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ちゅうカラぶろぐ


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たまに違う路線を使うと楽しいというか、ちょいとお誘いを受けて軽い遠出。何をしたかと言えば最近お笑いにも興味の湧いてきた私にも是非と、数人で集まって東京03のコントライブのBlu-ray鑑賞してました。ゲストが佐倉綾音の日と百田夏菜子の日でどちらが良いかと尋ねられ、即答で「佐倉綾音で」と答えた自分の声豚ぶりよ。

 こんばんは、小島@監督です。
 年末の決勝くらいしか観ていない「M-1グランプリ」の、その周辺のコンテンツの楽しみ方も色々聞けたのでじわじわと観ていこう。タイミングが合えば一度ライブも観てみたいですね。

 さて、今回の映画は「レザボア・ドッグス」です。

 ダイナーに集められた6人の男たち。それは裏社会の大物ジョー(ローレンス・ティアニー)が宝石店強盗を企てるために集めたメンバーだった。それぞれ色に因んでホワイト(ハーヴェイ・カイテル)、オレンジ(ティム・ロス)、ブロンド(マイケル・マドセン)、ピンク(スティーブ・ブシェミ)、ブルー(エディ・バンカー)、ブラウン(クエンティン・タランティーノ)とコードネームを付けられた男たちによって強盗は実行された。しかし計画は失敗し男たちは逃走を余儀無くされる。誰かが裏切り警察に通じている疑いを抱いた男たちは、互いに銃を突きつけ合うことになるのだった。

 複雑に入り組んだプロットや激しいバイオレンス描写、日本映画への深い造詣でフィルムメーカーとして独自の地歩を築いた人物、クエンティン・タランティーノ。自身が引退作と表明している作品「The Movie Critic」を準備中の同氏の初監督作がこの「レザボア・ドッグス」です。当時から若手製作者を積極的に支援していたハーヴェイ・カイテルによって見出され、1992年に製作されました。初公開から30周年を記念して先頃4Kリマスター版が製作され、久しぶりにスクリーンにお披露目されました。タランティーノ作品はそれなりに観ているのですが、これを観るのは今回の再上映が初めてだったりします。

 ひと言で言って才気煥発というか、「俺を観ろ!俺の映画を観ろ!」という叫びが聞こえてきそうな一本です。ようやくチャンスが巡ってきた監督のたぎるような情熱が見えてくるよう。
 登場人物の耳が切り落とされると言った残酷な暴力描写(カンヌ国際映画祭では上映前に観客に注意を促すメッセージが映し出されたと聞きます)と、本筋と無関係の様々なパロディや引用を織り交ぜた会話が延々と続く手法が初監督作にして既に十二分に盛り込まれています。また、一見無軌道に見えながらも緻密に組み上げられた時間構成と人間描写がスタイリッシュに付けられた劇中曲と共に展開し、この時点でクエンティン・タランティーノ特有のスタイルは出来上がっていたのだと強烈に印象付けてくれる作品です。後の作品は多くが150分前後の長尺になる中にあって100分というスマートな時間に収まっている点や、映画の大半は逃走場所として出てくる倉庫の中で展開し、舞台劇のような雰囲気を持っているのもポイント。
 ごく限られたロケーションだけで展開するのは低予算だから、と言うのも大きいように見えます。製作費90万ドルというのはかなりのローバジェットで俳優の多くは私服で出演したなど、なかなかにギリギリな話も聞きますね。

 まだまだ粗削りなところも多いのですが当時から既にカルト的な人気を勝ち得ていたのも頷ける逸品。ブライアン・シンガー監督の「ユージュアル・サスペクツ」と並び1990年代を代表するインディペンデント映画の一つとも言えるでしょう。劇場上映はそろそろ終了ですが、鑑賞するだけならAmazonプライムなどで配信もされています。独特なリズム感のダベりの面白さをどうぞご堪能あれ。

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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
今年最初の歌会は楽しめましたでしょうか。結構初参加の方も多くて驚き。私も今回初参加の方がいる部屋で部屋長をしてルールなどをレクチャーするのを久しぶりにやりました。前は良く引き受けていたのですが、長いことやってないとちょいとたどたどしくなってしまって少し反省。それでもはじめましての方がまた参加して頂けると嬉しいですね。

 こんばんは、小島@監督です。
 あと今回はかなりの曲数歌えたので大満足でした。

 さて、今回の映画は「アイドルマスターシャイニーカラーズ」です。

 櫻木真乃(声・関根瞳)は、芸能事務所283(つばさ)プロダクションのプロデューサー(声・夏目響平)と出会いスカウトされたことでアイドルの道を歩み出す。事務所には真乃とユニットを組むことになる風野灯織(声・近藤玲奈)と八宮めぐる(声・峯田茉優)、そして違うユニットでデビューし始めたアイドル達との出会いがあった。

 昨年4月期に放送された「シンデレラガールズU149」を皮切りに、約1年間で3本のアニメシリーズが放送・上映される「アイドルマスター」、その最後の1本となる「シャイニーカラーズ」がTV放送に先駆け全3章構成で昨年10月より劇場先行上映が行われ、今月より最終章である第3章の上映が始まっています。脚本に「アイカツ!」シリーズや昨年公開・放送され反響を呼んだ「アイドルマスターミリオンライブ!」の加藤陽一、監督は「映画すみっコぐらし」「シンデレラガールズ劇場」のまんきゅう、製作は「大雪海のカイナ」などのポリゴンピクチュアズが手掛けています。
 劇伴がフィルムスコアリング、即ち先に作られたBGMを場面に合わせて入れ込んでいくのではなく先に完成した映像に対し後からBGMを載せていく手法が取られており、状況よりもむしろ登場人物の心情に寄り添うように劇伴が作られていて、全体的にポエトリーな雰囲気を漂わせているのが特徴です。

 原作であるゲーム「シャイニーカラーズ」はアイマスの中でも取り分けシナリオに定評のあるタイトルで、時に重厚ですらあるそのテイストをどこまでアニメに落とし込むのか期待して観ていましたが予想に反して物語はかなり薄味。ユニットそれぞれの理想像を提供しようと行動するプロデューサーの姿は良いものの、主軸にいる真乃もあまり葛藤や成長が描かれているとは言えませんし他のキャラクターもそれほど掘り下げられている感は薄いです。敢えて言うならタイトル立ち上げから1年目くらいのまだ軸足が定まり切ってなかった頃を彷彿とさせます。終盤のクライマックスで展開する283プロダクションのアイドル全員が出演することになる1stライブが実際のシャイニーカラーズの1stライブをセットリストや構成までなぞっていたところを観ると恐らくそのふわっとした感触は意図的にやっていることでしょう。物語の起伏と引き換えにタイトルが持つエッセンスを凝縮した、そんな奇妙な印象を受けました。

 製作スタジオがポリゴンピクチュアズということもありフル3DCGで作られていますが立体的なハイライトを宿した瞳や、雨や汗で顔に貼り付いた髪の毛の艶やかさなかなり面白い箇所にこだわりを感じられるビジュアルをしています。同じフルCGでも先行作である白組製作の「ミリオンライブ!」とはまるで方向性が違う見せ方をしているので製作スタジオが持つ特性を見比べてみる楽しさ、と言うのもありそうです。
 

 物語そのものより醸し出される雰囲気を楽曲と共に楽しむアニメ、それがシャイニーカラーズです。実のところ元がTVフォーマットとは言えスクリーンで観る楽しさがあまり提供できているとは言えず、4話分まとめて観るより1話ずつ自宅のTVで観る方が合うタイプの作品だと思ってしまったのは内緒(苦笑)。
 先行上映はまもなく終了。TV放送開始は4月からの予定だそうです。シャイニーカラーズは踏み入れれば訴求力の強いタイトルだと思っているので、これを機にファンが増えてくれると嬉しいですね。そして私イチオシのストレイライトの3人がアニメで躍動する日が来てくれたらなお嬉しい(笑)。

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高圧洗浄機、自宅にあります(笑)
 大抵は洗車に使うことが多いですね。玄関周りの清掃にも使ったりしますが、マジでやった所とやってない所が一目で分かってしまうのでやり始めたらやり切るまで引っ込みがつかないツールです。でも便利。なお冬場は寒くて使いたくない。

 こんばんは、小島@監督です。
 昨日のかときちさんのブログ読んでたら高圧洗浄機の話してたので、つい(笑)

 さて、今回の映画は「PERFECT DAYS」です。

 東京スカイツリーに程近いところにある古びたアパートで独り暮らす寡黙な初老の男・平山(役所広司)。早朝に起床しワゴン車を駆り仕事へ向かう。渋谷区内各所の公共トイレを清掃して回り、夕方に終業。一度帰宅し車を置いた後は銭湯で汗を流し、浅草駅そばの馴染みの呑み屋でチューハイを楽しみ、家に戻って少しのあいだ読書して眠る。繰り返す日々の中で生じるささやかな変化を楽しみ、平山は今日も目を覚ます。

 足るを知る、そんな生き様。
 カンヌ映画祭で役所広司に男優賞をもたらした一本は、公共トイレの清掃員を仕事とする男の日常を淡々と綴る映画です。監督は「ベルリン・天使の詩」や「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」などで知られ、日本にも造詣の深いヴィム・ヴェンダースが務めています。
 正直言ってかなり不思議な風合いの作品で、市井の人の哀歓に焦点を当てていても例えばアキ・カウリスマキ監督のような陰影の深さはありませんし、安アパートに暮らすトイレ清掃員という主人公の造形からケン・ローチ作品のような社会的テーゼを期待させそうですがそういうものもありません。密着しながらも背景はほとんど描かれない、毎日のルーティーンをほぼ決めて暮らしている男の日常を本当にただドキュメンタリーのように淡々と描き出すだけの作品です。それだけに観る者によってかなり極端に評価の分かれる映画でしょう。
 
 このユニークな語り口は、映画の出自そのものの特異性ゆえもあるでしょう。渋谷区の公共トイレを刷新するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」、そのPRのための映像製作企画が発端と聞きます。当初は短編としてスタートしましたがその後長編映画製作へと舵を切ったそうです。企画者にはファーストリテイリング取締役の柳井康司や電通のクリエイティブディレクターである高崎卓馬らが名を連ねており、それコマーシャルフィルム的性格ゆえか平山の人物像も特殊なら出てくる公共トイレも最初から綺麗なものばかりですし、そう言った意味で社会性は意識的にオミットされているようです。本来ならシネコンのスクリーンが似合うタイプの作品ではないのですが大規模な広告戦略が打たれているのもその出自に起因しているからでしょう。

 ただ役所広司演じる主人公・平山の、毎日自分の決めたルーティーンをこなしながらオールディーズな音楽と読書を楽しみ、日々の小さな変化を苛立つでなくむしろそれを愛せる修行僧か仙人のような生き方は確かに憧れを覚えます。そうありたいと思う方も少なくないはずです。この暮らし方を成立させるためのハードルが高すぎるのが見えてしまうのが辛いところですが(苦笑)。作中の平山も最初からそういう生き方をしていたわけではなく、かなりの社会的地位を得ていながらそれを捨ててこの生き方を選び取ったことが示唆されています。

 日々の営みの中、ふと目を向ければただ生きているだけでも感じられる美しさは確かにあり、この映画は124分間、それをコンセプトとしたアートを楽しむような作品です。コロナ禍で一度は失われたもの達をようやく取り戻しつつある今、そう言ったものを愛おしむ映画、というのもまた時代の必然が生んだものかもしれませんね。

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元旦いきなり能登で起きた大地震、皆さんの方は影響は無かったでしょうか。私の自宅もかなり長く揺れましたが物が落ちてきたり家具が倒れたりも無く一安心。
 北陸に在住している親戚や知人が数人いるのですが、避難所入りした方もいたもののどうにか全員無事だったようで一先ずはホッとしました。

 こんばんは、小島@監督です。
 激動と言えど新年早々容赦が無い幕開けとなった今年、ヘビーな話はこれだけにして欲しいものですが。

 さて、今回の映画は「サンクスギビング」です。

 マサチューセッツ州プリマス。感謝祭の祝日に沸くなか大々的なディスカウントセールを行ったショッピングセンターで不満を煽られた客たちが暴徒状態となり死人まで発生する事件が起きた。それから1年後、当時の事件の関係者達がジョン・カーヴァーを名乗る謎の人物に次々と惨殺されていく事件が発生。街を恐怖に陥れていく。自身も狙われている事を知った地元の高校生ジェシカ(ネル・ベルラーク)達は命の危険に怯えながらもジョン・カーヴァーの正体に迫っていく。

 アメリカでは11月の第4木曜日に当たる祝日「感謝祭(サンクスギビングデー)」、元を辿るとマサチューセッツ州のプリマス植民地に移住したピューリタン、いわゆる「ピルグリム・ファーザーズ」が最初の収穫を祝った記念行事が起こりとされているそうです。その日の正餐には七面鳥やマッシュポテト、コーンブレッド、アップルパイなどが定番の料理だとか。そんな祝日をモチーフにしたスラッシャー・ホラーが今作です。もともとは2007年に製作されたアンソロジー映画「グラインドハウス」の中で登場したウソ予告の一つを、手掛けたイーライ・ロス監督自身の手で16年越しに長編映画化されました。
 
 冒頭のショッピングセンターでの狂騒からホラーを主戦場とするイーライ・ロスの本領が遺憾無く発揮された作品です。80年代B級ホラー風のロゴに、「スクリーム」などに代表される90年代スラッシャー・ホラーの趣を漂わせる作風で、初っ端からドライブがかかった後は巧みな緩急と共にジョン・カーヴァーとジェシカたちの戦いを見守ることになります。腕や首がスッ飛んだりと言った血飛沫満載な描写が景気良く飛び出すのでR18+にレーティングされています。

 ゴア描写が売りの一つではありますが、それだけに寄り切ってはいないところがこの映画の面白さ。感謝祭の翌日の金曜日、多くの店で激安セールを打つことが今でいう「ブラックフライデー」の所以で、それに対するシニカルな笑いがスパイスになっているほか、終盤に明かされるジョン・カーヴァーの正体も決して重箱の隅をつつくようなアクロバティックな人選ではなく、それほど深読みしなくていいところに伏線を配してくれているのも映画に対してとても誠実に作られていると言えるでしょう。

 2000年代半ばに発表された「キャビン・フィーバー」や「ホステル」などで新世代ホラーの旗手とされたイーライ・ロス監督、近年は若手作品のプロデュースをしたりアクション映画「デスウィッシュ」や「ルイスと不思議の時計」のようなジュブナイル・ファンタジーを手掛けたりと活躍のフィールドを広げていましたがやはり本領はホラーというのを実感できる映画です。ベテランの域に達しつつあり、円熟味すら感じさせてくれる手腕が生きた1本、内臓が飛び出ちゃったりするような画に抵抗が無ければ、という但し書き付きにはなりますが、気楽に楽しめる作品を観たいなら選択肢の一つに入れてみてもいいと思いますよ。

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皆さん、明けましておめでとうございます。今年は元旦がいきなり担当日ということで、年明けから通常営業!そんなわけで今年もよろしくお願いします。

 こんばんは、小島@監督です。

 さて、そんな2024年最初の映画は、「ウィッシュ」です。

 地中海の沖合の島にあるロサス王国、偉大な魔法使いマグニフィコ王(声・クリス・パイン、吹替・福山雅治)が治めるその国は「願いが叶う国」と呼ばれていた。そこで暮らす少女アーシャ(声・アリアナ・デボーズ、吹替・生田絵梨花)の願いは間もなく100歳の誕生日を迎える祖父サビーノ(声・ヴィクター・ガーヴァー、吹替・鹿賀丈史)の願いが叶うこと。しかしアーシャは国民全ての願いをマグニフィコ王が支配している事を知ってしまう。皆の願いを取り戻したいと願うアーシャに、「願い星」が応え、スターが空から舞い降りるのだった。

 昨年2023年はウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年に当たるメモリアルイヤーでした。それを記念して製作されたミュージカルアニメです。
 まず本編開始前に上映される短編「ワンス・アポン・ア・スタジオ」がいきなり圧巻です。ディズニースタジオにミッキーやミニーを始め白雪姫やティンカーベル、ベイマックスやニック&ジュディなどディズニーの数々の作品を彩ってきたキャラクター達が総登場する賑やかなお祭り作品ですが、ほんの一言の為だけに原語版も吹替版も極力オリジナルキャストを揃えてくれているほか、一部はライブラリ音声を使用しており、この令和に何と山田康雄さんや大塚周夫さんが出演する新作が観られます。

 煌びやかに100周年を祝う短編を経て始まる「ウィッシュ」本編も、例えば願い星スターはミッキーマウスから着想して作り上げられたキャラクターで、その表情や仕草もミッキーマウスを取り入れたものになっているなどディズニー映画の数々の要素を散りばめた作品になっています。いくつかはホームページでも紹介されていますが全て見つけ出すとなると結構大変では?というくらいに多種多様に詰め込まれています。

 物語の方もファンタジーから現実へ踏み出し自身の理想へ向けて歩き出す近年の主流を力強いナンバーで見せるスタイルで、一見すると単純な映画ではあるのですが、マグニフィコ王の一筋縄ではいかない人物造形と共に思いのほか複雑さを内包しています。次々と外から人が移住してくるロサス王国はそのまま移民の国アメリカの戯画化でしょうし、人々の願いを集めながらそれを私欲に使い、自身への脅威を国へのそれと同一視し力に溺れていくマグニフィコ王の姿は、作品の企画が動き出したのは2018年らしいことを思えば先のトランプ政権を重ねて見ることもできそうです。
 ディズニー作品はある時期から政治的なファクターを暗喩として忍ばせるというよりは割と率直に見せに来てしまう悪癖を抱えていますが、良くも悪くも今作でもそれが踏襲されてしまっています。このある種のきな臭さ、私は少し鼻についてしまいました。

 一方で今回私は吹替版で観たのですが、特にアーシャ役生田絵梨花とマグニフィコ王役福山雅治が共に素晴らしい演技と歌唱で物語を牽引してくれるのは特筆すべき今作の魅力です。この2人の演技のためにスクリーンで観るだけの価値はあると言い切ってしまえるくらいです。更に言うと石丸幹二や武内駿輔、尾上松也、松たか子ら尋常じゃないメンバーがモブ役でアンサンブル出演しているのも豪華です。
 全体的に観て創立100周年を謳うならもう一つ大きな弾みを見せて欲しかった気もしますが、トータルでは良くできた映画です。吹替版の出来が良いのでスケジュールが合うものを気軽に選んで良いのも長所。ポリティカル・コレクトネスの臭みが隠しきれていないのは自国だけでなく最初から世界を相手にしないといけないことへの難しさもあるのでしょう。100周年を超えて、その難しさと折り合いを付けつつそれでも傑作を生み出せる強さをまた見せて欲しいですね。

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こんばんは、小島@監督です。

 さて、今年最後の更新となる今回は「今年の5本」と題して2023年の映画を振り返ります。毎年恒例にしているコレも、気付けば今年で干支一周。自分でもこんなに続けられるとはさすがに思ってませんでした。

⒈ゴジラ-1.0
 今年のベストワンはもうこれ一択。アメリカやイギリスでもヒットを記録しているようで、直球のエンターテインメントで遂に世界を相手に勝負できる映画が登場したように思います。現在公開中。と同時に、映像をモノクロにした「マイナスカラーバージョン」が1月12日より全国公開予定。

⒉アイドルマスターミリオンライブ!
 映画!?まあ良いじゃないか(笑)。正直なところここまでの出来栄えになるとは期待以上で第3幕など3回も足を運んでしまいました。ミリオンライブはシンデレラガールズの華やかさの後塵を拝しているような印象を受けることもありましたが、先日の異次元フェスでも楽曲で強い存在感を示しここに来て上昇気流を掴んだようで嬉しい限り。TV放送版は昨日最終回を迎え、Blu-ray第1巻が1月10日リリース以降順次発売予定。アイキャッチなどが専用の仕様だった劇場公開版も収録されるそうです。

⒊BLUE GIANT
 さあジャズを楽しもう。ジャズのダイナミズムを見事なまでに映像化してみせたアニメ。音楽の高揚感に身を包まれる楽しさを満喫。Blu-ray/DVD/デジタル版発売中。

⒋わたしの幸せな結婚
 上田麗奈・石川界人が主演したアニメ版も非常に良い出来でしたが、目黒蓮・今田美桜主演の実写映画版の帝都物語を思わせる大正伝奇ロマン全開の作風は私の好きな要素だらけで観ていて心底楽しい1本でした。Blu-ray/DVD/デジタル版発売中。

⒌ぼくたちの哲学教室
 北アイルランドの小学校で、主要科目に哲学を取り入れる校長に密着したドキュメンタリー。示唆と思索に満ちた、穏やかな雨が乾いた大地に染み込むような印象を残す作品で、閉館間際のシネマテークで最後に満席になっているところを見た1本でもありました。全国各地のミニシアターで断続的に公開中。DVDやBlu-rayは業務用があるのみで一般販売は今のところされていないようです。

 今年5本選ぶならこんな感じ。ミリオンライブがちょっと禁じ手(笑)。アニメに牽引されてか邦画にも元気のある作品が見受けられるように思えた年でもありました。
 さて、ここからはそれ以外で私が今年観た85本の映画の中から印象に残った作品をご紹介。こちらは鑑賞順に記載していきます。

・SHE SAIDその名を暴け
 映画界の大物プロデューサーの性的加害を告発した女性記者の地道な調査報道を描いたドラマ。ひりつくような緊張感の中に、記者の覚悟と勇気を讃える作品です。Blu-ray/DVD/デジタル版発売中。
・名探偵コナン黒鉄の魚影
 今年のコナン映画はサスペンスとエンタメの純度が極めて高い1本。監督の立川譲さんは「BLUE GIANT」と合わせて立て続けに2本のヒット作を生み出したフィルムメーカーとなり、今後が注目されますね。Blu-ray/DVD/デジタル版発売中。
・スーパーマリオブラザーズ・ザ・ムービー
 スーパーマリオのゲームの雰囲気を良くここまで、と感心した底抜けに楽しいエンタメ。これはもうこういうので良いんですよ。Blu-ray/DVD/デジタル版発売中。
・ガーディアン・オブ・ギャラクシーVOLUME3
 シリーズ完結編。最後までスタイルを貫き駆け抜け大団円を迎えるので心地良い余韻を残します。Blu-ray/DVD/デジタル版発売中。
・岸辺露伴ルーヴルへ行く
 本当にルーヴル美術館まで行って撮って来た実写シリーズの劇場版。冷んやりした空気感の醸成が見事で引き込まれるようでした。Blu-rayは未発売。Amazonプライムで配信が始まっています。
・スパイダーマン・アクロス・ザ・スパイダーバース
 多様なスパイダーマンが縦横無尽に躍動するアニメ映画の2作目。前作以上にコミック的な表現を更に突き詰めたビジュアルが楽しい。Blu-ray/DVD/デジタル版発売中。
・世界のはしっこ、小さな教室
 アフリカの片隅や水害で孤立したアジアの村で子どもたちに教える教師たちの奮闘に寄り添うドキュメンタリー。たまたま電車が止まって帰る足が無くなって時間潰しに観た1本でしたが、結構掘り出し物でした。全国各地のミニシアターで続映中。
・君たちはどう生きるか
 宮崎駿監督の新作は、まるで物語を放棄してアニメーションを見せるためだけに特化したような不可思議な1本。奇妙であるが故に唯一無二の映像世界が展開します。7月公開作品ですが何と今も上映が続いています。
・ヴァチカンのエクソシスト
 ラッセル・クロウが原付に乗って悪魔をボコりに行くイカつい神父様を演じたホラー。一見ミスマッチに思える組み合わせが思いのほか相乗効果をもたらし結構熱い作品に仕上がっています。デジタル版発売中。
・プリキュアオールスターズF
 シリーズ20周年記念のクロスオーバー映画。単なるお祭りに終わらせない「イズム」を感じさせてくれる作品で、節目を彩るに相応しい出来栄えでした。Blu-ray/DVDが1月24日リリース予定。
・ジョン・ウィック:コンセクエンス
 キアヌ・リーブスの代表作と成長したシリーズの完結編。作り込まれた劇画的世界観は最高純度に達しクライマックスまで駆け抜けます。デジタル版が1月22日、Blu-ray/DVDが2月21日に発売予定。
・イコライザーTHE FINAL
 みんな大好きマッコールおじさんがイタリアでマフィアをフルボッコ。デンゼル・ワシントンの魅力の全てが詰まっている1本。デジタル版発売中。
・戦慄怪奇ワールド コワすぎ!
 鬼才・白石晃士監督が手掛ける、心霊スポットに金属バットでカチ込みに行くホラーシリーズ8年ぶりの新作。POVスタイルの限界を超える大胆なアイディアを惜しげも無く投入して楽しませてくれました。デジタル版発売中。Blu-ray/DVDが1月6日発売予定。
・SISU不死身の男
 ツルハシ1本でナチスと戦う男を描いたフィンランド発のバイオレンス映画。余りに無茶苦茶な展開だがそれがいっそ清々しい超アガる逸品。既に上映は終了。配信・ソフトとも今のところリリース日は未定のようです。
・駒田蒸留所へようこそ
 P.A.WORKS製作のお仕事シリーズの新作は、余り類例の無いウィスキー蒸留所を舞台にした物語。誠実なディテールの描写はお酒のプロという目から観てもちゃんと観られる一本でした。現在公開中。
・鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
 昭和31年を舞台に鬼太郎が墓場から生まれるに至るまでを描いた前日譚。昭和伝奇ホラーとバディ物という自分の好きな要素だらけで観てて実にアガりました。現在公開中。ロングラン作品の仲間入りをしそうな勢いで、今週末29日にはなんとびっくり応援上映が予定されています。

 観たものを振り返っていて気づきましたが、昨年うつになって一時休職し今も通院中の影響なのか、今年はヘビーな主題のものを無意識のうちに避けていたようで鑑賞作品に比較的口当たりの軽い、あるいはエンターテインメントの純度が高いものを選んで観る傾向にあったようです。80本以上観ていながら「観てない物が多い」とふと思ってしまいました。来年はもう少し幅広く行けたら良いなぁ。
 それでは皆さん、良いお年を。

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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
 始まる前は最近過労気味なので軽く流す感じにしようと思っていたのに気付けば全力を促す部屋が出来上がってしまってまあまあカッ飛ばしてしまいました(苦笑)。そういうのも歌会の楽しみだったりしますね。
 皆さん、プレゼント交換には何を選ばれたんでしょうか。私は「シャークインパクト」という悲鳴を上げながらサメから逃げるカードゲームをチョイスしました。

 ご覧くださいこのステキなパッケージアート。「かさばらなくてちょっと主張の強い物」を探していたらサメ映画スキーな私が放っておけるはずもないアイテムを見つけてしまいましたですよ。

 こんばんは、小島@監督です。
 で、私の手元に何が来たかと言えばかときちさんセレクトのちゅうカラのロゴが入ったQUOカード。これはさすがに軽率に使うには勿体無い。何かケースに入れて飾っておこうか。

 さて、忙しくてまともに新作が観れていないここ最近。とは言え何か観たいと配信作品を探していたらAmazonプライムで思わぬタイトルを見つけました。というわけで今回の映画は「アビス」です。

 カリブ海ケイマン海溝付近で原子力潜水艦が不可解な形で消息を絶った。アメリカ政府はハリケーンが接近していることを考慮し、近くで稼働していた海底石油プラットフォーム「ディープコア」に協力を依頼し、そこに海軍特殊部隊による調査チームを派遣する。ディープコアのリーダーであるバッド(エド・ハリス)は、プラットフォームの設計者にして別居中の妻でもあるリンジー(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)が同行して来ているのを知り、心中穏やかではない。更に調査チームの司令官コフィ大尉(マイケル・ビーン)の高圧的な態度とも衝突しながら調査が始まった。
 しかし襲来したハリケーンによりディープコアはダメージを受け海上との通信も途絶してしまった。海底で孤立したディープコアのメンバーたち。そこで彼らに接触して来たのは、深海に棲息する未知の知的生命体だった。

 「アビス」は1989年に製作された、後に「タイタニック」や「アバター」を手掛けることになるジェームズ・キャメロンが監督した海洋SFアドベンチャーです。物語のベースとなっているのはキャメロンが高校生の頃に書いて短編小説だとか。視覚効果の第一人者であるデニス・ミューレンがVFXを手掛け、同年のアカデミー視覚効果賞を受賞しました。ここでの流体の表現の挑戦が、後年「ターミネーター2」でロバート・パトリックが演じた液体金属型サイボーグ「T-1000」へと昇華することになります。

 映画は、深海に棲息する未知の生命体の存在だけでなく、深海潜水艇同士のチェイスという珍しいシーンが登場するほか、液体呼吸にまつわるトピックが盛り込まれるなどジェームズ・キャメロンの海洋に対する造詣と探究心の深さが窺える、センス・オブ・ワンダー溢れる作品になっています。大半のシーンが海底石油プラットフォームの中で展開し、登場人物の数も限られた密室劇でありながら海の底知れない深さ、広さを感じさせてくれるのも良いですね。
 興味深いのは、海を舞台にしていること、異なる種族とのコンタクトが物語のキーであること、勇気と行動力に溢れるヒロインや猜疑心から暴走する軍人が登場することなど後のキャメロン作品に見られる諸要素が既にこの映画には多く盛り込まれている点です。尺をたっぷりと使うので上映時間が長い(上映版で140分、完全版が171分)こともそうですね(笑)。後年のフィルモグラフィーを思えばアーキタイプのようにも見えます。

 個人的には大好きな作品なのですが、「ターミネーター」「タイタニック」「アバター」が強すぎるせいかそれらと比べると知名度は今ひとつのよう。作品への評価自体は悪くないものの興業的には振るわなかったらしく、「アビス」から2年後の1991年に公開され世界的に大ヒットした「ターミネーター2」の陰に隠れてしまっている印象です。長くTV放送もされていませんですし、DVDも絶版に近い状態。権利関係で何かトラブルでもあったのか未だにBlu-rayが発売されていないと、もう一度観たいなと思いながらも叶わぬ極めて視聴環境の厳しい埋もれかけた作品でしたが、不意に配信で観られることになったのに驚きました。また、2016年頃にキャメロンがBlu-ray化を見越した4Kリマスターを準備している、というニュースが入って以降続報も無いなと思っていたら先頃遂に完成したようで、本国アメリカでは来年初頭にBlu-rayがリリースされるほか、限定公開ながら劇場でのリバイバル上映も実施されるそうです。
 巨匠の監督作品でありながら長く日の目を見ずにいた一本にようやく再発見の時が訪れているようです。せっかくなので日本でもその波に追従して劇場上映して欲しいところですね。

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