは物語を理解していてその時間を楽しみにしていた。
そんなある朝、ジョージが死体となって発見された。羊たちはそれを事故だとは思わず、最も賢いリリー(声・ジュリア・ルイス=ドレイファス)、孤高な性格のセバスチャン(声・ブライアン・クランストン)、一度覚えたことは忘れないモップル(声・クリス・オダウド)の3頭が中心となって犯人探しに奔走し始める。
キリスト教世界で羊といえば神に絶対的な信仰を誓う者の象徴として語られ、だからキリストは羊飼いに例えられたりするのですがそれ故に羊は一方で従順で愚鈍、自分で考える頭を持っていない、というイメージを持たれたりしています。ですが、今作の羊は違います。愛するジョージの仇を取るべく持てる知識を総動員して全力で奔走します。
「ミニオンズ」のカイル・バルダを監督とし、「スパイダーマン:スパイダーバース」のクリストファー・ミラーが製作に参画しアニメ畑の人物が中核に名を連ねた今作は、羊が殺人事件で探偵やります、というシュールでコミック的な設定ながらイロモノに堕することなくなかなか侮れない面白さを秘めた作品です。
正直観る前は探偵ものとしては形骸的でもっともふもふカワイイとシチュエーションコメディに振り切った作品だと思っていたのですが、いやもふもふカワイイは間違い無いものの結構ガチなフーダニットを見せてきて、ミステリとしてもなかなか本格的です。言うて人語を理解できても話せるワケではない羊たち、ポンコツ警官のデリー巡査(ニコラス・ブラウン)にあの手この手で推理を伝えようとするのは確かにコメディですが。
しかしこの物語の本質はやはりミステリよりも個性的な羊たちのコミカルなやり取りの向こうに見える哲学的な一面でしょう。この羊たちは嫌なことや悲しいことがあると思考停止を起こし3カウントで全てを忘れる自己暗示をかけてしまいます。容易く忘れられるというのはメリットにも見える一方で捨て去った物の大きさすら気づけなくなる哀しさを孕んでいます。そしてもう一つ、羊社会には言われも定かではないある差別が横たわっています。この差別もまた羊たちは当然のように受け入れていて直視しようとはしていません。犯人探しの過程の中で今まで羊社会で蓋をして見ないふりをして来た物事に気づいてゆくのです。
そして人間たちの方でもジョージの死をきっかけとして犯人探しと同時に継承のドラマが語られていて、2つのドラマが絡み合うことで互いが互いの文脈を強化していくのです。
ミステリとしても寓意を含んだ風刺劇としても味わい深く、極めてハイレベルな作品です。洋画不況の中でシリーズ物でもなくパッと見ではイロモノっぽくもあるこのような作品がスマッシュヒットを記録しているのは嬉しいですね。
なお今回のブログタイトルは別にネタバレではありませんので安心してご覧になってください(笑)
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