ちゅうカラぶろぐ


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開催自体が危ぶまれた東京五輪が何だかんだありながらどうにか開幕しました。開会式の選手団入場でゲームミュージックをかける趣向がオタク的にストライク。ドラゴンクエストやファイナルファンタジーは鉄板としてもクロノ・トリガーやエースコンバットとかかなりガチ目の選曲が熱く、そこだけつい真面目に観てしまいました。

 こんばんは、小島@監督です。
 競技の方で言うと何気なく見始めたスケートボードが結構面白く、予選から決勝まで割としっかり観てしまいました。ええ、堀米選手金メダル獲得の瞬間もしっかりと。始まってしまった以上楽しめるものは楽しむのです。

 さて、今回の映画は「アメリカン・ユートピア」です。

 1977年にデビューした「トーキング・ヘッズ」のフロントマンであったデイヴィッド・バーン、バンドは1991年に解散しましたがその後も多数のソロアルバムやブライアン・イーノ、ファットボーイ・スリムなどとのコラボレーションなどで評価を集め、グラミー賞受賞歴の他、映画「ラストエンペラー」(1987年製作)の劇判を坂本龍一と共作してアカデミー賞を受賞したこともあるロックシーンのトップランナーです。そのデイヴィッド・バーンが2018年に発表したアルバム「アメリカン・ユートピア」をベースに、ワールドツアーを経た後ブロードウェイ・ショーとして再構築した舞台を上演、それを「マルコムX」(1992年)や「ブラック・クランズマン」(2018年)などで知られるスパイク・リーの手によりドキュメンタリー映画化したのがこの作品です。
 
 一見すると舞台は三方をすだれ状に加工したチェーンをカーテンにして下げているだけ、という極めてシンプルなスタイル。開幕はデイヴィッド・バーンのソロから入り、曲が進むに従いバックダンサーやバンドメンバーがカーテンをくぐって登場していきます。面白いのは「人の動きに制限をかけたくない」というデイヴィッド・バーンの意向に沿って、バンドメンバーがギターやベースだけでなくパーカッションやキーボードまでも全てケーブルレスで登場して演奏している点。更に言えば全員裸足。ダンサーだけでなくバンドメンバーも目まぐるしくポジションを変えて縦横無尽にステージ上を動くさまをスパイク・リーは時に天井からのカメラも駆使して捉えていきます。
 
 披露される楽曲はトーキング・ヘッズ時代の物も含め21曲。
 開幕の「Here」では「赤ん坊の神経細胞は実は大人よりも多く、成長するにつれて減っていく」と語り掛け、そこからパフォーマンスで圧倒し、軽妙なトークで笑わせながら楽曲のチョイスやリリックでもって観客に対しメッセージを送ります。
 舞台が上演されていたのは2019年、そう、大統領選挙が行われる前年であるところが重要です。「ブラック・ライブズ・マター」運動をご記憶の方も多いことでしょう。選挙人登録を観客に促しつつ、分断を煽るトランプ政権への痛烈な批判と皮肉と共に「失われた神経細胞」、すなわち多様な人間との繋がりを取り戻そうと語り掛けるのです。見事なまでに構築されたショーアップの向こう側に「このままでは本当にバラバラになってしまう」という危機感が見えます。デイヴィッド・バーン自体スコットランドからの移民であるが故にアメリカに「理想郷」を見続けたい想いがあるのでしょう。

 と、小難しいことを考えもせずとも、この怒涛のパフォーマンス・ラッシュがもたらすグルーヴ感、歌って踊れて喋りまで面白い70近いお爺ちゃんことデイヴィッド・バーンのキレッキレのパフォーマンスを観てるだけでも滅茶苦茶に面白いのが何よりこの映画の魅力。この圧巻とも言うべき音楽の奔流はライブに飢えに飢えてた自分に強烈な一撃を食らわせていきました。
 上映館が少ないのが残念ですし、名古屋での上映ももう残りわずかとなっているようですが、これは是非多くの方に観て欲しい逸品。
 特にライブに渇望している方!そう!そこのあなた!こいつを食ってみな!飛ぶぞ。

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