先日アニメ製作スタジオ・ガイナックス倒産の報が。「ふしぎの海のナディア」以降ずっとその作品に親しんで来た身としては残念ではならないものの、製作の中心にいたメンバーは皆去って行き作品製作能力どころか版権を維持管理する能力すら失ってしまったとあっては最早時間の問題だった、というところでしょうか。
こんばんは、小島@監督です。
逆に意外と言うか、一番世俗から疎そうな庵野秀明監督が結構経営者としての才覚を見せているところに人の世の面白さ、複雑さみたいなものを感じますね。
さて、今回の映画は配信作品から一つ、先日Netflixで配信が開始された「セーヌ川の水面の下に」です。
トライアスロンの国際大会を控えているパリ。セーヌ川でホームレスが謎の生物に喰い殺される事件が発生していた。海洋学者であり環境活動家であるソフィア(ベレニス・ベジョ)の元に若手活動家のミカ(レア・レヴィアン)が訪ねてくる。ミカからソフィアはかつて自身が研究用にGPSを取り付けたアオザメ・リリスがセーヌ川まで来ていることを告げられる。ソフィアが最後に観測した時でさえリリスは7mの大きさに異常成長していた。それが淡水にも適応し始めていると気付いたソフィアは警官のアディル(ナシム・リエス)と共にリリスの捕獲・駆除に乗り出すが。
B級以下が溢れ返っているジャンルなので意外と言うか何と言うか、昨年日本公開された「シャーク・ド・フランス」が製作されるまでフランスにはサメ映画というものが無かったようなのです。言われてみればサメ映画はアメリカを筆頭にオーストラリア、中国、日本と環太平洋の国ばかりな気が。そんなサメ映画未開の地フランスが、作り始めたらいきなりエグいのをブン投げて来ました。そしてコレがめちゃくちゃ面白い!
環境汚染で巨大化・凶暴化したサメが淡水にも適応してセーヌ川で暴れまくります。海じゃなくて川だと岸に上がってしまえばそれで終わりでは?という当然の疑問を地下水道やカタコンベといった閉鎖的なロケーションを活用して緊張感が持続するように工夫されています。
中盤まではモンスターパニック映画として比較的手堅い印象を受ける今作。ですがアメリカ産の映画と大きく異なるのは作品を貫くエスプリ利かせたペシミスティックな姿勢。先鋭化して危険な行動を取り始める環境活動家、巨大なサメが潜んでいると知りながらトライアスロン大会を強行しようとする市長、無知と傲慢が過ぎる人物が次々と登場して事態がどんどん悪化していきます。そもそも道頓堀川より水質が悪いと言われているセーヌ川で実際にパリオリンピックでトライアスロン競技を開催しそのために巨額の費用を投じているフランス政府を向こうに張ってこんな映画作ってオリンピック直前に世界配信に乗せてしまう当たりが既にロック。
そして手堅いとか言っていられるのも中盤まで。終盤は異様なまでのテンションで観るものを狂騒にブチ込みます。いっそ清々しいくらいにあまりに強烈でドライブ感全開のクライマックスは、見慣れて使い潰されたかに見えるジャンル映画にまだ知らない領域があることを教えてくれます。観ていてちょっと思い出したタイトルがあるのですがネタバレになってしまうのでここでは言えません。
監督のザビエ・ジャンは現在「ファラン」という作品が公開中ですが、できればこちらもスクリーンで観たかった。題材がヤバいのもありますが、フランスのアーカイブに保管されているシナリオと多くの類似が指摘されているとかで(そちらは襲って来るのはサメではなくナマズだとか。それはそれで観てみたいですが(笑))、その審査の成り行き次第では配信中止もあり得るとのこと。気になっている方は早めに観てラストにびっくりしましょう。また、エンドクレジットにひとネタ仕込んでいるので惰性でスキップしないことをお薦めします。
こんばんは、小島@監督です。
逆に意外と言うか、一番世俗から疎そうな庵野秀明監督が結構経営者としての才覚を見せているところに人の世の面白さ、複雑さみたいなものを感じますね。
さて、今回の映画は配信作品から一つ、先日Netflixで配信が開始された「セーヌ川の水面の下に」です。
トライアスロンの国際大会を控えているパリ。セーヌ川でホームレスが謎の生物に喰い殺される事件が発生していた。海洋学者であり環境活動家であるソフィア(ベレニス・ベジョ)の元に若手活動家のミカ(レア・レヴィアン)が訪ねてくる。ミカからソフィアはかつて自身が研究用にGPSを取り付けたアオザメ・リリスがセーヌ川まで来ていることを告げられる。ソフィアが最後に観測した時でさえリリスは7mの大きさに異常成長していた。それが淡水にも適応し始めていると気付いたソフィアは警官のアディル(ナシム・リエス)と共にリリスの捕獲・駆除に乗り出すが。
B級以下が溢れ返っているジャンルなので意外と言うか何と言うか、昨年日本公開された「シャーク・ド・フランス」が製作されるまでフランスにはサメ映画というものが無かったようなのです。言われてみればサメ映画はアメリカを筆頭にオーストラリア、中国、日本と環太平洋の国ばかりな気が。そんなサメ映画未開の地フランスが、作り始めたらいきなりエグいのをブン投げて来ました。そしてコレがめちゃくちゃ面白い!
環境汚染で巨大化・凶暴化したサメが淡水にも適応してセーヌ川で暴れまくります。海じゃなくて川だと岸に上がってしまえばそれで終わりでは?という当然の疑問を地下水道やカタコンベといった閉鎖的なロケーションを活用して緊張感が持続するように工夫されています。
中盤まではモンスターパニック映画として比較的手堅い印象を受ける今作。ですがアメリカ産の映画と大きく異なるのは作品を貫くエスプリ利かせたペシミスティックな姿勢。先鋭化して危険な行動を取り始める環境活動家、巨大なサメが潜んでいると知りながらトライアスロン大会を強行しようとする市長、無知と傲慢が過ぎる人物が次々と登場して事態がどんどん悪化していきます。そもそも道頓堀川より水質が悪いと言われているセーヌ川で実際にパリオリンピックでトライアスロン競技を開催しそのために巨額の費用を投じているフランス政府を向こうに張ってこんな映画作ってオリンピック直前に世界配信に乗せてしまう当たりが既にロック。
そして手堅いとか言っていられるのも中盤まで。終盤は異様なまでのテンションで観るものを狂騒にブチ込みます。いっそ清々しいくらいにあまりに強烈でドライブ感全開のクライマックスは、見慣れて使い潰されたかに見えるジャンル映画にまだ知らない領域があることを教えてくれます。観ていてちょっと思い出したタイトルがあるのですがネタバレになってしまうのでここでは言えません。
監督のザビエ・ジャンは現在「ファラン」という作品が公開中ですが、できればこちらもスクリーンで観たかった。題材がヤバいのもありますが、フランスのアーカイブに保管されているシナリオと多くの類似が指摘されているとかで(そちらは襲って来るのはサメではなくナマズだとか。それはそれで観てみたいですが(笑))、その審査の成り行き次第では配信中止もあり得るとのこと。気になっている方は早めに観てラストにびっくりしましょう。また、エンドクレジットにひとネタ仕込んでいるので惰性でスキップしないことをお薦めします。
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緊急地震速報に飛び起きピリついた早朝、皆さんのところはどうでしたでしょうか。
幸い自宅はほとんど揺れず、北陸の方も正月の時ほど大きなものではなかったようでホッとしていますが、油断は禁物ですね。
こんばんは、小島@監督です。
そしてもうちょっと寝れたのにという思いとちゃんと緊急地震速報が働く感謝がせめぎ合う朝。
さて、今回の映画は「関心領域」です。
青空のもと川まで子どもたちをピクニックに連れて行く父親、手入れに余念が無い母親により庭園には美しい花々が咲き誇り、菜園には野菜が実る。笑顔と喧騒が絶えない裕福な一家が過ごす大きな邸宅のそばには高い塀がどこまでも長く続いていた。
塀の向こうからは煙突から流れる火煙と低い唸り声のような機械音と、それに混じって人の叫び声のようなものが時折聞こえてくる。
ここはアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所、その隣。家主である父親は収容所初代所長ルドルフ・フェルディナント・ヘス(クリスティアン・フリーデル)である。
そののどかさと美しさこそが恐ろしい。
タイトルや予告編などのイメージから最初はいわゆる「無関心の悪」、あるいはハンナ・アーレントが言う「凡庸な悪」を戯画的に描き出す映画かと思っていたのですが原題を知ってそれは違うことに気付きました。原題は「The zone of interest」、ドイツ語にすると「Interessengebiet」、これはナチスがアウシュヴィッツ収容所とその周辺地域を指していた言葉です。
映画が描いているのはルドルフを軸にしたヘス一家の日常風景。そして塀の向こうの光景は基本的に描かれません。恐ろしいのは何気ない日常の一コマの中に潜んでいるものの数々です。どこからかやって来る衣服、子どもたちの遊び道具の一つには誰かが使っていたらしい金歯や銀歯があり、夫婦の会話の中に毒ガスに因んだジョークが不意に登場したりします。何なら川釣りのシーンなどは下手なホラー映画が裸足で逃げ出す怖さしています。
クローズアップの少ない俯瞰的で低温な画面の中にいくつも出て来るそれらは、ヘス一家が決して収容所に無関心を装ってなどおらず、むしろ相当に関心を持っていることがうかがえます。ただしその関心はユダヤ人の生にではなく、どう殺し絶滅へ持っていくかという方向にあります。それがヘス一家にとって出世に直結し人生を豊かにする評価へと直結する要因でもあるからです。
一見すると裕福なドイツ人一家の生活を淡々と追うだけの映画に異様な恐ろしさを感じるのはそういう目で見える部分だけではありません。ただの環境音のように聞こえ続ける音がこの映画を凄みを増しています。唸るような低い機械音や列車の走行音に混じって悲鳴や銃声が聞こえてきます。塀の向こうで何が起きているかを容易に想像させるそれらの音は何がどこからどれくらい聞こえて来るか緻密に計算されて配置されており、その巧みな音響設計でこの映画はアカデミー賞音響賞を獲得しました。
少々ネタバレになりますが、ヘス一家とその関係者以外にも登場する人物がいます。夜な夜な収容所付近の労働現場に忍び込んではリンゴなどの食糧を埋め隠していく少女。作中名前の出てこない一見寓話的にも見えるその少女、なんと実在した人物で名をアレクサンドラ・ビストロン・コロジエイチェックと言います。ポーランド人であった彼女はレジスタンスの協力者としてアウシュヴィッツからの囚人救出に力を尽くしました。そしてそのアレクサンドラが拾うことになる楽譜も実際にアウシュヴィッツに収容されていたユダヤ人歴史家ジョセフ・ウルフの手によるものと作中に示されています。
これまで数多く作られており言葉は悪いですが映画の題材としてはどこかで使い尽くされて来た感もあるホロコースト。見える形で全く描き出さないことで逆に主題をあぶり出す、この極めてユニークな独創性は特筆に値します。短絡的で反射的な情動からは真逆を行くこの映画は、1か0かの情報が溢れ返る今こそ向き合う価値のある作品と言えるでしょう。
是非、向き合ってみてください。
幸い自宅はほとんど揺れず、北陸の方も正月の時ほど大きなものではなかったようでホッとしていますが、油断は禁物ですね。
こんばんは、小島@監督です。
そしてもうちょっと寝れたのにという思いとちゃんと緊急地震速報が働く感謝がせめぎ合う朝。
さて、今回の映画は「関心領域」です。
青空のもと川まで子どもたちをピクニックに連れて行く父親、手入れに余念が無い母親により庭園には美しい花々が咲き誇り、菜園には野菜が実る。笑顔と喧騒が絶えない裕福な一家が過ごす大きな邸宅のそばには高い塀がどこまでも長く続いていた。
塀の向こうからは煙突から流れる火煙と低い唸り声のような機械音と、それに混じって人の叫び声のようなものが時折聞こえてくる。
ここはアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所、その隣。家主である父親は収容所初代所長ルドルフ・フェルディナント・ヘス(クリスティアン・フリーデル)である。
そののどかさと美しさこそが恐ろしい。
タイトルや予告編などのイメージから最初はいわゆる「無関心の悪」、あるいはハンナ・アーレントが言う「凡庸な悪」を戯画的に描き出す映画かと思っていたのですが原題を知ってそれは違うことに気付きました。原題は「The zone of interest」、ドイツ語にすると「Interessengebiet」、これはナチスがアウシュヴィッツ収容所とその周辺地域を指していた言葉です。
映画が描いているのはルドルフを軸にしたヘス一家の日常風景。そして塀の向こうの光景は基本的に描かれません。恐ろしいのは何気ない日常の一コマの中に潜んでいるものの数々です。どこからかやって来る衣服、子どもたちの遊び道具の一つには誰かが使っていたらしい金歯や銀歯があり、夫婦の会話の中に毒ガスに因んだジョークが不意に登場したりします。何なら川釣りのシーンなどは下手なホラー映画が裸足で逃げ出す怖さしています。
クローズアップの少ない俯瞰的で低温な画面の中にいくつも出て来るそれらは、ヘス一家が決して収容所に無関心を装ってなどおらず、むしろ相当に関心を持っていることがうかがえます。ただしその関心はユダヤ人の生にではなく、どう殺し絶滅へ持っていくかという方向にあります。それがヘス一家にとって出世に直結し人生を豊かにする評価へと直結する要因でもあるからです。
一見すると裕福なドイツ人一家の生活を淡々と追うだけの映画に異様な恐ろしさを感じるのはそういう目で見える部分だけではありません。ただの環境音のように聞こえ続ける音がこの映画を凄みを増しています。唸るような低い機械音や列車の走行音に混じって悲鳴や銃声が聞こえてきます。塀の向こうで何が起きているかを容易に想像させるそれらの音は何がどこからどれくらい聞こえて来るか緻密に計算されて配置されており、その巧みな音響設計でこの映画はアカデミー賞音響賞を獲得しました。
少々ネタバレになりますが、ヘス一家とその関係者以外にも登場する人物がいます。夜な夜な収容所付近の労働現場に忍び込んではリンゴなどの食糧を埋め隠していく少女。作中名前の出てこない一見寓話的にも見えるその少女、なんと実在した人物で名をアレクサンドラ・ビストロン・コロジエイチェックと言います。ポーランド人であった彼女はレジスタンスの協力者としてアウシュヴィッツからの囚人救出に力を尽くしました。そしてそのアレクサンドラが拾うことになる楽譜も実際にアウシュヴィッツに収容されていたユダヤ人歴史家ジョセフ・ウルフの手によるものと作中に示されています。
これまで数多く作られており言葉は悪いですが映画の題材としてはどこかで使い尽くされて来た感もあるホロコースト。見える形で全く描き出さないことで逆に主題をあぶり出す、この極めてユニークな独創性は特筆に値します。短絡的で反射的な情動からは真逆を行くこの映画は、1か0かの情報が溢れ返る今こそ向き合う価値のある作品と言えるでしょう。
是非、向き合ってみてください。
昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
たまにはじゃんけん大会にお土産を持ち込もうかと一品ご用意したら今回に限って凄い品数。自分もですがここひと月ほどの間に遠出した方たくさんいらっしゃったんですね(笑)
今回初参加の皆さんようこそ。楽しんで行って頂けたなら幸いです。
こんばんは、小島@監督です。
それと、7月頃リニューアル予定の中部からの歌声HPにて、私のこの映画ブログが独立した一つのコーナーになることが決まりました。それで書く内容が大きく変わったりとかは多分無いですが、そちらでもよろしくお願いします。
さて、今回の映画は「ウマ娘プリティダービー新時代の扉」です。
フリースタイルレースで活躍していたウマ娘のジャングルポケット(声・藤本侑里)は、仲間たちと観戦した弥生賞でフジキセキ(声・松井恵理子)の走りに感銘を受け、トレセン学園への入学とトゥインクルシリーズへの挑戦を決意する。フジキセキの導きで出会ったタナベトレーナー(声・緒方賢一)の指導のもとでジャングルポケットはアグネスタキオン(声・上坂すみれ)やマンハッタンカフェ(声・小倉唯)、ダンツフレーム(声・福嶋晴菜)ら同世代のライバルたちと競い合い、最強のウマ娘となるための挑戦が始まる。
実在の競走馬たちを擬人化し、ソーシャルゲームを中心に様々なメディア展開を行い、今や知名度はもちろん原典となった競馬界への普及と貢献も無視できないものになりつつある「ウマ娘」、アニメもだいぶ作を重ねて来ましたが完全新作としては初めての劇場版が遂に公開されました。作品としては昨年10〜12月期に3rdシーズンが放送されたTVシリーズとは直接関連性は無く、昨年全4話が配信され今作封切り前に新規作画を交えた再編集版が劇場上映された「ROAD TO THE TOP」の続編に当たりますが、今作単体でも充分に楽しめるようになっています。
ギャグ寄りのコミカライズを除いて「ウマ娘」関連作品の大きな特徴が史実であるトピックを作中に大胆に取り込みダイナミックに展開する物語です。知っていればより深く楽しめ、知らなければ作品を楽しんだ後に実際はどうだったかを調べてみる、そんな楽しみ方があるのが「ウマ娘」。今作でもその楽しみが十二分に活かされたものになっています。今作のモチーフとなっているのは前年に重賞8戦全勝を成し遂げたテイエムオペラオーの衝撃の余波を残す2001年のクラシック三冠戦線。ジャングルポケットとアグネスタキオンとの熾烈なライバル関係はもちろんですが、フジキセキや彼女の育成に悔いを残すタナベトレーナーとの濃密な人間ドラマの中に史実が見事な形で取り入れられ、物語の格を一段上に引き上げています。多弁なように見えて意外と心情描写をセリフに頼り切っていないのも個人的には好印象。また熱量の高いドラマを演じる藤本侑里、上坂すみれら声優陣の演技も素晴らしく、特にフジキセキ役松井恵理子さんは現時点での彼女のキャリア最高峰と言って良い名演を見せてくれます。
もちろん「ウマ娘」の柱の一つと言えるレースシーンの迫力も頭抜けています。時にデッサンを大きく崩し、荒々しい描線とエフェクトでもって鬼気迫る表情で疾走するジャングルポケットたち。タイトルのプリティどこ言った?というくらいの凄みのあるシーンが展開します。エフェクトの雰囲気がどこか「キルラキル」「プロメア」で知られるスタジオ「トリガー」っぽいなと思ったら本当に作画陣にトリガーのメンバーが参加していました。
端正さが主体の近年の潮流とは一線を画す手書きの描線を大胆に活かしたビジュアルは、「絵が動く」というアニメーションの根源的な驚きを見せてくれるかのよう。象徴的とも言えるのが、作中エドワード・マイジャックの走る馬の連続写真をモチーフにしたと思しきショットが印象的に使われているところ。その連続写真はやがて回転式のぞき絵「ゾエトロープ」に取り入れられ、その後トーマス・エジソンの手によりキネトスコープ映写機が発明され「映画」誕生へと繋がります。「走る」という最もプリミティブなアクションを、人は映画創世記からフィルムに捉えようとしてきました。ただひたすらに走る表現を突き詰めた「ウマ娘」は紛れもなくその延長線上にいます。
ジャングルポケットを主役としているため、これはこれで波乱万丈な人生(馬生?)を歩んでいた同期のマンハッタンカフェの苦闘などはサラリと触れられている程度だったり特定の推しがいる方にとっては取捨選択で切り捨てられたエピソードこそ観たい部分だった、という不満を抱く方もいるかもしれませんが、トータルで観て極めてハイレベルな一本です。
この熱量、どうぞスクリーンでご堪能ください。せっかくなら前方の座席でかかり気味にね(笑)
たまにはじゃんけん大会にお土産を持ち込もうかと一品ご用意したら今回に限って凄い品数。自分もですがここひと月ほどの間に遠出した方たくさんいらっしゃったんですね(笑)
今回初参加の皆さんようこそ。楽しんで行って頂けたなら幸いです。
こんばんは、小島@監督です。
それと、7月頃リニューアル予定の中部からの歌声HPにて、私のこの映画ブログが独立した一つのコーナーになることが決まりました。それで書く内容が大きく変わったりとかは多分無いですが、そちらでもよろしくお願いします。
さて、今回の映画は「ウマ娘プリティダービー新時代の扉」です。
フリースタイルレースで活躍していたウマ娘のジャングルポケット(声・藤本侑里)は、仲間たちと観戦した弥生賞でフジキセキ(声・松井恵理子)の走りに感銘を受け、トレセン学園への入学とトゥインクルシリーズへの挑戦を決意する。フジキセキの導きで出会ったタナベトレーナー(声・緒方賢一)の指導のもとでジャングルポケットはアグネスタキオン(声・上坂すみれ)やマンハッタンカフェ(声・小倉唯)、ダンツフレーム(声・福嶋晴菜)ら同世代のライバルたちと競い合い、最強のウマ娘となるための挑戦が始まる。
実在の競走馬たちを擬人化し、ソーシャルゲームを中心に様々なメディア展開を行い、今や知名度はもちろん原典となった競馬界への普及と貢献も無視できないものになりつつある「ウマ娘」、アニメもだいぶ作を重ねて来ましたが完全新作としては初めての劇場版が遂に公開されました。作品としては昨年10〜12月期に3rdシーズンが放送されたTVシリーズとは直接関連性は無く、昨年全4話が配信され今作封切り前に新規作画を交えた再編集版が劇場上映された「ROAD TO THE TOP」の続編に当たりますが、今作単体でも充分に楽しめるようになっています。
ギャグ寄りのコミカライズを除いて「ウマ娘」関連作品の大きな特徴が史実であるトピックを作中に大胆に取り込みダイナミックに展開する物語です。知っていればより深く楽しめ、知らなければ作品を楽しんだ後に実際はどうだったかを調べてみる、そんな楽しみ方があるのが「ウマ娘」。今作でもその楽しみが十二分に活かされたものになっています。今作のモチーフとなっているのは前年に重賞8戦全勝を成し遂げたテイエムオペラオーの衝撃の余波を残す2001年のクラシック三冠戦線。ジャングルポケットとアグネスタキオンとの熾烈なライバル関係はもちろんですが、フジキセキや彼女の育成に悔いを残すタナベトレーナーとの濃密な人間ドラマの中に史実が見事な形で取り入れられ、物語の格を一段上に引き上げています。多弁なように見えて意外と心情描写をセリフに頼り切っていないのも個人的には好印象。また熱量の高いドラマを演じる藤本侑里、上坂すみれら声優陣の演技も素晴らしく、特にフジキセキ役松井恵理子さんは現時点での彼女のキャリア最高峰と言って良い名演を見せてくれます。
もちろん「ウマ娘」の柱の一つと言えるレースシーンの迫力も頭抜けています。時にデッサンを大きく崩し、荒々しい描線とエフェクトでもって鬼気迫る表情で疾走するジャングルポケットたち。タイトルのプリティどこ言った?というくらいの凄みのあるシーンが展開します。エフェクトの雰囲気がどこか「キルラキル」「プロメア」で知られるスタジオ「トリガー」っぽいなと思ったら本当に作画陣にトリガーのメンバーが参加していました。
端正さが主体の近年の潮流とは一線を画す手書きの描線を大胆に活かしたビジュアルは、「絵が動く」というアニメーションの根源的な驚きを見せてくれるかのよう。象徴的とも言えるのが、作中エドワード・マイジャックの走る馬の連続写真をモチーフにしたと思しきショットが印象的に使われているところ。その連続写真はやがて回転式のぞき絵「ゾエトロープ」に取り入れられ、その後トーマス・エジソンの手によりキネトスコープ映写機が発明され「映画」誕生へと繋がります。「走る」という最もプリミティブなアクションを、人は映画創世記からフィルムに捉えようとしてきました。ただひたすらに走る表現を突き詰めた「ウマ娘」は紛れもなくその延長線上にいます。
ジャングルポケットを主役としているため、これはこれで波乱万丈な人生(馬生?)を歩んでいた同期のマンハッタンカフェの苦闘などはサラリと触れられている程度だったり特定の推しがいる方にとっては取捨選択で切り捨てられたエピソードこそ観たい部分だった、という不満を抱く方もいるかもしれませんが、トータルで観て極めてハイレベルな一本です。
この熱量、どうぞスクリーンでご堪能ください。せっかくなら前方の座席でかかり気味にね(笑)
こんばんは、小島@監督です。
今回は長くなってしまったので前置き無しで即本題に入ります。
さて、5月17〜19日の3日間ミッドランドスクエアシネマで開催された「どまんなかアニメ映画祭」に行って来ました。日本アニメの青春期とも言えた1980年代の傑作を中心に10本のアニメ映画を特集上映する企画です。全てソフト化や配信がなされており観るだけなら比較的容易ながらスクリーンで、となるとなかなかそうはいかない作品を10本一堂に介すだけでも熱いですが、このイベント最大の特色は全上映回で作品の主要スタッフをゲストとして呼びトークセッションを行なっている点です。登壇者の方の多くが今なお第一線で活躍している方ばかりでそのような方たちの話が聞けるだけでも貴重な機会に、2本の映画を観てきました。
1本目は「機動警察パトレイバー2the movie」。1993年に製作された作品で、首都東京に迫るテロの脅威と、それに触発されて自衛隊がクーデター寸前まで行く中で事件の真相に迫る警察官の暗闘を描きます。TVシリーズやOVA版と比して非常にリアリスティックに戦争状態に東京が侵食されていく様を描いており、緻密なレイアウトとデフォルメの少ないビジュアルがもたらす硬質な画面と相まって、アニメができうる「リアリティ」のレベルを一段引き上げたと言って良い作品です。
トークセッションではメカデザインを務めた出渕裕さん、脚本を手掛けた伊藤和典さん、当時はアシスタントプロデューサーで参加し現在はバンダイナムコアーツの取締役社長でもある浅沼誠さん、聞き手として明治大学准教授でアニメ研究家の森川嘉一郎さんが登壇。
話題の中心は映画としての骨格の強さと裏腹にパトレイバーというシリーズで見ると極めて異質な作風であることや主要人物の1人・南雲が他作品と比べてかなり生々しい人物として描かれているところの理由など。王様然と振る舞う押井守監督と周囲のスタッフとの緩衝役を担っていた伊藤和典さんがこの頃心身ともに絶不調だったらしくクッションの役割を果たせず周囲との軋轢がかなりなものになっていたところに出渕裕さんが押井守とふとしたきっかけで喧嘩になってしまいその後絶縁に近い状態となっていることなどかなりディープな話が。また、トークの中で出渕裕さんが監督としてパトレイバーの新作が準備中、ほかシリーズのシナリオ集の出版や伊藤和典さん著作で警察を引退した後藤が熱海で寿司屋をやっているという内容の小説が執筆中と今後の展開の話がサラッと出てきたのも印象的。
2本目は「超時空要塞マクロス愛・おぼえていますか」。1984年に製作され、TVシリーズの主な要素を再構築し完全新規作画で2時間の劇映画とした作品です。男女の三角関係、そしてリン・ミンメイの歌うアイドルソングと可変戦闘機バルキリーというシリーズを決定づける要素が巨人族同士の星間戦争に巻き込まれる地球人類というスケールの大きなSFと絶妙に絡み合い稀有な映像体験をもたらします。若く情熱的なアニメーターたちが結集し、当事者をして「手描きでやって良いレベルじゃない」と言ってしまうほど細密かつ物量を極めたビジュアルで、公開から40年を経た今なお色褪せない迫力があります。
トークセッションでは監督を務めた河森正治さん、作画監督の1人だった板野一郎さん、聞き手にアニメ評論家としてもライターとしても第一人者である氷川竜介さんが登壇。
話題の中心はやはり外注先のクオリティが低く5回に4回は不出来なまま放送せざるを得ない状況に体を壊すほどにフラストレーションが溜まっていたというTVシリーズ製作当時の愚痴から(笑)、その反動としての劇場版誕生の軌跡、その後シリーズを重ねるにつれて早い段階からCGを導入するに至った経緯などこちらも濃密なトークが展開。観客から直に聞く質疑応答のコーナーでは最近渦中にある「メガゾーン23」に関する質問が飛び出す一幕も。質問も回答もかなり際どい内容のためここでは詳細は書きませんが(笑)。
実はスクリーンの入口前には「機動戦士ガンダム」劇場版公開当時の新聞記事や台本印刷用の原版などを展示したミニコーナーが設けられていたりとどこまでも「本気」を感じさせてくれるイベントでした。地域密着型の独立したシネコンだからこそのフットワークの軽さと熱意で可能になったとも言える今回のこの企画、期待を超える満足度で1ファンとして心底充実した時間を過ごせました。せっかくなのでこの一度限りに終わらず第2回、第3回と回数を重ねて行って欲しいですね。
今回は長くなってしまったので前置き無しで即本題に入ります。
さて、5月17〜19日の3日間ミッドランドスクエアシネマで開催された「どまんなかアニメ映画祭」に行って来ました。日本アニメの青春期とも言えた1980年代の傑作を中心に10本のアニメ映画を特集上映する企画です。全てソフト化や配信がなされており観るだけなら比較的容易ながらスクリーンで、となるとなかなかそうはいかない作品を10本一堂に介すだけでも熱いですが、このイベント最大の特色は全上映回で作品の主要スタッフをゲストとして呼びトークセッションを行なっている点です。登壇者の方の多くが今なお第一線で活躍している方ばかりでそのような方たちの話が聞けるだけでも貴重な機会に、2本の映画を観てきました。
1本目は「機動警察パトレイバー2the movie」。1993年に製作された作品で、首都東京に迫るテロの脅威と、それに触発されて自衛隊がクーデター寸前まで行く中で事件の真相に迫る警察官の暗闘を描きます。TVシリーズやOVA版と比して非常にリアリスティックに戦争状態に東京が侵食されていく様を描いており、緻密なレイアウトとデフォルメの少ないビジュアルがもたらす硬質な画面と相まって、アニメができうる「リアリティ」のレベルを一段引き上げたと言って良い作品です。
トークセッションではメカデザインを務めた出渕裕さん、脚本を手掛けた伊藤和典さん、当時はアシスタントプロデューサーで参加し現在はバンダイナムコアーツの取締役社長でもある浅沼誠さん、聞き手として明治大学准教授でアニメ研究家の森川嘉一郎さんが登壇。
話題の中心は映画としての骨格の強さと裏腹にパトレイバーというシリーズで見ると極めて異質な作風であることや主要人物の1人・南雲が他作品と比べてかなり生々しい人物として描かれているところの理由など。王様然と振る舞う押井守監督と周囲のスタッフとの緩衝役を担っていた伊藤和典さんがこの頃心身ともに絶不調だったらしくクッションの役割を果たせず周囲との軋轢がかなりなものになっていたところに出渕裕さんが押井守とふとしたきっかけで喧嘩になってしまいその後絶縁に近い状態となっていることなどかなりディープな話が。また、トークの中で出渕裕さんが監督としてパトレイバーの新作が準備中、ほかシリーズのシナリオ集の出版や伊藤和典さん著作で警察を引退した後藤が熱海で寿司屋をやっているという内容の小説が執筆中と今後の展開の話がサラッと出てきたのも印象的。
2本目は「超時空要塞マクロス愛・おぼえていますか」。1984年に製作され、TVシリーズの主な要素を再構築し完全新規作画で2時間の劇映画とした作品です。男女の三角関係、そしてリン・ミンメイの歌うアイドルソングと可変戦闘機バルキリーというシリーズを決定づける要素が巨人族同士の星間戦争に巻き込まれる地球人類というスケールの大きなSFと絶妙に絡み合い稀有な映像体験をもたらします。若く情熱的なアニメーターたちが結集し、当事者をして「手描きでやって良いレベルじゃない」と言ってしまうほど細密かつ物量を極めたビジュアルで、公開から40年を経た今なお色褪せない迫力があります。
トークセッションでは監督を務めた河森正治さん、作画監督の1人だった板野一郎さん、聞き手にアニメ評論家としてもライターとしても第一人者である氷川竜介さんが登壇。
話題の中心はやはり外注先のクオリティが低く5回に4回は不出来なまま放送せざるを得ない状況に体を壊すほどにフラストレーションが溜まっていたというTVシリーズ製作当時の愚痴から(笑)、その反動としての劇場版誕生の軌跡、その後シリーズを重ねるにつれて早い段階からCGを導入するに至った経緯などこちらも濃密なトークが展開。観客から直に聞く質疑応答のコーナーでは最近渦中にある「メガゾーン23」に関する質問が飛び出す一幕も。質問も回答もかなり際どい内容のためここでは詳細は書きませんが(笑)。
実はスクリーンの入口前には「機動戦士ガンダム」劇場版公開当時の新聞記事や台本印刷用の原版などを展示したミニコーナーが設けられていたりとどこまでも「本気」を感じさせてくれるイベントでした。地域密着型の独立したシネコンだからこそのフットワークの軽さと熱意で可能になったとも言える今回のこの企画、期待を超える満足度で1ファンとして心底充実した時間を過ごせました。せっかくなのでこの一度限りに終わらず第2回、第3回と回数を重ねて行って欲しいですね。
先日「庵野秀明展」を観てきました。
映像作家としての創作の原点から、自主制作時代を経てやがてエヴァンゲリオンや近作「シン・仮面ライダー」までの系譜を辿る展示です。
庵野秀明が多大な影響を受けたウルトラマンや東宝特撮映画などで実際に撮影に使われたミニチュアモデルが展示されていたりするほか、高校・芸大時代に同氏が課題などで製作した自主映画が映像展示されていたりするので気づけばかなりの時間泥棒。個人的には割と濃いめの「ふしぎの海のナディア」の展示があったのも嬉しい。
こんばんは、小島@監督です。
名古屋会場の会期は6月23日まで。お時間には余裕を持って行ってください。
さて、今回の映画は配信作品から一つ。先月末Netflixで公開されました「シティーハンター」です。
東京・新宿。ここでは今、人々が急に凶暴化して暴れ出す事件が続発し警察も手を焼いていた。失踪した有名コスプレイヤー・くるみ(華村あすか)の捜索を請け負い、相棒の槇村秀幸(安藤政信)とともに街を回っていた冴羽獠(鈴木亮平)は、くるみを追い街を走るものの突如起きた事件により槇村がこの世を去ってしまう。その現場に居合わせた槇村の妹・香(森田望智)に獠は事件の真相を調べてほしいと懇願されるが。
実は意外と実写化が増えてきた「シティーハンター」。古くは1993年にジャッキー・チェン主演の香港映画版なんていうのもあります。ジャッキー映画のテイストが強く原作をだいぶガン無視している上に、ゲーム「ストリートファイター2」のキャラクターが出てきたりとんねるずの楽曲のカバーが劇中曲に使われたり妙にジャパンカルチャーを作品内に入れ込んでいるのでだいぶ珍品扱いされています。
その後2015年にパラレルワールド的なスピンオフ「エンジェル・ハート」が上川隆也主演でドラマ化。原作への愛が強かった上川隆也はアドリブで積極的に「もっこり」を入れ続け、当初は編集で全カットされていたのに遂に監督が根負けして中盤から本編内で「もっこり」が使われ出した、という逸話があります。
2019年にはフィリップ・ラショー監督・主演でフランス映画版が製作。原作者北条司に直談判してシナリオを売り込み、キモいくらいの原作への愛を詰め込み作られた1本は日本でも高い評価を集めました。
そして今回、遂に日本からも極めて原作への強い愛を感じられる実写映画が登場しました。いや期待はしていたけどここまで面白いとは。
何をおいても主演鈴木亮平が素晴らしい。鍛え上げられた高い身体能力だけでなく相当修練したに違いないガンファイトのキレ、ところどころ神谷明みたいな声音になる喋りのトーン、全てがどこを取っても冴羽獠に見える説得力が尋常ではありません。
更にちゃんと新宿で大きなロケをしているのもポイントです。歌舞伎町やトー横で撮影できていることにより画面の密度が増しています。保安上などの制約から近年はなかなか新宿で特にアクションものの撮影許可は下りないと聞いていましたが、「シティーハンターならば」とOKが出たとか。いつの間にか冴羽獠は新宿の一つのシンボルになっているのかもしれませんね。
フランス映画版と比べてシリアス寄りの作風の中、原作において1番リアリティラインから外れているのでさすがに無いかなと思っていた香のハンマーもワンアイディアで登場させてくる技アリぶりを見せるなど、衣装や小道具、BGMにも随所に強い原作への愛とこだわりが感じられる出来映えになっています。
今日本でシティーハンターを実写化するならこの道、そう思わせてくれ、シリーズ化も期待したい見事な仕上がり。Netflixに加入している方は必見ですよ。
しかし、ジャンプ連載当時毎週読んでいた自分に「シティーハンター」と「変態仮面」が実写化される日が来てしかも両方とも同じ人が主演すると言っても信じないだろうな(笑)
映像作家としての創作の原点から、自主制作時代を経てやがてエヴァンゲリオンや近作「シン・仮面ライダー」までの系譜を辿る展示です。
庵野秀明が多大な影響を受けたウルトラマンや東宝特撮映画などで実際に撮影に使われたミニチュアモデルが展示されていたりするほか、高校・芸大時代に同氏が課題などで製作した自主映画が映像展示されていたりするので気づけばかなりの時間泥棒。個人的には割と濃いめの「ふしぎの海のナディア」の展示があったのも嬉しい。
こんばんは、小島@監督です。
名古屋会場の会期は6月23日まで。お時間には余裕を持って行ってください。
さて、今回の映画は配信作品から一つ。先月末Netflixで公開されました「シティーハンター」です。
東京・新宿。ここでは今、人々が急に凶暴化して暴れ出す事件が続発し警察も手を焼いていた。失踪した有名コスプレイヤー・くるみ(華村あすか)の捜索を請け負い、相棒の槇村秀幸(安藤政信)とともに街を回っていた冴羽獠(鈴木亮平)は、くるみを追い街を走るものの突如起きた事件により槇村がこの世を去ってしまう。その現場に居合わせた槇村の妹・香(森田望智)に獠は事件の真相を調べてほしいと懇願されるが。
実は意外と実写化が増えてきた「シティーハンター」。古くは1993年にジャッキー・チェン主演の香港映画版なんていうのもあります。ジャッキー映画のテイストが強く原作をだいぶガン無視している上に、ゲーム「ストリートファイター2」のキャラクターが出てきたりとんねるずの楽曲のカバーが劇中曲に使われたり妙にジャパンカルチャーを作品内に入れ込んでいるのでだいぶ珍品扱いされています。
その後2015年にパラレルワールド的なスピンオフ「エンジェル・ハート」が上川隆也主演でドラマ化。原作への愛が強かった上川隆也はアドリブで積極的に「もっこり」を入れ続け、当初は編集で全カットされていたのに遂に監督が根負けして中盤から本編内で「もっこり」が使われ出した、という逸話があります。
2019年にはフィリップ・ラショー監督・主演でフランス映画版が製作。原作者北条司に直談判してシナリオを売り込み、キモいくらいの原作への愛を詰め込み作られた1本は日本でも高い評価を集めました。
そして今回、遂に日本からも極めて原作への強い愛を感じられる実写映画が登場しました。いや期待はしていたけどここまで面白いとは。
何をおいても主演鈴木亮平が素晴らしい。鍛え上げられた高い身体能力だけでなく相当修練したに違いないガンファイトのキレ、ところどころ神谷明みたいな声音になる喋りのトーン、全てがどこを取っても冴羽獠に見える説得力が尋常ではありません。
更にちゃんと新宿で大きなロケをしているのもポイントです。歌舞伎町やトー横で撮影できていることにより画面の密度が増しています。保安上などの制約から近年はなかなか新宿で特にアクションものの撮影許可は下りないと聞いていましたが、「シティーハンターならば」とOKが出たとか。いつの間にか冴羽獠は新宿の一つのシンボルになっているのかもしれませんね。
フランス映画版と比べてシリアス寄りの作風の中、原作において1番リアリティラインから外れているのでさすがに無いかなと思っていた香のハンマーもワンアイディアで登場させてくる技アリぶりを見せるなど、衣装や小道具、BGMにも随所に強い原作への愛とこだわりが感じられる出来映えになっています。
今日本でシティーハンターを実写化するならこの道、そう思わせてくれ、シリーズ化も期待したい見事な仕上がり。Netflixに加入している方は必見ですよ。
しかし、ジャンプ連載当時毎週読んでいた自分に「シティーハンター」と「変態仮面」が実写化される日が来てしかも両方とも同じ人が主演すると言っても信じないだろうな(笑)
連休中、ちょっと思い切って大阪まで行って来ました。
目的はインテックス大阪で開催されていた「コミコン」です。
アメリカンコミックを中心としたポップカルチャーの一大イベントで、近年では春に大阪、冬に東京で開催されるのが通例となっています。開催されているのは知っていたものの今まで敢えて行かずにいたイベントに今回行った理由はコレ。
クリストファー・ロイドとトーマス・F・ウィルソンとのスリーショット撮影会!しかもデロリアンと共に!結構な出費になるものの、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を愛する者としてはこんな機会最初で最後かもしれないと突貫。おかげで一生ものの思い出ができました。
こんばんは、小島@監督です。
実は会場に行ってみたら枠がまだ残っているのを知り、祭りの勢いでもう一つ撮影会に参加してました。
北欧の至宝マッツ・ミケルセン!舞い上がり過ぎて固いのでロイド&トーマス以上に私の顔はお見せできませんが(笑)
さて、今回の映画は「ゴジラ×コング新たなる帝国」です。
怪獣と人類が共存するようになった世界。ゴジラは立ち向かう者あらば容赦なく粛清する絶対王者として君臨しながら一応は人類と共生関係にある。一方、かつてゴジラと頂上決戦を演じたコングは特務機関「モナーク」の庇護のもと地底世界で生活していたが、最近は孤独感に苛まれ仲間を探し始めた。そんなある日、地底世界から奇妙な波長の電波が発信されているのが観測された。モナークの科学者であるアイリーン(レベッカ・ホール)は、今は養女となっているイーウィス族の少女ジア(ケイリー・ホトル)がテレパシーでそのイメージを感知していることを知り、かつての知己バーニー・ヘイズ(ブライアン・タイリー・ヘンリー)の元を訪ねる。
2014年の「ゴジラ」から始まるモンスターバースの最新作は、一度は雌雄を決し棲む世界を分かったゴジラとコングが新たな脅威の出現と共に再会し、共闘することになります。ストーリーの流れだけで言ったら完全に怪獣たちのヤンキー映画。しかも超泥臭い。けれどあなた方が観たいのはこっちじゃないでしょう?とばかりに人間ドラマは状況説明と最低限の交流にとどめ、尺のほとんどはコングのヒーローズジャーニーと怪獣たちの大バトルに費やす実に潔い逸品です。
実際今回ドラマの中心にいるのは人間よりもコングの方で、豊かな感情表現でもって喜怒哀楽や孤独感を観る者に伝えていてセリフは無くとも立派に主人公しています。人間の描写は極めて薄く完全に添え物。細かいことは良いんだよ!と言わんばかりのご都合主義も何のその、テンポ最優先のスピーディーな作劇は結果的にエンターテインメントの純度を上げています。
映画開始時点の状況を理解するのに前作「ゴジラvsコング」は観ておいた方が良いのは確かですが、そもそも作品のIQが低すぎるのであまり気にせず乗り込んでしまっても問題は無いでしょう。
それにしても「シン・ゴジラ」「ゴジラ-1.0」、あるいはアニメ版「怪獣惑星」3部作にしても日本での近作がゴジラの神性の復権と人間ドラマの融合を図る方向に行く一方でアメリカ版の方は1990年代のVSシリーズを思わせるアッパーで明るい作風をハリウッドのリッチでハイカロリーな画面で見せにくる好対照ぶりはなかなかに興味深い現象です。しかもその2つが今同時に映画館で観ることができる、長いシリーズの中でも実に稀有な状況も発生しています。見比べてみるのも一興ですよ。
目的はインテックス大阪で開催されていた「コミコン」です。
アメリカンコミックを中心としたポップカルチャーの一大イベントで、近年では春に大阪、冬に東京で開催されるのが通例となっています。開催されているのは知っていたものの今まで敢えて行かずにいたイベントに今回行った理由はコレ。
クリストファー・ロイドとトーマス・F・ウィルソンとのスリーショット撮影会!しかもデロリアンと共に!結構な出費になるものの、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を愛する者としてはこんな機会最初で最後かもしれないと突貫。おかげで一生ものの思い出ができました。
こんばんは、小島@監督です。
実は会場に行ってみたら枠がまだ残っているのを知り、祭りの勢いでもう一つ撮影会に参加してました。
北欧の至宝マッツ・ミケルセン!舞い上がり過ぎて固いのでロイド&トーマス以上に私の顔はお見せできませんが(笑)
さて、今回の映画は「ゴジラ×コング新たなる帝国」です。
怪獣と人類が共存するようになった世界。ゴジラは立ち向かう者あらば容赦なく粛清する絶対王者として君臨しながら一応は人類と共生関係にある。一方、かつてゴジラと頂上決戦を演じたコングは特務機関「モナーク」の庇護のもと地底世界で生活していたが、最近は孤独感に苛まれ仲間を探し始めた。そんなある日、地底世界から奇妙な波長の電波が発信されているのが観測された。モナークの科学者であるアイリーン(レベッカ・ホール)は、今は養女となっているイーウィス族の少女ジア(ケイリー・ホトル)がテレパシーでそのイメージを感知していることを知り、かつての知己バーニー・ヘイズ(ブライアン・タイリー・ヘンリー)の元を訪ねる。
2014年の「ゴジラ」から始まるモンスターバースの最新作は、一度は雌雄を決し棲む世界を分かったゴジラとコングが新たな脅威の出現と共に再会し、共闘することになります。ストーリーの流れだけで言ったら完全に怪獣たちのヤンキー映画。しかも超泥臭い。けれどあなた方が観たいのはこっちじゃないでしょう?とばかりに人間ドラマは状況説明と最低限の交流にとどめ、尺のほとんどはコングのヒーローズジャーニーと怪獣たちの大バトルに費やす実に潔い逸品です。
実際今回ドラマの中心にいるのは人間よりもコングの方で、豊かな感情表現でもって喜怒哀楽や孤独感を観る者に伝えていてセリフは無くとも立派に主人公しています。人間の描写は極めて薄く完全に添え物。細かいことは良いんだよ!と言わんばかりのご都合主義も何のその、テンポ最優先のスピーディーな作劇は結果的にエンターテインメントの純度を上げています。
映画開始時点の状況を理解するのに前作「ゴジラvsコング」は観ておいた方が良いのは確かですが、そもそも作品のIQが低すぎるのであまり気にせず乗り込んでしまっても問題は無いでしょう。
それにしても「シン・ゴジラ」「ゴジラ-1.0」、あるいはアニメ版「怪獣惑星」3部作にしても日本での近作がゴジラの神性の復権と人間ドラマの融合を図る方向に行く一方でアメリカ版の方は1990年代のVSシリーズを思わせるアッパーで明るい作風をハリウッドのリッチでハイカロリーな画面で見せにくる好対照ぶりはなかなかに興味深い現象です。しかもその2つが今同時に映画館で観ることができる、長いシリーズの中でも実に稀有な状況も発生しています。見比べてみるのも一興ですよ。
今年は連休の人出凄いんだろうな〜と漠然と思ってはいましたが、食事する場所を探して40分以上彷徨う事になるとはさすがに予想以上。もはや「今の俺は何腹なんだ?」とか言ってる場合ではなかった。
そうしてたどり着いた店が食事メニューの大半が馬肉料理というちょっと珍しいところで時にはそういうのも一興。
こんばんは、小島@監督です。
しかしこれ絶対明日明後日ヤバいくらいに忙しいわ…
さて、昨日「王様戦隊キングオージャーファイナルライブツアー」名古屋公演を観に行って来ました。
いわゆるニチアサのヒーロー番組はスーパー戦隊なら3〜5月頃、仮面ライダーなら9〜11月頃に主演陣が全国各地を巡るステージツアーを行うのが恒例となっています。毎年やってるのは知っていたものの、さすがに自分はお呼びでなかろうと今まで食指が伸びなかったのですが、キングオージャーの終盤の怒涛の盛り上がりにやられてしまい、気づいたらついうっかりチケットを購入。初めてのファイナルライブツアー参戦です。
ステージはヒーローショーとトークパートの2部構成。
ヒーローショーの方はキングオージャーのメインライターだった高野水登の手による脚本で最終回のその後を描くアフターストーリー。正直もとのTVシリーズが完璧と言っていいくらい見事な大団円だったのでその後なんてどうするんだ?何をしても蛇足になりそうだがと思っていたのですが、ちゃんと最終回を補足するような内容になっている上にキャラクターたちの関係性も掘り下げており、1本の芝居としての完成度がなかなかのもの。
唸ったのがヒーローショーとしてのステージ演出。大道具のブラックボードとレーザー光線を利用しての変身シークエンスとアクション、これがかなりスマート。派手さを出しつつ1日で3公演もこなす労力を最小限に抑え込む工夫もされていて驚きます。
第2部の方は出演者の皆さんがキャラソンを歌ったりトークしたりするコーナー。役柄のまま押し切ったり素顔が見えたりのバラエティー番組的なノリで楽しませてくれます。
そう言えば観客にもっと親子連れが多いかと思っていたら結構私のような大人の客が、それも女性が多かったのも印象的。毎年そういうものでもないようで、それは今年だけの傾向のようです。キングオージャーが例年以上に大きいお友達に支持されていたのをその目で確かめたような感覚です。
気づけば2時間しっかり楽しんでしまいました。ぶっちゃけ観る前はモールでやるヒーローショーをちょっと豪華にした程度かなくらいに思っていたのですが、完全に侮ってた。毎年このクオリティのものを会場を変えて何公演もやっていたのかと思うと頭が下がります。
これが東映の底力か。また刺さるタイトルに出会えたら行ってみよう。
そうしてたどり着いた店が食事メニューの大半が馬肉料理というちょっと珍しいところで時にはそういうのも一興。
こんばんは、小島@監督です。
しかしこれ絶対明日明後日ヤバいくらいに忙しいわ…
さて、昨日「王様戦隊キングオージャーファイナルライブツアー」名古屋公演を観に行って来ました。
いわゆるニチアサのヒーロー番組はスーパー戦隊なら3〜5月頃、仮面ライダーなら9〜11月頃に主演陣が全国各地を巡るステージツアーを行うのが恒例となっています。毎年やってるのは知っていたものの、さすがに自分はお呼びでなかろうと今まで食指が伸びなかったのですが、キングオージャーの終盤の怒涛の盛り上がりにやられてしまい、気づいたらついうっかりチケットを購入。初めてのファイナルライブツアー参戦です。
ステージはヒーローショーとトークパートの2部構成。
ヒーローショーの方はキングオージャーのメインライターだった高野水登の手による脚本で最終回のその後を描くアフターストーリー。正直もとのTVシリーズが完璧と言っていいくらい見事な大団円だったのでその後なんてどうするんだ?何をしても蛇足になりそうだがと思っていたのですが、ちゃんと最終回を補足するような内容になっている上にキャラクターたちの関係性も掘り下げており、1本の芝居としての完成度がなかなかのもの。
唸ったのがヒーローショーとしてのステージ演出。大道具のブラックボードとレーザー光線を利用しての変身シークエンスとアクション、これがかなりスマート。派手さを出しつつ1日で3公演もこなす労力を最小限に抑え込む工夫もされていて驚きます。
第2部の方は出演者の皆さんがキャラソンを歌ったりトークしたりするコーナー。役柄のまま押し切ったり素顔が見えたりのバラエティー番組的なノリで楽しませてくれます。
そう言えば観客にもっと親子連れが多いかと思っていたら結構私のような大人の客が、それも女性が多かったのも印象的。毎年そういうものでもないようで、それは今年だけの傾向のようです。キングオージャーが例年以上に大きいお友達に支持されていたのをその目で確かめたような感覚です。
気づけば2時間しっかり楽しんでしまいました。ぶっちゃけ観る前はモールでやるヒーローショーをちょっと豪華にした程度かなくらいに思っていたのですが、完全に侮ってた。毎年このクオリティのものを会場を変えて何公演もやっていたのかと思うと頭が下がります。
これが東映の底力か。また刺さるタイトルに出会えたら行ってみよう。