ちゅうカラぶろぐ


[4371]  [4372]  [4369]  [4370]  [4368]  [4366]  [4367]  [4364]  [4365]  [4362]  [4363
毎年のことながら本当に面倒な確定申告をこの連休中に終わらせました。ふるさと納税だけでなくここ数年は何だかんだ医療費も掛かってるのでいくらかでも返ってくるならやらないとね。ただ気合いを入れないとやる気すら起きないので毎年2月の休日を1日一切予定を入れないようにしています。良いことと言えば医療費絡みの領収書を雑に扱わなくなったことでしょうか。

 こんばんは、小島@監督です。
 年末調整してるサラリーマンな私ですらこの面倒臭さなので自営業の方の労力はいかばかりかと敬意すら覚えてしまいます。

 さて、今回の映画は「ストップ・メイキング・センス」です。

 この映画は1983年、当時絶頂期にあったトーキング・ヘッズが同年6月にリリースしたアルバム「スピーキング・イン・タングス」を引っ提げてのライブツアーを敢行。12月にハリウッド・パンテージ・シアターで3公演が開催され、その模様を撮影・編集し翌1984年に公開された作品です。音楽ドキュメンタリー映画の傑作としてマーティン・スコセッシ監督の「ラスト・ワルツ」と並び称される伝説的作品で、2021年、米国議会図書館により本作は保存のためにナショナル・フィルム・レジストリに登録され、公開40周年に合わせて2023年に4Kレストア版が製作。アメリカ本国に引き続いて日本でも公開。一部のシネコンではIMAXでも上映されています。監督は後に「羊たちの沈黙」を手掛けることになるジョナサン・デミ。デミ監督は意外とフィルモグラフィーにドキュメンタリー映画が多い方で、これ以外にもフォーク・ロック・シンガーのニール・ヤングを追ったドキュメンタリーなど10本以上手掛けています。

 開幕、ステージに立つのはアコースティック・ギターとラジカセを携えたデヴィッド・バーンただ一人。そこから1曲進むごとにステージにメンバーが一人ずつ増えていくユニークな構成。メンバーに増えるにつれトーキング・ヘッズの世界観が強く広がって行くのが見えるようです。全員出揃ってからも批評的精神と神経質な趣のパフォーマンスは留まるところを知らず、中でも電気スタンド1本を時に家に、時に恋人に見立ててチークダンスまで踊ってみせたりする中盤のパフォーマンスが圧巻。「ストップ・メイキング・センス(センスなんて関係ないさ)」と言いながら照明デザイン、衣装のコーディネート、演劇的な手法を取り入れた演出まで含めて隅々までセンスの塊のようなステージです。デヴィッド・バーンが2019年に発表したブロードウェイ・ミュージカル「アメリカン・ユートピア」の原型をここに見ることも可能でしょう。

 撮影監督を務めたジョーダン・クローネンウェスは、同内容の3公演にそれぞれ6台のカメラを毎回違う場所に配置しました。それらの映像をジョナサン・デミ監督はシームレスに編集しトーキング・ヘッズの唯一無二の世界観を余すこと無く映画の中に凝縮しています。MCもほとんど無く89分間ノンストップで駆け抜け、文字通り観客は音楽を全身で浴びるような体験を味わえます。4Kレストア版と言えど極端にクリーンにすることはせず、原盤の風合いを活かした形にしているのも良い方向に働いています。
 ライブ映像を主体とした音楽ドキュメンタリーとして後続に与えた影響が計り知れない1本。極端に言えばそれ以後にリリースされたライブ映像作品はほぼ全てこれの影響下にあると言っても過言ではないと言われている作品です。出来るだけ大きなスクリーンで味わって欲しい逸品。ぜひこの機会に。

拍手[0回]

この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
/