ちゅうカラぶろぐ


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自宅の辺りでは昨日の昼下がりから雨が降り始め、夕方には大雨に。その降り始めの頃に様子を見ようと窓を開けたら庭先に佇むカモシカとエンカウント。以前にウチに現れたヤツより小さい!さては代替わりしたな!サイズ的に一瞬イノシシかと思ってマジでビビったぞ!
 …という私の声に出ないビビりを意に介さず、カモシカは何処かへと悠々と歩き去って行きました。

 こんばんは、小島@監督です。
 次代のカモシカよ、大きく育てよ〜。しかし彼らのテリトリー内にウチがあるということか?

 さて、今回の映画は「ちいかわ人魚の島のひみつ」です。

 ちいかわ(声・青木遥)とハチワレ(声・田中誠人)がくつろいでいるとうさぎ(声・小澤亜季)がチラシを顔に貼り付けて駆け込んで来た。それは「島」への特別な招待状だった。「カンタンな討伐で100倍の報酬をもらおう」「限定島ラーメンにスイーツ」、魅力的な言葉が並ぶチラシに釣られてちいかわたちは島合宿を実行する。
 島で楽しい時間を過ごすちいかわたち。しかし島に住み着いた巨大な「セイレーン」(声・鈴木みのり)が島民たちを次々と襲っていることを知らされ、ちいかわはセイレーン討伐計画に巻き込まれて行く。

 先日名古屋をゲリラ豪雨が襲った日、落雷で職場のサーバーがダウンし仕事が全く何もできなくなり、復旧にも時間を要すと判明し、上から早上がり指示が出る始末。しかし電車も止まっていて帰る足も無かったため、時間潰しに映画館へ。上映開始時間がちょうどドンピシャだったのが「ちいかわ」。
 実は「ちいかわ」ほぼミリしら。原作はもちろんアニメも観たことありません。ただ職場の同僚から薦められました。「予備知識無くても大丈夫!アレはガチのホラーだから!」という何が大丈夫なのか良くわからない薦められ方で。そんな物言いで釣れるのは私みたいなのだけですぞ。
 
 ざっと作品概要に触れると、原作者であるナガノが脚本を務め、原作でいうところの「島編」を完全映画化。監督は「やはり俺の青春ラブコメは間違っている」「ウマ娘プリティダービー」の及川啓。1990年代後半から活躍している同氏ですが意外なことに長編映画はこれが初監督です。あまりこういうファンシー系なビジュアルの作品を手掛けるイメージも無かったのでその辺も意外。

 実際観てみると、予想以上に凄い。キッズムービーの体裁でやるには意外なほど高度で深い哲学的思索に満ちた秀作です。
 可愛いキャラでエグいことをやる作品の前例自体は少なくないですが、斜に構えた露悪的な方面に行く方が多い中、「ちいかわ」のそれは神話あるいは民話のような趣を感じさせます。小さく無力なちいかわたちが巨大で神性を持つセイレーンに挑むという構図はギリシア神話の「オデュッセウスの受難」を彷彿とさせますし、島でちいかわたちが知る「人魚の肉を食べると永遠の命を得る」という伝承も、多くの創作の源泉となった日本の八百比丘尼伝説のイメージでしょう。
 ある時期まではセイレーンに食べ物を捧げることで島では豊穣が約束されていたのもどこか日本の神話めいています。そしてセイレーンと島民の共栄関係を分つに至ったある事件、それが呼び水となって厄災と化したセイレーンと、ちいかわ達はなし崩し的に戦うことになるのです。

 そこで描かれるのは罪と罰、復讐の連鎖。そして劇中何度も登場人物たち究極の選択が突きつけられます。味わい深いのは多くの場合において決断を下した時点で他に選択肢が無く、では「どこで間違えたのか?」「どうすればこの結末を回避できたのか?」を考えさせずにはおかないところ。それもどこに視点を置くかで変わってくる奥深さ。
 何気に音楽もレベルが高く、中毒性の高いうさぎラップもさることながら「エヴァンゲリオン」と双璧をなすレベルで心をえぐる「今日の日はさようなら」に至ってはトラウマ級の代物です。

 物語も非常に恐ろしく、エンドクレジット後のエピローグはヘタなホラーを軽く凌駕する怖さですが、それ以上にいろいろ考えさせてくることこそがこの映画の一番のポイントです。
 小さなお子様も多くこの物語に触れているであろう今作、トラウマ級とは言いましたが、情操が育つ時期にこういう物語に触れ考えを巡らせる意味は非常に大きい。老若男女問わず、この独特の死生観を持った神話的世界、触れてみる価値はありますよ。

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