本日の昼ごろ、漫画家・松本零士さんの訃報が。
SFというものを、初めて意識したのはもしかしたら「銀河鉄道999」だったかもしれません。漆黒の宇宙を汽笛を響かせながら駆ける蒸気機関車の姿、永遠に生きられる機械の体を求めながら、有限の中で眩しく輝く生命と感情の煌めきを描き上げたドラマに少年の日の自分は釘付けになりました。
こんばんは、小島@監督です。
その命は尽きて遠く時の輪の接するところまで旅立ってしまっても、魂は尽きる事なく作品の中で輝き続けることでしょう。
ご冥福をお祈りいたします。
さて、今回の映画は「仕掛人・藤枝梅安 第一作」です。
品川台町で鍼医者を営み町民から慕われる藤枝梅安(豊川悦司)には、「蔓」と呼ばれる元締めから報酬をもらい、生かしてはおけない者を闇に葬る「仕掛人」としてのもう一つの顔があった。その日も「仕掛」を終えた梅安は、同じ仕掛人仲間であり、楊枝作りの職人でもある彦次郎(片岡愛之助)の家に泊まったその帰り道、浪人・石川友五郎(早乙女太一)が刺客に襲撃されるも返り討ちにする場を目撃した。
後刻、梅安は蔓である羽沢の嘉兵衛(柳葉敏郎)から料理屋・万七の女将・おみの(天海祐希)を葬ってほしいという新たな仕掛を依頼される。おみのの素性の調査を始めた梅安は、やがて思いがけない事実を知ることになる。
かつては隆盛を誇りながらめっきり製作本数が減ってしまった時代劇。CSの時代劇専門チャンネルはそれに抗うように気骨のある作品を発表し続けていましたが、池波正太郎生誕100周年という今年に「剣客商売」「鬼平犯科帳」と並ぶ彼の代表作の一つである「仕掛人・藤枝梅安」を世界へ発信すべく二部作を連続公開という形で映画化。その第一作が現在公開中です。なお、タイトルの「第一作」はあくまで便宜上の呼称のようで画面に表示されるタイトルはただ「仕掛人・藤枝梅安」となっています。
また、終盤に第二作への引きとなるシーンがあるものの、ほぼ第一作単体で作品として成立しており、例えば今作を観ないままに第二作(4月公開予定)だけを鑑賞しても恐らく問題は無いのではと思います。
重厚な出演陣のアンサンブル、暗めの色調がもたらすハードで劇画的な雰囲気、川井憲次の手掛ける音楽、全てが一体となって非常に魅力的な映像が展開します。特に主演・豊川悦司の匂い立つような苦み走った色気がこの彩度を落とした映像にベストマッチ。その居住まいだけで映画の格を一段階上げるパワーを放っています。
登場人物の業が絡み合った、かなり凝ったシナリオをしているためかところどころテンポの悪い箇所が見受けられるものの、この欠点を補って余りある面白さがあります。
鍼医者として人を救う一方で、その鍼で人の命を奪う梅安。善と悪、生と死が紙一重で併存する矛盾を最も良く表現しているのが池波正太郎作品ではお馴染みともいえる食事のシーン。この映画でも劇中に何度も登場します。単純で素朴な料理ほど美味しそうに見えるのもポイントですが、梅安と彦次郎が口にするそれらの食事たちの多くがさながら「最後の晩餐」のように仕掛人の業を強調しているのが見事です。
このご時世に敢えて攻めた時代劇を世に送り出す矜持を存分に見せてくれる、熱い逸品。こういうのが観たい、観てみたいと思っている方も結構いるのでは。スクリーンで時代劇を観る楽しさを多くの方に味わって欲しいですね。
SFというものを、初めて意識したのはもしかしたら「銀河鉄道999」だったかもしれません。漆黒の宇宙を汽笛を響かせながら駆ける蒸気機関車の姿、永遠に生きられる機械の体を求めながら、有限の中で眩しく輝く生命と感情の煌めきを描き上げたドラマに少年の日の自分は釘付けになりました。
こんばんは、小島@監督です。
その命は尽きて遠く時の輪の接するところまで旅立ってしまっても、魂は尽きる事なく作品の中で輝き続けることでしょう。
ご冥福をお祈りいたします。
さて、今回の映画は「仕掛人・藤枝梅安 第一作」です。
品川台町で鍼医者を営み町民から慕われる藤枝梅安(豊川悦司)には、「蔓」と呼ばれる元締めから報酬をもらい、生かしてはおけない者を闇に葬る「仕掛人」としてのもう一つの顔があった。その日も「仕掛」を終えた梅安は、同じ仕掛人仲間であり、楊枝作りの職人でもある彦次郎(片岡愛之助)の家に泊まったその帰り道、浪人・石川友五郎(早乙女太一)が刺客に襲撃されるも返り討ちにする場を目撃した。
後刻、梅安は蔓である羽沢の嘉兵衛(柳葉敏郎)から料理屋・万七の女将・おみの(天海祐希)を葬ってほしいという新たな仕掛を依頼される。おみのの素性の調査を始めた梅安は、やがて思いがけない事実を知ることになる。
かつては隆盛を誇りながらめっきり製作本数が減ってしまった時代劇。CSの時代劇専門チャンネルはそれに抗うように気骨のある作品を発表し続けていましたが、池波正太郎生誕100周年という今年に「剣客商売」「鬼平犯科帳」と並ぶ彼の代表作の一つである「仕掛人・藤枝梅安」を世界へ発信すべく二部作を連続公開という形で映画化。その第一作が現在公開中です。なお、タイトルの「第一作」はあくまで便宜上の呼称のようで画面に表示されるタイトルはただ「仕掛人・藤枝梅安」となっています。
また、終盤に第二作への引きとなるシーンがあるものの、ほぼ第一作単体で作品として成立しており、例えば今作を観ないままに第二作(4月公開予定)だけを鑑賞しても恐らく問題は無いのではと思います。
重厚な出演陣のアンサンブル、暗めの色調がもたらすハードで劇画的な雰囲気、川井憲次の手掛ける音楽、全てが一体となって非常に魅力的な映像が展開します。特に主演・豊川悦司の匂い立つような苦み走った色気がこの彩度を落とした映像にベストマッチ。その居住まいだけで映画の格を一段階上げるパワーを放っています。
登場人物の業が絡み合った、かなり凝ったシナリオをしているためかところどころテンポの悪い箇所が見受けられるものの、この欠点を補って余りある面白さがあります。
鍼医者として人を救う一方で、その鍼で人の命を奪う梅安。善と悪、生と死が紙一重で併存する矛盾を最も良く表現しているのが池波正太郎作品ではお馴染みともいえる食事のシーン。この映画でも劇中に何度も登場します。単純で素朴な料理ほど美味しそうに見えるのもポイントですが、梅安と彦次郎が口にするそれらの食事たちの多くがさながら「最後の晩餐」のように仕掛人の業を強調しているのが見事です。
このご時世に敢えて攻めた時代劇を世に送り出す矜持を存分に見せてくれる、熱い逸品。こういうのが観たい、観てみたいと思っている方も結構いるのでは。スクリーンで時代劇を観る楽しさを多くの方に味わって欲しいですね。
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こんばんは、小島@監督です。
週末、本当に夢のような2日間を過ごして来ました。やたらと重い腕と足、そして迂闊に寝落ちすると終点まで寝込んだしまいそうだからカフェイン強めのお茶を飲みつつ新幹線の中でこの文章を書いているこの状況が、その時間が夢ではなかったことの証明です。
そう、この11日12日と東京ドームで開催された「 THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023」 を観てきました。アイドルマスター5ブランドが一堂に介しての合同ライブです。今回はもう私としても久しぶりにがっつり両日現地参戦。
配信コンテンツやバンナムフェスでブランド合同は過去にもあったものの、アイドルマスターの単独イベントでは初めて。そして今回は開催1週間前に声出しでの応援が解禁となり、3年ぶりにコールを入れられるライブとなりました。出演者の中にはこの3年の間にアイマスに加わった者もおり、というか声優としてのデビューがこの期間中という方もいましたのでその方にとってはもしかして初めて浴びる歓声だったのではないかという気もします。
ライブは「THE IDOLM@STER」「Glow map」など各ブランドを代表する全体曲をショートメドレーで繋ぐことから始まりました。で、長くライブを観てきていても、今まで流石にそれは無かった「開幕1曲目から落涙」という経験を、今回初めてやってしまいました。いや〜声出せるって良いですね(笑)!声援を受けて明らかにハイになっている出演者もおり、声援がパフォーマンスを一段上に引き上げる様を久しぶりに観れました。
ライブの開催が発表された際に、作中のユニット主体で出演者が紹介されていたので一種の対バン形式でのライブイベントになるのかと当初思っていたのですが、序盤からコラボレーションをこれでもかと突っ込んでくるアベンジャーズかスパロボみたいなストロングスタイル。今やキャラクターが300人以上いるアイマスですので「この曲をこの人とその人が組んで歌ったら面白いだろうな」とは多くの方が一度は思ったに違い無いのですが、それをとにかく大量投入してきて、その様はさながら総火演か何かのよう。選曲もそれを歌う人選もキャラクターや演じる声優の特性、ストーリー性なども良く吟味されていて、こんなに隙の無いライブはあまりお目に掛かったことがありません。イケボな女性声優集めて「MOONNIGHTのせいにして」とか青い歌姫揃えて「DYE THE SKY」とかツンデレだけ並べて「ラ♡ブ♡リ」とか観たかったに決まっとろうが!ありがとう!!
ライブの方向性を端的に示してくれたのがDay1序盤に披露された「ミリオンライブ」のユニット「Clearsky」と「シャイニーカラーズ」のユニット「ノクチル」がコラボしての「Shihy smile」。どちらも青春の淡さを備えたユニットを組ませて、駆け出すような思春期の心情を歌うこの曲をあてがうセンスの妙に唸りました。
新曲や鉄板な定番曲よりむしろその日出演していない人やユニットの持ち歌が多く投入されているのも特徴で、予想外と予想以上がバンバン来る心地良さもありましたね。
今回マジで1曲1曲噛み砕いて語りたいくらいなのですが、それをやるといくら何でも文字数がおかしな事になるのでまたの機会に。
コロナ禍が始まり、ライブそのものができなくなった2020年に15周年を迎えたアイドルマスター。その際に企画されていたことの多くは中止・延期を余儀なくされ、運営側もファンの側も試行錯誤を繰り返し、ようやく不自由さと折り合いをつけながら進む道を見つけた。皆が皆いつか来る「その日」を思いながら。その果てにこの2日間が待っていました。遠回りした時間はきっと無駄では無かった。そしてここはまだ終わりではなく通過点だと言えるのも嬉しい。
きっと、ここからまた始まるのです。ただ今はまだこの余韻を噛み締めていよう。腕もまだ重いしね。
週末、本当に夢のような2日間を過ごして来ました。やたらと重い腕と足、そして迂闊に寝落ちすると終点まで寝込んだしまいそうだからカフェイン強めのお茶を飲みつつ新幹線の中でこの文章を書いているこの状況が、その時間が夢ではなかったことの証明です。
そう、この11日12日と東京ドームで開催された「 THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023」 を観てきました。アイドルマスター5ブランドが一堂に介しての合同ライブです。今回はもう私としても久しぶりにがっつり両日現地参戦。
配信コンテンツやバンナムフェスでブランド合同は過去にもあったものの、アイドルマスターの単独イベントでは初めて。そして今回は開催1週間前に声出しでの応援が解禁となり、3年ぶりにコールを入れられるライブとなりました。出演者の中にはこの3年の間にアイマスに加わった者もおり、というか声優としてのデビューがこの期間中という方もいましたのでその方にとってはもしかして初めて浴びる歓声だったのではないかという気もします。
ライブは「THE IDOLM@STER」「Glow map」など各ブランドを代表する全体曲をショートメドレーで繋ぐことから始まりました。で、長くライブを観てきていても、今まで流石にそれは無かった「開幕1曲目から落涙」という経験を、今回初めてやってしまいました。いや〜声出せるって良いですね(笑)!声援を受けて明らかにハイになっている出演者もおり、声援がパフォーマンスを一段上に引き上げる様を久しぶりに観れました。
ライブの開催が発表された際に、作中のユニット主体で出演者が紹介されていたので一種の対バン形式でのライブイベントになるのかと当初思っていたのですが、序盤からコラボレーションをこれでもかと突っ込んでくるアベンジャーズかスパロボみたいなストロングスタイル。今やキャラクターが300人以上いるアイマスですので「この曲をこの人とその人が組んで歌ったら面白いだろうな」とは多くの方が一度は思ったに違い無いのですが、それをとにかく大量投入してきて、その様はさながら総火演か何かのよう。選曲もそれを歌う人選もキャラクターや演じる声優の特性、ストーリー性なども良く吟味されていて、こんなに隙の無いライブはあまりお目に掛かったことがありません。イケボな女性声優集めて「MOONNIGHTのせいにして」とか青い歌姫揃えて「DYE THE SKY」とかツンデレだけ並べて「ラ♡ブ♡リ」とか観たかったに決まっとろうが!ありがとう!!
ライブの方向性を端的に示してくれたのがDay1序盤に披露された「ミリオンライブ」のユニット「Clearsky」と「シャイニーカラーズ」のユニット「ノクチル」がコラボしての「Shihy smile」。どちらも青春の淡さを備えたユニットを組ませて、駆け出すような思春期の心情を歌うこの曲をあてがうセンスの妙に唸りました。
新曲や鉄板な定番曲よりむしろその日出演していない人やユニットの持ち歌が多く投入されているのも特徴で、予想外と予想以上がバンバン来る心地良さもありましたね。
今回マジで1曲1曲噛み砕いて語りたいくらいなのですが、それをやるといくら何でも文字数がおかしな事になるのでまたの機会に。
コロナ禍が始まり、ライブそのものができなくなった2020年に15周年を迎えたアイドルマスター。その際に企画されていたことの多くは中止・延期を余儀なくされ、運営側もファンの側も試行錯誤を繰り返し、ようやく不自由さと折り合いをつけながら進む道を見つけた。皆が皆いつか来る「その日」を思いながら。その果てにこの2日間が待っていました。遠回りした時間はきっと無駄では無かった。そしてここはまだ終わりではなく通過点だと言えるのも嬉しい。
きっと、ここからまた始まるのです。ただ今はまだこの余韻を噛み締めていよう。腕もまだ重いしね。
行動規制緩和の波がアイマスにも。今週末開催のライブから遂に声出しが解禁となり3年ぶりにコール入れられる現場が帰って来ます。OK OK、今からでも腹筋鍛えにかからなくてはなりませんな。
こんばんは、小島@監督です。
コールの入れ方忘れていそうでそれだけちょっと心配(笑)
さて、今回の映画は「キラーカブトガニ」です。
カリフォルニア州の海辺の街のビーチで奇妙な事件が起こった。何かに体を食い荒らされた鯨の死体が流れ着いたのだ。更には白骨化した人間までも発見された。しかも街の一角でカブトガニに顔を食いちぎられるという事件まで発生し街はパニックに陥る。
下半身が不自由で車椅子生活を送る高校生フィル(ディラン・ライリー・スナイダー)はどうにかして歩きたいと悪戦苦闘の日々を送っていた。プロムの夜、フィルはガールフレンドのマディ(アリー・ジェニングス)や兄のハンター(ブライス・ダーフィー)、留学生のラドゥ(チェイス・パジェット)たちともども狂暴化したカブトガニの襲撃に立ち向かうことになる。
サメとかピラニアとかいろいろやってくる海から、意外と今まで無かったカブトガニが襲来する映画が登場です。監督はこれが長編デビュー作となるピアース・ベロルツハイマー。ピアース監督は脚本、製作も一手に担い、6年がかりで完成にこぎつけたそうです。「エイリアン」のフェイスハガーのような動きで人間に襲い掛かる小型カブトガニが脱皮を繰り返し人間サイズになり、更にそれ以上の巨体に成長する個体まで登場します。
物語もVFXも緩く、言ってしまえばB級どころかC級に類する作品ですが、それで吐いて捨てるにはちょっと惜しい「何か」を感じさせる映画です。チープなCG主体だろうと思っていたらパペットやスーツアクト主体というアナログ色の強い画面と言い、ホラーコメディを基調にモンスターパニックから怪獣特撮へとシフトチェンジする展開と言い馬鹿馬鹿しいのに何だか妙に心惹かれるものがあります。
こんな作品だと言うのに足の動かなかったり発達障害と思しきキャラクターがサラッとメインを張っており、ハンディキャップのある人を腫物のように扱わない姿勢は日本の作品ではあまり見かけないので興味深いところでもありますね。
更に面白いことに、この映画、日本の特撮へのリスペクトが強く感じられるのも特徴です。クライマックスの展開はそんな日本へのラブコールのようにも見えるのが微笑ましい。
「シャークネード」や「ダブルヘッドシャーク」などサメ映画がジャンルとして先鋭化していった背景には日本市場からのニーズが無視できなかったとどこかで聞いたことがありますが、こういうのを観ていると何となくそれも実感できてしまいます。
日本の特撮が好き過ぎていつか自分で作ってみたかった海の向こうの映画少年な作り手と、そういうのを受け入れてしまえる日本のファンの一種の共犯関係を楽しむ映画と言えるでしょう。
はっきり言ってゲテモノなので毒にも薬にもならぬものを楽しめるタイプでない方には一切観る必要の無い映画です。こういう珍品映画をたま~に観たくなってしまう方だけどうぞ。
こんばんは、小島@監督です。
コールの入れ方忘れていそうでそれだけちょっと心配(笑)
さて、今回の映画は「キラーカブトガニ」です。
カリフォルニア州の海辺の街のビーチで奇妙な事件が起こった。何かに体を食い荒らされた鯨の死体が流れ着いたのだ。更には白骨化した人間までも発見された。しかも街の一角でカブトガニに顔を食いちぎられるという事件まで発生し街はパニックに陥る。
下半身が不自由で車椅子生活を送る高校生フィル(ディラン・ライリー・スナイダー)はどうにかして歩きたいと悪戦苦闘の日々を送っていた。プロムの夜、フィルはガールフレンドのマディ(アリー・ジェニングス)や兄のハンター(ブライス・ダーフィー)、留学生のラドゥ(チェイス・パジェット)たちともども狂暴化したカブトガニの襲撃に立ち向かうことになる。
サメとかピラニアとかいろいろやってくる海から、意外と今まで無かったカブトガニが襲来する映画が登場です。監督はこれが長編デビュー作となるピアース・ベロルツハイマー。ピアース監督は脚本、製作も一手に担い、6年がかりで完成にこぎつけたそうです。「エイリアン」のフェイスハガーのような動きで人間に襲い掛かる小型カブトガニが脱皮を繰り返し人間サイズになり、更にそれ以上の巨体に成長する個体まで登場します。
物語もVFXも緩く、言ってしまえばB級どころかC級に類する作品ですが、それで吐いて捨てるにはちょっと惜しい「何か」を感じさせる映画です。チープなCG主体だろうと思っていたらパペットやスーツアクト主体というアナログ色の強い画面と言い、ホラーコメディを基調にモンスターパニックから怪獣特撮へとシフトチェンジする展開と言い馬鹿馬鹿しいのに何だか妙に心惹かれるものがあります。
こんな作品だと言うのに足の動かなかったり発達障害と思しきキャラクターがサラッとメインを張っており、ハンディキャップのある人を腫物のように扱わない姿勢は日本の作品ではあまり見かけないので興味深いところでもありますね。
更に面白いことに、この映画、日本の特撮へのリスペクトが強く感じられるのも特徴です。クライマックスの展開はそんな日本へのラブコールのようにも見えるのが微笑ましい。
「シャークネード」や「ダブルヘッドシャーク」などサメ映画がジャンルとして先鋭化していった背景には日本市場からのニーズが無視できなかったとどこかで聞いたことがありますが、こういうのを観ていると何となくそれも実感できてしまいます。
日本の特撮が好き過ぎていつか自分で作ってみたかった海の向こうの映画少年な作り手と、そういうのを受け入れてしまえる日本のファンの一種の共犯関係を楽しむ映画と言えるでしょう。
はっきり言ってゲテモノなので毒にも薬にもならぬものを楽しめるタイプでない方には一切観る必要の無い映画です。こういう珍品映画をたま~に観たくなってしまう方だけどうぞ。
昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした!
実に1年ぶりというブランクに、慣らし運転のような感じで行こうかと思っていたらそんなに甘くなかったというか、あんなにがっつり歌い込むことになろうとは。ハードなリハビリだぜ(笑)
こんばんは、小島@監督です。
とは言え今度こそ以前の様な定期開催ができる日々が戻って来て欲しいですね。もちろん私も来月も行く気満々ですよ。
さて、今回の映画は「ほの蒼き瞳」です。
1830年冬、ニューヨーク州ウエストポイントの陸軍士官学校で一人の士官候補生が遺体となって発見された。心臓がくりぬかれたその異様な遺体の噂が広まることで学校の体面に傷が付くことを恐れた士官学校の幹部たちは、引退して隠棲していた地元の元刑事オーガスタス・ランドー(クリスチャン・ベール)に秘かにコンタクトを取り、事件の調査を依頼する。調査を進める中でランドーは詩をこよなく愛する風変わりな士官候補生エドガー・アラン・ポー(ハリー・メリング)と出会い、捜査の協力を求めるが。
「ファーナス 訣別の朝」など硬派なクライム・ドラマを得意とする監督スコット・クーパーと名優クリスチャン・ベール、これで3度目のタッグとなる今作はルイス・ベイヤードの出世作となった「陸軍士官学校の死」を原作にした、実在の人物も織り交ぜながら展開するノワール・サスペンス映画です。雪の降り積もる冬、闇夜と霧が立ち込めどこかモノトーンの陰鬱で静謐な画面とともに重厚な物語が綴られます。
昨年12月に一部劇場で先行公開されたのち、現在はNetflixで配信されています。公開時にタイミングを掴めず今回配信で観ましたが、こちらも慣れてきてしまっているとは言えこのクラスの作品でも劇場公開より配信が基本フォーマットという昨今の潮流には驚きを禁じ得ませんね。
今作でのクリスチャン・ベールは引退した元刑事ランドー、更には妻とは死別し一人娘も失踪していなくなってしまい失意と厭世の日々を送る人物です。ただそこはクリスチャン・ベール、当然只者ではありません。くたびれきった風貌ながら、刑事としての力量は確か。しかしそれ以上に闇も抱えている人物を強烈な説得力を以って演じています。
そんなランドーとコンビを組むことになるのはエドガー・アラン・ポー。言わずと知れたゴシックとホラー、そして推理小説の先駆的人物です。残っている写真を見ると細面なので体が弱いような印象を受けていましたが、実際は陸軍士官学校に在籍していた(ただし規則違反で退学になってる)ことを思えば虚弱体質などではなかったに違いありません。この映画でもポーは繊細な心情の持ち主でありつつも割とタフな一面が描かれたりしており、ランドーとポー、凸凹というには緊張感のあるコンビが物語を牽引します。ポーを演じるハリー・メリングの演技も素晴らしく、クリスチャン・ベールとのハイレベルな演技のぶつかり合いはこの映画を形作る重要なファクターです。
ところでポーの晩年に近い時期の著作に「ランダーの別荘」という作品があり、今作の主人公もランドー(訳し方の違いだけで綴りは同じ)という名ですし、探せばポーの著作に因んだ小ネタがもっと忍んでいるかもしれません。
非常によく練られたミステリーで、物語は最後まで予断を許しません。最後に訪れる結末の苦い余韻はなかなかです。渋みのある作品を味わいたい時には打ってつけです。ただやっぱりこういう作品はスクリーンで観たいですね。自宅だとどうしても邪魔が入ったりしますし。
実に1年ぶりというブランクに、慣らし運転のような感じで行こうかと思っていたらそんなに甘くなかったというか、あんなにがっつり歌い込むことになろうとは。ハードなリハビリだぜ(笑)
こんばんは、小島@監督です。
とは言え今度こそ以前の様な定期開催ができる日々が戻って来て欲しいですね。もちろん私も来月も行く気満々ですよ。
さて、今回の映画は「ほの蒼き瞳」です。
1830年冬、ニューヨーク州ウエストポイントの陸軍士官学校で一人の士官候補生が遺体となって発見された。心臓がくりぬかれたその異様な遺体の噂が広まることで学校の体面に傷が付くことを恐れた士官学校の幹部たちは、引退して隠棲していた地元の元刑事オーガスタス・ランドー(クリスチャン・ベール)に秘かにコンタクトを取り、事件の調査を依頼する。調査を進める中でランドーは詩をこよなく愛する風変わりな士官候補生エドガー・アラン・ポー(ハリー・メリング)と出会い、捜査の協力を求めるが。
「ファーナス 訣別の朝」など硬派なクライム・ドラマを得意とする監督スコット・クーパーと名優クリスチャン・ベール、これで3度目のタッグとなる今作はルイス・ベイヤードの出世作となった「陸軍士官学校の死」を原作にした、実在の人物も織り交ぜながら展開するノワール・サスペンス映画です。雪の降り積もる冬、闇夜と霧が立ち込めどこかモノトーンの陰鬱で静謐な画面とともに重厚な物語が綴られます。
昨年12月に一部劇場で先行公開されたのち、現在はNetflixで配信されています。公開時にタイミングを掴めず今回配信で観ましたが、こちらも慣れてきてしまっているとは言えこのクラスの作品でも劇場公開より配信が基本フォーマットという昨今の潮流には驚きを禁じ得ませんね。
今作でのクリスチャン・ベールは引退した元刑事ランドー、更には妻とは死別し一人娘も失踪していなくなってしまい失意と厭世の日々を送る人物です。ただそこはクリスチャン・ベール、当然只者ではありません。くたびれきった風貌ながら、刑事としての力量は確か。しかしそれ以上に闇も抱えている人物を強烈な説得力を以って演じています。
そんなランドーとコンビを組むことになるのはエドガー・アラン・ポー。言わずと知れたゴシックとホラー、そして推理小説の先駆的人物です。残っている写真を見ると細面なので体が弱いような印象を受けていましたが、実際は陸軍士官学校に在籍していた(ただし規則違反で退学になってる)ことを思えば虚弱体質などではなかったに違いありません。この映画でもポーは繊細な心情の持ち主でありつつも割とタフな一面が描かれたりしており、ランドーとポー、凸凹というには緊張感のあるコンビが物語を牽引します。ポーを演じるハリー・メリングの演技も素晴らしく、クリスチャン・ベールとのハイレベルな演技のぶつかり合いはこの映画を形作る重要なファクターです。
ところでポーの晩年に近い時期の著作に「ランダーの別荘」という作品があり、今作の主人公もランドー(訳し方の違いだけで綴りは同じ)という名ですし、探せばポーの著作に因んだ小ネタがもっと忍んでいるかもしれません。
非常によく練られたミステリーで、物語は最後まで予断を許しません。最後に訪れる結末の苦い余韻はなかなかです。渋みのある作品を味わいたい時には打ってつけです。ただやっぱりこういう作品はスクリーンで観たいですね。自宅だとどうしても邪魔が入ったりしますし。
なにぶん不調の源がメンタルなので、復職したとはいえ良くなってるかどうかの感覚がイマイチ分からなかったのですが、思いがけないところで調子が戻りつつあることの実感を掴めました。
読書ができるようになってきたのです。ここ数か月まともに「本を読む」ことができず、文章を読んでいてもただ文字の流れを目で追っているだけで内容がまるで頭に入ってこなかったのですが、ようやく「読める」ようになってきました。まだ調子良かった時ほどのスピードでとはいかないものの、やっと小説を楽しめる感覚が戻ってきて嬉しい限り。
こんばんは、小島@監督です。
このままいろいろ順調に戻ってくると良いのですが。
さて、今回の映画は「SHE SAID その名を暴け」です。
2017年、ニューヨークタイムズの調査報道記者ジョディ(ゾーイ・カザン)は、ハリウッド女優のローズ・マッゴーワンが著名な映画プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインから性暴力を受けたという情報を掴み、彼女へのインタビューを開始した。しかし、マッゴーワンは事実を認めるもののキャリアへの悪影響を恐れて記事に実名を出すことは拒否された。
ジョディは産休から復帰したミーガン(キャリー・マリガン)と共にワインスタインの過去を調べ始める。数十年に及ぶワインスタインの性暴力についての情報を掴む2人だが、示談で被害者に金銭を掴ませるとともに秘密保持条項を結ばせることで沈黙を強いるワインスタインの方策と、それを長年許してきた業界の隠蔽構造に調査は難航する。
2017年にニューヨークタイムズが発表し、社会現象を巻き起こしたと言っていい一つの記事。「恋におちたシェイクスピア」や「ロード・オブ・ザ・リング」などをプロデュースし、映画製作会社「ミラマックス」を成功させたハリウッドの重鎮ハーヴェイ・ワインスタインの性暴力を告発したその記事は映画業界を超えて性犯罪の被害の告白を促し、いわゆる「♯MeToo運動」を加速させることへと繋がりました。その調査報道を手掛けたジャーナリスト、ジョディ・カンターとミーガン・トゥーイーの2人が如何にして記事を書き上げるに至ったかを描き上げるノンフィクション・ドラマです。
その出自、その内容からして映画化するのは必然とも言える題材に挑んだのはユダヤ教超正統派コミュニティから脱出した女性を描いたNetflixのミニシリーズ「アンオーソドックス」で高い評価を得たマリア・シュラーダー。題材が題材なだけに主要スタッフの大半を女性が占めているのも大きな特徴でしょう。また、ブラッド・ピットが製作の一人に名を連ねています。彼が率いる「プランBエンターテインメント」は「それでも夜は明ける」「マネー・ショート」など実話ベースの映画化に定評があるプロダクションで、この題材を見出すのもある意味必然と言えますね。
センセーショナルとは言えデリケートそのものの題材に、極めて真摯に繊細にアプローチされた作品です。物語は過剰にドラマチックにはならず、基本は2人のジャーナリストの地道な証拠集めが物語の大半を占めます。一見淡々とすら映る展開ですが、それがむしろスパイもののような緊張感を作り上げています。
性暴力についての物語ではありますが、直接的な描写は一切登場しません。この映画は理不尽な暴力に声を上げた女性の勇気をこそ讃えるべきものであり、そんなシーンを直接描くことに意味は無いと作り手側が悉知している様が伺えます。作中には敢えて実名どころか自身が本人役で出演している方もおり、その勇気には敬服の念を抱かずにはおきません。ただ「証拠」となるテープの音声の一つが作中そのまま登場します。それだけでも充分事態の醜悪さは分かるはずです。
やがて2人はただワインスタインのみではなく、秘密保持条項付きの示談、それを認める法律、それによりかかる業界の隠蔽体質など被害者に沈黙を強いるシステムにこそ悪の根源を見出します。このシステムの中では女性が必ずしも女性の味方をするとは限りません。ワインスタインに与する者たちの中には女性もいるという根深さ。
興味深いのは、ワインスタインだけでなく、作中でもわずかに触れられるFOXテレビのCEOロジャー・エイルズと人気司会者のビル・オライリーがセクハラで告発され失脚した事件(これはこれで「スキャンダル」というタイトルで映画化されている)も共にトランプ氏の大統領選挙当選が発端になっている点です。ミソジニーとマッチョイズムの根深さが顕在化し時代が揺り戻しされると女性の意識にある種の危機感をもたらしたのでしょうか。
2人のジャーナリストの奮闘による小さな流れはやがて暴流となって社会を突き動かすに至りました。ハリウッド映画では現在、性的なシーンの撮影をサポートするインティマシー・コーディネーターの導入が必須となったのもその一つ。一方で保守層が強い州では人工中絶を求めるデモが今も行われている事も地続きです。これは決して終わった話を回顧するのではなく現在進行形の事象をつまびらかにした作品と言えるでしょう。「今」だからこそ見るべき価値のある作品です。
しかし、こういう調査報道をテーマにした作品は昔からハリウッドの王道の一つとも言えますが、日本ではほとんどそれが作られない寂しさもまるで合わせ鏡のように突き付けられてきます。いや、それ自体が日本の問題をある意味浮き彫りにしているかもしれませんが。
読書ができるようになってきたのです。ここ数か月まともに「本を読む」ことができず、文章を読んでいてもただ文字の流れを目で追っているだけで内容がまるで頭に入ってこなかったのですが、ようやく「読める」ようになってきました。まだ調子良かった時ほどのスピードでとはいかないものの、やっと小説を楽しめる感覚が戻ってきて嬉しい限り。
こんばんは、小島@監督です。
このままいろいろ順調に戻ってくると良いのですが。
さて、今回の映画は「SHE SAID その名を暴け」です。
2017年、ニューヨークタイムズの調査報道記者ジョディ(ゾーイ・カザン)は、ハリウッド女優のローズ・マッゴーワンが著名な映画プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインから性暴力を受けたという情報を掴み、彼女へのインタビューを開始した。しかし、マッゴーワンは事実を認めるもののキャリアへの悪影響を恐れて記事に実名を出すことは拒否された。
ジョディは産休から復帰したミーガン(キャリー・マリガン)と共にワインスタインの過去を調べ始める。数十年に及ぶワインスタインの性暴力についての情報を掴む2人だが、示談で被害者に金銭を掴ませるとともに秘密保持条項を結ばせることで沈黙を強いるワインスタインの方策と、それを長年許してきた業界の隠蔽構造に調査は難航する。
2017年にニューヨークタイムズが発表し、社会現象を巻き起こしたと言っていい一つの記事。「恋におちたシェイクスピア」や「ロード・オブ・ザ・リング」などをプロデュースし、映画製作会社「ミラマックス」を成功させたハリウッドの重鎮ハーヴェイ・ワインスタインの性暴力を告発したその記事は映画業界を超えて性犯罪の被害の告白を促し、いわゆる「♯MeToo運動」を加速させることへと繋がりました。その調査報道を手掛けたジャーナリスト、ジョディ・カンターとミーガン・トゥーイーの2人が如何にして記事を書き上げるに至ったかを描き上げるノンフィクション・ドラマです。
その出自、その内容からして映画化するのは必然とも言える題材に挑んだのはユダヤ教超正統派コミュニティから脱出した女性を描いたNetflixのミニシリーズ「アンオーソドックス」で高い評価を得たマリア・シュラーダー。題材が題材なだけに主要スタッフの大半を女性が占めているのも大きな特徴でしょう。また、ブラッド・ピットが製作の一人に名を連ねています。彼が率いる「プランBエンターテインメント」は「それでも夜は明ける」「マネー・ショート」など実話ベースの映画化に定評があるプロダクションで、この題材を見出すのもある意味必然と言えますね。
センセーショナルとは言えデリケートそのものの題材に、極めて真摯に繊細にアプローチされた作品です。物語は過剰にドラマチックにはならず、基本は2人のジャーナリストの地道な証拠集めが物語の大半を占めます。一見淡々とすら映る展開ですが、それがむしろスパイもののような緊張感を作り上げています。
性暴力についての物語ではありますが、直接的な描写は一切登場しません。この映画は理不尽な暴力に声を上げた女性の勇気をこそ讃えるべきものであり、そんなシーンを直接描くことに意味は無いと作り手側が悉知している様が伺えます。作中には敢えて実名どころか自身が本人役で出演している方もおり、その勇気には敬服の念を抱かずにはおきません。ただ「証拠」となるテープの音声の一つが作中そのまま登場します。それだけでも充分事態の醜悪さは分かるはずです。
やがて2人はただワインスタインのみではなく、秘密保持条項付きの示談、それを認める法律、それによりかかる業界の隠蔽体質など被害者に沈黙を強いるシステムにこそ悪の根源を見出します。このシステムの中では女性が必ずしも女性の味方をするとは限りません。ワインスタインに与する者たちの中には女性もいるという根深さ。
興味深いのは、ワインスタインだけでなく、作中でもわずかに触れられるFOXテレビのCEOロジャー・エイルズと人気司会者のビル・オライリーがセクハラで告発され失脚した事件(これはこれで「スキャンダル」というタイトルで映画化されている)も共にトランプ氏の大統領選挙当選が発端になっている点です。ミソジニーとマッチョイズムの根深さが顕在化し時代が揺り戻しされると女性の意識にある種の危機感をもたらしたのでしょうか。
2人のジャーナリストの奮闘による小さな流れはやがて暴流となって社会を突き動かすに至りました。ハリウッド映画では現在、性的なシーンの撮影をサポートするインティマシー・コーディネーターの導入が必須となったのもその一つ。一方で保守層が強い州では人工中絶を求めるデモが今も行われている事も地続きです。これは決して終わった話を回顧するのではなく現在進行形の事象をつまびらかにした作品と言えるでしょう。「今」だからこそ見るべき価値のある作品です。
しかし、こういう調査報道をテーマにした作品は昔からハリウッドの王道の一つとも言えますが、日本ではほとんどそれが作られない寂しさもまるで合わせ鏡のように突き付けられてきます。いや、それ自体が日本の問題をある意味浮き彫りにしているかもしれませんが。
昨日開催された「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 9thLIVE ChoruSp@rkle!!」を配信で鑑賞。これまで未披露のソロ曲を中心にしつつ、ユニット曲も従来とは一味変えたリミックスで楽しませてくれるパワフルなステージを堪能。10周年を目前に、大きな弾みとなるイベントでした。終わりには久しぶりのツアー開催も発表。初日は4月ともうすぐそこ。10月にはTVアニメもスタートと、メモリアルイヤーは盛りだくさんです。
こんばんは、小島@監督です。
実は未だにミリオンライブだけ単独公演を現地で観た事が無いままここまで来てしまいました。10thツアーには名古屋公演もありますし、今度こそ現地勢したいですね。
さて、今回の映画は「銀河英雄伝説わが征くは星の大海」「新たなる戦いの序曲(オーヴァチュア)」4Kリマスター版です。
遠い未来、銀河系に進出した人類は、皇室と貴族が支配する専制国家である「銀河帝国」と共和制を標榜する「自由惑星同盟」に二分され150年に渡る戦いが続いていた。
宇宙暦795年帝国暦486年、「第四次ティアマト会戦」と呼ばれる戦役が勃発した。慢性化した戦いの一つに過ぎないと思われたその戦役は後の歴史において重要な意味を持つことになる。帝国軍の若く野心的な大将ラインハルト・フォン・ミューゼル(声・堀川亮)、帝国軍の作戦参謀ヤン・ウェンリー(声・富山敬)、二人の天才軍略家の運命が、初めて交錯する瞬間であった。
田中芳樹による長篇スペースオペラ小説「銀河英雄伝説」、その発刊40周年を記念して1988年にスタートし、10年以上かけて本伝110話外伝52話を描き上げたロングシリーズの劇場版2作品、プロローグである「わが征くは星の大海」と本伝1~2話で描かれた「アスターテ会戦」を新たなエピソードを織り交ぜて劇場用作品として再アニメ化した「新たなる戦いの序曲」を4Kリマスター化したものが公開されています。
コロナ禍で外出規制されたり職場から休業指示が出ていた頃、ちょうどAmazonプライムで配信されていたので数か月かけて全話完走しましたが、自宅で観たときはほとんどiPadでしたしせっかくスクリーンで観られるのならと2週連続で観に行ってきました。
文語体のダイアローグ、マーラーやラヴェルなどクラシックを基調に構成されたBGM、さながら古典劇のようで今観ても実に重厚かつ品格に溢れた画面をスクリーンで楽しめるのはそれだけで意味があると思いますが、今作何より特筆に値するのは4Kへのリマスターの丁寧さでしょう。「新たなる戦いの序曲」を監督した清水恵蔵が監修を行いオリジナルネガを原版として、全てをクリアにして高精細な画面にできることが技術的に可能であるにもかかわらず、昔のセルアニメは何もかも綺麗にすると却ってのっぺりした画面に見えることもあるからか時にはほこりもそのまま残してある(だから宇宙船が動くとともにほこりが横にスライドしていくように見えるショットもある)など敢えてフィルムの質感を重視した画面作りを行ったことで、4Kリマスターでありながら35㎜フィルムの映像を観ているような気分を覚えたほどです。
音声についても同様で、技術的には上映用素材をベースに疑似的な5.1chサウンドを構築するのも可能だそうなのですが、今回は敢えて当時音響監督を務めた明田川進監修のもと、三十数年前の音声と効果音のテープ素材をすべて集めて(なんとNGテイクまで含めて全て保管されていたそう)1から5.1chに組み直したそうです。その甲斐あって「わが往くは星の大海」のクライマックス、ラヴェルの「ボレロ」が流れる中で展開する第四次ティアマト会戦の一連のシーンや「新たなる戦いの序曲」でのヤンが旧友ラップとジェシカのプロポーズを見守るシーンなど、音楽の効果が強いシーンが見事な仕上がりを見せています。
映像のオリジナルネガもそうですが、音声素材もが30年以上の時を経ても使える状態で保管されいた事、また当時を知るスタッフが健在でいた事、全てが揃っていないとこれはできない。2018年からよりモダンに再アニメ化されたシリーズ「Die Neue These」が製作されていることも追い風になった事でしょう。作品自体が現在まで生き残っていることも含めて多くの幸運に支えられている作品だなと思います。
4Kリマスターってただ高精細にするだけじゃなくこういうこともできるのかと、ちょっと印象が変わりました。こういう形で旧作と新たに出会える機会があるというのは嬉しいですね。
しかし今年は年初から旧作ばかり見ている気がする。新作も観ないとな~(笑)
こんばんは、小島@監督です。
実は未だにミリオンライブだけ単独公演を現地で観た事が無いままここまで来てしまいました。10thツアーには名古屋公演もありますし、今度こそ現地勢したいですね。
さて、今回の映画は「銀河英雄伝説わが征くは星の大海」「新たなる戦いの序曲(オーヴァチュア)」4Kリマスター版です。
遠い未来、銀河系に進出した人類は、皇室と貴族が支配する専制国家である「銀河帝国」と共和制を標榜する「自由惑星同盟」に二分され150年に渡る戦いが続いていた。
宇宙暦795年帝国暦486年、「第四次ティアマト会戦」と呼ばれる戦役が勃発した。慢性化した戦いの一つに過ぎないと思われたその戦役は後の歴史において重要な意味を持つことになる。帝国軍の若く野心的な大将ラインハルト・フォン・ミューゼル(声・堀川亮)、帝国軍の作戦参謀ヤン・ウェンリー(声・富山敬)、二人の天才軍略家の運命が、初めて交錯する瞬間であった。
田中芳樹による長篇スペースオペラ小説「銀河英雄伝説」、その発刊40周年を記念して1988年にスタートし、10年以上かけて本伝110話外伝52話を描き上げたロングシリーズの劇場版2作品、プロローグである「わが征くは星の大海」と本伝1~2話で描かれた「アスターテ会戦」を新たなエピソードを織り交ぜて劇場用作品として再アニメ化した「新たなる戦いの序曲」を4Kリマスター化したものが公開されています。
コロナ禍で外出規制されたり職場から休業指示が出ていた頃、ちょうどAmazonプライムで配信されていたので数か月かけて全話完走しましたが、自宅で観たときはほとんどiPadでしたしせっかくスクリーンで観られるのならと2週連続で観に行ってきました。
文語体のダイアローグ、マーラーやラヴェルなどクラシックを基調に構成されたBGM、さながら古典劇のようで今観ても実に重厚かつ品格に溢れた画面をスクリーンで楽しめるのはそれだけで意味があると思いますが、今作何より特筆に値するのは4Kへのリマスターの丁寧さでしょう。「新たなる戦いの序曲」を監督した清水恵蔵が監修を行いオリジナルネガを原版として、全てをクリアにして高精細な画面にできることが技術的に可能であるにもかかわらず、昔のセルアニメは何もかも綺麗にすると却ってのっぺりした画面に見えることもあるからか時にはほこりもそのまま残してある(だから宇宙船が動くとともにほこりが横にスライドしていくように見えるショットもある)など敢えてフィルムの質感を重視した画面作りを行ったことで、4Kリマスターでありながら35㎜フィルムの映像を観ているような気分を覚えたほどです。
音声についても同様で、技術的には上映用素材をベースに疑似的な5.1chサウンドを構築するのも可能だそうなのですが、今回は敢えて当時音響監督を務めた明田川進監修のもと、三十数年前の音声と効果音のテープ素材をすべて集めて(なんとNGテイクまで含めて全て保管されていたそう)1から5.1chに組み直したそうです。その甲斐あって「わが往くは星の大海」のクライマックス、ラヴェルの「ボレロ」が流れる中で展開する第四次ティアマト会戦の一連のシーンや「新たなる戦いの序曲」でのヤンが旧友ラップとジェシカのプロポーズを見守るシーンなど、音楽の効果が強いシーンが見事な仕上がりを見せています。
映像のオリジナルネガもそうですが、音声素材もが30年以上の時を経ても使える状態で保管されいた事、また当時を知るスタッフが健在でいた事、全てが揃っていないとこれはできない。2018年からよりモダンに再アニメ化されたシリーズ「Die Neue These」が製作されていることも追い風になった事でしょう。作品自体が現在まで生き残っていることも含めて多くの幸運に支えられている作品だなと思います。
4Kリマスターってただ高精細にするだけじゃなくこういうこともできるのかと、ちょっと印象が変わりました。こういう形で旧作と新たに出会える機会があるというのは嬉しいですね。
しかし今年は年初から旧作ばかり見ている気がする。新作も観ないとな~(笑)
昨年公開されるや絶賛を浴び、現在も上映中のインド映画「RRR」のドルビーシネマ版の上映が今月20日から開始されるそうです。コレの何が面白いって、本国インドにはまだドルビーシネマに対応した映画館が無いにもかかわらず、アメリカで体感したドルビーシネマの迫力に憧れたラージャマウリ監督がそれ用のバージョンを作っちゃったそうです。そんなノリと勢いで出来上がったドルビーシネマ版、ただでさえ面白い映画がどのように変わるのか楽しみです。
こんばんは、小島@監督です。
ただ問題は3時間の長尺故にタイミングを掴めるかどうかってところですね~
さて、今回は久しぶりに映画館探訪記。前にこのネタ書いたのいつだっけ?と思って過去ログ調べてみたら2018年。実に5年ぶり!
年明け、大須へ行ってきました。自分のようにまだ正月休みの最中だった人と、もう仕事が始まってる人が行き交いごった返す商店街の通りからほんのちょっぴり外れたところ、万松寺の裏手あたり、「まんだらけ」からもほど近いところにそれはあります。
「大須シネマ」です。
開館は2019年。戦前には20館以上、戦後も昭和30年代の最盛期には14館あったという大須の映画館。ですが最後の1館が1988年に閉館して以降、今では全て無くなってしまった常設映画館の復活を模索した方たちがNPO法人を設立、クラウドファンディングからの寄付や賛助会員の援助を得てオープンしました。
ところが翌年にコロナ禍を受けてオープンから僅か1年で休館を余儀なくされます。2020年7月、NPO法人の解散と共に副支配人が代表を務めるデザイン会社「大丸」(デパートとは無関係)が運営を引き継ぎ同年8月に再オープンし現在に至ります。
待合室のロビーと場内の様子。基本は旧作を上映する、いわゆる「名画座」ですが日によってはeスポーツのイベントなども行う貸しホールとしても機能しています。
座席数は42席。写真ではちょっと分かりにくいかもしれませんが、スクリーンが少々高いところに設えられており最前列や2列目からだと自分が思うよりも高い位置を見上げることになるかしれません。
この日上映されていたのは「ゼイラム」を含めて3本。私が観たのは「ゼイラム」のみ。1991年の作品で、監督は後に「牙狼(GARO)」シリーズを手掛けることになる雨宮慶太。彼にとっては初の劇場公開作品でもあります。低予算作品ながらストップモーション・アニメやオプチカル合成などの特撮がふんだんに取り入れられたほか、当時としては珍しくCGも積極的に採用されました。また、造形作家・竹谷隆之によるゼイラムのデザインも高く評価されています。好評を博し1994年には続編が公開されたほか、OVA「イ・リ・ア」としてアニメ化もされています。技術的に過渡期にあった時期の特撮やVFXの様相を良く表した作品と言えるでしょう。ずいぶん昔にレンタルで観たっきりの作品で、細かいところはだいぶ忘れていましたが、今観るとどうしてもB級くささが拭えない部分を差し引いても当時のクリエイティブな仕事ぶりが見事でなかなかに楽しめる逸品でした。
ところで写真にあるこの整理券、そのまま次回上映以降1週間は割引券として使えます。
出だしから大きな障害にぶつかった映画館ではありますが、このまま他のミニシアターとは独自路線を歩んで定着して行ってほしいですね。私も今後も足を運んでいけたらなと思っています。
こんばんは、小島@監督です。
ただ問題は3時間の長尺故にタイミングを掴めるかどうかってところですね~
さて、今回は久しぶりに映画館探訪記。前にこのネタ書いたのいつだっけ?と思って過去ログ調べてみたら2018年。実に5年ぶり!
年明け、大須へ行ってきました。自分のようにまだ正月休みの最中だった人と、もう仕事が始まってる人が行き交いごった返す商店街の通りからほんのちょっぴり外れたところ、万松寺の裏手あたり、「まんだらけ」からもほど近いところにそれはあります。
「大須シネマ」です。
開館は2019年。戦前には20館以上、戦後も昭和30年代の最盛期には14館あったという大須の映画館。ですが最後の1館が1988年に閉館して以降、今では全て無くなってしまった常設映画館の復活を模索した方たちがNPO法人を設立、クラウドファンディングからの寄付や賛助会員の援助を得てオープンしました。
ところが翌年にコロナ禍を受けてオープンから僅か1年で休館を余儀なくされます。2020年7月、NPO法人の解散と共に副支配人が代表を務めるデザイン会社「大丸」(デパートとは無関係)が運営を引き継ぎ同年8月に再オープンし現在に至ります。
待合室のロビーと場内の様子。基本は旧作を上映する、いわゆる「名画座」ですが日によってはeスポーツのイベントなども行う貸しホールとしても機能しています。
座席数は42席。写真ではちょっと分かりにくいかもしれませんが、スクリーンが少々高いところに設えられており最前列や2列目からだと自分が思うよりも高い位置を見上げることになるかしれません。
この日上映されていたのは「ゼイラム」を含めて3本。私が観たのは「ゼイラム」のみ。1991年の作品で、監督は後に「牙狼(GARO)」シリーズを手掛けることになる雨宮慶太。彼にとっては初の劇場公開作品でもあります。低予算作品ながらストップモーション・アニメやオプチカル合成などの特撮がふんだんに取り入れられたほか、当時としては珍しくCGも積極的に採用されました。また、造形作家・竹谷隆之によるゼイラムのデザインも高く評価されています。好評を博し1994年には続編が公開されたほか、OVA「イ・リ・ア」としてアニメ化もされています。技術的に過渡期にあった時期の特撮やVFXの様相を良く表した作品と言えるでしょう。ずいぶん昔にレンタルで観たっきりの作品で、細かいところはだいぶ忘れていましたが、今観るとどうしてもB級くささが拭えない部分を差し引いても当時のクリエイティブな仕事ぶりが見事でなかなかに楽しめる逸品でした。
ところで写真にあるこの整理券、そのまま次回上映以降1週間は割引券として使えます。
出だしから大きな障害にぶつかった映画館ではありますが、このまま他のミニシアターとは独自路線を歩んで定着して行ってほしいですね。私も今後も足を運んでいけたらなと思っています。