ちゅうカラぶろぐ


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1日乗車券を片手に地下鉄を乗り回し謎解きを街歩きを楽しむ、「地下迷宮に眠る謎2023」友人と連れ立って挑戦して来ました。街の観光とのタイアップなので難易度はそんなに高くないだろうと思っていたら甘かった(苦笑)。昼過ぎから始めたのですが、日没までに解き切れず最後の部分は解散後に自宅に持ち帰って解く始末。割とガチめのヤツなのでこれからトライする方はだんだん日も短くなりますし午前中から始めることをお薦めします。それと結構歩くので歩きやすい履き物で。あと、途中で一つでもピースを失くすと詰むので都度都度ご確認をお忘れなく。

 こんばんは、小島@監督です。
 とは言え久しぶりの謎解きゲームは楽しかった。次は屋内でやれるヤツにしたいかな(笑)

 さて、今回の映画は「ちびねこトムの大冒険 地球を救え!なかまたち」です。

 夏休み最初の日、トム(声・藤田淑子)と仲間たちは最近山頂で謎の発光が目撃されたり奇妙な音が聞こえたりと怪現象が相次いだピント山へ探検に向かう事にした。山頂にたどり着いたトム達は、そこで突如発光した巨石に飲み込まれてしまう。そこには地球の精霊チキ(声・坂本千夏)がいた。チキが言うには分裂した自身のかけらと一つにならなければ地球が滅びてしまうと言うのだが。

 2013年に58歳で死去したアニメ作家、中村隆太郎。出崎統監督作品の原画や佐藤順一監督作品の絵コンテなどを手掛け、1994年に宮沢賢治の小説をアニメ化した「グスコーブドリの伝記」で監督デビュー。「serial experiment lain」(1996年)で国内外で高い評価を集めました。先鋭的な映像表現の担い手で、作家色の強い作品を生み出すアニメーターだったと言えるでしょう。その同氏が「グスコーブドリの伝記」より前の1992年に完成させながらお蔵入りとなった本当の意味での初監督作品、それが「ちびねこトムの大冒険」です。「アニメ関係者ですら観た者は少ない」と言われるほどの幻の1本で、ミニシアターでの限定上映とは言え劇場公開にまで漕ぎ着けたのは中村隆太郎没後の2014年。その後もソフト化や配信にも乗ることはなく、鑑賞するには散発的なTV放送かミニシアターなどでの単独上映を期待するしかないという代物です。今回、大須シネマにて2週間ロードショーされる事になり、それを利用してこの幻の作品を観てきました。

 飯野真澄の手による児童文学を原作にしたこのアニメは、80分とそれほど長くない上映時間ですが、実に60,000枚という作画枚数を投入して作られました。キャラクターデザインは後年中村と共にPSソフト「ポポロクロイス物語」のアニメシーンにも参加した大橋学、作画に参加したアニメーターの中には後に「人狼」を手掛けた沖浦啓之などもいます。音楽に川井憲次、音響監督に斯波重治、美術監督に小倉宏昌と「機動警察パトレイバー」の主要スタッフが並び、キャストも藤田淑子、坂本千夏以下は野沢雅子、高山みなみ、かないみか、中尾隆聖、大塚明夫、飛田展男ら錚々たるメンバーです。これでもお蔵入りとなって20年以上日の目を見ることなく埋もれていたあたりに時の運の難しさを感じさせます。

 子供向けファンタジーらしい穏やかな語り口のイントロから、突如地球の命運を懸けた冒険へ出ることになるトムたち。作画の妙は前半は細かなキャラクターの芝居に、後半はダイナミックなアクションに、それぞれふんだんに投入された枚数でもって画面の迫力を支えます。後に「lain」で見せるアバンギャルドな映像表現の片鱗も既に現れているほか、終盤にはまるで「名探偵コナン」を先取りしたようなスケボーアクションまで登場します。どのシーンもそれほど主張は強くないのですが、少し注意して観るだけで実に贅沢な作りをしていることが分かるはず。
 メッセージ性が強すぎて今観るには少し気恥ずかしさもありますが、声優陣の見事な演技も手伝って重厚さすら漂う余韻を残す一本です。

 この出来栄えでも埋もれることがある、という時の不思議さを噛み締めてしまう一本。これを逃すと次はいつになるか分からないのでお時間のある方は是非どうぞ。
 


 

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