ちゅうカラぶろぐ


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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
 ええ!バレンタインと言ったらサラミですよ!ほら、「クリスマスには鮭を食え」(Byサモーン・シャケキスタンチン「ルパンレンジャーVSパトレンジャー」より)とも言うじゃないですか!
 …と、参加者以外には一切伝わらない一文で始まる書き出し。

 こんばんは、小島@監督です。
 でも恵方巻のごとくかぶりつくのはまた後日にしたい。

 さて、今回の映画は「シティーハンター 新宿プライベートアイズ」です。

 女子大生・進藤亜衣(声・飯豊まりえ)は父親が事故死して以来連日何者かにつけ狙われるようになった。ある日、一つの噂を知った亜衣は新宿駅へ向かう。新宿駅東口にある掲示板。そこに「XYZ」と記せば…!
 しかし取り立てて何か起きるような様子はない。眉唾物の都市伝説を真に受けた自身の愚かさを呪いながら駅を後にした亜衣は防犯グッズでも買って帰ろうとした矢先に暴漢たちの襲撃を受ける。しかし、突如現れた一人の男に暴漢たちは瞬く間に叩きのめされてしまった。驚く亜衣に向かいその男は言った。
「俺を読んだのは、君だろ?…XYZ。確かに、後が無さそうだ」
 男の名は冴羽獠(声・神谷明)。人呼んで、「シティーハンター」。

 1980年代後半に訪れたジャンプ黄金期に連載され、1987年からはTVアニメも放送し大ヒットシリーズとなった「シティーハンター」、その約20年ぶりとなる新作が劇場用作品として製作され現在公開中です。主要キャストは冴羽獠役神谷明、槇村香役伊倉一恵を筆頭に当時のオリジナルメンバーが勢揃いしたほかスタッフの方も総監督こだま兼嗣以下当時の中心メンバーが多数参加した作品になっています。
 キャストについて更に言えばIT企業の若きCEO御国を演じる山寺宏一、その側近・氷枝役の山崎たくみ、冴羽獠たちを陰ながら助力をする「教授」と呼ばれる老人役の茶風林はTVアニメ放送時にモブとして多様な役をルーティンで演じていた経験があり、そういった点でも面白いキャスティングと言えるでしょう。また、レジェンド級の声優が揃い踏みする中で健闘している亜衣役飯豊まりえの好演と、出番は少ないながら強烈なインパクトを残すコニータ役徳井義実(チュートリアル)の怪演もポイント。

 そんなこの映画の最大の特徴、それは「変わっていない」こと。コレに尽きます。確かにかつて公衆電話だった通信手段はスマートフォンになり、軍用ドローンが物語の肝の一つであったりとツールこそ変遷していますが「シティーハンター」という物語をなす「イズム」は何も変わっていません。それこそ直撃世代なら開幕1分と経たずに毎週の放送を楽しみにしていた「あの頃」に引き戻してくれることでしょう。物語のきめ細やかさよりも「シティーハンターらしさ」を重視して作られているため、ところどころシナリオが緩いというかアバウトなのですが、そう言った点まで含めて「らしい」と言えますね。
 意図的なものか、結果的にそうなったのかはわかりませんが、変化著しい新宿駅周辺だけでなく花園神社やゴールデン街など意外と変わらないままでいる場所が度々ロケーションとして登場するのも興味深いところです。

 「シティーハンター」を構成する要素としてもう一つ無視できないのが音楽。「シティーハンター」はアニメとJ-POP(当時はまだこの呼称は無かったが)との関係性を大きく変えた画期的な作品であり、特に「Get Wild」はTM NETWORKをブレイクさせ90年代半ばにブームを巻き起こす小室哲哉のサウンドを世に知らしめる契機となりました。今作ではその「Get Wild」がエンディングテーマに使われているほか当時のTVシリーズのオープニングやエンディング、挿入曲の大半がBGMとして作中に登場します。それもアレンジバージョンなどではなくそのままで使用されているところに製作者のこだわりを感じます。

 世代でない人から見ればあっけらかんとしたセクハラとパワハラの応酬で笑いを取る「シティーハンター」のスタイルは眉をひそめてしまうものかもしれません。ただこれが通っていた時代の産物だったということであり、またそうでなければ「シティーハンター」とは言えないのです。現在とは少しスタイルの違う笑いを楽しんで頂けると嬉しいのですが。

 この映画はファーストショットからエンドクレジットまで、余すところなく一分の隙も無い完璧なまでの「シティーハンター」。今回に限っては私、贔屓目丸出し。自身が直撃世代のただ中にいた幸運をこれ程噛み締められた作品にそうそう出会った事がありません。特に同世代の方にはあの頃胸躍らせたキャラクターと音楽たちが映画館であなたの訪れを待っています。

 

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週末、GarZさんが主催するスポットイベント、アナログゲーム会に参加してきました。その時プレイした中の「Splendor」というゲームが個人的にヒット。プレイヤーは中世の商人となって宝石や金を集めつつそれを元手に様々な物件を購入して所定のポイントにいかに早く達するかを競うゲームで、ルールも覚えやすくビギナーでもプレイしやすい上に戦略と運の要素のバランス加減も丁度良く、どこか麻雀めいた楽しさがあります。ちょっと自分用に手元に一つ欲しくなったくらい。聞けば英語版のみながらアプリ版もあるようで、これを買ってプレイしてみるのもいいかもしれない。

 こんばんは、小島@監督です。
 なかなか機会が掴めないですがたまにやるとアナログゲームもとても楽しい。

 さて、今回の映画は「バハールの涙」です。

 2014年、IS(イスラミック・ステート)はイラク北西部のシンジャル山岳地帯の村々を侵攻し次々と村人たちを虐殺、拉致していった。女性と少女は性的奴隷として売買され少年たちは戦闘員として強制的に訓練させられた。しかしクルド人自治区政府軍ペシュメルガと武装勢力はISへの抵抗部隊を組織し反攻を試みる。その中にはかつてISで奴隷として性的搾取されその後脱走した女性たちだけで構成された部隊もあった。
 戦場ジャーナリストのマチルド(エマニュエル・ベルコ)は、同じくジャーナリストであった夫を紛争地域で亡くした傷も癒えぬまま愛娘を故郷に残して取材に赴く。クルド人自治政府軍を訪ねたマチルドはそこでその女性部隊の存在を知り、夫を殺された怒りを拉致された息子を取り戻すべく戦いを続けるヤズディ教徒の女性バハール(ゴルシフテ・ファラハニ)と出会うのだった。

 いつの時代にも「理不尽」によって吐き出された感情から生み出された作品というのが存在します。それは必ずしも映画に限った話ではなく例えばピカソの「ゲルニカ」であったり山上憶良の「貧窮問答歌」であったり、何かを表現できるようになった時から人はずっと「怒り」や「哀しみ」を刻み付けてきました。
 「バハールの涙」はフィクションではありますが、実際に起きた事件をベースに監督であるエヴァ・ウッソン自身がクルド人自治区で女性戦闘員たちを取材した経験なども活かされた作品になっています。自身も性暴力の被害者でありながらその実態と女性たちの救済を訴え続け昨年ノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラドのニュースも記憶に新しい所で、実にタイムリーな映画と言えるでしょう。
 狂信的なイスラム原理主義であるISの構成員たちにとって異教徒は「人間扱いする必要のない存在」であり、それ故2014年から約1年間に渡りシンジャル山岳地域で行われた虐殺行為は凄惨を極めたそうです。ただ興味深いことに狂信的なISのメンバーにとって「女に殺されたら天国に行けない」そうで、それ故クルド人自治区政府軍で構成された女性部隊は恐怖の的でもあったそうです。

 バハールたちによる子供たちの奪還作戦とそれを取材するマチルドの姿を起点にバハールが如何にして銃を取り最前線に立つようになったかを時系列を行きつ戻りつしながら描くこの物語は、同時に理不尽な暴力にさらされ続けた人間が如何にして誇りと尊厳を取り戻していくかを描く物語にもなっています。
 この映画で注目すべき点は戦闘シーンはそれなりにあるもののそこを決して重要視しているわけではなく、また過度に過激にすることもせず、同時に拷問などのシーンなども直接的な描写をほぼ避けているところです。生々しく見せつける方法もあったでしょうが、それではある意味で暴力で屈服させようとしている側と同じになってしまうから、ということかもしれません。それでも虚ろになった表情やわずかな隙を見計らって電話を掛けようとする際の震える手などで表現する手腕が見事です。過酷な性被害に遭いながらも協力者の手引きを得てISからの脱出を図るバハールたちに訪れる「人生で最も重要な30メートル」は観る者に深い感動を与えることでしょう。

 この映画、原題を「Les filles du soleil」(直訳して「太陽の女性たち」)と言います。あらゆる暴力に屈せず、戦場の中で埃にまみれながら自身が太陽の如き「希望」そのものになっていく女性たちの気高い姿。今ある現実と地続きの中で起こっている事を実感させる、「今観るべき映画」と言える作品です。上映館が決して多くはないため機会が掴みにくい作品ではありますが、是非多くの方に観ていただきたい1本ですね。
 

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この冬日本中で猛威を振るっているインフルエンザ。私の職場もご多分に漏れず感染して休む者が続出。そんな中で奇跡的に発症もせず元気でいられる自分の体は意外に丈夫なようです。ただそのお陰(?)で休日が一つ吹っ飛び出勤せざるを得なくなる羽目に(苦笑)。まあこういう時は仕方がない。私もいつかかっちゃうか分からないし。

 こんばんは、小島@監督です。
 皆さんも体調管理には気を付けましょう。

 さて、今回の映画ですが、そんな状況なのでここ最近映画を観に行くということが出来ずにいるのでDVDなどで自宅で鑑賞した作品の中から一つをご紹介。今回は「野良犬」です。

 ある夏の日、刑事の村上(三船敏郎)は射撃訓練帰りのバスでコルト式拳銃をすり取られ、犯人を追うも見失ってしまった。拳銃にはまだ実弾が残っていたため自分の銃が事件に使われることを危惧した村上はスリ係の市川刑事(河村黎吉)の助言を得て女スリのお銀(岸輝子)に目を付け、お銀に頼み込み拳銃の闇ブローカーの情報を得た。
 そんな折、淀橋で強盗傷害事件が発生。鑑識により事件に使われた拳銃は村上のものだと判明する。責任を感じた村上は辞表を提出するが上司の中島係長(清水元)はそれを受け取らず、むしろ積極的に捜査に参加させようと淀橋署のベテラン刑事・佐藤(志村喬)と引き合わせ組ませることにするのだった。

 実は朝日新聞社が昨年1月から発売しているパートワークマガジン「黒澤明DVDコレクション」を毎号購入しています。当初はパンフレットの復刻版が付く最初の3号だけのつもりでいたらそのまま泥沼。気付けば絶賛コンプリート進行中。只今28号。しかも黒澤明監督作品って全30作だから30号で終わりかと思っていたら製作や脚本のみで参加していた作品もラインナップに加わって全40号に増えました。何てことだ!まともに観る機会の無かったものが観られるチャンスが出来たのは嬉しいけどちょっと複雑な気分だよ!

 で、「野良犬」はそんなラインナップの一つ。1949年の作品です。刑事が拳銃をすられたことから始まる物語は、派手さを排した硬質な作りと新米とベテラン2人のコンビが事件を追うスタイルが鮮烈な印象を与えいわゆる「刑事もの」の原点として日本だけでなく海外でも多大な影響を与えた作品です。この「野良犬」で黒澤明が用いて当時先鋭的で今では一般的となった演出技法の一つに悲壮的なシーンで敢えて明るい音楽を流すことでその悲しみをより際立たせる、つまり相反する2つのイメージを重ね合わせてその印象をより深いものにする「対位法」という技法が用いられている点も挙げておきましょう。
 全編を貫くヒリヒリするような緊張感が特徴の作品ですが、それを支えているのは助監督を務めた本多猪四郎と撮影監督山田一夫の手腕によるところが大きく、特に村上刑事が拳銃を探し上野や銀座の闇市を歩き回るシーンでは同じ服装を着た本多と山田が歩いて隠し撮りした実際の闇市だそうです。ほかにも闇ブローカーを追って後楽園球場で張り込むシーンがあるのですが、そこで登場する映像は実際に1949年7月に行われた巨人対南海戦のもので、現在のような2リーグ制になる直前(1950年より2リーグ制へ移行)の1リーグ制時代の様子という点でも興味深く、終戦直後の東京の様子が各所に見て取れる、現在となっては高い資料性を誇る映像が頻出するのも興味深いところでしょう。また特撮ファンには言わずと知れたところでしょうが本多猪四郎はこれより5年後の1954年に「ゴジラ」の監督を担い映画史に燦然とその名を刻むことになります。

 70年前と古い作品ですが、一つのジャンルを確立した「原点」として今なお色褪せない輝きを放つ逸品です。「午前十時の映画祭」などでリバイバル上映されることもあるほかレンタルや配信などで触れられる機会も比較的多い方の作品なのでチャンスが来たら是非ご覧になっていただきたい1本ですね。

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昨日の放送で遂に「HUGっと!プリキュア」が最終回に。
 ジェンダー論にまで踏み込んでみせた今期のプリキュアは、お仕着せの「らしさ」と向き合いながら常に「なりたい自分」を模索し続ける物語であり、そういう中で訪れる悩みや苦しみに立ち向かう人たち全てを抱きしめ応援する物語でもあり、シリーズ15周年という節目に相応しい、ある意味で2010年代を代表する作品になったと言って過言ではない気がします。ありがとう、最高に楽しい1年間をありがとう…!

 こんばんは、小島@監督です。
 来週からの「スター☆トゥインクルプリキュア」はどんな物語を描くのか。一ファンとしてはまた楽しみな1年間が始まります。

 さて、今回の映画は「Fate/stay night [Hevean's Feel] Ⅱ Lost Butterfly」です。

 それを手にした者の願いを叶えるという「聖杯」を巡り7人の魔術師(マスター)と彼らが召喚した英霊(サーヴァント)たちが戦う「聖杯戦争」。間桐臓硯(声・津嘉山正種)が召喚した真アサシン(声・稲田徹)の暗躍と、謎めいた黒い「影」の存在により戦いの行方は不気味に捻じれ始めていた。
 次々とマスターとサーヴァントたちが斃れていき、衛宮士郎(声・杉山紀彰)もセイバー(声・川澄綾子)を失った。しかし士郎は聖杯戦争から脱落したにもかかわらず間桐桜(声・下屋則子)を守るためにその戦いから降りようとはしなかった。そんな士郎の身を案じる桜だったが、彼女もまたその想いごと、運命にからめとられようとしていた…

 2004年にPCで発売されたビジュアルノベルゲーム「Fate/stay night」、2006年に初めてTVアニメ化されて以降度々映像化されてきましたが、2017年より原作の第3部に当たる桜ルート「Heaven's Feel」が3部作の劇場版として製作・公開され、現在その2作目が上映中です。製作は「Fate/ZERO」を始め「Fate」シリーズを高クオリティで映像化して定評のあるufotable、スタッフなどは3部作通しての登板になっているようで監督須藤友徳以下基本的に前作からのスライドになっています。

 1作目である「presage flower」も相当でしたが、こと精細な作画を楽しめるという点において現在他の追随を許さないとてつもないグレードのそれを堪能できる一本です。登場人物の所作にしろ背景美術にしろ動き一つ線1本全てが精緻を極め、画面そのものに引き込まれるようなパワーがあります。キャラクターを演じる声優陣も10年以上この役に接してきている方ばかりで作品への理解度も高く、物語への没入感の高さという面でもこの完成度は目を見張るものがあります。

 物語の方は、原作のプロローグ部分をばっさりカットするという大胆な構成をイントロに持って来て驚かせた1作目同様いささか駆け足気味な語り口が続くものの登場人物が絞られてきたこの2作目は割と焦点もはっきりして観易くなっています。ただいくつかの要素についてはいささかサラッとしていてもう少し「溜め」が欲しかったと思わざるを得ない部分もありましたが。
 物語が佳境に差し掛かり始めた今作の注目すべきポイントとして、もともと原作の「Fate/stay night」は18禁のアダルトタイトルとして製作されており、その後PS2などに移植された際そういった要素がマイルドにアレンジされて行ったのですが、今作ではそのPCタイトルの頃のエログロ要素を盛り込んできてるところです。上映レーティングの指定はされていないのでギリギリのラインではあるのですが、性的な要素が生々しくせめぎ合うことで桜の葛藤をより克明に活写してみせます。

 全てが堕ちるところまで堕ちていく中で士郎はある「決意」をします。そして物語は終幕へ向けての胎動が始まっていきます。来春予定という完結編の公開が今から待ち遠しい。沈鬱な作品ではありますが、ファンならマストで押さえておくべきでしょう。ハイグレードな作画を隅々まで堪能するためにもどうぞ映画館へ足を運んでみてください。


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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
 9階って初めて入りましたがVIPルームってあんな感じなんですね。バーカウンターの後ろの棚にカラオケ店とは思えぬなかなかマジな酒が並んでいて驚きました。頼む人がいる…から置いてあるんだと思うんですけども。
 あと近くにいた数人の方は目撃していましたが、今回いつもの金山駅の集合場所で私、出張から戻ってきた社長とエンカウント。いや~あんなこと起こるんすね(苦笑)

 こんばんは、小島@監督です。
 じゃんけん大会では群馬の名物「ひもかわ」を頂きました。最近は酒より土地の名産品に手を伸ばしてるような気がします私(笑)

 さて、今回の映画は「ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow」です。

 ラブライブを終え、浦の星女学院のスクールアイドル「Aquors」のメンバーも3年生の松浦果南(声・諏訪ななか)、黒澤ダイヤ(声・小宮有紗)、小原鞠莉(声・鈴木愛奈)の3人は卒業していき高海千歌(声・伊波杏樹)ら1,2年生のメンバーは新たな学校への編入の準備を進めていた。しかし編入予定の学校では浦の星の受け入れに難色を示す父兄からの抗議によって生徒たちは今は使われていない学校を急作りで改装した分校に追いやられてしまう。何とか浦の星を認めて欲しい千歌たちは部活動の活動報告会に場を用意してもらい自分たちをアピールしようとするのだが。

 まず始めに一つネタバレ、というかこれはオフィシャルで積極的にSNS等での発信を促しているので書きますが、この映画、冒頭に「フォトセッション」と称して携帯やスマホで自由に写真を撮っていい時間が登場します。「響け!ユーフォニアム」などで前例が無いワケではないのですが、そういう時間が用意されている作品を観るのは初めてでなかなか驚きました。

 私が観た回ではヨハネこと津島善子(声・小林愛香)が登場。キャラは定期的に変わるようで、入場者特典とはまた別の形でリピーターの発生に一役買っていると言えますね。普段は禁止されている事を堂々とやっていいというのも映像体験のあり方としては面白い趣向と思えます。

 映画本編の方に話を移しましょう。1作目に引けを取らぬほどの大ヒットとなりその人気を引っ提げての映画化となった「ラブライブ!サンシャイン!!」、物語は最終回の直後から始まり3年生の卒業と共にメンバーが6人となったAquorsの再出発が描かれます。
 劇場版らしく全編に亘り端正で美しい作画で展開されるほか前作とも言うべき「ラブライブ!」でも取り入れられていたミュージカル的手法もより洗練され更に歌唱シーンでのCGモデルと手描きのビジュアルとのギャップも少なく、随所に進化を感じられる作品に仕上がっています。

 物語の主軸は千歌たち6人の方ですが、3年生3人にも別にドラマが用意されています。それが予告編でもPRされているイタリア旅行へと繋がっていきます。更にもう一つあるエピソードが同時進行して展開し、群像劇的な面白さを持たせているのが特徴です。いずれのエピソードも核になっているのは一つの「区切り」を迎えたその次の一歩を踏み出すことの難しさであり、その足掻きが終盤大きなうねりを上げる様は見事。前作に引き続きシナリオを手掛ける花田十輝氏のダイアログは相変わらずストレートで気恥ずかしいくらいですが、こういう言葉だからこそ響く方たちも多いでしょう。
 もったいないなと感じてしまうのはイタリアに行くまでの流れがアクロバティック過ぎて全体の中で浮いていて悪目立ちしている事と、この劇場版で新登場する渡辺曜(声・斉藤朱夏)のいとこ渡辺月(声・黒沢ともよ)が出番が多い割りに能動的に物語に絡んでこないところで、もう少しここに一ひねり欲しかったなと思います。前者はまだ「まぁアニメだし」で済ませても良い部分なんですが後者はホントに惜しいと感じますね。

 欠点はあれど「ラブライブ!サンシャイン!!」は走って泣いて叫んで、そうやって足掻いた先にようやく訪れるほんの一歩の成長を応援し祝福する青春映画の佳作と呼べる一本です。ティーンから20代くらいまでの方たちの強い支持を集めるのも納得のこの作品が持つパワーを、是非映画館で味わっていただきたいですね。

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年明け最初の大きな買い物、というと少々大袈裟ですが、眼鏡を新調しました。ついでに今使っている眼鏡のレンズもコーティングが弱くなってきたので交換を依頼。トータルで10万を超すなかなかの出費ですが、私みたいに視力の弱い人間にとってアイウェアは日常生活の質に直結するのでケチるわけには行かないのです。

 こんばんは、小島@監督です。
 度が強い分レンズの手配に時間がかかるので新しい眼鏡を装着して歌会に行けるのは来週の日曜ではなくその次の回になるかも。

  さて、今回の映画は「家(うち)へ帰ろう」です。

 ブエノスアイレスに住む仕立て屋の88歳のアブラハム(ミゲル・アンヘル・ソラ)は、子供や孫に囲まれ家族写真を撮ってもその顔は冴えない。翌朝には娘たちの手で住み慣れた家を引き払い養護施設へ入ることになっていたからだ。
 家族を強引に帰し1着だけ残されたスーツを見たアブラハムはある決意をする。それは祖国ポーランドに住む70年以上会っていない親友に自身が仕立てた最後のスーツを届けに行く事だった。深夜、身支度を整えたアブラハムは家の鍵を玄関わきの植え込みに投げ捨てて旅に出た。タクシーを拾い、旧友のつてを頼って航空券のチケットを手配したアブラハムは飛行機に乗り込んだのだった。

 ある老人の遠い日の約束を果たすための旅路を描くロードムービー。アルゼンチンの映画監督パブロ・ソラルスが自身の祖父の体験から着想を得て作り上げたというこの作品は、世界各地の映画祭で高い評価を得ました。
 偏屈そうなお爺さんが老人ホームへ移されるのを嫌がって旅に出る、というイントロはどこか「カールじいさんの空飛ぶ家」(2009年製作)を思い起こさせますが、祖国ポーランドの名を口にする事すらできないほどアブラハムの心の奥底に刻まれているホロコーストの記憶が、アブラハムのこの旅が決して逃避ではないことを見せていきます。

 自分の娘たちが施設に入れてしまおうとしている一方で、旅路の途中でアブラハムを手助けすることになる3人の女性たちの姿がまた不思議な印象を残します。敢えてどんな人物かはここでは書きませんが、3人とも強いアイデンティティの持ち主であることが自身のルーツへと向かおうとしているアブラハムの旅路に手を差し伸べるというのはどこか文学的な示唆を感じます。

 物語をより深く理解するに当たり、アブラハムの故郷であり目的地であるポーランドの「ウッチ」という街についても少し語っておいた方が良いでしょう。ウッチは19世紀から共産主義体制が崩壊する1990年ごろまで繊維産業が盛んだった街で、アブラハムが仕立て屋であるという設定もここで活きてきます。また、ポーランドにおける映画教育の名門で、「灰とダイヤモンド」(1958年製作)のアンジェイ・ワイダや「戦場のピアニスト」(2002年製作)のロマン・ポランスキーなどを輩出したウッチ映画大学があり、ポーランド映画産業の中心となっている街でもあります。パブロ・ソラルス監督はこの辺りを踏まえて意図的にウッチをロケーションに選んだのでしょう。

 原題の「El ultimo traje(訳して「最後のスーツ」、それゆえ英語圏では「The last suits」としてリリースされています)」に対して「家(うち)へ帰ろう」という邦題もなかなか良いセンス。苦いような、それでいて不思議と愛しいような、不思議な感慨を湧き起こさせる一本。決して派手な作品ではありませんが、深く心に染み入ってくる逸品です。どうぞこの偏屈でユニークなお爺ちゃんのちょっぴり予測不能なこの旅路を楽しんでみてください。

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皆さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 今年はカレンダーが上手くハマっていて、普段ならば4日が仕事始めでも今年は7日から、なんてところも多いのではないでしょうか。まぁ、私は5日から既に始動しておりますけれども(苦笑)

 こんばんは、小島@監督です。
 今年も色んな映画を観て行けたらいいなと思っております。

 さて、今回の映画は「フェラーリの鷹」です。年明けだからってハリウッドの大作やアニメ映画を持ってくると思ったかねフゥーハハハ!今年も外角低めから攻めていくぜ!

 ローマ市警のマルコ・パルマ(マウリツィオ・メルリ)は特捜追跡隊のドライバーになりたいあまりに無謀な運転を繰り返し度々事故を起こしては上司のタリアフェリ(ジャンカルロ・スブラシア)に大目玉を食らっていた。
 その頃ローマではレーサー崩れのジャン=ポール・ドセーナ(アンジェロ・インファンティ)が強盗団を組織し白昼堂々銀行を襲撃し、そのドライビングテクニックで追跡隊を振り切り逃走を果たそうとしていた。ドセーナのかく乱作戦により路上では事故が多発しやむなくローマ市警は追跡中止命令を出すがパルマはそれを無視して追跡を強行して事故を起こし、同乗していた同僚を死なせてしまうのだった。

 1976年にイタリアで製作され、ローマの街を舞台に展開するダイナミックなカーチェイスとクラッシュでヒットを呼び、その後「TAXi」シリーズなどのカーアクション映画に多大な影響を及ぼしたとされる伝説的な映画がHDリマスター版として現在各地のミニシアターなどでリバイバル上映されています。私もまさか平成も終わろうかという今になってこの映画をスクリーンで観られる日が来ようとは夢にも思いませんでしたよ。

 この映画の魅力は何と言ってもカーチェイス。フェラーリ、シトロエン、フィアット、アルファロメオといったヨーロッパの名車たちがバンバン登場してローマの街を疾駆するその姿にあります。ただ激しいだけでなくその中にどこか色気すら感じさせてくれるのが素晴らしく、観る者の目に消えぬ印象を残してくれます。
 物語も若手刑事のドライバーとしての成長を描きながら途中に強盗団への潜入作戦も展開するなど100分の上映時間をいっぱいに使う趣向が盛り込まれ意外と退屈させない作りになっています。

 この映画を手掛けたのはステルヴィオ・マッシ。「荒野の用心棒」(1964年製作。監督セルジオ・レオーネ)で撮影監督を務めたのち60年代後半から90年代頃まで長くイタリアでアクションやサスペンスを手掛けてきた方ですが、日本で紹介されたのはこの「フェラーリの鷹」くらいで未公開の作品が多く、よほど気合の入ったマニアでない限り知名度は余り高くない人物です。今回のリバイバルを機にいろいろ未公開作品にも光が当たるようになると嬉しいのですが。
 一方でカースタントを担ったレミー・ジュリアンはアクション映画の世界では伝説的な巨匠です。「ミニミニ大作戦」(1969年製作)のスタントコーディネーターとして高い評価を得たのちは「007/ゴールデンアイ」(1995年製作)といった007シリーズや「プロジェクト・イーグル」(1991年製作)「ダ・ヴィンチ・コード」(2006年製作)など多数の映画でスタントを手掛けたほか日本でもいすゞジェミニのTVCMの製作に携わったりしています。また、余談ですが彼の息子ミッシェル・ジュリアンもまた「TAXi」や「ミッション・インポッシブル:フォールアウト」などでハンドルを握った現在世界最高峰レベルのスタントドライバーです。「フェラーリの鷹」はそんなレミー・ジュリアンが世界的名声を勝ち得つつある頃の仕事ぶりを存分に堪能することが出来ます。

 古い作品である上に知名度もそれほど高くはない映画ではありますが、カーアクションの源流をたどっていくと現れるこの作品、今観ても(とは言えさすがにそこかしこに古臭さが否めないものの)その画面の見事さは新作のアクション映画のそれにも引けを取りません。名古屋ではシネマテークでの限定上映のみで観られる機会もかなり限られていますが、興味のある方は是非、味わってみて欲しい逸品ですね。

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