ちゅうカラぶろぐ


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高圧洗浄機、自宅にあります(笑)
 大抵は洗車に使うことが多いですね。玄関周りの清掃にも使ったりしますが、マジでやった所とやってない所が一目で分かってしまうのでやり始めたらやり切るまで引っ込みがつかないツールです。でも便利。なお冬場は寒くて使いたくない。

 こんばんは、小島@監督です。
 昨日のかときちさんのブログ読んでたら高圧洗浄機の話してたので、つい(笑)

 さて、今回の映画は「PERFECT DAYS」です。

 東京スカイツリーに程近いところにある古びたアパートで独り暮らす寡黙な初老の男・平山(役所広司)。早朝に起床しワゴン車を駆り仕事へ向かう。渋谷区内各所の公共トイレを清掃して回り、夕方に終業。一度帰宅し車を置いた後は銭湯で汗を流し、浅草駅そばの馴染みの呑み屋でチューハイを楽しみ、家に戻って少しのあいだ読書して眠る。繰り返す日々の中で生じるささやかな変化を楽しみ、平山は今日も目を覚ます。

 足るを知る、そんな生き様。
 カンヌ映画祭で役所広司に男優賞をもたらした一本は、公共トイレの清掃員を仕事とする男の日常を淡々と綴る映画です。監督は「ベルリン・天使の詩」や「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」などで知られ、日本にも造詣の深いヴィム・ヴェンダースが務めています。
 正直言ってかなり不思議な風合いの作品で、市井の人の哀歓に焦点を当てていても例えばアキ・カウリスマキ監督のような陰影の深さはありませんし、安アパートに暮らすトイレ清掃員という主人公の造形からケン・ローチ作品のような社会的テーゼを期待させそうですがそういうものもありません。密着しながらも背景はほとんど描かれない、毎日のルーティーンをほぼ決めて暮らしている男の日常を本当にただドキュメンタリーのように淡々と描き出すだけの作品です。それだけに観る者によってかなり極端に評価の分かれる映画でしょう。
 
 このユニークな語り口は、映画の出自そのものの特異性ゆえもあるでしょう。渋谷区の公共トイレを刷新するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」、そのPRのための映像製作企画が発端と聞きます。当初は短編としてスタートしましたがその後長編映画製作へと舵を切ったそうです。企画者にはファーストリテイリング取締役の柳井康司や電通のクリエイティブディレクターである高崎卓馬らが名を連ねており、それコマーシャルフィルム的性格ゆえか平山の人物像も特殊なら出てくる公共トイレも最初から綺麗なものばかりですし、そう言った意味で社会性は意識的にオミットされているようです。本来ならシネコンのスクリーンが似合うタイプの作品ではないのですが大規模な広告戦略が打たれているのもその出自に起因しているからでしょう。

 ただ役所広司演じる主人公・平山の、毎日自分の決めたルーティーンをこなしながらオールディーズな音楽と読書を楽しみ、日々の小さな変化を苛立つでなくむしろそれを愛せる修行僧か仙人のような生き方は確かに憧れを覚えます。そうありたいと思う方も少なくないはずです。この暮らし方を成立させるためのハードルが高すぎるのが見えてしまうのが辛いところですが(苦笑)。作中の平山も最初からそういう生き方をしていたわけではなく、かなりの社会的地位を得ていながらそれを捨ててこの生き方を選び取ったことが示唆されています。

 日々の営みの中、ふと目を向ければただ生きているだけでも感じられる美しさは確かにあり、この映画は124分間、それをコンセプトとしたアートを楽しむような作品です。コロナ禍で一度は失われたもの達をようやく取り戻しつつある今、そう言ったものを愛おしむ映画、というのもまた時代の必然が生んだものかもしれませんね。

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元旦いきなり能登で起きた大地震、皆さんの方は影響は無かったでしょうか。私の自宅もかなり長く揺れましたが物が落ちてきたり家具が倒れたりも無く一安心。
 北陸に在住している親戚や知人が数人いるのですが、避難所入りした方もいたもののどうにか全員無事だったようで一先ずはホッとしました。

 こんばんは、小島@監督です。
 激動と言えど新年早々容赦が無い幕開けとなった今年、ヘビーな話はこれだけにして欲しいものですが。

 さて、今回の映画は「サンクスギビング」です。

 マサチューセッツ州プリマス。感謝祭の祝日に沸くなか大々的なディスカウントセールを行ったショッピングセンターで不満を煽られた客たちが暴徒状態となり死人まで発生する事件が起きた。それから1年後、当時の事件の関係者達がジョン・カーヴァーを名乗る謎の人物に次々と惨殺されていく事件が発生。街を恐怖に陥れていく。自身も狙われている事を知った地元の高校生ジェシカ(ネル・ベルラーク)達は命の危険に怯えながらもジョン・カーヴァーの正体に迫っていく。

 アメリカでは11月の第4木曜日に当たる祝日「感謝祭(サンクスギビングデー)」、元を辿るとマサチューセッツ州のプリマス植民地に移住したピューリタン、いわゆる「ピルグリム・ファーザーズ」が最初の収穫を祝った記念行事が起こりとされているそうです。その日の正餐には七面鳥やマッシュポテト、コーンブレッド、アップルパイなどが定番の料理だとか。そんな祝日をモチーフにしたスラッシャー・ホラーが今作です。もともとは2007年に製作されたアンソロジー映画「グラインドハウス」の中で登場したウソ予告の一つを、手掛けたイーライ・ロス監督自身の手で16年越しに長編映画化されました。
 
 冒頭のショッピングセンターでの狂騒からホラーを主戦場とするイーライ・ロスの本領が遺憾無く発揮された作品です。80年代B級ホラー風のロゴに、「スクリーム」などに代表される90年代スラッシャー・ホラーの趣を漂わせる作風で、初っ端からドライブがかかった後は巧みな緩急と共にジョン・カーヴァーとジェシカたちの戦いを見守ることになります。腕や首がスッ飛んだりと言った血飛沫満載な描写が景気良く飛び出すのでR18+にレーティングされています。

 ゴア描写が売りの一つではありますが、それだけに寄り切ってはいないところがこの映画の面白さ。感謝祭の翌日の金曜日、多くの店で激安セールを打つことが今でいう「ブラックフライデー」の所以で、それに対するシニカルな笑いがスパイスになっているほか、終盤に明かされるジョン・カーヴァーの正体も決して重箱の隅をつつくようなアクロバティックな人選ではなく、それほど深読みしなくていいところに伏線を配してくれているのも映画に対してとても誠実に作られていると言えるでしょう。

 2000年代半ばに発表された「キャビン・フィーバー」や「ホステル」などで新世代ホラーの旗手とされたイーライ・ロス監督、近年は若手作品のプロデュースをしたりアクション映画「デスウィッシュ」や「ルイスと不思議の時計」のようなジュブナイル・ファンタジーを手掛けたりと活躍のフィールドを広げていましたがやはり本領はホラーというのを実感できる映画です。ベテランの域に達しつつあり、円熟味すら感じさせてくれる手腕が生きた1本、内臓が飛び出ちゃったりするような画に抵抗が無ければ、という但し書き付きにはなりますが、気楽に楽しめる作品を観たいなら選択肢の一つに入れてみてもいいと思いますよ。

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皆さん、明けましておめでとうございます。今年は元旦がいきなり担当日ということで、年明けから通常営業!そんなわけで今年もよろしくお願いします。

 こんばんは、小島@監督です。

 さて、そんな2024年最初の映画は、「ウィッシュ」です。

 地中海の沖合の島にあるロサス王国、偉大な魔法使いマグニフィコ王(声・クリス・パイン、吹替・福山雅治)が治めるその国は「願いが叶う国」と呼ばれていた。そこで暮らす少女アーシャ(声・アリアナ・デボーズ、吹替・生田絵梨花)の願いは間もなく100歳の誕生日を迎える祖父サビーノ(声・ヴィクター・ガーヴァー、吹替・鹿賀丈史)の願いが叶うこと。しかしアーシャは国民全ての願いをマグニフィコ王が支配している事を知ってしまう。皆の願いを取り戻したいと願うアーシャに、「願い星」が応え、スターが空から舞い降りるのだった。

 昨年2023年はウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年に当たるメモリアルイヤーでした。それを記念して製作されたミュージカルアニメです。
 まず本編開始前に上映される短編「ワンス・アポン・ア・スタジオ」がいきなり圧巻です。ディズニースタジオにミッキーやミニーを始め白雪姫やティンカーベル、ベイマックスやニック&ジュディなどディズニーの数々の作品を彩ってきたキャラクター達が総登場する賑やかなお祭り作品ですが、ほんの一言の為だけに原語版も吹替版も極力オリジナルキャストを揃えてくれているほか、一部はライブラリ音声を使用しており、この令和に何と山田康雄さんや大塚周夫さんが出演する新作が観られます。

 煌びやかに100周年を祝う短編を経て始まる「ウィッシュ」本編も、例えば願い星スターはミッキーマウスから着想して作り上げられたキャラクターで、その表情や仕草もミッキーマウスを取り入れたものになっているなどディズニー映画の数々の要素を散りばめた作品になっています。いくつかはホームページでも紹介されていますが全て見つけ出すとなると結構大変では?というくらいに多種多様に詰め込まれています。

 物語の方もファンタジーから現実へ踏み出し自身の理想へ向けて歩き出す近年の主流を力強いナンバーで見せるスタイルで、一見すると単純な映画ではあるのですが、マグニフィコ王の一筋縄ではいかない人物造形と共に思いのほか複雑さを内包しています。次々と外から人が移住してくるロサス王国はそのまま移民の国アメリカの戯画化でしょうし、人々の願いを集めながらそれを私欲に使い、自身への脅威を国へのそれと同一視し力に溺れていくマグニフィコ王の姿は、作品の企画が動き出したのは2018年らしいことを思えば先のトランプ政権を重ねて見ることもできそうです。
 ディズニー作品はある時期から政治的なファクターを暗喩として忍ばせるというよりは割と率直に見せに来てしまう悪癖を抱えていますが、良くも悪くも今作でもそれが踏襲されてしまっています。このある種のきな臭さ、私は少し鼻についてしまいました。

 一方で今回私は吹替版で観たのですが、特にアーシャ役生田絵梨花とマグニフィコ王役福山雅治が共に素晴らしい演技と歌唱で物語を牽引してくれるのは特筆すべき今作の魅力です。この2人の演技のためにスクリーンで観るだけの価値はあると言い切ってしまえるくらいです。更に言うと石丸幹二や武内駿輔、尾上松也、松たか子ら尋常じゃないメンバーがモブ役でアンサンブル出演しているのも豪華です。
 全体的に観て創立100周年を謳うならもう一つ大きな弾みを見せて欲しかった気もしますが、トータルでは良くできた映画です。吹替版の出来が良いのでスケジュールが合うものを気軽に選んで良いのも長所。ポリティカル・コレクトネスの臭みが隠しきれていないのは自国だけでなく最初から世界を相手にしないといけないことへの難しさもあるのでしょう。100周年を超えて、その難しさと折り合いを付けつつそれでも傑作を生み出せる強さをまた見せて欲しいですね。

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こんばんは、小島@監督です。

 さて、今年最後の更新となる今回は「今年の5本」と題して2023年の映画を振り返ります。毎年恒例にしているコレも、気付けば今年で干支一周。自分でもこんなに続けられるとはさすがに思ってませんでした。

⒈ゴジラ-1.0
 今年のベストワンはもうこれ一択。アメリカやイギリスでもヒットを記録しているようで、直球のエンターテインメントで遂に世界を相手に勝負できる映画が登場したように思います。現在公開中。と同時に、映像をモノクロにした「マイナスカラーバージョン」が1月12日より全国公開予定。

⒉アイドルマスターミリオンライブ!
 映画!?まあ良いじゃないか(笑)。正直なところここまでの出来栄えになるとは期待以上で第3幕など3回も足を運んでしまいました。ミリオンライブはシンデレラガールズの華やかさの後塵を拝しているような印象を受けることもありましたが、先日の異次元フェスでも楽曲で強い存在感を示しここに来て上昇気流を掴んだようで嬉しい限り。TV放送版は昨日最終回を迎え、Blu-ray第1巻が1月10日リリース以降順次発売予定。アイキャッチなどが専用の仕様だった劇場公開版も収録されるそうです。

⒊BLUE GIANT
 さあジャズを楽しもう。ジャズのダイナミズムを見事なまでに映像化してみせたアニメ。音楽の高揚感に身を包まれる楽しさを満喫。Blu-ray/DVD/デジタル版発売中。

⒋わたしの幸せな結婚
 上田麗奈・石川界人が主演したアニメ版も非常に良い出来でしたが、目黒蓮・今田美桜主演の実写映画版の帝都物語を思わせる大正伝奇ロマン全開の作風は私の好きな要素だらけで観ていて心底楽しい1本でした。Blu-ray/DVD/デジタル版発売中。

⒌ぼくたちの哲学教室
 北アイルランドの小学校で、主要科目に哲学を取り入れる校長に密着したドキュメンタリー。示唆と思索に満ちた、穏やかな雨が乾いた大地に染み込むような印象を残す作品で、閉館間際のシネマテークで最後に満席になっているところを見た1本でもありました。全国各地のミニシアターで断続的に公開中。DVDやBlu-rayは業務用があるのみで一般販売は今のところされていないようです。

 今年5本選ぶならこんな感じ。ミリオンライブがちょっと禁じ手(笑)。アニメに牽引されてか邦画にも元気のある作品が見受けられるように思えた年でもありました。
 さて、ここからはそれ以外で私が今年観た85本の映画の中から印象に残った作品をご紹介。こちらは鑑賞順に記載していきます。

・SHE SAIDその名を暴け
 映画界の大物プロデューサーの性的加害を告発した女性記者の地道な調査報道を描いたドラマ。ひりつくような緊張感の中に、記者の覚悟と勇気を讃える作品です。Blu-ray/DVD/デジタル版発売中。
・名探偵コナン黒鉄の魚影
 今年のコナン映画はサスペンスとエンタメの純度が極めて高い1本。監督の立川譲さんは「BLUE GIANT」と合わせて立て続けに2本のヒット作を生み出したフィルムメーカーとなり、今後が注目されますね。Blu-ray/DVD/デジタル版発売中。
・スーパーマリオブラザーズ・ザ・ムービー
 スーパーマリオのゲームの雰囲気を良くここまで、と感心した底抜けに楽しいエンタメ。これはもうこういうので良いんですよ。Blu-ray/DVD/デジタル版発売中。
・ガーディアン・オブ・ギャラクシーVOLUME3
 シリーズ完結編。最後までスタイルを貫き駆け抜け大団円を迎えるので心地良い余韻を残します。Blu-ray/DVD/デジタル版発売中。
・岸辺露伴ルーヴルへ行く
 本当にルーヴル美術館まで行って撮って来た実写シリーズの劇場版。冷んやりした空気感の醸成が見事で引き込まれるようでした。Blu-rayは未発売。Amazonプライムで配信が始まっています。
・スパイダーマン・アクロス・ザ・スパイダーバース
 多様なスパイダーマンが縦横無尽に躍動するアニメ映画の2作目。前作以上にコミック的な表現を更に突き詰めたビジュアルが楽しい。Blu-ray/DVD/デジタル版発売中。
・世界のはしっこ、小さな教室
 アフリカの片隅や水害で孤立したアジアの村で子どもたちに教える教師たちの奮闘に寄り添うドキュメンタリー。たまたま電車が止まって帰る足が無くなって時間潰しに観た1本でしたが、結構掘り出し物でした。全国各地のミニシアターで続映中。
・君たちはどう生きるか
 宮崎駿監督の新作は、まるで物語を放棄してアニメーションを見せるためだけに特化したような不可思議な1本。奇妙であるが故に唯一無二の映像世界が展開します。7月公開作品ですが何と今も上映が続いています。
・ヴァチカンのエクソシスト
 ラッセル・クロウが原付に乗って悪魔をボコりに行くイカつい神父様を演じたホラー。一見ミスマッチに思える組み合わせが思いのほか相乗効果をもたらし結構熱い作品に仕上がっています。デジタル版発売中。
・プリキュアオールスターズF
 シリーズ20周年記念のクロスオーバー映画。単なるお祭りに終わらせない「イズム」を感じさせてくれる作品で、節目を彩るに相応しい出来栄えでした。Blu-ray/DVDが1月24日リリース予定。
・ジョン・ウィック:コンセクエンス
 キアヌ・リーブスの代表作と成長したシリーズの完結編。作り込まれた劇画的世界観は最高純度に達しクライマックスまで駆け抜けます。デジタル版が1月22日、Blu-ray/DVDが2月21日に発売予定。
・イコライザーTHE FINAL
 みんな大好きマッコールおじさんがイタリアでマフィアをフルボッコ。デンゼル・ワシントンの魅力の全てが詰まっている1本。デジタル版発売中。
・戦慄怪奇ワールド コワすぎ!
 鬼才・白石晃士監督が手掛ける、心霊スポットに金属バットでカチ込みに行くホラーシリーズ8年ぶりの新作。POVスタイルの限界を超える大胆なアイディアを惜しげも無く投入して楽しませてくれました。デジタル版発売中。Blu-ray/DVDが1月6日発売予定。
・SISU不死身の男
 ツルハシ1本でナチスと戦う男を描いたフィンランド発のバイオレンス映画。余りに無茶苦茶な展開だがそれがいっそ清々しい超アガる逸品。既に上映は終了。配信・ソフトとも今のところリリース日は未定のようです。
・駒田蒸留所へようこそ
 P.A.WORKS製作のお仕事シリーズの新作は、余り類例の無いウィスキー蒸留所を舞台にした物語。誠実なディテールの描写はお酒のプロという目から観てもちゃんと観られる一本でした。現在公開中。
・鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
 昭和31年を舞台に鬼太郎が墓場から生まれるに至るまでを描いた前日譚。昭和伝奇ホラーとバディ物という自分の好きな要素だらけで観てて実にアガりました。現在公開中。ロングラン作品の仲間入りをしそうな勢いで、今週末29日にはなんとびっくり応援上映が予定されています。

 観たものを振り返っていて気づきましたが、昨年うつになって一時休職し今も通院中の影響なのか、今年はヘビーな主題のものを無意識のうちに避けていたようで鑑賞作品に比較的口当たりの軽い、あるいはエンターテインメントの純度が高いものを選んで観る傾向にあったようです。80本以上観ていながら「観てない物が多い」とふと思ってしまいました。来年はもう少し幅広く行けたら良いなぁ。
 それでは皆さん、良いお年を。

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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
 始まる前は最近過労気味なので軽く流す感じにしようと思っていたのに気付けば全力を促す部屋が出来上がってしまってまあまあカッ飛ばしてしまいました(苦笑)。そういうのも歌会の楽しみだったりしますね。
 皆さん、プレゼント交換には何を選ばれたんでしょうか。私は「シャークインパクト」という悲鳴を上げながらサメから逃げるカードゲームをチョイスしました。

 ご覧くださいこのステキなパッケージアート。「かさばらなくてちょっと主張の強い物」を探していたらサメ映画スキーな私が放っておけるはずもないアイテムを見つけてしまいましたですよ。

 こんばんは、小島@監督です。
 で、私の手元に何が来たかと言えばかときちさんセレクトのちゅうカラのロゴが入ったQUOカード。これはさすがに軽率に使うには勿体無い。何かケースに入れて飾っておこうか。

 さて、忙しくてまともに新作が観れていないここ最近。とは言え何か観たいと配信作品を探していたらAmazonプライムで思わぬタイトルを見つけました。というわけで今回の映画は「アビス」です。

 カリブ海ケイマン海溝付近で原子力潜水艦が不可解な形で消息を絶った。アメリカ政府はハリケーンが接近していることを考慮し、近くで稼働していた海底石油プラットフォーム「ディープコア」に協力を依頼し、そこに海軍特殊部隊による調査チームを派遣する。ディープコアのリーダーであるバッド(エド・ハリス)は、プラットフォームの設計者にして別居中の妻でもあるリンジー(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)が同行して来ているのを知り、心中穏やかではない。更に調査チームの司令官コフィ大尉(マイケル・ビーン)の高圧的な態度とも衝突しながら調査が始まった。
 しかし襲来したハリケーンによりディープコアはダメージを受け海上との通信も途絶してしまった。海底で孤立したディープコアのメンバーたち。そこで彼らに接触して来たのは、深海に棲息する未知の知的生命体だった。

 「アビス」は1989年に製作された、後に「タイタニック」や「アバター」を手掛けることになるジェームズ・キャメロンが監督した海洋SFアドベンチャーです。物語のベースとなっているのはキャメロンが高校生の頃に書いて短編小説だとか。視覚効果の第一人者であるデニス・ミューレンがVFXを手掛け、同年のアカデミー視覚効果賞を受賞しました。ここでの流体の表現の挑戦が、後年「ターミネーター2」でロバート・パトリックが演じた液体金属型サイボーグ「T-1000」へと昇華することになります。

 映画は、深海に棲息する未知の生命体の存在だけでなく、深海潜水艇同士のチェイスという珍しいシーンが登場するほか、液体呼吸にまつわるトピックが盛り込まれるなどジェームズ・キャメロンの海洋に対する造詣と探究心の深さが窺える、センス・オブ・ワンダー溢れる作品になっています。大半のシーンが海底石油プラットフォームの中で展開し、登場人物の数も限られた密室劇でありながら海の底知れない深さ、広さを感じさせてくれるのも良いですね。
 興味深いのは、海を舞台にしていること、異なる種族とのコンタクトが物語のキーであること、勇気と行動力に溢れるヒロインや猜疑心から暴走する軍人が登場することなど後のキャメロン作品に見られる諸要素が既にこの映画には多く盛り込まれている点です。尺をたっぷりと使うので上映時間が長い(上映版で140分、完全版が171分)こともそうですね(笑)。後年のフィルモグラフィーを思えばアーキタイプのようにも見えます。

 個人的には大好きな作品なのですが、「ターミネーター」「タイタニック」「アバター」が強すぎるせいかそれらと比べると知名度は今ひとつのよう。作品への評価自体は悪くないものの興業的には振るわなかったらしく、「アビス」から2年後の1991年に公開され世界的に大ヒットした「ターミネーター2」の陰に隠れてしまっている印象です。長くTV放送もされていませんですし、DVDも絶版に近い状態。権利関係で何かトラブルでもあったのか未だにBlu-rayが発売されていないと、もう一度観たいなと思いながらも叶わぬ極めて視聴環境の厳しい埋もれかけた作品でしたが、不意に配信で観られることになったのに驚きました。また、2016年頃にキャメロンがBlu-ray化を見越した4Kリマスターを準備している、というニュースが入って以降続報も無いなと思っていたら先頃遂に完成したようで、本国アメリカでは来年初頭にBlu-rayがリリースされるほか、限定公開ながら劇場でのリバイバル上映も実施されるそうです。
 巨匠の監督作品でありながら長く日の目を見ずにいた一本にようやく再発見の時が訪れているようです。せっかくなので日本でもその波に追従して劇場上映して欲しいところですね。

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連日残業で若干過労気味な中、僅かな休みで敢えて東京遠征を敢行してきました。目的地は10ヶ月ぶりの東京ドームです。

 こんばんは、小島@監督です。

 というわけでこの週末東京ドームで開催された「異次元フェスアイドルマスター★♥︎ラブライブ!歌合戦 」をDay2だけ観てきました。本当は両日観たかったのですが、休みが確保できませんでした(苦笑)

 現在多くのフォロワーとなる作品が誕生する原動力となりステージイベントと共に成長してゆくアイドルものをジャンルとして確立したと言って良い「アイドルマスター」と「ラブライブ!」、これまでアニサマやバンナムフェスなどでコラボレーションしたことはありましたが、今回遂に2大タイトルが正面からぶつかり合う大型イベントが実現しました。
 私はアイマスの方が関わりが深くてラブライブはAqoursはともかく虹ヶ咲や蓮の空あたりとかは馴染みが薄かったりするのですが、そうは言ってもこのコラボレーションが生み出す化学反応は現地で体感せねばなりますまいて。

 アイマスからはシンデレラガールズ、ミリオンライブ、シャイニーカラーズが、ラブライブからはAqours、虹ヶ咲、Liella、蓮の空が出演した今回のフェス、オープニングにそれぞれ1曲ずつ披露した後はブロック毎にコンセプトを変え、時には先に披露されたブランドの楽曲の返歌となる曲をもう一方のブランドから持ってくるというような、なるほど「歌合戦」という言葉が相応しい流れを作りつつ、少なくない曲数でコラボレーションを織り込んでくれるまさにここでしか観られない特別なお祭り感を前面に出したセットリストとなっていました。

 私が観たDay2ではシンデレラガールズの「流れ星キセキ」(しかも単独ライブでも久しく観れていないニュージェネレーションズ3人のみでの披露!)とAqoursの「WATER BLUE NEW WORLD」というどちらもTVアニメのクライマックスの重要なシーンで使われたナンバーを1stブロックに持って来たことがまず驚き。初っ端から最終盤のようなエモーショナルな演出を決める一方で、ハンドクラップが楽しいLiellaの「スター宣言」を受けてアイマス側から繰り出されるのが「ウンババウッホッホ」という最高に知能指数の低いコールが続く(何ならネットで検索する時は曲のタイトルよりも「ウンババ」で検索した方が早い)ミリオンライブの「ジャングル⭐︎パーティー」だったりするので、感情の持って行き方が良く分からなくなりもしましたが。

 ライブはアイマスのメンバーがラブライブの「Snow halation」を、ラブライブのメンバーが「M@STERPIECE」を歌う最終盤でクライマックスを迎えます。ラブライブの原点であるμ'sが東京ドームでファイナルライブを開催したのは7年前。ただ年度末の平日開催だったこともあり、私もそうでしたが現地どころかライブビューイングすら観れずに終わった人も多く、ある意味で忘れ物のようになっていました。「M@STERPIECE」の方も劇場版のクライマックスで使われた曲で、かなり長い間ライブで使われなかったことで奇妙に聖域化していたところを昨年765ASの単独ライブで久しぶりに披露されて以降は度々登場するようになり、これでようやく「アイマスを象徴する曲」になり得た気がします。

 また、特筆すべきトピックとしてこのイベントでは東京ドームのスコアボードを上回る超巨大なスクリーンが用意されていたのが印象的で、プロジェクションマッピングと映像演出に秀でた総合演出JUNGO氏の指揮のもと、ダイナミックなスクリーン映像でもって出演者のパフォーマンスを盛り上げます。中でも「さよならアンドロメダ」などは真骨頂とでも言うべき出来栄えで、もうほとんどアートの領域に足を踏み入れているようにも思えました。

 記念碑的なイベントとして伝説となりそうな今回のライブ、忙しい日々が続いてろくに準備もできないままに当日を迎えてしまったことだけが心残りですが、それでも心地良い高揚感に浸れる素晴らしい時間でした。
 これは虹ヶ咲や幻日のヨハネも観るようにしないといけませんな。

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最近異様に忙しくなっているせいか、今日は休みを取っていたというのに出勤するのと同じ時間に跳ねるように起きてしまい朝から苦笑い。ちょっと神経が張っていたようです。
 年内はこんな調子かもなと思うとちょっとげんなり。

 こんばんは、小島@監督です。
 来週はしばらくぶりに東京遠征が待っているのでそこでリフレッシュできると良いなぁ。

 さて、今回の映画は「ナポレオン」です。

 1798年、革命の余波で混乱が続くフランス。その中でナポレオン・ボナパルト(ホアキン・フェニックス)は天才的な軍略で諸外国からの脅威を退け国内での地歩を築きつつあった。やがて最愛の妻ジョセフィーヌ(ヴァネッサ・カービー)を得たナポレオンはますますその権勢欲を強め、遂には皇帝を称するに至った。更にヨーロッパ全土へ版図を広げようとナポレオンは新たな戦役を画策してゆく…

 いわゆるフランス第一帝政と呼ばれる時代を築いた皇帝ナポレオン1世。覇道を突き進む生涯を送った英傑が登場する映画は数多く、早い物では1927年にフランス・サイレント映画界の巨匠アベル・ガンスが実に6時間を超す大作でその生涯を描いた映画「ナポレオン」を製作していたり、1970年にはソ連・イタリア合作でワーテルローの戦いを主題にした「ワーテルロー」が製作されたりした他、同時代を舞台にしたトルストイの小説「戦争と平和」が度々映像化されたりしています。映像作家たちのインスピレーションを刺激し続けてきたとも言える題材に、今回挑むのはリドリー・スコット。「グラディエーター」や「1492コロンブス」「ロビン・フッド」など史劇も数多く手掛けて来た巨匠がまさに大作と呼ぶに相応しいスケールで映像化しました。

 物語はフランス革命以降のナポレオンの業績について著名な事件や戦役を辿るようにポンポンとテンポ良く見せていきます。160分という長尺を持ってしてもそれだけではさながら大河ドラマの総集編のような具合になってしまうところを「ゲティ家の身代金」でリドリー・スコットとタッグを組んだこともある脚本のデヴィッド・スカルパはナポレオンとジョセフィーヌの愛憎が同居する奇妙な関係性にスポットを当て一種のラブストーリーとして見せていきます。
 ナポレオンにとって生涯の運命の人とも言えるジョセフィーヌ、その出会いがナポレオンを飛躍させていきます。しかし2人の関係性は一筋縄ではいきません。欲望の大きいナポレオンと渡り合えるジョセフィーヌがただの女性であるはずもなく、「私がいなければあなたは偉大になれない」と言ってのける強さを持っています。そしてこのセリフこそがこの映画を象徴する一言です。戦役と征服を繰り返すナポレオンは、しかしある理由でジョセフィーヌから離れることを選び、それと共に彼の覇道にも陰りが生じることになります。

 狂気に近い欲望を抱えて時代に君臨するナポレオンを演じるのはホアキン・フェニックス。「ジョーカー」でタイトルロールを演じた彼の名演が鮮烈に焼き付いている方も多いでしょう。今作でも素晴らしいまでの怪演を見せています。そしてそれを受けて立つジョセフィーヌ役はドラマ「ザ・クラウン」でエリザベス女王の妹マーガレットを演じて注目されたヴァネッサ・カービー。直近では「ミッション・インポッシブル/デッドレコニングpart one」でホワイト・ウィドウ役が記憶に新しいですね。この2人の火花散るような演技のマッチアップが映画を牽引します。

 無論それだけではなくヨーロッパ各地で大量のエキストラを動員した大規模なロケを敢行したというハイスケールなショットの数々と凝った衣装や小道具が生み出すゴージャスな映像が生み出すスペクタクルは特筆に値します。
 難点と言えば歴史的な事件や戦争、用語、人物が次々と出てくるにも関わらず「ま、言わなくても分かるでしょ?」とばかりに説明が一切無いこと。ある程度の予備知識は必須。でなければ情報量の多さに振り落とされてしまう人も少なくないでしょう。

 この映画、アメリカ本国ではApple TV+での配信オンリーだとか。これほどのスケールならやっぱりスクリーンで観たいところですし、幸いにも日本では配信に先行する形で劇場公開が実施されています。ちょっとクラシックな雰囲気もありますがこう言った史劇スペクタクル映画も少なくなって来た昨今ではむしろ貴重。この贅沢どうぞスクリーンでご堪能あれ。

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