ちゅうカラぶろぐ


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先週の金曜日、休みを取っていろいろ用事を片づけたり映画を観たりしようと思ったら結構な雪が降ってきたので外出する気が失せてしまい、今季初の雪かきをしたりしてました。と言っても数センチ程度なので歩く場所の確保というより翌日以降の自宅周辺の路面凍結を避ける意味合いの方が強かったですが。凍られるとヤバいんすよ。雪かき、例年1~2回はやる羽目になるんですが、昨冬は全くやらずに済んでしまったのでそれだけ暖冬だったんだなぁと感じます。

 こんばんは、小島@監督です。
 やっぱり冬はちゃんと「冬」してくれないとどことなく落ち着きませんね(笑)

 さて、今回の映画は「ズーム/見えない参加者」です。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けロックダウンを敢行したイギリス。ヘイリー(ヘイリー・ビショップ)と友人たちは定期的にZoomを介して会話を楽しんでいた。ある時ヘイリーはロックダウンの日々にちょっとした楽しみをと霊媒師を招いてのオンライン交霊会を実施した。メンバーはヘイリーの提案に乗りいつものノリで和気藹々と交霊の儀式を始めた。しかしその内それぞれの部屋で異変が起こり始める… 

 コロナ禍で映画製作も多大な制限を受けている最中ですが、そんな中にあってもその制限を強みに変えようという試みが生まれています。「ズーム/見えない参加者」はまさにロックダウンの最中に企画がスタートし、全編をZoomで撮影、作品のほとんどをリモートで製作されたそうです。映画全編がPC画面上で展開する映画と言えば同じホラーでは「アンフレンデッド」(2014年。2018年には続編も製作された)、サスペンスの「search/サーチ」(2018年)など既に先駆者がおり表現のスタイルとして定着しつつありますが、それらとの違いはひとえに「新しい方法にトライした」のではなく「使えるツールの中から今できるものを選んだ」ところにあるでしょう。このスタンスの違いは大きいです。
 むしろ映像制作においてリモートワークとの相性が良いのはアニメの方で、例えば昨秋公開された「ウルフウォーカー」は作画作業の全てがリモートで製作されています。恐らく今TV放送されている作品にもこれに近い状況のものは既にあることでしょう。

 単純にホラー映画として観た場合に、物語そのものは「パラノーマル・アクティビティ」(2007年。その後シリーズ化。)のようなPOVホラーの範疇を出るようなものではなく、あるいは全編PC画面上で展開する映画としても「search/サーチ」ほどに洗練されてもいないので「まぁこんなものか」と思わざるを得ない部分も大きいです。
 しかし上映時間68分と短めにまとめたスマートさや、画面に特殊加工を施すアクセサリーツール、回線落ち、マイクのハウリングと言った通話アプリの機能やオンライン会話にありがちな現象をも恐怖の演出に使ってみせる手法、大掛かりなセットも使えず同じ場所に人を何人も集められない状況でどうやってコレを撮ったんだろう?というショットがいくつも登場するその創意工夫ぶりは賞賛に値します。製作がイギリスだからか、会話や展開の中になかなかきつめのブリティッシュジョークが突っ込まれている辺りにもニヤリとします。

 この映画最大の欠点は、実は映画そのものではなく上映の形式にあります。本編終了後にリサーチとリハーサルを兼ねて出演者とスタッフが実際に交霊会を行ってみた際の様子が一種の特典映像として上映されるのですが、これが完全に蛇足。映画の余韻もダメにしてしまうくらいの残念さです。そんなのはソフト化された際のおまけに収録する程度にして欲しかった。

 いよいよ作品の中に明確に「ロックダウン」や「COVID-19(新型コロナウイルス)」の言葉が躍る映画が登場するようになりました。ある意味で「現在」を共有できる今だからこそ観て意味のある作品だと思います。日頃ホラーは敬遠されるような方でも映画製作に携わる方たちの果敢なあがきを観てみて頂きたいと思いますね。

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