ちゅうカラぶろぐ


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とうとうゴールデンウイーク映画の顔であった「名探偵コナン」と「クレヨンしんちゃん」の新作までもが公開延期に。今般のコロナ禍がもたらす「新作映画がほとんど公開されない」というのは長く映画ファンをやってきた身としても経験が無く、旧作を積極的にリバイバルしながらわずかな新作と3月上旬以前に封切られた準新作を取り回してしのぐ今のシネコンのタイムテーブルは見てて痛々しくさえあります。しかも感染リスクのことを考えると私みたいなタイプはそれでも行く可能性はありますが、誰かを誘ったり軽々に来場を勧めたりしづらいのがより心苦しい。「映画」そのものが今、受難の時を迎えています。

 こんばんは、小島@監督です。
 無論それは映画だけのことではないです。私の仕事も結構なダメージ食らってますし。

 さて、そんな只中なので今回取り上げるのも公開中の作品ではないです。昨今のこの状況を予見したかのような内容に今再評価の動きが高まっている作品をレンタル配信で鑑賞。ということで、今回の映画は「コンテイジョン」です。先月この映画の医療監修を担ったイアン・リプキン氏が新型コロナウィルスに罹患したこともニュースとして伝えられました。

 香港での商用を終えたベス・エムホフ(グウィネス・パルトロウ)は帰路の途中シカゴに立ち寄り浮気相手との関係を楽しんだのち帰宅した。2日後ベスは自宅で急激に体調を崩し意識を失う。夫のミッチ(マット・デイモン)は慌てて救急車を呼ぶが、ベスは間もなく病院で命を落とした。ほぼ同時期に香港で青年が、東京では香港から帰国したサラリーマンが同様の症状で死亡、またその場に居合わせた人々も発症し命を落とした。
 DHS(国土安全保障省)の職員たちはCDC(疾病対策センター)のエリス・チーヴァー(ローレンス・フィッシュバーン)の元を訪ね、生物兵器を使ったバイオテロの可能性への懸念を伝える。エリスはエリン・ミアーズ(ケイト・ウィンスレット)を派遣し病気の調査に当たらせるが。

 2011年に製作・公開されたパンデミック・スリラーです。脚本は「ボーン・アルティメイタム」や今冬公開予定の「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」などのスコット・Z・バーンズ、監督は「オーシャンズ」シリーズや「チェ」2部作などを多くのヒット作を生み出したスティーブン・ソダーバーグが手掛けています。未知のウイルスの蔓延により次々と人が倒れていく中でどのようにそれと向き合っていったかを描く群像劇となっています。「オーシャンズ」シリーズやアカデミー賞監督賞を受賞した「トラフィック」などソダーバーグ監督は群像劇が多いので彼の好みのスタイルなのでしょう。
 丹念なリサーチの結実が感じられる映画で、クローズアップされるドアノブやタッチパネルに未知のウィルスが接触感染・飛沫感染であることを伝える描写、感染拡大の予防方法、発症が確認されてからの防疫プロセスなど、今まさに連日ニュースで伝えられている様子そのままの場面が次々と登場します。更にこの状況下で利己的に動き回るネットジャーナリスト、飛び交うデマと疑心暗鬼の渦にパニックを起こす人たちの描写も生々しく、9年前の作品が見せる今日性に驚かされます。

 世界的なクライシスを描く映画ではありますが全体的に抑制のきいたトーンで語られ、静かな緊張感が持続する作りをしています。…いますが、はっきり言ってそれは「今」だからこそ言えることであり現在のようなパンデミック下でない何事も無いような時にこれを観ていたら「スケールが大きい上に俳優も豪華なのに地味」としか言いようもない部分もあります。ですが実際今まさに自身の生活が脅かされている現在、この映画が伝えているものは決して小さくはありません。無ければ無いに越したことはないのでしょうが、時に公開後何年も経ってからこういう「力」を持った映画が登場することがあります。

 絶対的なまでに「今」観るべきという映画と言えます。映画観る時でまで現実と向き合いたくない、という方もいらっしゃると思いますので無理にとは言いませんが、それでも今起きていることにどう向き合うかを考えるきかっけの一つにしていただければと思いますね。

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