ちゅうカラぶろぐ


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本当に行ってきました、「タイトル未定」のフリーライブ。タイトル未定がメインアクトで他にもいくつかのアイドルユニットが登場する、そんなタイプのイベントでぶっちゃけこの手のライブイベントは初めてだから何もかも新鮮。どうせ観に来たのだしせっかくならばと終演後の特典会にまで参加してチェキ撮ったりサインもらったりしてました。参加してみて、とても妙な表現ですが「アイドルマスターシャイニーカラーズ」への解像度が上がったような気がします。なるほど、ノクチルやアンティーカたちはきっとこんな風に活動してるんですね。

 こんばんは、小島@監督です。
 驚いたことに、その日出演していたユニットの中には16時過ぎまでそこで特典会をやりながら夜に別の場所でもう1本ライブやった上に翌日も1ステージこなしていたり、タイトル未定も主催ライブの翌日には昼は名古屋でリリースイベント、夜は東京でライブみたいなスケジュールしていてそのタフさには頭が下がります。アイドルって体力勝負。

 さて、今回の映画は「オッペンハイマー」です。

 1950年代、ソ連との冷戦と赤狩りの風吹き荒ぶ中ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)はソ連へのスパイ行為の容疑をかけられアメリカ原子力委員会の聴聞に臨んでいた。
 一方、原子力委員会の委員長を務めるルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr)は公聴会に召喚される。そしてロスアラモスでのオッペンハイマーの「トリニティ実験」の詳細が明らかにされようとしていた。

 巨匠クリストファー・ノーランの新作は、第二次大戦下において原爆開発の立役者となり一度は国の英雄となるもその後冷戦下ではスパイ容疑をかけられ公職を追放されたオッペンハイマーの半生を描く伝記映画。アメリカでは昨年7月に公開され大絶賛されたものの、日本にとっては非常にセンシティブなモチーフ故に公開は難航、本国に半年以上遅れてようやく公開となりました。
 実際のところ、この映画は確かに広島や長崎を直接的に描きはしないものの、当初懸念されたようなアメリカの立場を強調し原爆投下を肯定するような内容ではありません。むしろ極めて優れたバランス感覚のもとに作られた映画です。そして激烈なまでに情報量の多い映画です。180分という上映時間ですが、最近のハリウッド大作が陥りがちな過剰な饒舌さは無いに等しく、1秒も余さず必要なシーンしかないと言っても過言ではありません。

 次々に出てくる膨大な登場人物に対し説明などは全く無いのも特徴で、オッペンハイマーを筆頭に物理学者だけでもアインシュタイン、ハイゼンベルグ、ニールス・ボーア、エンリコ・フェルミ、デヴィッド・L・ヒルら当時の知の巨人たちが続々と登場。大半がノーベル賞受賞者だわ当人の名を冠した賞が設立されている人までいるわの軽くアベンジャーズ状態。そこに加えて彼らの家族、軍や政府の関係者が登場してきます。歴史的事実についても原子力開発史と同じくらい赤狩りやマッカーシズムについて知っておいた方がいい事は多く、濃密なダイアログとテリングで引き込んでくるタイプの作品故に予備知識が絶対に必要というわけではありませんが、見終わった後に「調べる」というアクションを起こすことはお薦めします。

 IMAXやDolby cinemaなどラージフォーマットでも公開されている作品ですが、他のハリウッド映画やアニメと違い映像のスケール感で押すタイプではありません。むしろ重要視したいのは音響。この映画、オッペンハイマーの心象風景を音で表すようなシーンもあるほどかなり異様な音響デザインをしており、その迫力を十二分に味わえるかどうかが映画の印象に直結します。選べる範囲で良い音響のスクリーンを選びましょう。

 あくまでもオッペンハイマーの半生とその意識と苦悩の変遷にフォーカスし続けるこの映画は、原爆投下の是非を問うような意識も赤狩りの不当さを告発するようなイデオロギーもありません。人類を滅ぼせる力を形にした男が、その存在に目の色を変える人々に恐怖する物語であり、むしろ極めてパーソナルであるが故に核の火を手にした人類のその後の不誠実さを浮き彫りにして見せていると言えましょう。
 知識を持って楽しむというよりこの映画はむしろ知るためのきっかけ。この映画が何を見せて、何を見せないで語っているかは自身の手で調べてみてください。世界が均衡を崩しかけ、今また原子力政策や核抑止を意識せざるを得ない情勢だからこそ、観る価値のある作品と言えますね。他のクリストファー・ノーラン作品にも同様の傾向がありますが、後々自宅で観られるようになっても恐らく劇場鑑賞ほどに鮮烈な印象は残さないタイプなので、長いからと言わず気になっているならスクリーンで鑑賞することをお薦めします。

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