ちゅうカラぶろぐ


[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6
昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
 今回は久しぶりのコミック交換会ということで、私は色々思案した結果つい最近アニメ放送してたし自分としても大好きだし「これだ!」と吉田秋生の「BANANA FISH」にしました。どなたの手に渡ったか分かりませんでしたが、楽しんで頂けたら幸いです。…まだ読んだ事無ければいいのだけど。
 私が頂いたのは山東ユカの「スパロウズホテルANNEX」。見た目は巨乳で美人だけどとってもバイオレンスなビジネスホテルのフロント係のお姉さんの活躍を描く4コマ漫画「スパロウズホテル」のスピンオフだそうです。恥ずかしながらどちらも存じ上げなかったのですが、コレをチョイスした方が丁寧な手書きの紹介カードを挟み込んでくださっていました。どなたか分かりませんがありがとうございます!

 こんばんは、小島@監督です。
 皆さんの手にはどんな漫画が行き渡りましたか?

 さて、今回の映画は「スパイダーマン:スパイダーバース」です。

 ニューヨークで暮らす少年マイルス・モラレス(シャメイク・ムーア)は、両親の期待を背負い名門校に通うがそんな日々に行き詰まりを感じていた。ある夜、叔父のアーロン(マハーシャラ・アリ)と共に地下道の一角でグラフィティアートを楽しんでいた時、クモに噛まれてしまい、以来体に異変を覚えるようになった。
 自身の変化に戸惑いを隠せないマイルス。そんな折マイルスはキングピン(リーヴ・シュレイバー)がグリーン・ゴブリン(ヨーマ・タコンヌ)と共に加速器を用いて多次元宇宙への扉を開こうとしていた。それを阻止しようとスパイダーマンことピーター・パーカー(クリス・パイン)が立ちはだかったが加速器を制止させることには成功したもののその中でピーター・パーカーは命を落としてしまう。
 スパイダーマンの死にニューヨークが悲しみに暮れる中、2代目になろうと奮闘するマイルスだったが上手く行かない。そんなマイルスの前にピーターと似た、しかし別の男が現れる。男の名はピーター・B・パーカー(ジェイク・ジョンソン)。別次元から来たスパイダーマンである。

 何度も映画化、アニメ化されており今夏も「アベンジャーズ」のシリーズの一環として「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」の公開が控えている「スパイダーマン」ですが、意外にもアニメ映画が製作・公開されるのはコレが初めてだそうです。今年のアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞したこの作品は、実にユニークかつダイナミックな映像で観る者を圧倒してくれるパワフルな作品に仕上がっていました。
 多次元宇宙からやってきたスパイダーマンたちはモノトーン調、ジャパンアニメ風、カートゥーン調と見た目からして個性的。このまるで絵柄の違うキャラクターを同じ画面で共存させてあまつさえ縦横無尽にアクションまでしてしまう所がこの作品の魅力です。更に画面にコマ割りや吹き出しが度々登場しコミック的表現をそのままアニメの中に落とし込んでおり、それがアニメとしても効果的に作用しているところがポイントです。コミック的表現を持ち込んだアニメ作品自体は前例が無いわけではないのですが、先述の絵柄の違うキャラクターの共存が強い未見性を生み出すのに一役買っています。

 映像ばかりに目が行きがちですが、物語の方も結構骨太。「スパイダーマン」の骨子とも言える「大いなる力には、大いなる責任が伴う」ことをマイルスは先輩とも言うべきスパイダーマンたちから、そして自身の体験によってその覚悟を心に刻み一人のヒーローへと成長していく姿を見事に描き出し熱い物語が展開します。

 CG技術の隆盛により大抵の表現は実写の枠の中で表現できてしまうようになりましたが、「アニメでしかできない表現というのは確かにある」ということを教えてくれる1本です。既に公開から1か月ほど経過していますが、未見の方は是非このセンス・オブ・ワンダーをスクリーンで体感して欲しいですね。
 またこの映画、作品を手掛けた監督のロドニー・ロスマンらのリップサービスかもしれませんが興行成績如何によっては続編の計画もあるそうで、その際には「レオパルドン」(東映が1978年に製作したTV特撮シリーズのスパイダーマンに登場した巨大ロボ)を登場させたいと言ってくれています。これはぜひ実現して欲しい!あのポップアートなビジュアルの中に武骨な巨大ロボ!観たい!観たいぞ!

拍手[3回]

3月の終わりから4月に入った年度の変わり目にかけて忙しい日が続いてとにかくリフレッシュしたかったので一昨日の休日は「とにかく1日好きに使う!」と心に誓い、歯医者の定期検診(これだけは以前から予約入れてた)を終わらせた後は数年ぶりにテイラーに寄ってスーツを仕立て、靴を1足新調し、映画を2本ハシゴして、最後に太陽さんに寄って居合わせたちゅうカラメンバーたちと談笑して帰るという、スーツと靴に時間かけすぎて昼食を食べ損ねたことが誤算だった以外はほぼしたかったことをやり切った最高の休日を過ごせました。

 こんばんは、小島@監督です。
 ほぼ全く予定の無い上に翌日も休みなんていう日は実はなかなか取れないのが辛い所ですが、でもたまにはこんな日が無いとね。

 さて、今回の映画はそんな一昨日観た映画の一つ、「ビリーブ 未来への大逆転」です。

 ハーバード大学法科大学院に入学したルース・ギンズバーグ(フェリシティ・ジョーンズ)は、新入生歓迎の食事会の席でグリスウォルド学部長(サム・ウォーターストン)から「女子学生は、男子の席を奪ってまで入学した理由を聞かせてくれ」と問われて驚く。時は1956年。弁護士はまだ「男の仕事」であった。
 法科の2年生である夫マーティン(アーミー・ハマー)と共に子育てと家事をこなしながら猛勉強するルース。しかし現実は厳しく、首席で卒業しても弁護士の道は開けず席の空いていた大学教授に就任することで折り合いを付けざるを得なかった。
 時は流れ1970年、ルースは学生たちに性差別と法について教鞭を執っていた。憲法では「法の下の平等」を歌いながら堂々と男女差別を認める法律が数多く存在する。そんな状況を変えようと情熱を燃やす学生たちを弁護士へと育て上げるのがルースの仕事だったが、自身が弁護士になれなかったことに不満を募らせていた。
 そんなある日、マーティンはルースにある訴訟の記録を見せる。それがルースの運命を大きく変えることになるのだった。
 
 貧しい家庭に生まれながら苦学して法学を修め、男女平等や女性の権利のために長年闘ってきた人物であり現在85歳を超えてなお現役最高齢の最高裁判事として活躍を続けるルース・ベイダー・ギンズバーグという人物は、現代アメリカにとって生ける伝説のような人物です。そんな彼女の学生時代から1970年代までの業績を主軸に描き上げた劇映画です。「ビリーブ」という邦題は、1960年代から長くNASAで活躍した黒人女性キャサリン・ジョンソンの姿を描いた「ドリーム」を思い起こさせるものとなっていますが、これは原題の直訳ではなく原題は「ON THE BASIS of SEX」、直訳すれば「性に基づいて」。率直とも思えるこのタイトルは作中に台詞としても登場します。この言葉に対するある人物のリアクションがなかなかニヤリとさせられるのでどうぞお楽しみに。
 監督は「ディープ・インパクト」や「ペイ・フォワード 可能の王国」などを手掛けた女性監督ミミ・レダー。映画ではエンターテインメント色の強い作品が多い彼女ですが、今作ではむしろTVドラマ「ER緊急救命室」で見せたような専門用語を飛び交わせながらも緊張感を持たせ観客を惹きつける手腕を存分に発揮している印象です。また脚本はルース・ギンズバーグの実の甥であるダニエル・スティープルマンが手掛けています。ルース本人に時間をかけてインタビューすることが出来たようで、例えば作中描かれる裁判は当日の口頭弁論以上に事前に提出する趣意書に比重が置かれて描かれているのもルースからの要望だとか。

 この映画を観るに当たって留意する点は常に時代背景を念頭に置いておくこと、でしょう。先月このブログで取り上げた「グリーンブック」もそうなのですが、60年代は公民権運動が盛り上がりを見せていた時期であり、性差別の撤廃はそんな機運の中でルース以前にも既に度々訴えられては退けられていた時期で、ルースの登場はある意味時代の必然とも言えたでしょう。
 また作中ルースよりもむしろ夫であるマーティンの方が家事も子育ても主体的に行っているのですが、「男は仕事、女は家事」というジェンダーロールが一般的だった1950年代~70年代という時代背景を考えればルース以上にマーティンの方が開明的な考えの持ち主であることが分ります。更に言えば妻の能力を誰より評価し最大の理解者として献身的に寄り添い続けるマーティンの姿はある意味で女性にとって最高のパートナーのように映るのではないでしょうか。ルースを人間観たっぷりに演じるフェリシティ・ジョーンズも勿論ですが、マーティンを篤実に演じるアーミー・ハマーの姿も観る者に強く印象に残ります。

 また、この映画の優れている点、いやそれは実際のルースの鋭い着眼点の表れでもあるのですが、ルースはただ女性の権利を主張していただけでなく「女を女らしさで縛る時、男も男らしさに縛られている」事の落とし穴を見出しており、それを作中でも明確に描き出してみせた点です。これが非常に見事で、男女問わず示唆に富んだ映像体験を与えてくれるでしょう。

 現在、トランプ政権発足時から保守派が幅を利かせる中でルースは政権批判も辞さないリベラル派のアイコン的存在でもあり昨年には彼女が最高裁判事になるまでを追ったドキュメンタリー映画「RBG」も製作され(日本では5月公開予定)、ますます存在感を増す人物です。日本でも様々な形で色濃く残る性差別について考える契機ともできますが一方で同じ人物をクローズアップさせた映画が2本同時期に公開されている点を鑑みてもこれ自体が近く行われる中間選挙へのメッセージとも取れ、なかなかに深読みをさせてくれる1本です。既に公開が後半に差し掛かっているため上映回数も減ってきているところではありますが、大作やアニメ映画が続々上映される時期にあって独特の存在感を示すこの作品、熱い内に観て欲しい1本でもありますね。
 

 

拍手[4回]

5月1日から施行される新たな元号「令和」が発表されました。
 万葉集の新年を寿ぐ歌からの引用と聞けばどこか風雅さを感じる言葉でもあり、一方で「令」とはもともと占師が吉凶を見たその結果、つまり天の声を跪いて聞いた様を表した文字であり、そこから「天の声を以て和を成せ」と読み解けばどこか温かみに欠ける言葉でもあり。皆さんはどのような印象を受けたのでしょうか。

 こんばんは、小島@監督です。
 新たな元号のもとに紡がれる時代は、どのような色になるのでしょうか。

 さて、今回の映画は「プリキュア ミラクルユニバース」です。

 良く晴れた夜、星奈ひかる(声・成瀬瑛美)は羽衣ララ(声・小原好美)たちと天体観測を楽しんでいた。ひと際輝く星を見つけてはしゃぐひかるだったがその星が異様に輝きを増し、気づけば
ひかる達は別の世界へとワープしていた。そこでひかる達はピトン(声・小桜エツ子)と名乗る妖精と出会う。ピトンは「キラキラ星」という星でミラクルライトを作る工場にいたのだが、今そこでは異変が起きていた。その異変により生み出された魔物がひかる達にも迫り、ひかる達はプリキュアに変身して戦おうとするのだが。

 毎年恒例のこの季節が今年もやってまいりました。ええ!もちろん観に行きましたよ春のプリキュア映画!もう半分意地みたいなところもありますがね(笑)!

 シリーズ物というのは本当に本当に大変で、TV放送とは別に年に2本の映画を作り続ける苦しみとはいかばかりなのでしょう。まして前作とでも言うべき昨秋公開の「プリキュアオールスターズメモリーズ」は15周年の節目に相応しい記念碑的な傑作で、その後を継ぐ作品となればその重圧も相当なものだったでしょう。一つの節目を経た後で試行錯誤が求められる時期だけにそのプレッシャーは尚更。今回の映画を観ながらふとそんなことを考えてしまいました。

 春のプリキュア映画は毎年2月に新シリーズの放送がスタートすることから先輩となる前作までのプリキュアたちが新たなプリキュアたちを支えるような構造を取る作品が多いのですが、今年もご多分に漏れず、というか例年以上に顕著となっています。結果的に特に「HUGっと!プリキュア」の主人公野乃はな(声・引坂理恵)の成長が垣間見えるのが良いですね。
 例年にない特徴というとこれまで以上にメインターゲットである子供たちに語りかける作りをしていて、序盤から頻繁にミラクルライトを振るよう呼びかける点です。それもただ振るだけでなく円を描かせたり星型に振らせたりとバリエーションも多く、前作が少々大人向けに作り過ぎた揺り戻しというべきか、ちゃんと子供向けにしようという意識が見えます。

 ですが、この映画よほど難産で逼迫したスケジュールの中で製作されたのか、根本的な欠点の多い作品です。シナリオも構成も相当に雑ですし作画のレベルも安定せず、一アニメ映画としては低評価にせざるを得ず、私のように放っておいても観に行く人以外にはとてもお薦めできない作品です。長くプリキュア映画を観てきましたが「試行錯誤の結果が上滑りした」作品はあってもここまで作りそのものが残念なものはちょっと記憶に無いので「ダメなものほど観たい」という困った嗜好の持ち主には薦めてみてもいいかもしれません。

 15年も作品を作り続けていればそりゃたまにはこういうのも出てきてしまうよね、という気もする一方で、こういう「子供だまし」が何作も続かないで欲しい映画です。一ファンとしてはどうか秋の映画で挽回して欲しいと願ってやまないですね。 
 
 

拍手[5回]

先週日本を駆け巡ったイチロー引退のニュースにはさすがに私も寂しい気持ちを隠しきれません。あまり野球の話を大っぴらにしたことはないのですが、実は私、小学生の頃に兵庫県西宮市に住んでいた時期があり、父親に連れられて初めて観に行った野球の試合が阪急対南海戦だったことから以降ずっと阪急(現在のオリックス・バファローズ)ファンで、だからこそ90年代にオリックス・ブルーウェーブ(当時)で大活躍していたイチローはまさにスター、というかヒーローのような存在でした。
 今まで、本当にありがとうございました。

 こんばんは、小島@監督です。 
 しかしイチローというと度々目撃される「定時で帰る」や「人の金で焼き肉が食べたい」などのフレーズがデザインされた珍妙なTシャツのイメージも強いのですがアレは一体何だったんだろう(笑)

 さて、今回の映画は「ロボコップ(4Kリマスター版)」です。

 近未来のデトロイト。犯罪都市として腐敗と荒廃が進んだこの都市は警察組織も巨大コングロマリット企業「オムニ社」によって民営化され街全体が支配されていた。
 デトロイト市警に配属されたばかりのアレックス・マーフィ(ピーター・ウェラー)は、相棒のアン・ルイス(ナンシー・アレン)と共に強盗犯を追跡する。強盗犯は連続して警官を殺害する「警官殺し」のクラレンス(カートウッド・スミス)率いる一味であった。追跡の末クラレンスのアジトを見つけたマーフィ達だったが返り討ちに遭いマーフィは射殺されてしまう。
 しかしオムニ社はある計画を実行に移すためマーフィの死体を利用した。マーフィのまだ生きている部分を生体部品として利用しデトロイトの犯罪撲滅のために戦うサイボーグ警察官「ロボコップ」を完成させたのだ…!

 1980年代というのはCG技術はまだ揺籃期にあったものの進歩を続ける映像技術と、1977年に公開された「スターウォーズ」の大ヒットも追い風にして「E.T.」「エイリアン」「ターミネーター」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ブレードランナー」「プレデター」など現在でもシリーズが続いていたり高い人気や評価を得ているアイコニックなSF映画が次々と製作された時期でもあります。そんな最中の1987年に「ターミネーター」と同じオライオン・ピクチャーズによって製作されたのがこの「ロボコップ」です。監督は後に「氷の微笑」「スターシップ・トゥルーパーズ」などを手掛けるようになるポール・バーホーベン。
 TV放送で何度か観たことはあるのですが、まさかスクリーンで上映されるのを観られる日が来ようとは。

 ちょっとシュールなCMを挟みながら進む、妙にキャスターのテンションが高いニュース番組のシーンがシニカルな笑いを誘うイントロで始まるこの映画は、非常に激しいバイオレンス描写が特徴で、それ故にTV放送用や海外上映用に差し替えたシーンがあったり再編集が施されたりしています。日本でも初公開時や地上波放送時はそのバージョンが使われており、本来の形であるディレクターズカット版の鑑賞が可能になったのは2007年にDVDが発売されてからだとか。ありがたいことに今回のリマスター版上映はそのディレクターズカット版を基にしているのでその激しいバイオレンスぶりを余すことなく鑑賞することができます。
 無論それだけが特徴ではなくロボコップとして蘇ったもののオムニ社によって記憶を消されたマーフィがふとしたきっかけで自身の記憶を探し始める、そんな所に深みを感じられる物語が魅力です。

 また、SF映画だけありVFXも見どころです。特に後半ロボコップと戦うことになる治安維持用ロボット「ED-209」はストップ・モーションを駆使した特殊撮影の大家であるフィル・ティペットの手による力作で、CG全盛の現在とは一味違うアナログ特殊効果の妙を楽しむことが出来ます。

 実は「ロボコップ」は個人的にちょっと思い入れがあります。この1作目の大ヒットによってシリーズは3作目まで製作された(2014年にはリブートされた作品も上映されました)のですが、その3作目の公開時、ラジオ局(確かニッポン放送だった)のキャンペーンに当選して同級生と共にラジオCMに出演したことがあるのです。それ故自分としても思い出深いキャラクターで、久しぶりの再会とでも言うべき今回のリバイバル上映はなかなか不思議な感慨がありました。
 時にはこういう映像体験も楽しいですね。

拍手[2回]

昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
 今回は昨日「ゾンビランドサガ」や「アイドルマスターSideM」などのイベントと重なったこともあり普段より少なめの参加者数でしたがその分皆さんがっつり歌えたのでは。初参加の方も楽しんで頂けたようで何よりです。

 こんばんは、小島@監督です。
 そうそう、どなたか分かりませんがじゃんけん大会でワインを出品された方、品物の紹介は私がしておきました。前置き無しのアドリブでワインの解説するイベントが発生する、それがちゅうカラ(笑)

 さて、今回の映画は「グリーンブック」です。

 1962年、ニューヨークのナイトクラブ「コパカバーナ」で用心棒を務めるトニー・”リップ”・バレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)は、店が改装のため2ヶ月休業を決めてしまい、妻子を養うために新たな仕事を探していた。
 ある日「ドクターが運転手を探している」と紹介されたトニーが指定された住所を訪ねるとそこはカーネギーホールだった。しかも相手は医者ではなく劇場上層部の高級マンションで暮らす黒人ピアニストのドクター・ドナルド・シャーリー(マハーシャラ・アリ)だった。ドナルドが求めていたのはクリスマスまでの2か月間、差別が色濃く残るアメリカ南部を回るコンサートツアーの運転手だった…

 アメリカという国は面白いもので時に文化的な面から政治の潮流に対して揺り戻しというか反目の風を起こすことがあります。今年のアカデミー賞作品賞を受賞したこの「グリーンブック」は1950年代からピアニストとして長く活躍したドナルド・シャーリーとナイトクラブ「コパカバーナ」に長く勤めその後俳優なども経験したトニー・バレロンガの友情を実話をベースにした物語です。共同脚本としてクレジットされているニック・バレロンガはその名の通りトニーの息子であり、父親から聞かされた話が作品のベースとなっているとか。監督は「メリーに首ったけ」や「愛しのローズマリー」などのコメディ映画を数多く手掛けたピーター・ファレリー。いやしかしまさか彼がオスカー監督になる日が来ようとは。

 アカデミー賞受賞に当たっては賛否両論あるそうですが、相当にハードな内容をユーモアでくるんで優れたエンターテインメントに仕立て上げたという点で実にハイレベルな逸品です。
タイトルにある「グリーンブック」とは1930~1960年代に発行されていた黒人旅行者向けのガイドブックで、黒人が利用できる店や宿が紹介されていたほか黒人が差別や暴力を避け長距離移動をするために欠かせないツールとなっていました。1960年代のアメリカ南部での黒人差別や盛り上がりを見せていた公民権運動に対しては「夜の大捜査線」(1967年製作)などに詳しく、合わせて鑑賞すればより理解を深められるでしょう。一方でドナルドと同行することになるトニーも白人ではあるもののイタリア系アメリカ人でいわゆる「WASP」ではないためマジョリティーにはなりきれないところもポイントです。
 コメディ寄りに作ってある映画ではありますが、「笑うに笑えないシーン」というのが作中登場する瞬間があります。作品のテーマから鑑みてある意味でそここそが物語の「肝」であるとも言えるでしょう。作中では約2ヶ月間の物語となっていますが実際のツアーは1年以上にも及ぶ長丁場だったそうです。とすると映画を観る中で不意に訪れるズシンと来るようないくつかの瞬間ももっとずっと重く深かったに違いありません。
 
 物語の骨格にヘビーなテーマを内包していますが一方で優れていると感じさせるのは、トニーとドナルドのキャラクター造形の見事さに加えて、主要人物の人となりを見せる冒頭から気の利いたセリフと共に心地良い余韻を残すラストシーンまで、極めて起承転結が端正で映画として非常に「観やすい」というのも挙げられます。テーマを表現したいばかりに複雑にするのではなく明快に整理された物語構造は作品の敷居を正しく下げることに成功していて「伝える」ということに迷いが無い作品となっています。
 無論ピアニストの物語なので音楽のセンスも良く、サントラが欲しくなる人もいらっしゃるんじゃないでしょうか。あと多分カティーサークを飲んでみたくなります、きっと(笑)
 
 半世紀ほど前の時代を舞台にした物語ではありますが、描かれる主題は普遍的で現在にも通じるテーゼです。この作品がアカデミー賞作品賞を受賞したという一事を見ても政治的な意図を見出すことは容易いとは思いますが、先ずは映画を自身の目で見て判断してみてください。

拍手[2回]

週末、ちゅうカラメンバーからのお誘いを受けリアル脱出ゲームなどを楽しむエンターテインメント施設「ナゾ・コンプレックス名古屋」で初めてリアル脱出ゲームを楽しんできました。前々から一度やってみたいと思っていたものが遂に実現した形です。
 この時プレイしたのが「最終兵器工場からの脱出」という、「起動準備段階に入ってしまった最終兵器を制限時間60分以内に破壊する」というシチュエーションのゲームで6人1組で様々なパズルや謎を解いてミッション達成を図るというもの。出されるパズルの種類もなかなかバリエーションに富んでいて、活躍出来たりポンコツになったりなどかなり相性の好悪がはっきり見える感じなのも楽しかったですね。制限時間の縛りが無ければ1人で全て解き明かすこともできたでしょうがそうじゃないところにチーム戦の楽しさがあるのが良いですね。
 ま、結果は失敗だったんですけども!く…ッ!悔しいぜ…!気づくに至る材料は全て揃っていながら…ッ!

 こんばんは、小島@監督です。
 ぶっちゃけまたやりたいですね。負けっぱなしでは終われないのでね!

 さて、そんな謎解きゲームを楽しんだ翌日、私は「THE IDOLM@STER SHINY COLORS 1stLIVE FLY TO THE SHINY SKY」のライブビューイングを観に行ってきました。昨春からサービスが始まったアイマスの新たなタイトル「シャイニーカラーズ」、間も無く1周年を迎えるタイミングで初の単独ライブが舞浜アンフィシアターにて9,10日の2日間にわたり3公演が開催されました。私が観たのはその中の10日の昼公演。恐らく硬かった人もいたであろう初ステージを経て少し余裕の出てきたキャスト達のステージを楽しんできました。
 実のところ、シャイニーカラーズは今ソーシャルゲームを新しく始めるのに時間的余裕が無いこともあり全くプレイしていないため、キャラは多少知っているけれど曲は全く知らないというほぼフラットな状態での鑑賞です。

 出演者は全部で16名。同じアイマスの「SideM」のように予め全員が3~5名で構成された計4つのユニットに所属しているというスタイルで、今のところまだソロ曲は無く各ユニットの曲か全体曲のみのセットリストで、恐らくそれは3公演共通でしょう。
 まだ始まって日が浅く曲が少ないこともあってか、ステージは楽曲のパフォーマンスだけでなく幕間に朗読劇を交えMCも長めに取るかなりゆったりとした構成でキャラクターと出演者を印象付けさせるように演出していました。先々もっと楽曲が充実していけばそれだけオミットされていくに違いない部分が多く、ある意味で今だけの味わいと言えますね。

 観ていた中で印象に残ったのはまず5人ユニットの「L'Antica(アンティーカ)」、センターを務める月岡恋鐘役の磯部花凜さんはミュージカル出演の経験が多い方なのもあってか歌唱力も高い上にカメラに対してのアピール力も高く華を感じさせますね。もう一人、三峰結華役の成海瑠奈さんはダンススキルが高く動きやポージングのキレが出演者中随一でこちらも強い華があり「バベルシティ・グレイス」と言ったヘヴィロック調のナンバーに良く映えパワフルなステージングを展開していました。
 他のユニットもアッパーな曲で徹底的に観客を煽りボルテージを上げこれからシャイニーカラーズのアンセムになっていきそうな「放課後クライマックスガールズ」、「ポップでハッピー」を謳い文句にしつつもその歌曲の中にはどこか陰のあるリリックが潜んでいるのが特徴的な「アルストロメリア」、そして作品のセンターであるユニットは最早アイマスのお家芸となりつつあるトリコロールカラーをイメージした「illumination STARS」と、どれも個性的で1stライブのお披露目としての役割は十分に果たしたと言えますね。同時に出演者の習熟度やキャラクターとの距離感がまだバラバラなのもまた味と言ったところでしょう。

 今ある全てを見せる場に辿り着く、しかしそれこそがスタートライン。これぞまさしく1st。
 3公演の最後には2ndライブの開催と5番目となる新ユニットの登場が告知されたとか。
 シャイニーカラーズもなかなか目が離せないタイトルになりそう。…やっぱりこれは先ずはゲームを始めないとダメかな(苦笑)?

拍手[2回]

先日「アイドルマスター シンデレラガールズ」に鳴り物入りで新登場した2人のアイドルがファンの間で賛否両論。個人的には7年続いて10周年も視野に入れようかという時期にテコ入れして波紋を投げかけるのは変に小さくまとまらないためにも必要と思うのでその采配に特に気にならなかったのですが、そうして出てきた2人のキャラが金髪紅眼で刹那的な吸血鬼の末裔(自称)とその従者である黒髪ショートで無愛想な少女という十数年前のギャルゲーのヒロインテイスト全開でむしろそっちに変な笑いが出ました。自分も良く買っていたしこの手のジャンルが一番売れていたという1990年代終盤~2000年代前半にはこんな感じのキャラクター、良くいたような気がします。

 こんばんは、小島@監督です。
 2人の歌う楽曲も今のところキャラ優先で少し浮いたような感じですが、世界観の懐が異様に深いデレマスの事、その内に馴染んでいくんじゃないかな。ライブイベントでどのようなお披露目になるのかも少し楽しみ。

 さて、今回の映画は「アリータ:バトルエンジェル」です。

 「没落戦争(ザ・フォール)」と呼ばれる戦争より300年、世界は空中都市「ザレム」とザレムから排出された廃棄物が山となるほど堆積している屑鉄の街「アイアンシティ」、支配者と被支配者の二つの世界に分断されていた。
 アイアンシティでサイボーグたちのメンテナンスを生業とするサイバー医師のイド(クリストフ・ヴァルツ)は、屑鉄の山を物色中にボロボロに壊れた少女の頭部を発見する。奇跡的に脳が無事であることに気づいたイドは少女にボディーを与えアリータ(ローサ・サラザール)と名付けた。
 イドの元で暮らし始めたアリータはパーツ屋の青年ヒューゴ(キーアン・ジョンソン)たちとも交流を持つようになり穏やかな日々を過ごすが、ある日、女性だけを狙う連続殺人犯であるサイボーグと遭遇した事で自身の中に高い戦闘能力が宿っている事を知る。それがアリータの過酷な戦いの始まりのであった…

 木城ゆきとのSFコミック「銃夢」の映画化権をジェームズ・キャメロンが獲得したというニュースが走ったのはもう20年近く前になります。私と同じくらいの世代でそこそこ年季の入ったアニメ・マンガファンにとっては当時結構大きなニュースであり、記憶に残っている方も多いことでしょう。ですがその後ほとんど続報が出ず、ハリウッドに良くある塩漬けにされてそのまま消え去る企画の一つに埋没してしまったのかと思いきや、今になって遂に実現。長生きはするものです。もっともジェームズ・キャメロンは監督はせずに脚本と製作を担い監督は「シン・シティ」や「プレデターズ」などを手掛けたロバート・ロドリゲスが担っています。実はジェームズ・キャメロンが原作付きの脚本を書くのは長いキャリアの中でコレが初めて。それだけ原作に惚れ込んでいるのが分ります。

 率直に言ってジェームズ・キャメロンもロバート・ロドリゲスも原作の「銃夢」が大好きなんだなとそのリスペクトぶりがとても良く分かる楽しい映画です。確かに設定はいくつもアレンジしていますし、ところどころ人物の感情描写が散漫だったりもしますが何より世界観の確固たる構築ぶりは原作への理解無しでは不可能でしょう。

 主人公アリータをフルCGで作り上げる今作の映像スタイル、キービジュアルだけを見た場合少々違和感を覚えた方も多いかとは思いますが、物語が動き出すと途端にそれは消え去り、むしろ可愛いとすら思えてきます。意図的に目を大きめにしたビジュアルはそれ自体が日本のコミックへのリスペクトであり、同時にアリータが世界の中である種の「異物」であることを視覚的に訴えてくれるため、極めて合理的で見事なセンスしています。更にアリータが駆け回ることになるアイアンシティのビジュアルも含めて映像世界の完成ぶりが素晴らしく、私が観たのは2D版ですがIMAX3D版などで観るのも楽しいハズです。企画が塩漬けになっている間にキャメロンは「アバター」を手掛けてCG技術が飛躍的に向上したのも大きな要因になったでしょう。10年前や15年前ではこうはいかなかったはずで、長い雌伏の時間を待たされただけの甲斐はあったと言えるでしょう。
 また、ロドリゲス一流の腕やら首やらスパンスパン飛ぶアクションシーンが今作でも展開しますが基本的にそれは皆サイボーグということでレーティングの指定が入っていないのは何だか可笑しくちょっとフフッとなります。

 直情的で喧嘩っ早いけど純粋なアリータのキャラクター造形は実に可愛らしいと同時にその躍動的なバトルシーン、自身の力で運命と未来を切り拓いていく姿はまさに「ターミネーター」のサラ・コナーや「ダークエンジェル」のマックスなどジェームズ・キャメロンが描き出してきたバトルヒロインたちの系譜に連なるに間違いなく、そのキュートさも含めてある意味で集大成とも言える出来映えになっています。

 画面の隅々まで神経の行き届いたこれぞハリウッドとでも言うべきエンターテインメント。こういうのはスクリーンで楽しんで何ぼのタイプの作品です。原作好きな方も良くは知らないよという方も、日本が生んだコミックが一流のクリエイターの手でどのような映像世界へと構築されたのか、どうぞその目で確かめてみてください。

拍手[2回]

/