ちゅうカラぶろぐ


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昨日家の用事で半田まで行ってきました。
折角来たのだしと赤レンガ倉庫に立ち寄った時、たまたま「赤レンガマルシェ」という月例イベントの真っ最中で、建物内で様々なワークショップが催されていたほか屋台も結構出店されていました。その屋台の中にコスタリカ・コーヒーを、というかそれのみを供するお店が。
ゲーム「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」でもクローズアップされるコスタリカ・コーヒー。今までちゃんと飲んだことが無かったのでここぞとばかりにトライしました。
驚いたのはその屋台、てっきりオーダーしたらポットからすぐに注がれるものと思っていたら、わざわざ豆を挽いて淹れてくれる!店主(?)と喋りながら待つこと数分。淹れられたコーヒーの美味い事!ビターチョコ的な香りの中に微かにダークチェリーのようなフレーバー。口に含むと後味にほんのり甘さが感じられて絶妙な味わいでした。
こんなにちゃんと淹れてくれるのに1杯400円という値段にも驚きました。手間から考えると安い!ちゃんと元取れてましたか店主!?

こんばんは、小島@監督です。
スネークやパスが楽しんだのもこんな香りだったんだろうか?そんな想像するのも楽しいですね。

さて、今回の映画は「聲の形」です。

ガキ大将だった石田将也(声・入野自由、松岡茉優(幼少期))は、転校生の西宮硝子(声・早見沙織)の耳が聞こえないことを知り、遊び半分で硝子をいじめる毎日を送っていた。
しかし、それが原因で起きたある事件がきっかけで、一転して今度は将也がいじめの対象となってしまう。やがて硝子も再び転校してしまい、孤立した将也は心を閉ざしてしまう。
数年後、高校生となった将也は相変わらず周囲から孤立していた。自己嫌悪から自殺すら図ろうとした将也はしかしその前に一度硝子の元を訪ねようとするが…

「映画けいおん!」(2011年)や「たまこラブストーリー」(2013年)を手掛けた山田尚子監督の最新作にして京都アニメーションの新作でもあるこの映画は、幼いが故に取り返しのつかない罪を犯した少年が、己の罪と「生きる」事に真摯に向き合っていく物語です。
連日ヒットが報じられる「君の名は。」の過熱気味のムーブメントの後塵を拝す印象を受けがちですが、負けず劣らず、いや人によってはこちらの方が遥かに強くその心に残り続けるであろう傑作です。

障害を抱えた少女をいじめることから始まるこの物語、締め付けられるように苦しくなってくる、観る者を揺さぶってくる映画です。
ましてこの作品は、誰かを傷つけたなら後々必ずそれが自分に返ってきます。それ故登場人物のほぼ全てが何がしかの罪を背負って生きています。ヒロインの硝子ですら、決して純真無垢な存在ではありません。まともに声を発せられぬその裡で渦巻くような感情を抱えて生きているのです。
登場人物の中で将也と硝子を起点にした罪過の連鎖に外れているのは将也を「やーしょー」と呼び真っ直ぐな友情を向ける永束(声・小野賢章)くらいですが、彼は彼なりに強いコンプレックスを抱えている人物でしょう。

小学生と高校生、2つの時期を描き出したことで見えてくるのは、登場人物たちの心の成長です。自分勝手で自己保身しかできなかった少年少女たちは、少しだけ相手の気持ちを考えられるようになっています。しかしそうであるが故にまた新たな葛藤を生み、それが成長した登場人物たちの間に軋轢と衝突をもたらします。
登場人物の感情のひだを丁寧にすくうこの作品を極めて優れた物語に押し上げたのは、ひとえにこれが「ヒロインがろうあでなくても成立している」点に尽きます。幼い個々人の認識の中で「異物」と判断した者達への攻撃から始まる物語は、紡がれるエピソード、描かれる心情一つ一つが「こんな経験をした、こんな感情を抱いたことは無いですか?」と問われているかのような生々しさを孕んでいます。

手話のシーンを始め、繊細な演技を要求されるファクターが多いこの映画で、その全てに対して作画も声優陣の演技も水準以上の力を発揮して応えます。特に硝子役早見沙織の演技は現時点の彼女のキャリアの中で最高のものではないかとすら思えます。
スコアはもちろんその音量さえも繊細に設計され将也と硝子に寄り添うBGMも見事の一言で、「音」が重要な意味を持つ作品らしく音響面でも作品を支えます。オープニングに「ただ俺の世代について語ってるんだ」と何度も歌うザ・フーの「my generation」を象徴的に使っているのも印象深いです。

不器用に、傷だらけになりながら、それでもひたすら真摯に罪と人に向き合い続ける将也。最後に訪れるある種の「救い」は、この映画を観た者の心にきっと消えない「輝き」をもたらしてくれる事でしょう。
普遍的な物語ゆえ、誰の心にも訴えられるものを持ったこの映画、今年を代表する映画の一つと言って良いでしょう。苦しくても向き合ってみるだけの価値のある作品です。まだの方は、是非ご覧になってみてください。

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