ちゅうカラぶろぐ


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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
 今回は何だか部屋の空気に当てられていつもより叫んでしまったというか、翌日声が潰れてないか割と心配になるくらいでした(笑)
 プレゼント交換の方は、今年は「シティーハンター 新宿プライベートアイ」のBlu-rayをチョイス。発売された時から「コレだ!」と決め打ち。誰の手に渡ったかよく分からずじまいでしたが、楽しんで頂ければ幸いです。

 こんばんは、小島@監督です。
 皆さんは今回何をチョイスしましたか?

 さて、今回の映画は「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」です。

 冴羽獠(フィリップ・ラショー、吹替山寺宏一)、またの名を「シティーハンター」。凄腕のスイーパーとして相棒の槇村香(エロディ・フォンタン、吹替沢城みゆき)と共にボディーガードや探偵など様々な依頼を引き受けている。
 駅の伝言板に「XYZ」の文字が書き込まれた。新しい依頼。女からの依頼かと期待を寄せる獠だったが、待ち合わせ場所に現れたのは男。獠はやる気をなくすが香からの圧力に負け仕方なく依頼を聞くことに。ドミニク・ルテリエ(ディディエ・ブルトン、吹替土師孝也)と名乗るその男は、父が開発したという「その香りをかがせた相手を虜にする」という「キューピッドの香水」を守ってほしいという。しかし全てを聞く間もなく辺りは爆風に包まれ香水の入ったトランクが強奪されてしまった!今、香水を巡る争奪戦が幕を開ける!

 1970年代の終わりごろからフランスでは「レクレA2」という国外の子供向け番組を紹介する番組が放送され、中でも「UFOロボ グレンダイザー」「キャンディ・キャンディ」「スペクトルマン」といった日本のアニメ・特撮番組を積極的に放送し、日本アニメのブームを巻き起こしました。「レクレA2」終了後、その後身とも言える存在として1987年から約10年間にわたり放送された「クラブ・ドロテ」という番組があります。「ドラゴンボール」「聖闘士星矢」のようなジャンプ作品、「うる星やつら」「めぞん一刻」といった高橋留美子作品、「超電子バイオマン」などの特撮ヒーロー作品を次々と紹介し、いくつかの作品をワールドクラスに引き上げる牽引車の役割を果たしました。両番組のメインパーソナリティーであったドロテは東映からその普及活動への感謝として1988年に日本へ招待されており、本人の意向もあってその滞在中に「世界忍者戦ジライヤ」「超獣戦隊ライブマン」「仮面ライダーBLACK」にゲスト出演したりしています。
 今回フランスで実写映画化された「シティーハンター」も、そうやって放送された番組の一つです。監督であり主演も務めたのはその直撃世代だったというフィリップ・ラショー。「世界の果てまでヒャッハー!」などを手掛け、フレンチ・コメディの新たな旗手とされる人物です。

 何が面白いってこの映画、原作となる漫画・アニメへの愛情が何ならちょっとキモいくらいに深いことです。そもそも「シティーハンター」のフォーマットともいえる物語のスタイルを完全再現した辺りで既に只者ではありません。冴羽獠により近づけるために8か月かけて体を鍛え上げ金髪を黒く染めてみせただけでなく海坊主や槇村も原作とよく似た風貌の人物をキャスティングしてみせるなど見た目からこだわり、更には獠の愛車にアニメと同じ赤いミニ・クーパーを用意し、各所にアニメのBGMや効果音を持ってきて徹底的に雰囲気の再現にこだわっています。形だけではない原作への理解度の深さも大したもので、特に獠と香の精神的な距離感の表現が本当にそのままなことに驚かされます。ここにフレンチ・コメディならではの畳み掛けるようなスラップスティックで下ネタ全開のギャグとの相性が思いのほかベストマッチ。できるだけ本家の神谷明・伊倉一恵の演技に近づけようと演じている山寺宏一・沢城みゆきの吹替も好印象で結果的に高い完成度に辿り着いています。

 基本はコメディですがアクションの方も抜かりはなく、かなり長いワンカットで見せるシーンがいくつも登場したり多数のギミックを盛り込み展開するカーアクションがあったり、豊富なアイディアをシャープに見せる手腕も大したもの。しかもその全てでバカスカ笑いを取りに来るので独特のうねりと高揚感を生んでいます。

 日本アニメとフレンチ・コメディがハイグレードに融合した珍品にして傑作。ゲラゲラ笑えて観終わる頃にはちょっぴり元気になってるエナドリ的なこの逸品、異様なまでに楽しい映画です。どうぞスクリーンでご堪能あれ。

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あまり時間が作れないのでゆっくりしか進められないとも言いますが「デス・ストランディング」、ちまちまと進めています。このゲーム、ユニークなシステムしていて、広大かつ不毛な大地のそこかしこに梯子やロープをかけて道が作られています。これ、オンラインで接続状態にしているとプレイヤーの誰かが本当に道を整えているのが反映されているのです。後から始めた人の方が有利というより先駆者の切り拓いた道を辿っている感じがちょっと熱い。下手な攻略サイト見るより誰かが設置した梯子やロープを元にどう移動ルートを構築するかを考えている方が多分有意義というのも面白いですね。

 こんばんは、小島@監督です。
 もし誰も見つけていない登攀ルートを発見したらそこにロープは掛けておこう。いつか誰かが辿れるように。

 さて、今回の映画は「ゾンビランド:ダブルタップ」です。

 新型ウイルスが世界中に蔓延しゾンビが溢れ返るようになって十数年後、縁と絆によって共に行動するようになったコロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)、タラハシー(ウディ・ハレルソン)、ウィチタ(エマ・ストーン)と妹のリトルロック(アビゲイル・ブレスリン)の4人は、今や無人となったホワイトハウスに居を構え終末世界「ゾンビランド」をたくましく生きていた。
 今や恋人同士となったコロンバスとウィチタだったが、コロンバスがプロポーズすると束縛を嫌うウィチタはそれを拒絶。リトルロックもまた自分に対し常に父親風を吹かせるタラハシーをうざったく感じており、遂に姉妹はタラハシーお気に入りのトラックでもって家出してしまった。

 それまでB級ホラー映画の定番題材だったゾンビ映画に、「ゾンビさえいれば大体何をやってもいいんじゃね?」と作品のテイストの幅が大きく広がっていったのは恐らく1990年代の終わりごろじゃないかと思います。そんな折2004年に「ショーン・オブ・ザ・デッド」(監督エドガー・ライト、主演サイモン・ペグ)が製作され、ゾンビ映画にコメディの道が切り拓かれていきました。それから5年後の2009年に製作された作品が「ゾンビランド」です。引きこもりだからゾンビ禍を免れたオタク青年のコロンバス、ガンマニアなおっさんタラハシー、コソ泥と詐欺を繰り返しながら渡り歩くウィチタとリトルロックの姉妹というボンクラなメンバーたちがひょんなことから行動を共にするようになり明るくたくましくサバイバルしながらやがて家族のようになっていく姿を描き低予算ながらスマッシュヒットを飛ばしました。
 それから10年、まさかの続編が登場です。

 驚くことに前作の主要キャストとスタッフが再集結。この10年間にジェシー・アイゼンバーグは「ソーシャルネットワーク」の主演で話題になり、ウディ・ハレルソンは「スリー・ビルボード」「記者たち」など社会派や文学作品へ度々出演、エマ・ストーンに至っては「ラ・ラ・ランド」でアカデミー主演女優賞を獲得するなどキャリアを伸ばし、脚本のレット・リースとポール・ワーニックは「デッドプール」2作のシナリオを、監督ルーベン・フライシャーは「ヴェノム」を手掛けたりとマーベル作品を担うまでになりました。そんな今や「錚々たる」という言葉が似合うようになったメンバーが結集してそれまでのキャリアで培った技を軽やかに振るう、実に楽しい作品に仕上がっています。

 一番特徴的なのは作中の時間もちゃんと10年経過している点です。家族のように寄り集まった4人も10年も経てばその関係性には様々な変化が起こるもの。それが物語に良いうねりを産んでいます。
 そして今作では、実は結構生き残っている人たちが新キャラとして続々と登場します。割と頭の軽いギャル・マディソン(ゾーイ・トゥイッチ)やコロンバスとタラハシーの鏡写しのようなコンビ・アルバカーキ(ルーク・ウィルソン)とフラッグスタッフ(トーマス・ミドルディッチ)、極め付きはこの状況で非暴力を貫いて何故か何事も無く生き残ってるヒッピー・バークレー(アヴァン・ジョーギア)と揃いも揃って面白おかしい人たちばかりが物語を更に珍妙な方向に加速させていきます。
 セットの規模にしろVFXにしろ予算規模は前作を大きく上回っていてスケールアップしているはずなのに、程良く前作のような緩いB級感を残したままなのもおかしくて良いですね。

 「とにかく良いシナリオが生まれるのを辛抱強く待ち続けた」と監督が語るだけある、10年のブランクをものともしないコメディもアクションもドラマも大盛りの実に楽しい作品です。前作のファンならばマストで、未見の方も気楽に肩の力を抜いて楽しめる1本になっているので何かノー天気なものを観たいときは選択肢の一つにどうぞ。

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週末名古屋で開催されたG20国際外相会議、6月で大阪で行われた首脳会議同様名古屋市内でも大規模な交通規制が敷かれました。なにぶん今回は規制区域内に自分の勤め先があるため(幸いど真ん中ではなかったけれど)、数週間前から各所に情報を集め、週の作業の中心を前半に集中させたりと段取りに四苦八苦。しかも先週はボジョレー・ヌーヴォーの解禁週!もう色々重なっちゃって大変でした。

 こんばんは、小島@監督です。
 あ、今年のヌーヴォーですか?フレッシュな果実味が…というか、今年は気候が不安定だったのかかなり銘柄ごとに味わいに違いがあったのでぶどうの生産者単位で出来栄えに差があるようです。もしも飲んでみたものを美味しくないと感じたら別の銘柄を試してみてください。

 さて、今回の映画はリクエストを頂きまして、「すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」です。

 彼らは真ん中は何だか苦手。落ち着くのはいつもすみっこ。それがすみっコたち。
 ある日すみっコたちはお気に入りの店、まめマスターが営む「喫茶すみっコ」の地下室で「せかいのおはなし」と題された古い1冊の飛び出す絵本を見つける。
 絵本を眺めていると突然仕掛けが動き出しすみっコたちは絵本に吸い込まれてしまった。
 桃太郎に赤ずきん、人魚姫。お伽噺の世界に放り出されるすみっコたち。その中ですみっコたちはどこから来たのか自分が誰なのかも分からない独りぼっちのひよこに出会う。

 新しい映画との出会いは時に予想外。正直人から薦められるまでは全く選択肢の中にも入っていなかった1本ですが、自分からはまず絶対的に選ばないタイトルだからこそ、新鮮な体験を味わえるものです。
 「たれぱんだ」や「リラックマ」など数多くのキャラクターを輩出してきたサンエックス。そのサンエックスが2013年に生み出し関連商品の売上は200億を超え、今年「日本キャラクター大賞」グランプリを受賞するなど高い支持を集める「すみっコぐらし」。度々ゲーム化はされてきたようですが映像化は今回が初めてとなります。ぶっちゃけこのトピックも観終わった後でいろいろ調べました(笑)
 興味深いことに「すみっコぐらし」のキャラクターたちは程度の差はあれ皆ネガティブです。寂しがり屋で人見知りの「しろくま」、恥ずかしがり屋の「ねこ」、自身が何者か分からず自分探しを続ける「ぺんぎん?」、実は恐竜の子孫であることを隠して生きる「とかげ」、実際はナメクジだけどカタツムリに憧れ貝殻を背負う「にせつむり」、ほとんど脂身なので残されてしまった「とんかつ」の端っこと同じく残されがちの「えびふらいのしっぽ」とメインストリームを歩けない者・素性を隠している者・アイデンティティが満たされない者ばかり。変に深読みすれば皆マイノリティー達です。そうであるが故に自分にも他者にも優しいすみっコ達の姿は生きづらさを抱えるマイノリティーへの願望も含めたアイロニーなのかもしれません。

 作品としては元となる絵本そのままの世界を堪能してもらうことを最優先に映像化したようで、キャラクター達に声優が当てられてはおらずナレーションのみで進行します。ナレーションを担当したのはV6の井ノ原快彦と本上まなみの二人。独特の温度感で進行していくので不思議な印象を残します。キャラクターの心情をほぼ動きや表情のみで見せる当たりはカートゥーンに近い風合いとも言えますね。
 原作そのままのビジュアルで躍動させることに成功させた今作の監督を務めたのはまんきゅう。ショートアニメを中心に製作されている方で近年では「アイドルマスター シンデレラガールズ劇場」全シーズンを手掛けてファンから支持を集めました。特に頭身の低いキャラクターを可愛く見せることに長けているようで、時にちんまりと時に大胆にすみっコ達を動かしてみせます。ころころした真ん丸な見た目でアラビアンナイトの世界では空飛ぶ絨毯でバレルロール決めてみせたりするのでなかなか油断できません。

 この映画が思いも寄らず反響を集めているのはひとえに終盤に見せる展開にあります。すみっコたちは自身が誰かもわからないひよこの居場所を探そうと奮闘します。その結果、最終的にひよこが何者かが明らかにされるのですが、その正体が判明した後に訪れる帰結に驚かされます。ハッキリ言って安易なハッピーエンドではありません。ある意味残酷ですらある地点へ到達します。幼い子供も触れる作品に対して時にシビアな面も描いてみせるという点では古くは「今昔物語集」、現代では「ハリー・ポッター」などでもしばしば見られますが、その系譜に連なる作品と言って差し支えないでしょう。特に童話という形を取りながら貧困層やマイノリティーの悲哀を描き続けたアンデルセン童話が雰囲気としては一番近いのかもしれません。実際意識的か偶発的かは分かりませんが「赤ずきん」「人魚姫」など作中でもアンデルセン童話をモチーフとしたシーンが度々登場します。もちろんちゃんと「救い」は用意されてあり(これも落としどころとして良く考えられているなと感心しました)、ただ哀しい状況に叩き落すだけではないのですが、この感情の揺さぶりとそれによってもたらされる苦みを含んだ余韻の深さが素晴らしく、ツボにはまれば大号泣してしまう方もいらっしゃることでしょう。

 65分と短い尺なのでタイムテーブル次第では空いた時間にふわっと観られるタイプの作品です。反響の大きさと動員数の良さも手伝って公開館数が増加中のこの逸品、普段なら私同様ノーマークの方も多いでしょうが、スルーしてしまうのは勿体ない。この異色作、どうぞ劇場でご堪能あれ。

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いつの間にやら自宅から歩いて5分くらいのところに理髪店ができていました(通勤に使う道とは違うのですぐには気づかなかった)。これまで整髪はいつも名古屋まで行ってやっていたので取り敢えず一度試してみようとお願いしたら、襟足のところを丁寧にまとめてくれるわフェイスマッサージにパックまでしてくれるわで「良し!行きつけにしよう」と心に決めました。

 こんばんは、小島@監督です。
 しかしパックってドラッグストアでサンプル貰ったりした時に使ってみた事があるくらいでほとんどしたことなかったけど凄いすね。夜風呂で洗顔しようとしたら石鹸が吸い付くようで「うお~何かモチモチする!モチモチするぜ~!」と妙に感激。

 さて、今回の映画は「IT/イット THE END”それ”が見えたら、終わり。」です。

 2016年、メイン州デリー。カーニバルの夜にゲイ・カップルが若者の集団に暴行を受け一人は橋から川に投げ落とされた。流れに飲まれた男は薄れゆく意識の中で自身に手を差し伸べるピエロ「ペニーワイズ」(ビル・スカルスガルド)を目撃する。その事件を知ったマイク・ハンロン(イザイア・ムスタファ)は現場に駆け付け、そこで赤い風船と橋脚に書かれた「帰って来い」の血文字を発見する。「それ」の再来を確信したマイクは27年前に「それ」と戦った「ルーザーズ・クラブ」のメンバーに連絡を取った。
 ホラー作家として、また脚本家としても活躍するビル・デンブロウ(ジェームズ・マカヴォイ)、服飾ブランドを立ち上げ成功したが夫のDVに悩まされるベバリー・マーシュ(ジェシカ・チャスティン)、人気コメディアンとなったリッチー・トージア(ビル・ヘイダー)、少年時代は太めだったがぜい肉を落としたベン・ハンスコム(ジェイ・ライアン)は建築会社を経営、エディ・カスプフラク(ジェームズ・ランソン)はリスク分析家として多数の顧客を抱え、スタンリー・ユリス(アンディ・ビーン)は事業を軌道に乗せていた。マイクからの連絡に皆動揺を隠せないが、それでもデリーへと向かう。遠き日の約束を果たすために。

 世界的にヒットした1作目はまさに傑作と呼ぶに相応しい作品でしたが、その続編にして完結編が遂に公開。大人になったルーザーズ・クラブのメンバーたちが再結集してペニーワイズと最後の戦いに挑みます。
 原作では現在と過去が並行して描かれていますが、過去編と現在編を作品として分離して少年編のエピソードのみで構成したことである種のノスタルジーをまとわせつつ描いてみせた1作目は単なるホラー映画の枠を超えた珠玉の青春映画として出来上がっていました。
 2作目となる今作は大人編を中心にしていますが過去との関連性の中で描かれるエピソードも多いため少年時代のエピソード(演じるのはもちろんジェイデン・マーテルほか前作でルーザーズ・クラブを演じたメンバーである)も多数登場するのが特徴です。そのため構成としては、より原作に近いものになっています。

 大人になったルーザーズ・クラブを待ち受けるのは現在進行形の恐怖だけではありません。27年という時の中で捨ててきた、置き去ってきた過去の「傷」、様々な悪意や理不尽がもたらす心に刺さる「とげ」のようなもの。人生には忘れることで前に進めるものも多いのですが、そういったものと再び向き合わねばならない状況に直面します。
 デリーを離れたことでルーザーズ・クラブのメンバーたちはずっと街にいたマイク以外デリーの街での「恐怖」を忘れていますが街に戻ってきたことでそれを少しずつ思い出していきます。というより心の奥底で長く引きずってきたものが露見していきます。大人になって大きな成功を収めても本質的に彼らは変わっていません。大人になったからと言って決して全てにおいて強くなったわけではない。子供の頃、大人は出来る事が多くて強い存在に思えても、いざ自分が大人になってみると決してそうではない事に気付かされる、そういう感覚はきっと誰しもが経験するものでしょう。その居心地の悪さにも似た生々しい感覚をこの映画はひたすら前面に出してきます。向き合わずに済むならそれに越したことはない。でもそれは許されない。デリーという街に鬱積した負の力が彼らを縛り付けているからです。しかしその苦しさを十分に描き出すからこそ、震え慄きながらもそれに屈しないルーザーズ・クラブの友情が眩いほどに輝くのです。「ジョジョの奇妙な冒険」の名台詞じゃないですが「人間賛歌は勇気の賛歌」、そんな熱さを感じさせてくれる映画です。

 無論基本はホラー映画なのでグロテスクかつショッキングなシーンも結構多いです。なのですが、監督バルバラ・ムスキエティの趣味なのか、何故か「遊星からの物体X」などジョン・カーペンター監督作品のオマージュと思しきシーンがちょいちょい出てきてちょっとリアクションに困ります(苦笑)他にも大量に小ネタが仕込んであるので探しながら観るのも一興でしょう。
 また、この映画最大のネタというべきか、なんと原作者スティーブン・キング自身がカメオ出演しています。しかもビルの書く小説にダメ出しします。そのダメ出しの仕方がメタ的なネタにも映画の伏線にもなっているので要注目。

 描くべき要素が非常に多いせいか、ホラー映画というジャンルにしては極めて珍しい169分という長尺が人によっては欠点と言えるでしょうが、前後編合わせて5時間を超えるこの物語を締めくくる、ラストシーンが残す余韻が実に美しく清々しい。人によっては生涯忘れられない1本になることでしょう。長いなんて言わずにどうぞ劇場でご堪能下さい。
 
 


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小島秀夫監督の最新作「DEATH STRANDING」買いました。まだほんのちょっぴりプレイしただけなのでどうというのは言えないのですが、冒頭のムービーからして雰囲気が抜群です。なかなか進められる時間が取れないのが難ですが、のんびり進めていくつもり。

 こんばんは、小島@監督です。
 ところで君は山のように積みゲーがあるんじゃなかったかって?HAHAHA、それは言わない約束さ。

 さて、一昨日の9日土曜日、ナゴヤドームまで「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 7thLIVE TOUR Special 3chord♪ Funky Dancing! 」Day1を観に行ってきました。
 シンデレラガールズは今年9月から来年2月まで約半年をかけて東名阪の各会場で2公演ずつ、計6公演を行うツアーが開催中です。9年目を迎えようとしているデレマスの豊富な楽曲のプールを活かし、今ツアーは各公演でセットリストのコンセプトやステージレイアウトを変えてくることが事前に告知されており、この名古屋公演では「Funky Dancing」の名の通りダンスをテーマにクラブシーンをイメージしたステージングが展開されました。

 場内の真ん中に上部に巨大なミラーボールを吊り下げた円形のセンターステージ、そこから四方に花道を伸ばし4か所にサブステージを配し計5か所のステージを擁するレイアウト。更にセンターステージだけでなくサブステージでも一部がせり上がるようになっており、特にセンターステージではそのせり上がりが回転するようになっているのも特徴です。ライブが始まってから分かりましたがセンターステージの四隅に立ちミラーボールや天井の照明を支える4本の柱にも映像を流すディスプレイが設けられたかなり凝った形をしていました。スタンド席でも近い距離感で観られる上にアリーナ席では一部が確実に死角になる代わりに誰かが確実に間近でパフォーマンスしてくれる、かなり面白い形です。シンデレラガールズのライブはアイマスの中でも、というかアニメ系コンテンツの中でも際立ってゴージャスなステージしていますが今回も相当です。クラブシーンをイメージということで音響も低音がいつもより強調されていたのもポイントですね。

 コンセプト通りにセットリストもアッパーナンバー中心の構成。「ミツボシ☆☆★」のような定番曲というかスタンダードなアイドルポップはクラブチューンにリミックスされたものが使われているのもらしくて良い感じ。
 非常に凝った舞台装置を最大限に利用し観客を感動させたのが「さよならアンドロメダ」。昨年の6thライブナゴヤドーム公演でも披露されましたが、演出は更にエモーショナルに進化。ドームの天井をプラネタリウムに見立てた手法はそのままに、センターステージとなったことでイメージされるシチュエーションがより明確になっていて、ぐっと世界観に入り込みやすくなっていました。更に付け加えて歌唱メンバーの一人に木村夏樹役安野希世乃さんがおり、彼女の良く通る声が非常に歌とマッチしていて絶品。 

 ライブ中盤ではゲスト枠としてつい先日声優が決定した遊佐こずえ役花谷麻妃さんとナターリア役生田輝さんも登場し新曲「夢をのぞいたら」を披露。たまたま自分の席位置から近かったのもありますが、生田輝さんは観ていて「推せる!」って思いましたね、ええ(笑)

 この公演で最も強烈な印象を叩き付けたのが難曲を次々とパワフルなヴォーカルで歌い上げた一ノ瀬志希役藍原ことみさん。特に二宮飛鳥役青木志貴さんとのデュオ曲「バベル」はこの日のベストパフォーマンスと言っていい1曲です。十数名のバックダンサーが周囲で踊る中2人がキスでもしてしまいそうなくらい近い距離で歌い上げる、どこか祭儀的ですらあるダイナミックな光景が繰り広げられた「バベル」、その圧倒的とも言える熱量は喝采の嵐を巻き起こしました。興味深いことに歓声の上がり方がどちらかと言えば「SideM」のような女性向けコンテンツのそれで、「互いに違う世界に興味を持つ性別を持たない天使と悪魔の交流」というユニークなモチーフの曲らしいジェンダーフリーな雰囲気が印象的でもありました。

 ライブ終盤には全くもって予想外のサプライズゲスト、DJ KOO!まさか人生初の生「EZ DO DANCE」がシンデレラガールズのライブになろうとは。もうね、直撃世代なんでね!体が勝手に反応するぜフハハー!

 別に他が手を抜いていたワケでは決して無いのですが、最近のアイマスライブの中でも群を抜いて「絶対に楽しませる」感に満ちていた気がします。シンデレラガールズのまた新たな一面を発見できる最高に楽しいライブでした。これは2月の大阪公演も楽しみだ。

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一昨年暮れのちゅうカラ忘年会で参加者に「中部からの歌声」のロゴが入ったノートが配られたことがありまして、せっかくだからと昨年1月から映画の鑑賞記録として使っていたのですが1年10か月かけて先日遂に使い切りました。昨年の65本と今年10月までの51本を書き留め半券を(観た場所的に無い場合もある)貼り付けていったのでまぁパンパンに膨れ上がりました。単なる自己満足な備忘録に違いはありませんが、見返すと何だかんだニヤニヤしてしまいます。

 こんばんは、小島@監督です。
 ちなみに最初のページが「仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL」で最後のページが「スター☆トゥインクルプリキュア」とどちらもニチアサなのが何とも自分らしいというか(笑)

 さて、今回の映画は「エセルとアーネスト ふたりの物語」です。

 1928年ロンドン。メイドとして働くエセル(声・ブレンダ・ブレッシン)は屋敷の窓から黄色い雑巾を払っていると自転車に乗った牛乳配達のアーネスト(声・ジム・ブロードベント)と偶然目が合う。それ以来毎日互いに互いの姿を探すようになったふたり。ある日アーネストは思い切って屋敷を訪ね、エセルを映画に誘い出す。
 1930年、結婚したふたりはロンドン郊外のウィンブルドンに小さな家を購入し新生活が始まった。アーネストは折に触れ中古の家具を見つけてきては手直しして家を少しずつ快適に変えていった。
 1934年、二人の間に待望の息子・レイモンド(声・ルーク・トレッダウェイ)が誕生する。しかし既にエセルは40歳近い高齢での出産であったため、これ以上の出産は死を意味すると医者から警告を受けてしまう…

 1973年に発表した「さむがりやのサンタ」で著名作家の仲間入りを果たし、1978年には「スノーマン」を、82年には核戦争に際した初老の夫婦を描いた「風が吹くとき」などで世界中にファンを獲得した絵本作家レイモンド・ブリッグズ。その同氏が1998年に発表した自身の両親の生涯を描き英国ブックアワードを受賞した「エセルとアーネスト」を原作に2016年に製作されたアニメ映画です。ブリッグズ作品の柔らかな絵柄をそのまま動き出させてみせたような映像を展開するこのアニメ映画の監督を務めたのは「スノーマン」「風が吹くとき」のアニメ版に参加しブリッグズ作品とも縁の深いロジャー・メインウッド。イギリスを代表するアニメ作家でしたがこの「エセルとアーネスト」完成後の2018年に惜しまれつつ亡くなりました。

 冒頭、レイモンド・ブリッグズ本人が登場して作品について語る映像から始まりますが、そこで語られる通り、本当に特別エキサイティングでスペクタクルな事は何も起こらないのがポイントです。とことんなまでに平凡かつ普通の生活と人生。しかしそうであるが故に強い普遍性を持ち合わせています。また、それを支えるために細部にまで意識の行き届いた画面を成立させているその労力にも感服します。

 平凡そのものである二人の暮らしを大きく揺さぶるものが作中二つ登場します。一つは第二次世界大戦。前半、淡々と進む生活の中でじわじわと侵食していく戦争の姿が見事です。始めは新聞やラジオで、その内、生活物資に軍用品が入り込むようになり、やがて子供が疎開し遂には街に空爆が襲来します。自身らではどうしようもできない巨大で理不尽な暴力によって生活が脅威に晒される様、2016年に公開された「この世界の片隅に」とよく似ています。時代も同じ、そして当時敵国同士であり、鏡像のような対比として観ることができます。両者とも鑑賞できればより深い感慨を得ることができるでしょう。

 もう一つ、二人の生活に大きな変化をもたらすのが息子レイモンドです。手堅い仕事に就いてほしい両親の願いをよそに芸術の道へ進んでしまうレイモンド。しかしその親子のすれ違いと衝突も俯瞰で見ればやはりありふれたものであり、どこまでも平凡と言えるでしょう。
 作中、アーネストはよく新聞を読んでいます。また戦前にはラジオ、戦後にはテレビが登場しますがそこで時代を象徴する事件などが断片的に語られます。ダイナミズムに満ちた現代史がニュースとしてどこかで展開する一方で2人の暮らしはほとんど変化しない、その対照的な速度感覚も作品を味わい深くしています。
 更に興味深いことに、作中の会話からエセルとアーネストはそれぞれ支持政党がまるで違う上に階級意識にも微妙な齟齬があります。それがたまに絶妙に噛み合わない会話を発生させとぼけた味わいを産んでいます。夫婦でいるからと言って政治的な信条までもが重なるわけではない。そこまで含めて「当たり前の普通」が全編にわたって綴られます。

 終盤、少しだけ観る者を驚かせるのは両親の死の描写でしょう。詳細はあえて書きませんが、ここでだけ恐らくレイモンド・ブリッグズは作家的なイマジネーションより主観的な記憶を優先させています。

 映画の最後を飾るポール・マッカートニーの手による主題歌も美しく、穏やかで淡々とした中に無意識的ともいえる両親とその人生への愛慕が感じられる作品です。最も愛おしいものは素朴でありふれた物事の中にある。素晴らしい作品です。是非多くの方の目に留まりますよう。

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先週のブログで書いた「バンダイナムコエンターテインメントフェスティバル」、その初日と2日目の合間を縫って上野まで出向き上野の森美術館で「ゴッホ展」を、国立博物館で「正倉院の世界展」を観に行ってきました。
 「ゴッホ展」はゴッホの弟で画商であったテオとの往復書簡を紹介しつつその生涯と作風の変遷を同時期の印象派の画家の作品と共に展示する企画です。実物が持つ迫力というのはやはりあるもので、絵の具を叩き付けるようなタッチを直接目の当たりにすると画集などで見る時とは印象が大きく変わりますね。開館直後に入ったこともあってまだ来客がそれほど多くなく音声解説をじっくりと聴きながら堪能できたのもありがたかった。
 「正倉院の世界展」は今上天皇の即位を祝しての記念として正倉院の収蔵品を展示する企画ですが、こちらはとにかく人が多くてほとんどゆっくり見ることができずじまい。ただ一番面白かったのは最初に展示されてる目録。ビビるほど長い巻物でそこに収蔵品の名と数を逐一記録していった代物で、その丁寧な仕事ぶりに何ならずっと眺めてられると思いながら観てました。

 こんばんは、小島@監督です。
 東京ってこういう企画展も充実していてたまに行くと羨ましくなります。

 さて、今回の映画は「映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて」です。

 どこか遠くの宇宙で超新星が爆発した。星のかけらが宇宙中に飛び散っていく。
 地球のすぐ近くの宇宙空間では星奈ひかる(声・成瀬瑛美)たち「スター☆トゥインクルプリキュア」がテンジョウ(声・遠藤綾)とノットレイたちを激闘の末に追い返すことに成功するが、その時羽衣ララ(声・小原好美)の髪に星のかけらが絡まったことには誰も気づかなかった。
 翌朝、ララの髪に絡まった「それ」は動き出した。思いがけない未確認生物UMAとの接触にひかるのテンションはうなぎ上り。しかもその生物には不思議な能力があった。

 秋。そう、それはプリキュアの季節。今年もやってまいりました。もうね、この時期はこれを観ないと何だかちょっと落ち着かないのですよ。複数の作品がクロスオーバーする春の映画もお祭りめいて楽しいですが、より深い物語を楽しませてくれる単独作品の劇場版の方が個人的には期待値が高いですね。
 
 超新星から生まれた謎の生物「ユーマ」を物語の軸に据えた今回の劇場版、ひかる以上にユーマと深い関わりを持つのが羽衣ララです。宇宙人であるララは同じく異邦の存在であるユーマに複雑な感情を抱きます。TVシリーズでも異質なもの同士が手を取り合うことの尊さと難しさを両面的に描いていますが、地球においては異邦人であるララはその難しさを本能的に分かっています。皆が皆ひかるのように自身と(時に見た目も言葉も)異なる者に対して垣根無く接する事が出来るわけではない。それをユーマに重ねたララは明らかにTVシリーズより感情のブレが大きいのが特徴で、後半になり明かされるユーマの正体を知るに至りその感情は爆発します。この辺りの感情の振れ幅を端正な作画とララ役小原好美の熱演で見せてくれるのがポイントと言えるでしょう。

 なかなか面白い見どころとしてプリキュアたちと戦うことになる、ユーマを狙い地球に襲来した「宇宙ハンター」たちのキャラクター性があります。5人のハンターが登場しますが彼らは組織ではなく「個々で狙っていたらたまたま同時に到着しただけ」であり、プリキュアたちと戦いながら何なら一緒に商売敵を排除する気満々でやっていて独特の展開を見せます。また、その宇宙ハンターとの戦いの中で見せるプリキュアの12星座のドレススタイルが画的にも華やかで観ていて楽しいところ。特にしし座ドレス。ヘアースタイルとポージングが完全に聖闘士で個人的にツボでした(笑)
 
 プリキュア映画のお約束とも言えるミラクルライトも今回何だかんだとほぼ全編にわたって使い続けるのが特徴で、良くここまで物語に絡みこませたと感心します。入場時にライトを手渡される子ども達はずっと握り締めながら観ていられるんじゃないでしょうか。特にクライマックスでは劇中曲と合わせて荘厳ですらある映像を展開し、観る者のエモーションを揺さぶってくれるでしょう。
 メインターゲットである子供たちを振り落とさないように気を配りつつ、細やかな演出の妙を行き渡らせたなかなかに濃密な逸品。こういうの持ってきてくれるから楽しいんですよプリキュア。特に今回ララ推しの方は絶対に観に行きましょう。いやもうホントに(笑)

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