ちゅうカラぶろぐ


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少し前の話なのですが、仕事の絡みで「カバラン」の試飲会に行って来ました。その名に聞き覚えのある方もいらっしゃるかと思いますが「カバラン」は台湾のウィスキーで、誕生してからまだわずか10年ほどながら数多くのコンテストで表彰され世界的ブランドに成長したウィスキーです。本場スコットランドや日本の余市など基本的にウィスキーは高緯度で熟成させるものという常識を覆し、亜熱帯地域での熟成を成功させ世界に衝撃を与えただけでなく、現在インドや鹿児島など南方でのウィスキー商品化に拍車をかけ新たな潮流を生み出したブランドです。
 南国の蒸留酒は自然蒸発分、いわゆる「天使の分け前」がスコットランドより遥かに多い(年間20%近い!)ため急速に熟成が進むのが特徴で、そのくせ年数は若いからどこかフルーティーさを残しているところが美味しいですね。

 こんばんは、小島@監督です。
 とは言えカバランは割とお値段が張る物が多いのであまりホイホイ買って飲んだりできないからこういう機会を捕まえられるのは結構嬉しい。

 さて、今回の映画は「クワイエット・プレイス」です。

 「それ」は隕石と共に地球へやってきた。その「何か」により人類は瞬く間に存続の危機に立たされてしまう。
 荒廃した街で食糧や息子のための薬などを探すアボット一家。夫のジョー(ジョン・クラシンスキー)、妻のエヴリン(エミリー・ブラント)と3人の子供たちは手話で会話をし道路には砂を敷き詰め音を立てないように息を殺して暮らしている。街での用を終えて帰途につく一家。しかしその帰路、異変が起こった…

 ワン・アイディアを徹底して研ぎ澄ませたことで忘れがたい印象を観る者に与えてくれる逸品の登場です。ホラーやスリラー映画ではたまにこういうのが現れてくれるから観るのは止められません(笑)
 滅亡寸前の人類社会を描く映画はゾンビ映画などで度々見受けられますが、この映画が他と明確に一線を画す点はその作品内での設定やルールの描写に光る巧さにあります。「聴覚が異常発達したモンスターが跋扈している」ため「大きな音が立てられない」ことを様々な形で見せていくのですが、そのほとんどをセリフに頼らないようにしています。特に序盤は寡黙そのものなのでぼんやり観ていると肝心なところを見落す可能性もあり気を抜けません。一方で「音を立てなければ割と何とかなる」ところも見せているのが面白く、こういった終末映画にお決まりのバリケードが無かったりドアに鍵もかけていなかったり。あまつさえ兄弟でボードゲームに興じたりするシーンが登場したりしています。

 この映画を極めて忘れがたいものにしてくれるのは何より中盤から終盤の展開にあります。妻のエヴリンは妊娠しており臨月を迎えています。大きな音を立てればモンスターが襲ってくるというこの状況で!まさに極限。ビリビリ来るような緊張感が持続するハイテンションな展開が連続します。

 この映画をより豊かなものにしているポイントとして、長女リーガン役ミリセント・シモンズの演技があるでしょう。聴覚障害を持ち生まれつき耳が聞こえないリーガンはある意味で健常者よりもモンスターに対して無防備であり、また同時にコレが親子の葛藤の一つの要因ともなっているのですが、そんなリーガンを演じるミリセントは実際に聴覚障害者だそうです。それ故作中に登場する手話は実際に彼女が扱う手話であり、また作品のサウンドデザインにも影響を与えたとか。この映画が独特のパワーを持ちうるに至ったのは彼女の功績も大きいでしょう。

 ユニーク、という言葉でくくるにはもったいない、アイディアの極めて優れた磨き上げぶりが活きた上質な作品です。単にホラーとして観るには暖かな(というか熱い)余韻を残してくれる逸品でもあるので普段はホラーは苦手だ、という方でもどうぞご覧になってみてください。

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ここ数日妙に疲労感が強くて体が重かったこともあってこの連休は半分は寝て過ごしてました。こんなにひたすら眠っていたのは何だか久しぶりな気がします。たまにはこんな休日の過ごし方も良いかな。
 こんばんは、小島@監督です。
 そして起きている時間は何故か「サガフロンティア」やってました。以前ゲームアーカイブスで購入してPS VITAに落としてプレイしていたのですが、途中でメモリーカードのデータが破損して挫折。今度はちゃんとエンディングまで行きたいのぅ。

 さて、今回の映画は「散り椿」です。

 享保15年、元扇野藩士・瓜生新兵衛(岡田准一)は藩内の不正を訴えたが聞き入れられず藩を追われ、妻・篠(麻生久美子)を伴って京に移り住んでから8年の歳月が流れていた。しかしそれだけの時間を経てもなお藩から刺客が差し向けられ襲撃される落ち着かない日々を過ごしていた。
 重病を患っており自身の死期が近いことを悟った篠は新兵衛にある「約束」を託し藩に戻って欲しいと告げる。
 篠が息を引き取った後、新緑の頃、新兵衛は扇野藩へと帰ってきた。それによりかつて藩を揺らした不正騒ぎの関係者たちの心がざわめく。再び藩内に陰謀の風が吹き荒れようとしていた…

 冒頭の雪が降るなか新兵衛が刺客に襲撃されるシーンから映画全編その全てのショットが切り出せば絵になりそうな息を呑むほどに美しい映像に圧倒される時代劇の登場です。昨年12月に亡くなった葉室麟の小説を原作に、脚本には「雨あがる」(2000年製作)「博士の愛した数式」(2006年製作)などの小泉堯史、音楽には「NHKスペシャル 映像の世紀」(1995年)やドラマ「白い巨塔」(2003年)など幅広く活躍する加古隆、監督は1970年代から撮影監督として数多くの作品に関わり、2009年「剱岳 点の記」以降は監督としても活躍する、80歳を目前にしても精力的に映画製作を続ける木村大作が手掛けています。木村大作は黒澤明のもとで下積みをしていた経験があるほか、小泉堯史も黒澤明のもとで長く助監督をしていた経歴があり、こだわりの強い画作りなどに黒澤明の遺伝子を感じさせる1本になっています。

 この映画、いろいろ見所はあるのですが、まず主演岡田准一の存在感が半端無いです。その居住まいや所作だけでなく殺陣のキレが一人だけ別格で違います。共演している西島秀俊や池松壮亮なども決して悪くない(むしろ上手い)のですがそういう部分ではなくそもそも格闘家として鍛錬量が違うというか良くそんな低い体勢で綺麗に構えられるなと感心する体幹の据わり方が凄いです。もうこの惚れ惚れするような動きを観てるだけで充分払ったお金分の価値はあるグレードに達しています。実は岡田准一はいくつかのシーンで殺陣の監修も行っているほかワンシーンだけながら撮影も行っており演技以外の関与度合いが大きいのもポイントです。
 あと個人的には本気になったら真顔で(というか虚ろに近い表情で)敵を叩き斬る西島秀俊の殺陣もなかなか印象的だったのでこの辺りは推したい。
 
 そして先述の画の美しさが本当に見事です。このデジタル全盛のご時世に敢えてフィルムカメラをそれも同時に5台も回す多重撮影を行い緊張感の高い凛とした映像世界を作り上げています。しかもオールロケ。撮影手法からオールドスタイルですが、そういうものだからこそ成し得る「画」があるのだということを実感させてくれます。
 一方で物語そのものは出来たそばから古典的な印象が強く良くも悪くも「時代劇」なため、これで良いと思う方も食い足りなく感じる方もいらっしゃるでしょう。登場人物の心情を演技で見せる部分と台詞で語る部分のバランスがかなり際どい所にあるためこの語り口が綺麗にハマる人は実はそう多くないかもしれません。

 欠点はそれなりにあるとは言え圧倒的な画の力で見せる映画ゆえ、観てみるならやはりスクリーンでの鑑賞をお薦めしたい作品です。これぞ日本映画というその粋をどうぞ堪能してみてください。

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週末にまたしても台風がストライク。自宅の方は特に問題もなく無事でしたが、明けて今朝から電車がストップして出勤が昼過ぎになってしまったのだけは月初に仕事が集中する身としてはきついものがありましたが(苦笑)

 こんばんは、小島@監督です。
 台風で身動きが取れない間は最近バンダイチャンネルで配信が始まった「ルパン三世スペシャル」と「劇場版ドラゴンボールZ」を観て過ごしてました。あとデレステとミリシタ(笑)

 さて、今回の映画は「モリのいる場所」です。

 昭和49年、東京。画家熊谷守一(山崎努)は自宅からほとんど出ることなく宅内の庭をぶらつきながら草花や生物を観察し、絵を描く生活を30年以上続けていた。妻の秀子(樹木希林)も特に嫌がるでもなくその日常を飄々と暮らしていた。そんな二人のもとには不思議と連日様々な人が呼んでもいないのに訪ねてくるので何故か大忙し。
 だが、近隣に高層マンションの建設の危機が忍び寄る。マンションが完成すれば庭に陽が射さなくなり訪れる生物たちも行き場を失う。庭を守るため、夫婦が下した選択とは。

 先月惜しまれつつ亡くなった名優・樹木希林。その追悼のため、主に最近の出演作を中心に各地の映画館(東海地方ではミッドランドスクエアシネマや伏見ミリオン座など)で回顧上映が行われています。今回はそうした作品の中から一つをご紹介。封切は今年5月、カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得し話題となった「万引き家族」より少し先んじる形で公開されました。「万引き家族」ほどには注目度が高くなかったせいか公開規模も小さめでしたが、これはこれでなかなかの佳品です。
 W主演となった山崎努と樹木希林ですが、劇団文学座に在籍していた頃より実に半世紀以上に渡る交流がありながら共演したのはこれが初めて。というか結果的に最初で最後の共演作品となりました。監督と脚本は「南極料理人」(2009年製作、主演堺雅人)などで知られる沖田修一が手掛けました。

 日本の美術史にその名を残す画家・熊谷守一(実は東濃の出身で、中津川市付知町には記念館も設立された地元の名士だったりもする)、都心の真ん中で仙人のような生き方をし続けたその晩年の姿を描く作品、ではあるのですが何とも不思議な味わいの作品です。まぁ30年も引きこもり同然に暮らしながら自宅の庭で見えるものをモチーフに絵を描き続け、文化勲章を受章してもしれっと辞退してしまうほどユニークな人物なので普通の尺度では測れない部分をどう描き出すかが肝になるのではありましょうが。
 映画の尺としては99分とそれほど長い方でもないのですが観ている間はかなりゆったりとした穏やかな時間に包まれているのを感じます。「つまらないから退屈で時間がなかなか過ぎない」のではなく「心地良い時間がゆったりと過ぎていく」感覚です。何より主演二人の飄々とかつ超然とした演技が観ていて実に気分が良いというのもあります。
 監督の沖田修一は何故か割と良く食事するシーンを差し挟んできてしかも別段特別な料理というワケでもないのに妙に美味しそうに撮ってしまう不思議なスキルを持っている方で、それが今作でも十二分に活かされています。観た後にはちょっとカレーうどんとか食べたくなってくるかもしれません(笑)

 終盤かなりシュールなシーンが唐突に登場しそれまでの淡々とした空気感が断線してしまうところがあり、その辺りが評価の分かれ目になりそうなところで(個人的にはそんな捻り入れて欲しくなかった)、総じてゆったりした特徴的なテンポと余韻を楽しむ佳品で、小粒ながら味わい深い作品です。初夏や初秋などちょっと時間がゆっくりと感じられる今くらいの時期に丁度いい作品なので、単に名女優の回顧というだけでなく、この雰囲気を楽しんでほしいですね。

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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
 今回もしばらくぶりに参加できた方と話せたりいろいろ歌い倒せたりして満足。それにじゃんけん大会で温麺も頂いてしまいました。次のお休みにでも有り難く食べさせてもらいます(笑)

 こんばんは、小島@監督です。
 地酒も良いけどああいう普段あまり食べる機会の無い地方食材も結構興味深いところですね。

 さて、今回の映画は「ザ・プレデター」です。

 メキシコ、麻薬カルテルの幹部暗殺の任務に就いていたクイン・マッケナ(ボイド・ホルブルック)は、ジャングルに墜落する宇宙船を目撃した。船に乗っていたと思しき地球外生命体が装着していたマスクと装備品を回収しアメリカへ送り、自身も帰国した。
 一方で、宇宙船墜落の報を掴んだアメリカ政府極秘機関「スターゲイザー」の責任者トレーガー(スターリング・K・ブラウン)は、地球外生命体の捕獲に成功。長年知的生命体の研究を行ってきたケイシー・ブラケット博士(オリヴィア・マン)をアドバイザーとして招聘した。
 その頃、自閉症を患ってはいるが天才的な数学の才能を持つ少年ローリー・マッケナ(ジェイコブ・トレンブレイ)は、父クインから送られてきた荷物に興味を示し、装置の起動に成功してしまう。装置から発せられたシグナル、それは銀河を駆け巡り狩猟を繰り返す戦闘種族「プレデター」を呼び寄せるサインだった…!

 ドレッドヘアにマスク、そして多彩な武器を隠し持つガントレットにアーマーという風貌に加え、単に強者と戦って討ち果たすことで誇りを勝ち得ようとする純粋な戦闘種族という独特のアイデンティティを持つ「プレデター」、87年に製作されたアーノルド・シュワルツェネッガー主演の1作目がTV放送されたのを初めて観た時は中学生に上がるかどうかという歳でしたがその少年心にそのキャラクターが強烈に刻み付けられた、ある意味で思い出の映画の一つであり、以降シリーズのファンになりました。そんな「プレデター」の最新作と来れば、観に行かないワケにはいかないのです。しかも今作を手掛けた監督はなんと1作目で一番最初にプレデターに殺された男ことシェーン・ブラック。何とも不思議な巡り合わせを感じます。 
 そんな「ザ・プレデター」、観てきた方たちの賛否両論の真っ二つぶりが著しいですが、そりゃそうもなりますわと納得してしまう一本です。

 アクションのボリュームがシリーズでも最大級と言って良い熱量とテンポで押し寄せてくるほか、マッケナがなし崩し的に共に行動することになる軍のはみ出し者たち、通称「ルーニーズ」の口は悪いが気のいいキャラクターの立ちっぷりがコミカルで楽しい一方、主要人物に子供が居るにもかかわらず人間が次々とスライスされて血飛沫が飛ぶわ内臓が飛び出るわの遠慮無いバイオレンス描写に驚きますし、シナリオは100館超の規模で公開している作品とはとても思えぬ「良くこれで企画が通って大作規模の予算が下りたな」と感心してしまうほどあまりにも雑でアバウト。
 はっきり言ってしまえば「80年代のB級映画」テイストが全開ですこの映画。確かに2010年代も終わりに近づいた今日では80~90年代に映画少年だった者たちが第一線で活躍するようになり、ある種のノスタルジーを以てその年代を舞台に描いたりテイストを作品に取り込んだりすることも散見されるようになりましたが、「ザ・プレデター」はそういう事ではなく本気で作ってコレという点が大きく違います。早い話が「まるで成長していない」方です。そのため、いわゆる「B級映画好き」でもこの映画が受け付けない人は少なくないに違いありません。困ったことに私はそんなフィルターを全て通してもなお「やっべぇ!この映画たーのしー!」とか思っちゃう方でした、ええ(笑)

 この映画は「観た人の4割が顔をしかめ、4割が観終わった5分後には忘れてしまうが残りの2割が喝采を贈る」タイプの映画です。決して万人にお薦めできる作品ではないどころか大抵の方にとっては時間の無駄にしかならない映画ですが、もし予告編などを観てみてちょっと気になるようなら、自分がその「残りの2割」なのかどうか試してみるのはありかもしれませんよ(笑)

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今年は本当に大御所の訃報が相次ぐというか、昨日樹木希林さんがお亡くなりに。少し前から病状の悪化が報じられていたので遂にその時が来たかという感じですが、それでも自分が幼い頃から観ていた映画やドラマの多くに(それも文字通り本当にたくさんの作品に)出演していた方が亡くなったというのは何だか寂しいものがあります。今年に入ってからも山崎努とW主演し画家・熊谷守一とその妻秀子の晩節を描いた「モリのいる場所」やカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」、来月には一人の女性が茶道を通じ成長していく姿を描いた「日日是好日」の公開が待機しているなど出演作が途切れない中だっただけに余計にそう思わせます。

 こんばんは、小島@監督です。
 来年には元号が変わるのも手伝って、相次ぐ訃報にはどうしても時代の変わり目を感じさせられてしまいますね…

 さて、今回の映画は「MEG ザ・モンスター」です。

 潜水艦からのSOSを受けて海溝に潜ったレスキュー・ダイバーのジョナス・テイラー(ジェイソン・ステイサム)は、そこで信じられないほど巨大な「何か」と遭遇した。救助を途中で打ち切らざるを得ず、結果潜水艦のクルーや救助隊のメンバーの多くを失ってしまったジョナスは、巨大生物の存在を訴えるものの耳を貸す者はおらず、同僚を死なせた責任を取り海難救助の一線から身を引いた。
 5年後、大陸から200マイル離れた海洋研究施設で深海探査船が未知の海溝を発見し責任者のジャン博士(ウィンストン・チャオ)やスポンサーのモリス(レイン・ウィルソン)らは歓喜に包まれた。しかしその直後探査船は「何か」の襲撃を受けて消息を絶つ。バイタルサインがモニターできたため探査船クルーの生存は確認できたが未知の海溝を前に救助に行く術が無い。そこで研究チームはジョナスとコンタクトを図るのだが…

 ジェイソン・ステイサムVS巨大サメ!
 誰ですかこんな素敵でバカなことを思いついてしまった人は。ありがとう!本当にありがとう!この無駄に頭の悪い図式にどうしようもなくワクワクしてしまった方は、もうこの先の文章なんて読まなくても良いですから早く最寄りの映画館のタイムテーブルと自分のスケジュールを突き合わせてさっさと観に行くのです。ええ、今すぐ!
 そうでない方はもう少し拙文にお付き合いください。

 作家スティーヴ・オルテンが1997年に発表した小説「THE MEG」、大ヒットを博し5作の続編も執筆された作品で(日本では第1作が邦訳されたのみ。長らく絶版状態になっていたが今回の映画化を機に十数年ぶりに復刊された)、90年代末に一度映画化が企画されるも頓挫し塩漬けにされるも20年の時を経て遂に日の目を見るという異色の経緯を持つモンスターパニック映画が現在公開中です。90年代末と言えば「MEG」と同じワーナーブラザーズの配給で海洋研究所を舞台にしたサメ映画で「ディープブルー」という作品があったのでその辺りの絡みもあったかもしれません。

 主演であるジェイソン・ステイサムほかリー・ビンビン、クリフ・カーティス、ルビー・ローズ、マシ・オカなど国際色豊かなキャストが揃っているのが特徴で、監督は「クール・ランニング」(1993年製作)、「ナショナル・トレジャー」(2004年製作)などで知られるジョン・タートルトーブ。また個人的には「シュレック」シリーズや「メタルギアソリッド」シリーズを手掛けたハリー・グレッグソン=ウィリアムズが音楽を担当しているのもポイント。
 ステイサムはアクションスターとしての華々しい経歴がありますがそれ以前は高跳び込みの選手としてイギリス代表に選ばれていたほどの実力を持つ人物で、物語のほとんどが海で展開される今作は「ホーム」に帰ってきたような感じです。また、今回のステイサムは結構穏やかな笑顔を浮かべるシーンが多く、全体的にこれまでのイメージとは少し違って新鮮な雰囲気がありますね。
 
 物語については率直に言ってB級も良い所で一つ一つのエピソードが軽く俳優のスター性に頼り切りなところがあり良く出来てるとは正直言い難いのですが、こういう映画はこれくらい大味な方がいっそ楽しいのでこれで良いっちゃ良いのです。むしろ昨今溢れるZ級サメ映画に根本的に足りないのはVFXではなく役者力だということを「MEG」を観てると実感します。

 またこの映画を観ていて感じるのは近年進出が著しい中国資本の浸透ぶりです。「キングコング:髑髏島の巨神」や「パシフィック・リム:アップライジング」などチャイナマネーが大きな役割を果たした娯楽大作が増加傾向にある今日ですが、名実共に米中合作である今作はキャスト・スタッフ・ロケーション・エキストラ、果ては中国での上映レーティングに配慮したであろう映像表現に至るまで、全てにおいて媚びていると思われても仕方ないほどに中国に寄っているのでこの辺りに眉をひそめてしまう人もいるかもしれません。一方で、従来ならばこの「MEG」のような作品はもっと低予算で製作されるタイプの企画だったはずで、それを一流のキャストやスタッフを揃えて大迫力のアトラクション・ムービーを完成させるまでに持って行けるというのは一概に悪いことばかりではないというのもあります。「MEG」は現在の潮流の頂点にあるともいえる映画なので、そういう点でも興味深く観られる作品です。

 もちろん観るに当たってはそんな生臭いこと考えずにノー天気に楽しめばいいので、いつ以来なのかもう良く分からないくらいに久しぶりの超大作サメ映画をせっかくなら大きなスクリーンで味わってほしいところですね。ていうかコレがうっかりヒットしたらいろいろなステキ企画が無駄にグレードアップされて世に出る可能性がワンチャンあるのでみんな是非観に行こうぜ(笑)!

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哀しいかなスケジュールの都合が付かず現地参戦はおろかライブビューイング鑑賞もできませんでしたが、先週末に開催された「アイドルマスター シンデレラガールズ」のイベントが思わぬ形で話題に上りました。会場である「ヤマダグリーンドーム前橋」を擁する前橋市がイベントを協賛して全面的にバックアップ。名産品だけでなくキャラクターの名前や好みに因んだ場所も盛り込んだガイドマップを作製したり、ユニットの1つを一日市長に任命したり、ライブ中には市のマスコットキャラクターが出演したり。市長が音頭を取って商店や飲食店の協力を取り付け、その様子を市長自身がTwitterを利用して発信するなど積極的にイベントを盛り上げる姿勢が注目され、地方面などでも紹介されるほどに。それが功を奏し各店舗の売上だけでなく知名度も大きく向上したようで、今後地域振興策の一つのモデルケースとなりそうな勢いです。

 こんばんは、小島@監督です。
 オタクは何だかんだと巧く乗せられればチョロいという典型例みたいなものですが、実際行動力と購買力は高いのでそこに着目して準備した市長さんのセンスが見事。

 さて、今回の映画は「アントマン&ワスプ」です。

 超人的な能力を持つヒーローチーム「アベンジャーズ」の活動を国連の管理下に置く「ソコヴィア協定」、その賛否を巡って勃発した「シビル・ウォー」に参加した事によりFBIの監視下に置かれ自宅に軟禁状態に置かれてから2年、スコット(ポール・ラッド)は時折訪れる娘キャシー(アビー・ライダー・フォートソン)と遊ぶ時間を楽しみにしながら日々を過ごしていた。
 刑期満了まであと3日と迫った日の夜、スコットは不思議な夢を見た。それはかつて任務達成のために自身を亜原子サイズまで縮小した結果量子世界に入り込み戻れなくなったジャネット(ミシェル・ファイファー)の姿だった。夢から覚めたスコットは居ても立ってもいられず禁じられていたハンク・ピム博士(マイケル・ダグラス)とホープ・ヴァン・ダイン(エヴァンジェリン・リリー)とコンタクトを試みる。それが新たな戦いを呼び起こすことになるとも知らずに。

 「マーベル・シネマティック・ユニバース」の最新作は2015年に製作された「アントマン」の続編であり同時に「キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー」と今年春に公開された「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」との間を結ぶ物語です。
 シリーズの中では異色のファミリーコメディだった前作を今作も踏襲。主演であるポール・ラッドが前作よりも脚本に深く関与していますが、監督ペイトン・リード以下主要製作陣は前作と同じメンバーがほぼ再結集しています。

 大企業のCEOであるトニー・スタークやそもそも神様のソーなどノーブルというかセレブリティなメンバーが多いアベンジャーズにあって高い能力を持ちながらも行き詰ってる人生にもがき、せめて娘のヒーローではあり続けたいと願うスコット・ラングの等身大の人物像は今作も健在。軟禁生活を送りながら仲間たちと自身の再出発となる起業を後押ししたりして変わらずままならない人生と奮闘中。面白いのはスコットとキャシー、ピム博士とホープという2つの父娘の関係性に加えて今作ではもう一つの「父と娘」の関係性が登場し、三者三様の親子の絆がドラマを有機的に展開させていく点です。ファミリー路線かくあるべし。この辺りのテリングの巧みさは是非注目してほしい所ですね。
 一方で親子の絆が軸になっている事から実は世界規模の危機のはずなのに非常にミニマムでクローズドに展開しているように見えるところで、そのギャップの面白さがテンポの良い展開やノリのいいダイアログとと相まってストーリーへの没入度を高めてくれる手腕の高さも見事なものです。

 体のサイズが瞬時に次々と変わるアントマンの特性を活かしたユニークなバトルシークエンスは更に進化して観る者を楽しませてくれるでしょう。総じてレベルは高いのに非常に敷居の低い誰が見ても楽しめる作品になっています。
 もちろんシリーズのファンにとっては各作品へのリンクとなる部分も見逃せず、今後公開がアナウンスされている「キャプテン・マーベル」と「アベンジャーズ4」へときっちりブリッジしてくれます。

 何だかんだとファミリー・ムービーはある意味で映画の王道で、いくつになってもやっぱり観てて楽しいということを思わせてくれる「アントマン」シリーズ、こういうあっけらかんとした作品の持つパワーを、どうぞ楽しんでみてください。

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週末、ちゅうカラメンバーのまささん主催のアナログゲーム会に参加して来ました。貸会議室を借りて参加メンバーみんなして色んなボードゲームやカードゲームを一日中遊び倒す会です。アナログゲームは割と興味はある方で、これまでも何度か誘いはあったのですが、何せ自分が一番人と時間が合わせづらいものだからなかなか参加できずにいたところ、やっとその機会が。1ラウンド2分とかからないアスリートじみたゲームや微かな情報から互いの手の内の読み合いが熱いゲームなど遊んでたら気づいたらあっという間に夕方。楽しい時間を過ごせました。

 こんばんは、小島@監督です。
 次は「パンデミック:クトゥルフの呼び声」もプレイしてみたい。

 さて、今回の映画は「カメラを止めるな!」です。

 山奥の廃墟で自主映画の撮影隊がゾンビ映画を撮影していた。しかし監督(濱津隆之)はこだわりが強いあまり主演女優(秋山ゆずき)になかなかOKを出さず、疲れの見え始めた俳優たちを見かねたメイク(しゅはまはるみ)により休憩が差し挟まれることになった。束の間息をつく俳優とスタッフたち。しかしそんな彼らの前に本物のゾンビが襲い掛かる!次々とゾンビ化していく撮影隊の面々。その様を嬉々として撮影し続ける監督。この状況、果たして生き残れる者はいるのか!?全てはワンシーンワンカットで展開する!
 …という映画を撮った人たちの物語。

 予算僅か300万円、キャストも無名俳優ばかり、監督は短編でこそある程度実績はあるものの長編を手掛けるのはこれが初めて、本来ならば私みたいな映画ファンがいくらか食いつく程度でほとんど見向きもされないハズのインディーズ映画がこの夏の映画市場を席巻しました。僅か数館のミニシアターから始まったロードショーが今や上映館数が150館を越え、まだ増加中。早い内からロードショーを行っていたシネマスコーレでは当初2週間の限定上映でしたが連日立ち見が出るほどの盛況ぶりに少なくとも10月第1週までのロングランを決定しました。ほぼ社会現象と言って良いムーブメントを巻き起こしています。

 開幕から始まる37分間ワンカットのゾンビ映画。インディーズ作品なので画もチープ、変な所に変な間がある上に時折不自然なアングルが出てくるので観易くもなく、だんだんエスカレートしていく俳優の演技は悪くないものの、それだけ観ていれば全編ワンカット以外には大して印象にも残らない作品だったでしょう。しかしエンドロールが終わってからが本当のこの作品のスタートです。
 ネタバレ無しでここから先の話を書くのはほぼ不可能。是非観に行って欲しいとしか言えません。最初に登場したワンカット映画に感じた不自然さが次々とパズルが完成していくようにバチっと音を立ててハマっていくカタルシスと創作のエネルギーがもたらすむせ返るような熱が大量の笑いと共にもたらされる快感に酔いしれさせてくれるでしょう。観終わった後もう一度頭から観てみたくなるのでリピーターが多いというのも頷けます。

 映画の神様は何も大作だけに宿るわけではないことを証明してみせる別領域からの傑作。映画の裾野にはまだこんなものを作れてしまう人たちがいると思うとそれだけでワクワクします。この「魔法」はスクリーンで味わって何ぼです。どうぞ映画館へ足を運んでその目で確かめてみてください。

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