ちゅうカラぶろぐ


[4492]  [4491]  [4490]  [4489]  [4488]  [4487
先日、俳優大葉健二さんの訃報が流れました。千葉真一に憧れジャパンアクションクラブ(JAC)の門を叩き、俳優というよりスタントマンとしてキャリアをスタートし、その後顔出しでも演じるようになりました。主に東映の特撮番組や時代劇で活躍し、特に「宇宙刑事ギャバン」の主人公・一条寺烈役はまさに代表作と言えるでしょう。ギャバン放送当時自分は幼稚園児くらいで、自分としてもヒーローと言うとウルトラマンやゴレンジャーのスーツ姿と合わせて大葉健二さんの立ち姿が幼心に強烈に焼き付いています。

 こんばんは、小島@監督です。
 「カッコいいとはこう言うことさ」を地で行く俳優でした。謹んでご冥福をお祈りいたします。

 さて、今回の映画は「サンキュー、チャック」です。

 各地で災害が相次ぎ、ネットも繋がらなくなり終末の様相を見せ始めた世界。高校教師のマーティー(キウェテル・イジョフォー)は、ある日の出勤途中、「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい39年間に、ありがとう、チャック」と書かれた看板を目にする。しかも日々繋がらなくなるテレビやラジオからも同じCMが流れ始めた。チャールズ・クランツ(トム・ヒドルストン)とは何者なのか。誰に聞いても答えは得られない。更に勢いを増す天災に終末を覚悟したマーティーは、別れた元妻のフェリシア(カレン・ギラン)に会いに行くことを決意する。街はチャックの広告で埋め尽くされていた。

 この映画をどこから語るべきだろう。ネタバレ厳禁というほどのものでもないのですが、何を書いてもこの独特な感慨と長く残る余韻の魅力を削いでしまいそうな気がする。この映画を観ようか迷ってる方はここから先は読まずに映画館へ行って欲しいくらい。ただ、ひたすらに愛おしい。
 ホラーの巨匠スティーブン・キングの短編小説を原作とし「ドクター・スリープ」の映像化を手掛けたマイク・フラナガンの脚本・監督により映画化。ささやかなホラー要素はあるものの、それ以上にストーリーに浸れる作品になっています。

 映画は3章構成。第3章から開幕し、時間を遡っていく趣向となっています。第3章では謎めいた人物であったチャールズ・クランツは第2章で本格的に登場し、第1章でそのオリジンが明かされ、前の章で語られたセリフや人物が伏線となって現れます。正直言って物語の構図自体は序盤である第3章の後半あたりでもう見えてきてしまうのですが、それでこの映画の面白さがスポイルされるわけではありません。ミステリアスな第3章から変わって第2章と第1章はヒューマンドラマと音楽映画としての側面が増していきます。ニック・オファーマンのナレーションに乗って滑らかに語られるストーリーは章が進む(戻る?)につれてその意図を明確にしていきます。
 中でもストーリー上でも映画としても重要な意味を持つダンスシーンの振付は「ラ・ラ・ランド」の名手マンディ・ムーアが手がけています。美しく楽しげなダンスシーンの高揚感はクライマックスのカタルシスとも直結しつつ、人生の喜びと輝きを凝縮させたそれはむしろ文学的な彩りを与えています。

 一見すると技巧重視の映画に思えますが、映画を、物語に触れることの意味を深く考えさせてくれる、感動で号泣するというのとはひと味違う、深いところに沁み入ってくるような余韻。一瞬は永遠に、永遠は一瞬に。物語だけが成しえる境地をどうぞ、スクリーンで浸ってください。

拍手[0回]

この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
/