ちゅうカラぶろぐ


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実は今、根っこが割れた奥歯の治療を続けています。数か月前に定期歯科検診やって見つかりました。大抵の場合は抜いてインプラントにする類のものですが、名古屋市内に自歯を活かして治療する歯科医院があると聞いて今はそこに通っています。
 先日、先々治療を進めるのに割れた歯の小さな破片を抜く必要が生じて、親知らずを抜いた時以来の抜歯をしてきました。麻酔が効いてたからなのかその歯科医の腕がいいのか、ものの十数分で終わってましたが(笑)
 今は抜いた方であまり嚙まないで欲しいと言われてるので正直ちょっと食事で苦心中。治療が終わるまであと数か月は苦労しそうです。

 こんばんは、小島@監督です。
 まぁでも皆さん歯の定期検診はやっておいた方が良いですよ。

 さて、今回の映画は「リョーマ! 新生劇場版テニスの王子様」です。

 全国大会制覇の後、武者修行のために単身渡米した越前リョーマ(声・皆川純子)は、ロスアンゼルスで家族旅行中の同級生の竜崎桜乃(声・高橋美佳子)がギャングに絡まれている所に遭遇する。桜乃を救おうとリョーマはテニスボールを放つが、どこからか飛んできたもう一つのテニスボールとぶつかるや突如2人は閃光に包まれた。
 気が付くと状況が大きく変わっていた。街に飾られたポスターでリョーマは父・越前南次郎(声・松山鷹志)が現役引退を決意した全米オープン決勝が間近に控えていることを知る。つまり自分たちは過去にタイムスリップしている!「サムライ南次郎」と呼ばれた父が引退した理由を知り、また現役時代の父のプレーを一目見るべく、リョーマは桜乃を伴い南次郎に会いに行くのだったが。

 映画を観に行く動機も色々で、私の場合題材や粗筋を見て気になるか、原作や主演俳優、監督のファンだからというのが大勢を占めるのですが、今回は「ファンが観に行っても良く分からなかった」「気が付いたら飲まれていた」「ほぼマサラ」という妙な評判が公開後に聞こえてきて興味が湧き、つい観に行ってしまいました。正直なところ「テニスの王子様」は原作も読んでないわアニメも観た事無いわでほとんど知らないも同然です。タイトル自体は有名なおかげで主人公の越前リョーマと手塚国光(声・置鮎龍太郎)と跡部景吾(声・諏訪部順一)の3人がせいぜい分かるくらい。20年続くタイトルをほぼ予備知識ゼロで観に行くと言うのもなかなか新鮮でした。

 開幕1分、いきなり「それ」は始まります。初速で最高速度に達し作品世界に叩き込まれたらあとは理性が作品を理解しようとする以上の速さと強さで引き込み続けます。ミュージカル映画の形を取っているので開幕すぐに歌って始まる作品なんて珍しくもないのですがそれでも呆気にとられたというか度肝を抜かれました。
 つまるところ、映画は越前リョーマが自身のテニスへの想いの原点を再確認する物語、ということに尽きるのですが、その見せ方が他とは明らかに一味も二味も違います。作劇のセオリーもロジックも全て無視、辻褄もあまり合っていない。作品内に理性的に状況を俯瞰する存在がいない、端的に言ってツッコミ役もいません。およそ「文脈を読む」という劇映画を観るに当たって当然のように自分が今までやっていたことがまるで通用しない作りに、気づけば確かに「飲まれて」いました。トリッキーな作りに翻弄されると言うのともまた違います。唐突に歌とダンスでゴリ押しにかかる辺りはなるほどインド映画っぽくもありますがそれとも雰囲気がまた違う。言わば「直球を投げて来ているのは分かるが打ち返せる気がしない」のです。これほど豪腕な作りをしているのにしかもそれが不快ではない、どころかやたらと面白いというのが恐ろしい。作り手から「観る者全員を楽しませよう」という強いエネルギーをひしひしと感じます。
 「テニスの王子様」はいわゆる2.5次元の先駆的作品でありミュージカルの方も20年近い実績を持っています。そんなミュージカル「テニスの王子様」の文法をそのままアニメの方へ逆輸入しているような印象も受けます。

 CGアニメ映画として観た場合に映像のクオリティが高いかというと実はそうでもなく、一世代前のような印象すらあるビジュアルしているのですが、正直観てるとまるで気にもなりません。そんなこと気にしてると確実に振り落とされるからです。これを観に来た以上このウェーブに乗り切らねばもったいない!そんな気にさせられてしまう謎のパワーがあります。

 なおこの映画、「Decide」と「Glory」という2種類の作品が同時公開されています。ストーリー自体は変わらず、登場人物と作中のシーンが一部違うというパラレルな作りになっています。特定のキャラクターのファンの方はそれが出ている方を選べば良いですし、そうでない方はどちらを選ぼうがブッ飛ぶので時間の合う方を選べば良いかと思います。私が今回観たのは「Glory」の方。こちらでは近年単独でCMに出たりするようになった跡部景吾が登場。バスローブ姿で1曲歌ってくれます。どんな状況かは上手く説明できないので言いません(笑)
 また驚くことに劇中歌の全ては原作者・許斐剛の作詞作曲だそうです。何て多才なんだ!
 本編終了後には桁違いに存在する「テニスの王子様」のキャラクターソングの中から選りすぐりをリミックスしたメドレーで見せるMVがまるで歌劇の後のレビューのように展開。最後まで全力で楽しませてくれます。

 20年続く作品の新作の劇場版を製作するにあたり「従来のファンを意識しつつ予備知識を必要としない」映画を作る、というアンビバレンツな命題にこういう解を用意できる方たちがいようとは。「テニスの王子様」のファンの方はもちろん、全く知らない人もこれは是非軽率に観に行ってポカンとなって頂きたい。娯楽と言うものの目的が日常の憂さを一刻忘れさせて元気をもらうと言う事にあるとするなら、これこそ極めて純度の高いエンターテインメントです。いや~映画って奥が深い。

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