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ちゅうカラぶろぐ


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ゲスト出演の芸人が自称した「キュアゴリラ」、自作のアーマーで武装して勝手に名乗った「キュアセバスチャン」という一発ネタから始まり、スカートも着こなす中性的な少年が仲間の声援を得て変身、LGBTの文脈でも語れる画期的なキャラクターだった「キュアアンフィニ」という先達を経て、遂に男の子のプリキュア「キュアウィング」がシリーズ初めてレギュラーキャラとして登場。ちゃんと年相応の少年してる人物なのもポイント。今作「ひろがるスカイ!プリキュア」は今後成人女性が変身する「キュアバタフライ」がレギュラー陣にいることも告知されていて、20作を数えながらも守りに入らないチャレンジが窺えます。

 こんばんは、小島@監督です。
 これら新機軸のメンバー達がここからどんなうねりを巻き起こすのか、楽しみは尽きません。

 さて、今回の映画は「フラッシュ・ゴードン」です。

 惑星モンゴを支配する皇帝ミン(マックス・フォン・シドー)の悪辣な企みにより、地球は10日後に月が衝突するという運命を迎えつつあった。外宇宙からの攻撃を予見していたが故に学会から異端児扱いされていたハンス・ザーコフ博士(トポル)は独自に和平交渉の道を探るべくロケットでモンゴに行こうとしていた。そこに飛行機の不時着で偶然居合わせることになったアメフト選手フラッシュ・ゴードン(サム・J・ジョーンズ)と旅行会社のガイドであるデイル(メロディ・アンダーソン)の2人も宇宙へ向かう羽目になってしまう。果たして彼らは地球の危機を回避することができるのか!?

 アメリカン・ニューシネマの波も落ち着いた1970年代後半に「スター・ウォーズ」「エイリアン」などが登場しSF映画の新たな潮流が生まれました。また1978年にクリストファー・リーヴ主演による「スーパーマン」の公開、1977〜79年にはリンダ・カーター主演のドラマシリーズ「ワンダーウーマン」のヒットもあり、コミックヒーローの映像化が隆盛期を迎えつつありました。そんな折の1980年に後々カルトムービーとして語られる作品が登場しました。それが「フラッシュ・ゴードン」です。公開から40年を経て4Kリマスター版が製作、スクリーン上映されています。音楽を何とQueenが手掛けたことでも知られ、映画を観たことが無くてもバスドラ響く中「Flash!Ahh」と叫ぶイントロを聞いたことのある方多いのではないでしょうか。
 この作品が不思議と愛されていたのは何も日本に限った話ではないようで、例えば2013年のコメディ映画「テッド」にはこのフラッシュ・ゴードンへのリスペクトが捧げられ、主演したサム・J・ジョーンズがカメオ出演しています。

 マッチョで陽気な主人公、色気溢れる綺麗なおねーさん、一見して安っぽさが隠し切れないセット、絢爛と言えば聞こえは良いけどむしろケバケバしい印象の衣装たち。強引過ぎるイントロの割には全体がもっさりしていて陰謀も裏切りもある結構血生臭い話なのに何だか緩い脚本。正直なところ今観てコレが凄い面白いかと聞かれると、そうでもない、と言わざるを得ないのですが、それで切り捨てるにはどうにも惜しい何かがあります。ただ今観ても飛び抜けているのが音楽と色彩感覚。この2点だけは尋常じゃないレベルです。4Kリマスターになった事で更に際立っていると言っても良いでしょう。

 バカバカしくて失笑してしまう、というよりは最初からバカバカしさを作品の魅力として前面に打ち出そうとした作品、そんな印象を受ける映画です。いくら徒花とは言え40年の時を生き抜いてしまうというのはやはり伊達ではありません。今ならスクリーンで観られる上に結構分厚いパンフレットまで買えます。こんな映画が世の中にはあったのねとトライしてみるのも一興ですよ。

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昨夜、音楽家・坂本龍一の訃報が。
 音楽ユニット「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」での活動によりテクノポップの草分けともなる一方、「戦場のメリークリスマス」「ラスト・エンペラー」「レヴェナント/蘇えりし者」など映画音楽でも世界的な名声を勝ち得たほかバルセロナオリンピックでは開会式の音楽を手掛けるなどそのフィールドはまさにワールドワイド。かと思えばバラエティー番組「ダウンタウンのごっつええ感じ」ではコントに出演するなど実に多彩な活躍を見せた人物です。
 アニメやゲームにも度々楽曲を提供し、「王立宇宙軍オネアミスの翼」「天外魔境〜ZIRIA〜」「聖剣伝説4」(メインテーマのみ)などを手掛けました。意外なところではゲームハード「ドリームキャスト」の電源を入れた時の起動音も彼の仕事だったりします。

 こんばんは、小島@監督です。
 現代日本の音楽に多大な足跡を残した人物でした。謹んでご冥福をお祈りします。

 さて、今回の映画は「わたしの幸せな結婚」です。

 近代日本、「異能」と呼ばれる特殊能力を代々受け継ぐ家系の者たちが国を統べる帝と共に幾多の災厄から人々を守り続けて来た。帝都に屋敷を構える異能の旧家・斎森家。その長女・美世(今田美桜)は異能を持たずに生まれたことで継母と異母妹から虐げられてきた。人生に諦観し耐え忍んで生きる美世に嫁入りが命じられる。それは若くして異能者の特殊部隊を率いる冷酷な軍人・久堂清霞(目黒蓮)との縁談だった。

 予備知識ほぼゼロで観てみたらイメージとてんで違った、という映画体験がごくたまにあります。大抵そういう時は「シネコンに着いた時間で観るものを決める」時。そういう出会いもまた楽しいもの。
 タイトルやキービジュアルのイメージからいわゆる純愛物語なのかと思いきや、それだけに止まらない魅力を秘めた作品です。大正時代の日本を思わせる世界観で伝奇ロマン的なカラーも強く、端的に言えば「はいからさんが通る」と「帝都物語」を足した感じ、と言うところでしょうか。ちょっと「薄桜鬼」に近い雰囲気もありますね。実のところいずれも私の大好物なので結構この辺に自分のストライクゾーンがあるっぽいです。ええ、見事なまでに私好みでした(笑)
 監督は「MIU404」「最愛」などTVドラマで高い評価を得る塚原あゆ子。ファンタジックな描写も多い今作のようなタイプの映画は初めて手掛けるのではないかと思うのですが、登場人物の心情を実に丁寧にすくい取りアクションとメリハリを付けています。

 何より主演2人の存在感が素晴らしい映画です。虐げられてきた故に全てを諦め自己肯定感低すぎる灰かぶり姫なヒロイン美世を演じる今田美桜、グレーの長髪というアニメのようなビジュアルをただのコスプレにせずものにしてアクションまでやってみせる目黒蓮、どちらも実に際立っていて映画の柱になっています。

 佐久嶋依里、加藤たく郎らを筆頭とした美術スタッフの手による調度や小道具類、1990年代から活躍し時代劇から現代劇まで幅広くこなす衣装製作の第一人者・宮本まさ江の衣裳デザインと言ったスタッフの仕事も見事で細部まで神経の行き届いた画面が全編に渡って楽しめるのもポイントです。

 着目する点をどこに求めるかは人それぞれと思いますが、幅広い層に訴求できる上質のエンターテインメント。エンドクレジットの後には続編作りたい気満々なシーンがもう一つありますので場内が明るくなるまで席をお立ちになりませんよう。

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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。再開からこちらようやく体が習慣づいて来たような。やはり月1でも3ヶ月続けると違って来ますね。
 それはそれとしてまさか生のハマグリを頂けるとは予想外どころではなかったですが(笑)

 こんばんは、小島@監督です。
 何の巡り合わせか帰宅したらオカンがご近所さんから生わかめを頂いており、二つ合わせて潮汁にしました。出汁がもう実に美味。

 さて、今回は映画館の話。
 先週、一旦その歴史に幕を下ろした1軒の映画館。その休館直前にそこを訪ねて来ました。名古屋市営地下鉄東山線の新栄町駅を降り錦通を歩いて数分、あるいはJR中央線千種駅から錦通を15分ほど歩いたところにそれはあります。


「名演小劇場」です。
 開館は1972年。名古屋の自主的演劇鑑賞組織(いわゆる労演)であった「名古屋演劇同好会(略称・名演)」所有の劇場として、つまり映画館ではなく文字通りの劇場としてオープンしました。演劇鑑賞組織が運営する劇場としては当時全国初だったそうです。演劇だけでなく落語なども上演されていたとか。

 写真ではちょっと分かりにくいかもしれませんが今でも舞台は残っており、スクリーンは舞台奥の壁に設られています。なお写真の左側に映り込んでいるのはテレビカメラ。休館前の様子を取材に来ていたようです
 2003年に大規模な改装が行われて常設の映画館としてリニューアル。ですがその後も不定期に舞台公演が行われていたようです。翌2004年にはもう一面スクリーンが増設されて以後スクリーン2面を有するミニシアターとして営業が続けられていました。柳楽優弥がカンヌ映画祭で最優秀主演男優賞を受賞した「誰も知らない」(2004年製作)や、内容の重さや配給権の高騰により公開が見送られていた「ホテル・ルワンダ」(2004年製作。日本での公開は2006年)など高く評価されながらも公開に難渋した作品を上映した実績があります。

 こちらは屋外ロビーの様子。今までに上映された作品のチラシが隙間無く貼られています。

 
 休館前の最後のプログラムとして上映されたのは「ジェラール・フィリップ生誕100年映画祭」、夭折の俳優ジェラール・フィリップの主演作全てと彼の生涯を追ったドキュメンタリー「ジェラール・フィリップ最後の冬」を上映する特集企画になります。
 この日私が観たのは「モンパルナスの灯」。1958年に製作された作品で、画家アメデオ・モディリアーニの晩年を描いた物語です。芸術家として高いプライドを持ちながら世間の無理解に苦しみ、貧困とアルコール中毒、そして結核に苛まれます。モディリアーニに新しい恋人ができても何くれとなく世話を焼く元カノのベアトリスや「あいつは才能はあるが運が無い。だから死んだら絵を全部買ってやる」と言い切る画商のモレルなどフランス映画らしいキャラクターが何人も登場する、フランス映画の古典としても楽しめる逸品です。監督はジャック・ベッケル。フランソワ・トリュフォーらヌーヴェルヴァーグの旗手たちの敬意を集めた人物です。この映画の翌年、ジェラール・フィリップは肝臓がんを患いモディリアーニと同じ36歳で亡くなり、またジャック・ベッケル監督も翌1960年に没するなど曰くつきの作品でもあります。

 名古屋という都市は、意外に小さなエリアの中に特色の強いミニシアターが点在し映画に対し独自の文化圏を築いたと言って良い土地柄で、その一翼を担った映画館の休館に寂しさを拭えません。いつの日か再開することを願っています。

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週末に代々木競技場第一体育館で開催された「THE IDOLM@STER SHINY COLORS 5thLIVE If I_wings.」を配信で鑑賞しました。
 ストーリー性の強いステージングをすることもあるシャニマスですが、今回は極め付きだったと言って間違いないでしょう。挫折と終焉が色濃く漂うDay1の異様な雰囲気、まるで世界線が変わったかの様な歓喜と祝福に包まれるDay2、2つで1つの前後編の物語を観ているようなステージに、見事なまでに翻弄される2日間でした。Day1が持つただならぬ不穏な気配への考察と不安と期待をないまぜにしながらDay2の開演を待つ時間までも含めて1つの大きなイベントでした。
 ただほとんど禁じ手に近いやり方なのでこんな大技は何度も繰り返して欲しくないですね(苦笑)

 こんばんは、小島@監督です。
 ライブの最後にはアニメ化の告知も。アイマスの中でもシナリオの完成度が頭一つ抜けているタイトルだけに期待も大きいです。

 さて、今回の映画は「シン・仮面ライダー」です。
 公開直後ですしネタバレは極力避ける方向で行きます。

 山道を1台のバイクが疾走している。バイクには2人の男女が乗っていた。1人は緑川ルリ子(浜辺美波)、もう1人は本郷猛(池松壮亮)。2人は「ショッカー」と呼ばれる秘密結社に追われていた。人並外れた力を持つショッカーの構成員たち。一度は彼らの手に落ちるルリ子だったが本郷は自身の力を開放し瞬く間に構成員たちを打ち倒していく。彼もまたその身を改造・強化された人間であった。

 稀代のクリエイター・庵野秀明が日本特撮に残す爪痕がまた一つ。
 「仮面ライダー」シリーズ50周年を冠してのビッグプロジェクトとなった今作は、庵野秀明が監督・脚本を担い昭和の「仮面ライダー」を全面的に踏襲しながら石ノ森章太郎の描いた漫画を物語の基軸として、これまでのどれとも違う新たな仮面ライダーを作り上げてきました。毎週のTVシリーズと並行してスピード感重視で製作されているニチアサの劇場版とは全く違う、時間もお金も十分に投入され独特の世界観を余す事なく表現したどっしりした映像作品になっています。
 もう当然のように電柱と線路が映り込むのを筆頭に、物語、作劇、映像表現の随所に庵野秀明がこれまで手掛けた「新世紀エヴァンゲリオン」「シン・ゴジラ」「式日」「キューティーハニー」などの諸作品の要素が散りばめられており、大作であると同時に二次創作的な雰囲気を持つプライベートフィルムのようなテイストになっています。かなり強烈な癖であるためそれこそ「エヴァ」を四半世紀リアルタイムで付き合って鍛えられたのでスッと入ってきた私のような人間がいる一方で、拒否反応を示す方も少なくないでしょう。

 今作を象徴する何よりの存在が「仮面」そのものにあります。ここでの仮面は「変身」することで勝手に装着されるものではなく自身の手で被るものだからです。能楽における面が、見た目が変わらないはずなのに演者の僅かな所作で喜怒哀楽を表現するように、一見奇怪にも映る仮面が時に哭き、時に怒りを、時に決意を表現しています。と同時に本郷猛役池松壮亮、一文字隼人役柄本佑の2人は自身で変身後のバトルシーンも多く演じており、洗練されていない泥臭さが生々しい身体性を持っているのは現行の「仮面ライダーギーツ」との大きな対比とも言えますね。

 あと個人的なポイントとしてはルリ子役浜辺美波がマジで可愛い。これはもう声を大にして言っておきたい。2.5次元的な緑川ルリ子役を見事なまでに演じ切って見せていて、これをスクリーンで堪能できるだけでもある意味元が取れます。

 原典を存分に活かしながら自身の映像世界をこれでもかと展開してみせる、これぞ庵野秀明ワールド。なかなか今こういう映画を大作規模で作らせてもらえる監督はいません。こういうのはある意味「祭り」と同じなのでネタバレとファンアートが溢れ返る前にサクッと観ておきましょう。

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先日、アニメーター木村貴宏さんの訃報が。
 「勇者王ガオガイガー」「コードギアス反逆のルルーシュ」のキャラクターデザインや作画監督が特に有名ですが80年代からアニメ製作に参加したほか、艶やかなボディラインを描ける画風を活かして90年代には「スチームハーツ」「VIPER」「ヴァリアブル・ジオ」などPCのアダルトゲームでも手腕を発揮しており、こちらで名前を覚えた方も少なくないのではないでしょうか。全体的にアニメらしい強調されたシルエットとビジュアルをしているのにフィギュアとして立体化した時に映えるデザインをしていたのも特徴で、2000年代に美少女フィギュアが活況を見せた事がありましたがその一翼を彼の生み出したキャラクターが担っていたようにも思います。
 「コードギアス」がロングシリーズとなったためにあまりそうは見えませんでしたが2010年代前半を最後にキャラクターデザインなどを手掛けることは無くなり、近年は原画での参加を主舞台としていましたが長く闘病されていたようですね。また彼の描くキャラクターが躍動するところを観たかった…

 こんばんは、小島@監督です。
 それにしても今年はまだ始まって3か月も経っていないのに訃報が多すぎる…

 さて、今回の映画は「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」です。

 アメリカでコインランドリーを営む中国系移民のエヴリン(ミシェル・ヨー)とウェイモンド(キー・ホイ・クァン)の夫婦。しかし店は赤字続きで国税庁から監査を受けている真っ最中。そんな中で故郷の中国から認知症を患う父親ゴン(ジェームズ・ホン)が来訪してくる上、「彼女」のいる娘ジョイ(ステファニー・スー)とも折り合いが悪くエヴリンの心労はピークに達していた。
 ある日領収書の束を抱えて国税庁を訪れたエヴリンは、同行したウェイモンドが突然「私は別の宇宙から来た。全宇宙を破壊しようとするジョブ・トゥパキが迫っている」と言い出す。混乱するエヴリンに、ウェイモンドは並行宇宙に存在する別の自分が持つスキルを取得する方法を教えるのだが。

 毎年このくらいの時期になると色々な洋画のポスターに躍る「アカデミー賞最有力」の文字。皆さんこのコピーを持つ映画にどんな印象を抱きますか?重厚な史劇でしょうか、あるいは感動的なヒューマンドラマでしょうか。しかし今年は一味も二味も違います。○○を△△に××するとかそれはもうちょいとここではダイレクトに書けないような下ネタも盛大に飛び出すジャンル無用の珍品が、作品賞を始め実に7冠を獲得し賞レースを席巻しました。
 マーベル映画でもおなじみの「マルチバース」を題材に、ひょんなことから宇宙存亡の危機と戦う羽目になった初老の主婦の活躍を描きます。

 ここでのマルチバースとは「あの時自分はこの道を選んだがあっちを選んだらこうなっていた」という無限のIFと可能性の世界。思いがけずその「可能性」にアクセスできるようになったエヴリンは、生活に追われて家庭崩壊の危機に直面している現実から飛び出していきます。エヴリンの混乱同様に観客も唐突にマルチバースの戦いに放り込まれ、状況も理屈も良く分からぬまま未見性の塊のような映像と展開に翻弄されることになります。IFの世界の中にはウォン・カーウァイの「花様年華」やピクサーの「レミーのおいしいレストラン」のパロディみたいなものもあり、更には画面のアスペクト比までちょいちょい切り替わるフリーダムぶり。
 しかもやたらガチャガチャしているのに謎の疾走感があり、中だるみも尻すぼみもしないまま走り切った挙句に最後は何だか感動させられてしまう不思議。私は一体何を観ていたのだろう。実写化された「セクシーコマンドー外伝すごいよ!マサルさん」だろうか。

 無茶苦茶な映画だけれどそれをやり切って見せる主演2人の演技も尋常じゃありません。キャリアの集大成と言って良いエヴリン役ミシェル・ヨーはもちろんですが、子役時代に「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」や「グーニーズ」で脚光を浴びるもその後は映画製作の方にシフトし長く俳優業から離れていたウェイモンド役キー・ホイ・クアンは本格的な復帰後第一作となる今作で見事どころじゃないカムバックを果たしました。しかもミシェル・ヨーは主演女優賞を、キー・ホイ・クァンは助演男優賞をそれぞれ獲得する栄誉に浴しています。

 コレが作品賞まで獲ってしまうとは保守的と思われたアカデミー賞も結構ロック。こういうのは熱いうちに押さえておくに限るので上映中にスクリーンで観ておきましょう。かなりトガってるので合わない方も多いかとは思いますがそれはそれ!

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昨年の健康診断の結果が今ひとつだったので、特定保健指導を受けることに。抑うつ状態と診断される直前の時期に行ったものですが、今見るとなるほど前年比であれこれ悪くなっててメンタルの悪化がこういうところにも数字に現れていたのかと妙に感心してしまうくらい。

 こんばんは、小島@監督です。
 まあ取り敢えずは減量しろって話ですよ(笑)。せめて去年よりは良い状態に持って行かないとね。

 さて、今回の映画は「BLUE GIANT」です。

 ジャズに魅了され、テナーサックスを始めた宮本大(声・山田裕貴)は世界一のジャズプレイヤーになることを夢見て仙台から上京した。大学入学を機に上京した高校の同級生・玉田俊二(声・岡山天音)のもとに転がり込んだ大は、ある日訪れたライブハウスでピアニスト・沢辺雪祈(声・間宮祥太朗)と出会う。大は雪祈にバンドを組もうと持ち掛けるのだった。

 ジャズをモチーフにした映画の歴史は古く、世界最初の音声映画のタイトルが「ジャズ・シンガー」(1927年)だったりするほどです。発祥の地がアメリカ南部のニューオリンズである故にジャズ映画はアメリカの独壇場のように思われがちですが、日本にも「さらばモスクワ愚連隊」(1968年)「ジャズ大名」(1986年)「スウィングガールズ」(2004年)のような例があり、独自の系譜を形成しています。その日本ジャズ映画の新たな系譜であると同時にアニメ映画・青春映画としても傑作の部類に入る作品が登場しました。
 石塚真一のコミックを原作に、「モブサイコ」「名探偵コナン ゼロの執行人」などを手掛けた立川譲が監督を務めました。音楽を担ったのは日本ジャズのフロントランナーの一人であるピアニスト・上原ひろみ。面白いのは脚本を書いたNUMBER8という方、なんと「BLUE GIANT」の担当編集者だそうです。作者に引けを取らないほどのクリエイティブな人物が編集に居たりするものなのですね。

 強い音楽があり、映像があるなら、ストーリーを語るのにセリフは決して前に出る必要は無い、という映像作品としてはある意味当然のことを真っ直ぐに叩き付けてくる作品です。原作の単行本10巻分を120分にまとめているとのことでいささか駆け足気味ではありますが、特に大たちのライブに足を運ぶ観客たちにも相応の想いやドラマがあることを僅かな点描で示唆してみせる手腕は大したもの。
 思いの全てをサックスにこめるパワースタイルの大、華麗なテクニックを見せつける雪祈、キャリアが浅い故に必死になって叩く俊二のドラム、これらが重なり合うセッション、上映時間の30%近くを占めるライブシーンは音だけでなくそれを視覚化した映像も見事でそれらが織りなすエモーションはまさに比類が無い。上原ひろみら日本のトップジャズアーティストらの名演と言って良いこのライブシーンの迫力は自宅のTVじゃどうしたって格落ちするので劇場での鑑賞は必須。選べるならなるたけ音響の良いところを選んで欲しいくらいです。

 欠点があるとすればライブシーンにおいてCGも多用されているのですが、手書きのシーンに対して質感が浮いているシーンが散見されることでしょうか。「けいおん!」などが軽々とやっているように見えるので一見忘れがちですが楽器演奏をアニメートするというのは実は相当に難しい代物である故、致し方ないのかもしれませんがもう少し質感のすり合わせをして欲しかったカットがあります。
 とは言えそんなのは些細な欠点。圧巻の音楽と映像を是非ともスクリーンで体感して欲しいですね。
 なお、エンドクレジット後にもうワンシーンあります。おまけどころかそれが無いとちゃんと映画がオチないので場内が明るくなるまで席をお立ちになりませんよう。あと、LP盤を模したパンフレットが最高にカッコいいのですが、非常にデカいので購入を検討している方はトートバッグもご持参ください。


 

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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
 初参加の方が多く集まっている部屋を訪ねてみたら、世代の違いを痛感してしまうなど(苦笑)。でも知っているところだけでまとまるようにするより果敢に新しいのにも挑んで行った方が楽しいかも。「次はどうしようかな」と考えられるのは良いですね。

 こんばんは、小島@監督です。
 まあ言うて私、今回はライブ明けの勢いでアイマスで固め込んだんですけれども(笑)

 さて、今回の映画は「アントマン&ワスプ:クアントマニア」です。

 かつてサノスとの戦いにおいて重要な役割を果たしたアントマンことスコット・ラング(ポール・ラッド)。今は家族と共に穏やかな時間を過ごし、アベンジャーズの一員として自叙伝を出版するなど順風満帆な日々を送っていた。しかしある時、娘キャシー(キャスリン・ニュートン)が作った装置が起こしたトラブルによりスコットとその家族は量子世界に引きずり込まれてしまう。原子よりも小さな世界で、彼等を待っていたのは時空を超えて全てを支配しようとする征服者・カーン(ジョナサン・メジャース)との遭遇だった。

 昨年11月公開の「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」でフェーズ4の幕を下ろした「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」。新たなフェーズのキックオフを担ったのはしがない中年でありながらヒーローになったスコット・ラングことアントマンとその一家。量子世界でサノス後のシリーズを横断する事になるスーパーヴィラン・カーンと出会うことになります。フェーズ4ではサノスとの戦いを経たヒーローたちのその後を描く物語か、新ヒーローの誕生を描く物語が中心となり、個々で輝く作品は多かったもののシリーズを横断する様な展開は薄めでしたが、新アベンジャーズの誕生も示唆される今作からはまた数々の作品を巻き込む大きな流れを作り出して行くようです。

 原子よりも小さな量子世界という舞台に、マルチバース全てを支配しようとするカーンと、最小のコミュニティとも言うべき家族で挑むアントマンたち。この極端な大と小の混在が今作の魅力と言えるでしょう。カーン以外にも続々と登場する新キャラクター達といい個性的な登場人物群がわちゃわちゃしてる感じはいかにもコミックらしい楽しさと言えますね。世界規模の戦いに巻き込まれることになってもスコットの家族第一なスタンスは変わらないところが物語の大きな軸にもなっていますし、才能はあるけど空回りしがちで何となくポンコツなキャシーを演じるキャスリン・ニュートンの可愛らしさもポイントですね。

 一方で、説明の必要のある設定や新要素を語ることを変に後回しにしてしまっていたり、「世界規模」あるいは「宇宙規模」の戦いというとどうしても「アレ」(直接タイトル名を挙げるとネタバレになりそうなのでここでは伏せます)を意識せざるを得ないのだろうか、というくらい既視感に満ちた展開と映像が続く後半などイマイチ乗り切れない箇所も多く見受けられました。こちらの期待が大き過ぎた可能性も無くは無いですが、なかなか面白いアイディアを映像化したシーンもあっただけに少し残念な気もします。コロナ禍で一旦は足踏みしたものの、映画だけでも年に4〜5本、更にドラマシリーズもあるというハイペースな製作体制、VFXを手掛けるスタッフの過重労働が取り沙汰される程の状況が作品のクオリティに影響を及ぼし始めているのかもしれません。あるいはタイトルが増えすぎて作品世界のクオリティコントロールが難しくなりつつあるのかも。極端なレベルダウンを来しているわけではないのですが、先々に一抹の不安を覚えました。
 今のところ2025年に「アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ」と題された新たなアベンジャーズの映画が準備されています。そこまでにMCUが「インフィニティ・ウォー」や「エンド・ゲーム」の様な盛り上がりを獲得できるのか。ここからの爆発を期待したいですね。

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