ちゅうカラぶろぐ


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最近異様に忙しくなっているせいか、今日は休みを取っていたというのに出勤するのと同じ時間に跳ねるように起きてしまい朝から苦笑い。ちょっと神経が張っていたようです。
 年内はこんな調子かもなと思うとちょっとげんなり。

 こんばんは、小島@監督です。
 来週はしばらくぶりに東京遠征が待っているのでそこでリフレッシュできると良いなぁ。

 さて、今回の映画は「ナポレオン」です。

 1798年、革命の余波で混乱が続くフランス。その中でナポレオン・ボナパルト(ホアキン・フェニックス)は天才的な軍略で諸外国からの脅威を退け国内での地歩を築きつつあった。やがて最愛の妻ジョセフィーヌ(ヴァネッサ・カービー)を得たナポレオンはますますその権勢欲を強め、遂には皇帝を称するに至った。更にヨーロッパ全土へ版図を広げようとナポレオンは新たな戦役を画策してゆく…

 いわゆるフランス第一帝政と呼ばれる時代を築いた皇帝ナポレオン1世。覇道を突き進む生涯を送った英傑が登場する映画は数多く、早い物では1927年にフランス・サイレント映画界の巨匠アベル・ガンスが実に6時間を超す大作でその生涯を描いた映画「ナポレオン」を製作していたり、1970年にはソ連・イタリア合作でワーテルローの戦いを主題にした「ワーテルロー」が製作されたりした他、同時代を舞台にしたトルストイの小説「戦争と平和」が度々映像化されたりしています。映像作家たちのインスピレーションを刺激し続けてきたとも言える題材に、今回挑むのはリドリー・スコット。「グラディエーター」や「1492コロンブス」「ロビン・フッド」など史劇も数多く手掛けて来た巨匠がまさに大作と呼ぶに相応しいスケールで映像化しました。

 物語はフランス革命以降のナポレオンの業績について著名な事件や戦役を辿るようにポンポンとテンポ良く見せていきます。160分という長尺を持ってしてもそれだけではさながら大河ドラマの総集編のような具合になってしまうところを「ゲティ家の身代金」でリドリー・スコットとタッグを組んだこともある脚本のデヴィッド・スカルパはナポレオンとジョセフィーヌの愛憎が同居する奇妙な関係性にスポットを当て一種のラブストーリーとして見せていきます。
 ナポレオンにとって生涯の運命の人とも言えるジョセフィーヌ、その出会いがナポレオンを飛躍させていきます。しかし2人の関係性は一筋縄ではいきません。欲望の大きいナポレオンと渡り合えるジョセフィーヌがただの女性であるはずもなく、「私がいなければあなたは偉大になれない」と言ってのける強さを持っています。そしてこのセリフこそがこの映画を象徴する一言です。戦役と征服を繰り返すナポレオンは、しかしある理由でジョセフィーヌから離れることを選び、それと共に彼の覇道にも陰りが生じることになります。

 狂気に近い欲望を抱えて時代に君臨するナポレオンを演じるのはホアキン・フェニックス。「ジョーカー」でタイトルロールを演じた彼の名演が鮮烈に焼き付いている方も多いでしょう。今作でも素晴らしいまでの怪演を見せています。そしてそれを受けて立つジョセフィーヌ役はドラマ「ザ・クラウン」でエリザベス女王の妹マーガレットを演じて注目されたヴァネッサ・カービー。直近では「ミッション・インポッシブル/デッドレコニングpart one」でホワイト・ウィドウ役が記憶に新しいですね。この2人の火花散るような演技のマッチアップが映画を牽引します。

 無論それだけではなくヨーロッパ各地で大量のエキストラを動員した大規模なロケを敢行したというハイスケールなショットの数々と凝った衣装や小道具が生み出すゴージャスな映像が生み出すスペクタクルは特筆に値します。
 難点と言えば歴史的な事件や戦争、用語、人物が次々と出てくるにも関わらず「ま、言わなくても分かるでしょ?」とばかりに説明が一切無いこと。ある程度の予備知識は必須。でなければ情報量の多さに振り落とされてしまう人も少なくないでしょう。

 この映画、アメリカ本国ではApple TV+での配信オンリーだとか。これほどのスケールならやっぱりスクリーンで観たいところですし、幸いにも日本では配信に先行する形で劇場公開が実施されています。ちょっとクラシックな雰囲気もありますがこう言った史劇スペクタクル映画も少なくなって来た昨今ではむしろ貴重。この贅沢どうぞスクリーンでご堪能あれ。

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