ちゅうカラぶろぐ


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ここ最近、このブログでもワールドカップ絡みの話題が続くので私からも一つ。
 4年に一度のワールドカップは、飲食業にとってもイレギュラーな稼ぎ時を生み出します。「オリンピックもそうじゃないの?」という疑問が飛びそうですが、多くの競技が同時並行で行われるオリンピックでは注目度の低い所から大金星を挙げる人もいたりして個々人の興味も散ってしまいがちになるのですが、ワールドカップでは約1か月間にわたりサッカーのみという点が大きく違います。加えて日本人のお祭り好きな気性と相まって爆発的なにわかファンの増加をもたらします。
 キックオフからゲーム終了まで約2時間くらいという試合時間も絶妙で、先週19日に行われた日本対コロンビア戦が最たるものですが、夜9時にキックオフして11時前に試合が終わるというのはスポーツバーでなくともTVを店内に設置している飲食店には実にありがたい存在です。最後まで観ても終電には間に合いますし、そのまま夜通し騒ぐにも良しです。思いもかけぬ日本の勝利に渋谷や道頓堀を埋める人の波をニュースでご覧になった方も多いでしょう。自宅ではなく終了後すぐそういう場所に集まれる所に大勢いたというのはそれだけの人数がどこかしらの飲食店にいたということになります。パブリックビューイングで観ていたとしてもそこに行く前にどこかに立ち寄って食事をしていたハズ。ひとしきり騒いだ後も何割かは帰路に就かずもう1軒行くでしょうし、誰かを連れ込みホテルへ行った方もいることでしょう。日本が勝ち残る限りこの現象は続く(負けても気合と熱の入ったサッカーファンが残るとは言え)ので売る側の言う「がんばれニッポン」は割と切実で生っぽい一面もあったりします。

 こんばんは、小島@監督です。
 今日も寝不足で出勤した方とかそれこそ休み取って観戦してた方もいらっしゃるんでしょうね~

 さて、今回の映画は「恋は雨上がりのように」です。

 高校2年生の橘あきら(小松菜奈)は、バイト先のファミレス「ガーデン」の店長近藤正巳(大泉洋)に密かな恋心を抱いている。クールな佇まいを崩さない17歳のあきらに45歳でバツイチ子持ちの自分が恋心を抱かれているとは思いもしない近藤はあきらをどこかとっつきづらく感じていた。ある時あきらは近藤への想いを抑えきれず遂に告白する。近藤は当然その想いを素直に受け止めることはできずにいたが…

 眉月じゅんがビッグコミックスピリッツで連載していたコミックを原作に、今年1月にはTVアニメ化もされた作品の実写映画版が現在公開中です。17歳の女子高生と45歳バツイチ子持ちのおっさんのラブストーリーという昨今ニュースを騒がせるゴシップを思えばかなりギリギリでともすれば嫌な生々しさが出そうな設定ですが、しかし映画は清々しい余韻を残してくれる快作です。
 
 かつて陸上部のエースだったものの、アキレス腱断裂により夢と心が折れてしまい、自身の居場所も見失いがちになったあきらは、ふと立ち寄ったファミレス「ガーデン」で近藤のささやかな優しさに触れたことがきっかけで恋心を抱くようになります。この作品の特徴はあきらがほぼ一方的に募らせていると言ってもいい恋心に、近藤が戸惑いつつも真摯に向き合い大人の対応を取り続ける点にあります。
 また、映画も中盤に差し掛かると物語は別の側面を見せ始めます。近藤はかつて文学の道を志しながらも芽が出ずに挫折し、半ば諦めてしまっていることが示されます。それがあきらとの関わりの中でくすぶっていた情熱が再び目覚め始めることになっていきます。そんな折にあることがきっかけで近藤と再会することになる、近藤と同級生にして小説家として成功した男・九条ちひろに大泉洋と大学の同期でTEAM NACSで共に活躍する戸次重幸をキャスティングする差配も絶妙です。私なんかもそうですが、ある年代より上の方はむしろこの辺りの描写に共感や親近感を得られるのではないでしょうか。

 この映画のウィークポイントは実は最序盤にあり、尺の関係上仕方なかったのかもしれませんが近藤店長がいかに冴えない人物かをベテランウェイトレス久保佳代子(濱田マリ)が全て台詞で喋ってしまう点にあります。ここだけは作劇上相当にマイナスで、私も一瞬「コレはハズレ掴んだか?」と考えてしまったくらいなので、ここがバシッと決まっていれば更に映画の印象が良くなったに違いないだけにもったいない所です。しかしここが終わると途端に映画の魅力が急速に立ち昇ってくるのでマイナスはすぐに帳消しになるのですが。

 ちょっぴり際どく見える設定ながら人と人を繋ぐ「縁」が一度は歩みを止めた者の背中をほんの少しだけ押して新たな一歩へと導いていく、まさに雨上がりの空を思わせるような作品です。梅雨時で外を出歩くのが少しおっくうな時でも、この映画を観終える頃には晴れ間が広がっているかもしれませんよ。

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