ちゅうカラぶろぐ


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先々月に加入したバンダイチャンネルでここ最近観てるのは「銀河漂流バイファム」と「アリスと蔵六」。
「銀河漂流バイファム」は1983年に放送されていたロボットアニメで、異星人の襲撃から避難した13人の少年少女たちが練習艦ジェイナスで地球へと目指す物語。4歳から15歳までの子供たちの冒険と成長が等身大で描かれているのが印象的な物語です。OP前にアバンタイトルがあったり歌詞が全編英語だったり当時としては割と先鋭的だったのでは、と思われる手法が取り入れられています。当時何話かは観ているはずなのですが、ほとんど記憶に残っていないようで結構新鮮な気持ちで観ています(笑)
「アリスと蔵六」は今年の春アニメだった作品で、長く研究機関で抑圧されていた類稀な超能力を持つ少女・紗名が脱走し偶然出会った老人・蔵六の下で生活するようになるという物語。曲がったことが嫌いな頑固爺さん・蔵六を演じる大塚明夫の演技が素晴らしい上に監督桜美かつしの日常の細やかな心情をすくう手腕が遺憾なく発揮されていて引き込まれます。

こんばんは、小島@監督です。
しかしバンチャンは時間がいくらあっても足りないな。観たいものがどんどん増えて行ってしまう(笑)

さて、今回の映画は「ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー」です。

「十戒」でモーゼは海を割った、「鳥」では鳥に襲われた女性が電話ボックスから出られなくなった、「卒業」でミセス・ロビンソンはベンジャミンをその脚線美で誘惑した…ハリウッド映画を代表する名シーンの数々。人々の記憶に刻まれるそれらの陰には真の立役者とも言うべき1組の夫婦がいた。絵コンテ作家ハロルド・マイケルソンとその妻にしてリサーチャーリリアン・マイケルソン。映画にクレジットされることは少なかったが数十年の長きに渡り100を超える映画製作に携わり、コッポラやヒッチコック、スピルバーグら名監督からの信頼も厚かった2人の知られざる姿を捉えたドキュメンタリー。

映画が生み出す魔法の陰に職人あり。脚本からその意図を読み取りイメージを膨らませストーリーボードを描き起こし時には撮影に最適なアングルにカメラとレンズまでも記載してみせた絵コンテ作家ハロルド、そのハロルドの仕事を支えるべく膨大な量のリサーチをこなしライブラリーの運営をもこなしたリサーチャーリリアン、主演俳優や監督に華々しいスポットが当たるその奥にはこんな芸術家や職人たちの献身がありました。…と言うことくらいは勿論存じてるつもりだったのですが、恥ずかしながらこの夫婦の事はこの映画を観るまで全く知りませんでした。
2人のフィルモグラフィーはそのまま1950年代から今日までのハリウッドの歴史そのものです。
パンフレットには2人が携わった作品が列記されているのですが、「ジョニーは戦場へ行った」「エクソシスト」「ロッキー」「ブレードランナー」「グレムリン」「グッドモーニング、ベトナム」「フルメタルジャケット」など、とんでもないラインナップです。しかしその大半で2人の名がクレジットされていません。大作映画では1,000人以上の名がエンドクレジットで流れることも珍しくなくなった今日と違い、1950~60年代では主要人物や中核スタッフくらいしかクレジットされなかったことも要因としてあったでしょう。

2人が頭角を現した1960年代のハリウッドは、いわゆる「黄金期」の終焉を迎えていた時期です。アメリカでは50年代後半からテレビの普及、1948年のアメリカ最高裁による劇場チェーンを映画会社本体から切り離す「パラマウント判決」によりスタジオによる製作から上映までを一括で管理することができなくなりハリウッド・スタジオ・システムが終わりを告げていた頃です。
同時期フランスではジャン・リュック・ゴダールやアニエス・ヴァルダなど作家性の強い監督が次々とデビューし「ヌーヴェル・ヴァーグ」の潮流が起き、フランス国外でも商業的成功を収めたことがハリウッドにも影響を与えました。
更に60年代ではケネディ大統領暗殺や公民権運動、ベトナム反戦運動などが盛んになり社会的にも激動の時代。「イージー・ライダー」(1969年)など反体制的な若者の刹那的な生き方を描く「アメリカン・ニューシネマ」が製作され始めたのもこの時期です。
やがて70年代に差し掛かるとマーティン・スコセッシやジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグがその才能を開花させ始め、80年代には50年代に引けを取らないほどの大作映画が立て続けに製作されるようになるその礎が築かれていきます。
そんな時代の流れを2人は常に現場の片隅で見続けて来ました。そんな2人が語る逸話の数々はその一つ一つがたとえようもないほど魅力的です。特に「スカーフェイス」(1983年)でのリリアンの逸話は必見!

また、この映画はドキュメンタリーでありながらラブストーリーでもあります。厳格なユダヤ人家庭に育ったハロルドと、親に虐待を受けた挙句に捨てられ施設で育った孤児のリリアン、周囲の反対を押し切り駆け落ち同然でハリウッドへ移住した2人の波乱万丈な結婚生活はそれ自体が物語のよう。大らかながら情熱的なハロルドと賢く気風の良いリリアンの性格も相俟って、人生譚としてもこの映画は眩い輝きを放ちます。

それともう一つ、映画の内容と関係あるような無いようなところで驚いたのはハリウッドには映画産業従事者のためのホスピスが備わっている点です。風土の違いはあるかもしれませんが、文化振興という観点からこういう事の充実が今の日本の映画産業にも必要な部分かもしれません。

今まで観てきた映画たちの印象が変わりそうなほどの知的好奇心を刺激しながら、同時に1つの理想形ともいえる夫婦のありようを見せるラブストーリーでもあるこの映画、まさに珠玉の逸品です。華やかな大作映画が続々公開されるサマーシーズンの只中ではありますが、時にはこんな宝石のような魔法を味わってみてはいかがでしょうか。




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