ちゅうカラぶろぐ


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先日、声優大山のぶ代さんの訃報が。
 現在の水田わさびさんに代替わりしてからもうすぐ20年になりますが自分にとってはやはり世代的に「ドラえもん」の声といえば大山のぶ代さんのイメージ。のび太と一緒になって遊び回るというよりどこか保護者のような優しさを感じさせる声音にずっと慣れ親しんで来ました。ドラえもん降板後も「ダンガンロンパ」シリーズのモノクマ役で印象を残しこちらのイメージの方が強い方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 死因は老衰とのことで大往生と言えるでしょうが、幼い頃から知っている方の訃報はやはり寂しいものがありますね。

 こんばんは、小島@監督です。
 劇場版ドラえもんはシリーズ45周年を記念して来年1月にリクエストで選ばれた作品を上映する企画が準備中とか。もう一度童心に帰ってあの声をスクリーンで楽しみたいですね。

 さて、今回の映画は「シビル・ウォー/アメリカ最後の日」です。

 近未来のアメリカ。「3期目」に突入した大統領(ニック・オファーマン)は権威主義に傾倒し独裁体制を築いた。これに反発した「西部勢力」が反乱を起こし内戦が勃発。アメリカ各地で武力衝突が発生した。
 戦場ジャーナリストのリー・スミス(キルスティン・ダンスト)と同僚のジョエル(ワグネル・モウラ)は、進行を続ける西部勢力に先んじてワシントンD.C.に乗り込み14ヶ月間一度も取材を受けていない大統領へ単独インタビューを実行しようと試みる。リーの師であるサミー(スティーブン・マッキー・ヘンダーソン)とリーに憧れ戦場カメラマンを志すジェシー・カレン(ケイリー・スピーニー)も加わり、4人は700km先のワシントンD.C.を目指す。

 「シビル・ウォー」とは「内戦」の意味ですが、アメリカではそれ自体で「南北戦争」を指す言葉になります。歴史に刻まれたこの戦争が再びアメリカ全土を覆ったら、それほどの分断がアメリカにまた横たわったら。最初にあらすじを知った時は政治劇の趣きを予想していましたが、実際はだいぶ違いました。舞台説明はほとんどされず、むしろ制作側の政治色は極限までオミットされています。
 独裁体制を敷いた大統領に叛旗を翻したのがテキサスとカリフォルニアの連合で、それに呼応した州も出て来て独立を歌い出した、という設定ですが、保守的で共和党支持が強いテキサスとリベラル志向で民主党が強いカリフォルニアが手を組むなどまずあり得ず、そんな「不可能が起きないといけないほどの事態」が起きてしまっているというのがポイントです。実際のところ、もし実現したら人口もGDPも軍事力も世界トップクラス、連邦政府打倒も夢ではない勢力の誕生で、それ故に映画では反乱軍が優勢で攻勢に出ているのも納得というところでしょうか。
 極めてデリケートなテーマながら政治性を敢えて薄めているところが賛否両論ある所以ですが、もっともリアリティ重視でアメリカの内戦を映画にして大統領選の年にぶつけて来たらそれこそ内戦の引き金になりかねないのでこのくらいで丁度いいのでしょう。

 映画はそう言った背景を考察させて観客に委ねることはせず、基本的にはジャーナリスト4人のロードムービーの形で展開していきます。立ち寄った先で起こる数々の事件に寓話性とサスペンスを見い出し、中でもジェシー・プレモンス演じる「赤いサングラスの男」は下手なホラー映画が裸足で逃げ出すレベルの怖さで観客を震え上がらせてくれるでしょう。旅が進むにつれてジャーナリスト4人のドラマも絡み合っていき、リーは次第にPTSDが深刻化していく一方でジェシーは戦場カメラマンとして急速に成長していきます。

 この映画を特徴づけるもう一つが音響です。まるで「プライベート・ライアン」や「地獄の黙示録」を思わせるリアルで生々しい音響設計に、時折不意に不協和音のようにスーサイドやスタージル・シンプソンの楽曲が差し挟まれ、それらが渾然となって独特の映像世界を作り上げています。IMAXのように迫力重視のスクリーンだといささかアンバランスに感じたのですが、Dolby cinemaや109名古屋の「SAION」、ミッドランドスクエアの「粋」など最近シネコンでも追加料金は不要ながら音響をアップグレードしたスクリーンが登場してきており、そう言った繊細なニュアンスを楽しめるスクリーンで鑑賞した方がより没入度が増すこと必至です。
 また、ジャーナリストという主戦軸から一歩引いた視点を主人公に据えていることもあり時折リーやジェシーが撮る写真が静止画で挿入されこの虚構の世界に奇妙なドキュメンタリーのような風合いをもたらしています。かつてこれに近い語り方をしていた高橋良輔監督の「FLAG」というアニメがあり、何だかそれを思い出してしまいました。

 恐らく日本人である以上この作品が持つ恐ろしさを本質的には理解できないのかもしれません。しかしラストでジェシーが撮る一枚の写真に複雑な感情が湧き上がらずにはおかないはず。アメリカも日本も大きな選挙を控えて政治の注目度が上がっているご時世。一つのよすがとして注目して然るべき作品なのは間違いありません。是非スクリーンで鑑賞して異様な空気感に震え上がってみてください。

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昨日開催された「宇宙戦艦ヤマト」の50周年記念上映イベントの場にて、庵野秀明監督が「ヤマト」の新作を作れるようになったと発表しました。庵野監督、「ふしぎの海のナディア」でヤマト発進シークエンスを完コピしたシーンを入れ込んだくらいにはガチ勢なのでまた強烈なものを作ってくれそう。

 こんばんは、小島@監督です。
 「宇宙戦艦ヤマト」、リメイクも含めると映像作品の数が実は20作品を超えているとか。この作品の周りはだいたいいつもゴタゴタしてる印象があるので無事完成まで漕ぎ着けられると良いのですが。

 さて、今回の映画は「ルパン三世/ルパンVS複製人間」です。

 ある日、1人の男が処刑された。厳正な解剖の結果、男は「ルパン三世に間違い無い」と判断される。しかし銭形警部(声・納谷悟朗)はそれを信じず自らの目で遺体を確かめとどめを刺そうとする。しかし突如遺体は爆発し銭形の前にルパン三世(声・山田康雄)が姿を現し、その場から逃走して行った。
 後日、ルパンを追い銭形はエジプトへ。ピラミッドの中でルパンは「賢者の石」を盗み取ろうと行動していた。

 1978年に製作された、「ルパン三世」初めての劇場版です。映画化としては1974年に「念力珍作戦」という実写映画があったり(さすがにまだ観たことない)、TVシリーズの1エピソードを劇場用にブローアップして上映した短編映画「ベネチア超特急」があったりしますが、長編アニメ映画としてはこれが第一作。当時のアニメ映画としては珍しく画面比4:3のTVサイズではなくビスタサイズ(画面比1:1.85)で製作され、作画に通常より大きな背景やセル画が用いられたそうです。数年おきに金曜ロードショーで放送される定番のプログラムで何度か観たことはあるのですが、大須シネマで今リバイバル上映中。まさかのスクリーン鑑賞の機会を捕まえました。
 
 TVシリーズ第1期のアダルティでハードな作風の再現を目指していたようで、かなり際どいセリフやシーンが登場します。これが実は金曜ロードショーで放送される際にほとんどカットされてしまっていてちゃんとフルサイズで観たことがありませんでした。実際観てみたら結構なボリュームで知らない箇所があって驚きました。ずっと繋がりが悪いと感じていた箇所のほとんどで何かしらのシーンが入っていて、さながらパズルの欠けたピースがハマるような感覚です。

 物語は峰不二子(声・増山江威子)の頼みを聞いてあれこれ盗みに行ってるうちにルパンは自らを神と標榜する男・マモー(声・西村晃)との戦いに巻き込まれていきます。当時いわゆる「試験管ベビー」と呼ばれる体外受精児の誕生がニュースで報じられるなどクローンはトレンドなテーマでもあり、ただ登場するだけでなくその知見も盛り込まれているほか、「神に挑む」というテーマも「幻魔大戦」や「サイボーグ009」「神狩り」などで先達がいたりしてハードSFの要素が強い側面もあります。一方で、そういった要素をルパン三世のキャラクターで軽やかに押し切ってしまう面白さもあり、なかなか癖になる作品です。

 翌年に宮崎駿監督による傑作「カリオストロの城」が公開され、そのダイナミズムとロマンチシズムに比べるといささか荒っぽさが目立ちますが今観ても充分に楽しめる一本。何度もTVで観ていても、知ってるつもりになっていただけでやっぱり一度はスクリーンで観ておくものだなと実感。せっかくだからルパン三世なら「バビロンの黄金伝説」とか「DEAD OR ALIVE」とかもリバイバルの俎上に乗ってほしいなぁ。「ちゃんと」観たことの無い作品、自分で思っているよりずっと多いようです。

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4月に存在を知って以降、何だかんだ月1回くらいのペースでライブを観に行ってしまっているアイドルユニット「THE ENCORE」、仕事上がりにスーツ姿のままで行ったりすることが多いのと普段でもジャケットを良く着ているのがライブハウスでは実はちょっぴり浮いていたらしく、先日特典会(ライブ後にアイドルの人にサインもらったりチェキ撮ったりする場。という認識で良いはず)でメンバーの方にどうやら私は「たまに現れるスーツのおじさん」で覚えられているらしいと知って変な笑いが。

 こんばんは、小島@監督です。
 これはもう後方プロデューサー面を通すしかない。

 さて、今回の映画は「わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!ドキドキ!ゲームの世界で大冒険」です。

 人気ゲーム「ドキドキ♡タヌキングダム」で遊ぶために集まったいろは(声・種崎敦美)たち。ところが突然怪し気なタヌキのような存在が現れゲームの世界に吸い込まれてしまう。いろはとはぐれてしまった飼い犬のこむぎ(声・長縄まりあ)はいろはと再会するために猫のユキ(声・松田颯水)と共にゲームの世界でタヌキたちとの対決に挑む。一方、辛うじてゲームに吸い込まれることなく済んだ悟(声・寺島拓篤)は現実世界からいろはたちを救おうと行動を開始する。

 はい、今年もやってまいりましたプリキュアの季節。当然のようにちゃんと観に行っております。主人公が犬、というところが目を引く今年の「わんだふるぷりきゅあ!」、飼い主であるいろはと共に変身しバディとして困難に立ち向かいます。動物との絆がメインテーマである「わんぷり」は後半に差し掛かり人間の手により絶滅した動物が人間への憎悪を持って登場し、物語が転機を迎えています。TVシリーズの陰影が深くなり始めた中で公開された今回の劇場版は、核となるメインテーマはそのままにサプライズとお祭り感で彩る作品になっています。

 率直な感想を言うと、「軸は定まっているのに付加要素が多すぎて散らかっているように見える」印象です。今回ゲストとして「魔法つかいプリキュア!」と「ひろがるスカイ!プリキュア」のメンバーが揃って登場するほか、サプライズでイケボを披露するアイツがいることも相まって非常に画面は賑やかかつ華やかです。ただ結果的にそれらの要素が本筋の掘り下げを妨げてしまっています。今作の脚本は「アイカツ!」シリーズや「アイドルマスターミリオンライブ」など群像劇の差配に定評のある加藤陽一が手掛けていますが、さすがに尺に対して入れるべき人物とやるべきことが多すぎたようでまとまり切ってないと言わざるを得ません。

 一方でゲーム世界でのデフォルメの効いたビジュアルは可愛らしく、手を変え品を変えの様々なステージで躍動する、何ならダンスまでするファンシーさはTVシリーズと上手く差別化が図れていてポイントが高く、何だかんだゲームの世界にいる状況を楽しんでしまっているこむぎやユキの言動と合わせて心地良い楽しさを提供できているように思えます。

 シリーズ20周年という節目を圧倒的ボリュームで飾ってみせた昨年の「プリキュアオールスターズF」のような重厚感はありませんが、「ちゃんとお子様の方を向いている映画」という意味ではじゅうぶん及第点の一本です。場内の照明を落とし切らず音量も少し絞った小さなお子様連れを対象として「デビュー上映会」の定番プログラムになっているプリキュアとしてはこの視座は無くさないで欲しいですね。
 そんなこと言ってる私、プリキュアを映画の方も観るようになってもうすぐ15年!よもやこんなに長い付き合いになるとは(笑)

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ちゅうカラのホームページが全面リニューアルされました!さながら企業IPのページかと思うくらいのデザインが洗練されてて驚きます。是非一度お立ち寄りください。

 こんばんは、小島@監督です。
 とは言えこのブログは変わりません。基本的に毎週月曜日に更新しております。読んで頂ければ幸いです。

 さて、今回の映画は「エイリアン:ロムルス」です。
 リニューアル一発目からホラーとか何かすいません(笑)

 太陽の光も差し込まないウェイランド・ユタニ社の植民惑星の鉱山で働くレイン(ケイリー・スピーニー)は、亡父の形見でもあるアンドロイドのアンディ(デヴィッド・ジョンソン)と暮らしながらこの星を脱出することを夢見ていた。ある日レインは、元カレのタイラー(アーチー・ルチーノ)から衛星軌道上に宇宙ステーションが廃棄されたまま漂っており、そこから冬眠ポッドを盗み出せばこの星から抜け出せると誘われる。会社に書類を勝手に書き換えられ他の惑星への転籍を潰されたレインは誘いに乗った。
 仲間たちと共に宇宙ステーション「ロムルス」に乗り込んだレイン。首尾よく冬眠ポッドを見つけ出すことに成功するが、ポッドの燃料を探している最中にエラーが発生し、レインたちは覚醒した凶暴な宇宙生物の襲撃を受ける。

 リドリー・スコットとダン・オバノンが生み出したSFホラーの金字塔「エイリアン」、その後はジェームズ・キャメロン、デヴィッド・フィンチャーら様々な監督たちがメガホンを取ることになるこのシリーズは、どの作品も監督の映像作家としての個性が強く出ていて、連続した物語としては一貫性が無いものの作品ごとにガラリと変わるテイストを楽しめる懐の深さがあります。そんな系譜にまたひとり、名乗りを上げた監督が現れました。
 今作を手掛けたのは、盲目の老人宅だから容易いと泥棒するために忍び込んだらとんでもない目に遭う青年たちの恐怖を描いた「ドント・ブリーズ」が記憶に新しいフェデ・アルバレス。シリーズの過去作へのリスペクトを存分に込めつつ自身のテイストを入れ込むことも忘れない快作に仕上がっています。

 時系列的にはシリーズ第1作と第2作に横たわる空白の57年間に起きた事件という位置付けの今作、実はシリーズの中には同じ設定で描かれた物語が存在します。偶発的にエレン・リプリーのコールドスリープが解除され、エレンが再びゼノモーフの恐怖と向き合うことになる小説版「エイリアン:虚空の影」、エレンの娘アマンダが行方不明の母親を探す中でたどり着いた宇宙ステーションで母が何と戦ったのかを知り、ステーションからの脱出を図るゲーム「エイリアン:アイソレーション」があります。どちらも意識的にクラシックな雰囲気を持つように作られているのが特徴で、特に「アイソレーション」の画面の隅々まで行き渡るこだわりぶりは実に見事。これをフェデ・アルバレス監督が知っていたどうかはわかりませんが、「ロムルス」の方もコンソール系が全てCRTモニターだったりセットや小道具へのこだわりが全編を貫いている上、ゼノモーフやフェイスハガーも敢えてCG主体ではなくアニマトロニクスを活用してクラシックなテイストに拍車をかけています。

 セリフやシチュエーションなどにシリーズへのオマージュが散りばめられていてファンにはニヤリとさせられる一方で、主要人物のほとんどが若く無鉄砲な者ばかりというのが今作独自の特徴です。これまでエイリアンシリーズは番外編とも言うべき「エイリアンVSプレデター」を除いて主要人物はほぼ成熟した大人たちで占められており、こうした閉塞した状態を打破すべく果敢に危険へ飛び出して行く、若さ故の勇気と無知無謀が紙一重で共存する若者たちのドラマが展開されたことはこれまで無いため、一見するとオーソドックスなティーンホラーなのですが「エイリアン」でこれが語られること自体が新鮮で上手い具合にミックスアップが効果を発揮しています。

 初めは怯えるだけだったレインたちも自身の生存を懸け反撃の可能性を見い出すようになると画面も熱を帯びるようになり、静かなゴシックホラーだった第1作から海兵隊の熱血バトルアクションへとシフトチェンジした第2作へ、見事に橋渡しをしてみせます。
 とは言え単純に作品として出来が良く、シリーズにまつわるあれこれを知らなくてもこれ単体で充分楽しめるのが良いですね。むしろこれまで未見の方にシリーズを知ってもらう良い入り口になっていると思います。この作品が登場したことで「エイリアン」はようやく連続したシリーズとして一本線が通ったようにも感じます。公開が終盤に近づきつつありますが、虚空の中で展開する極限のサバイバルをどうぞスクリーンでご堪能ください。

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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
 と言って私は今回不参加。すいません、横浜行ってました。この連休、大雨だったところも少なくないようですが横浜は見事な晴天。そして超暑い。これでもかとばかりに大汗かいてました。

 こんばんは、小島@監督です。
 次回は参加する予定です。

 さて、この連休Kアリーナ横浜にて開催された 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT FANTASY」 を観に行って来ました。ゲームアプリ「シンデレラガールズスターライトステージ」のリリース9周年を記念したライブイベントです。シンデレラガールズは今年2〜4月に出演者を10人以下に絞りキャパ1,500人規模のホールを渡るツアーを展開していましたが、今回は20人以上が出演する1年ぶりの大規模イベントです。

 剣と魔法のファンタジーな世界の冒険譚というコンセプトのもと、出演者に勇者や踊り子、天使など9つの役柄を割り振りそれに合わせた衣装と歌曲が用意されているのが今回の特徴。スクリーンの映像をフル活用しセットリストで物語を紡いでいきます。アイドルマスターでは「シャイニーカラーズ」で同種の趣向が盛り込まれたことがありますが、シャニマスのように2日間で使われる楽曲はほとんど変わらないのに全く違う物語を展開してみせたりというハイコンテクストなことはせず、基本的にday1、 day2とも共通の流れをしており単独でも完結するように作り上げていました。

 大きな特徴としてはライブの進行を2部構成としている点。息を継ぐ箇所が長めのMCを取り入れた中間の一ヶ所だけ、というのは3時間超のライブとしてはかなり攻撃的。オールスタンディングでもないのにこんなに長いこと立ちっぱなしにしていたのも珍しい。終盤はバトルアニメのクライマックスが如く力強いナンバーをこれでもかとばかりに投入して来て終わる頃にはへとへとでした。
 興味深いのはファンタジー的な世界観だから、ということだからか楽曲の持つ雰囲気重視で「ささのはに、うたかたに」「Halloween code」「あの子が街に来なサンタ」と七夕、ハロウィン、クリスマスの楽曲が同じ一線上でステージのコンセプトからも外れず共存しているところで、季節の歌でも様々な使い方ができる面白さを提供してくれています。

 今回自分が取れたのがバルコニー席だったのですが、照明やレーザーを使った演出の妙に定評のあるJUNGO氏の演出意図を変にあちこち見回したりしなくても一望できるというのが面白く、そもそも音響が良い会場なのも相まってライブへの没入感が素晴らしい非常に贅沢な時間でした。あと個人的には我が担当である望月聖役原涼子さんの歌声を最高の席位置で聴けたのも嬉しい。
 デレステがサービス規模を縮小している中での大型イベントということもあって事前には不安視する声もありましたが、終わってみれば新しい様々な可能性も感じさせてくれるイベントでした。来年にはデレステ10周年記念のツアーが開催されることも発表。まだまだ楽しみは続きそうです。
 来年…名古屋に新しいアリーナもオープンしますし、そこで名古屋公演してくれると嬉しいのだけどな〜。

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先日年一の健康診断を受診。例年は職場が健診車を呼ぶ日があるのでその日に受けるようにしているのですが、思うところあって今年は内視鏡検査を受けることにしたためこれまで行ったことの無いクリニックへ足を運ぶことに。
 何が驚いたって採血をしたスタッフが顔見知りだったことですね(笑)。余計なことが喋りづらいとても静かな空間だったので敢えて事務的なやり取り以外はしませんでしたが、内心は「そんなことある!?」と我が内なる善逸君が大騒ぎしておりましたですよ。世間は狭い。

 こんばんは、小島@監督です。
 内視鏡検査、初めて受けたのですが麻酔が効いて半分寝てるような状態の間に終わってしまったのでバリウム飲むよりずっと楽。来年もこれで行こう。

 さて、今回の映画は「サユリ」です。

 郊外にある中古の一軒家を買い取り、引っ越して来た神木家。引っ越しを機に離れて暮らしていた祖父・章造(きたろう)と認知症を患う祖母・春枝(根岸季衣)も呼び寄せて三世代7人での新生活が始まった。ところが暮らし始めて早々に次男の俊(猪俣怜生)は何かを感じ取り不安を覚え、春枝はひたすらにある一点を見つめ続けるようになる。長男・則雄(南出凌嘉)は学校で違うクラスの住田(近藤華)に呼び止められ「気をつけて」と忠告された。
 やがて神木家を惨劇が襲う。弟思いだった長女・径子(森田想)は突然俊に暴力を振るったかと思えば時を置かずに父・昭雄(梶原善)が怪死する。人ならざる「何か」の存在の猛威に次々と命を落とす神木家の者たち。なす術なく全滅は避けられないかに思われたが。

 世界的にも大きな影響を及ぼしたと言っていい「リング」や「呪怨」を旗手としてジャンルを確立してきた「Jホラー」と呼ばれる作品たち。元を辿れば「怪談」に源流を見ることもできるからか生者と死者の情念の相克を物語の主眼に据え、大抵の場合怪異に対して一度は打ち勝つあるいは逃げ切ったように見えても実はまだ、というラストになることが多く実質ほぼテンプレのようなものになっています。そのモヤモヤとした感覚をも味わうのがJホラーの楽しみ、と言えばそうなのですが、不完全燃焼に思う方も多いでしょう。そんな作品たちへのカウンターパンチとも言える出色の逸品が登場しました。
 押切蓮介が2010年に発表したホラー漫画を、鬼才・白石晃士監督が見事に映像化。色んな意味でホラーの枠を軽々と飛び越えるエネルギッシュな作品になっています。

 物語は前半は正統派のオカルトホラーとして展開。新居に棲みついていた悪霊に翻弄される家族の姿を色調を少し落とした映像でしっかりと怖く作ってあります。しかし後半に差し掛かると認知症を患っていた春枝ばあちゃんが突如覚醒。なんと悪霊に対して復讐を始めます。この後半のパワーが尋常ではありません。もはやどっちが悪役か分かったものじゃないクライマックスのスパルタンぶりも含めて何も知らずにいつものホラー映画を期待して観に行った人がいたらブッ飛ぶこと必至。
 思えば白石晃士監督は呪術で支配しようとする相手に反撃に打って出る「カルト」や怪異に対して金属バットでカチ込む「戦慄怪奇ファイル・コワすぎ!」シリーズなど人間がオカルトに怯えたままにしない作品を以前から作って来た実績があり、遂に自身のテイストにがっちりハマった原作と出会ってしまったようです。

 悪霊に対抗するのは強い信仰心でも超能力の才能でもなく生きている人間の生命力。おばあちゃんというよりある種の敬意を持って「ババア」と呼びたい春枝の力強い生き方と言葉に背中を押され勇気付けられる人も少なくないはず。このジャンルを超えた飛翔ぶりはちょっと類似作品が思いつきません。Jホラーが持つこう着したイメージをこの1本で覆すほどのパワーを秘めています。白石晃士監督の、現時点での最高傑作と言って過言ではないでしょう。まさに観るエナドリ。「元気ハツラツ」に、「命を濃く」したいあなたは是非とも劇場へ!太極拳を習いたくなるかもしれないぜ!

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まさか一つの台風で一週間引っ張ることになろうとは。挙げ句に日本を縦断することなく消えてしまうし。しかも場所によっては甚大な被害に。長雨による交通への影響も結構なもので、私も出勤を取りやめて自宅待機してた日があったり何なら今日もダイヤを狂わされていつもより長い時間電車に揺られたりしています。

 こんばんは、小島@監督です。
 今月半ばにしばらくぶりの泊まりがけの遠征が控えているのですが、天候、問題無いと良いな…

 さて、今回の映画は「モノノ怪・唐傘」です。

 「大奥」、そこは世を統べる「天子様」の世継ぎを産むために各地から美女・才女たちが集められ独自の社会を形成する特別な場所。そこに二人の新人女中アサ(声・黒沢ともよ)とカメ(声・悠木碧)が足を踏み入れた。自身の才覚を持ってキャリアアップを図りたいアサと憧れた大奥に自分の居場所を見つけたいカメ、性格がまるで違う二人だが妙に気が合い、二人の間に絆が生まれていく。しかし、最高職位である歌山(声・小山茉美)は冷徹な表情の裏に何かを隠していた。そして大奥には奇怪な事件が起こり始める。そこにまとわりついた「情念」に立ち向かうべく、「薬売り」(声・神谷浩史)は大奥に迫る。

 元をたどれば2006年に放送された、日本古来の著名な怪談を独自解釈を加えてアニメ化した企画「怪~ayakashi~」の中の一篇「化猫」が好評を博し、翌年にはその登場人物の一人であった「薬売り」(「化猫」の時はただ「男」としてクレジットされていた)を主人公として単独のTVアニメ「モノノ怪」が製作・放送されました。その後コミック版や小説などが出版されたり舞台化がされたりしましたが、監督・中村健治を始め中核スタッフが再結集しアニメーション作品としては実に17年ぶりとなる新作が製作、劇場用長編として今夏公開されました。公開から1か月以上が経過していますが根強い人気を獲得しているようでロングラン中。おかげで先日ようやく観ることができました。

 近世日本をモチーフにした世界観と、和紙の質感をテクスチャーとして取り入れた極彩色でアバンギャルドなビジュアルは健在。TVシリーズのファンだった身にはこのビジュアルだけでもう入り込めてしまうくらいに唯一無二の存在感です。むしろ17年間の技術力の向上に劇場版としてのスケールアップが加わり非常に密度と情報量の多い画面をしています。
 
 物語はアサとカメ、二人の友情を軸としつつ、成り上がるためには自身の大切な何かを捨てなければならないという大奥の巨大で硬直した官僚機構の側面を見せながら、続発する怪事件の原因を薬売りが紐解いていくホラーミステリとして重層的に展開します。様々な要素がさながら万華鏡のように組み上げられ、直接的な言葉では語らない部分も多く初見の方は面食らってしまうかもしれませんが、これこそが「モノノ怪」の味わいでもありファンにとっては「変に分かり易くなくていい」というひねくれた誉め言葉を発してしまうところでもあります。

 とにかく、上映中に観れて良かった。強烈な没入感をもたらす圧倒的な情報量はスクリーンでなくては味わいきれるものではありません。野心的な作品を多く放送していた時期の「ノイタミナ」作品らしいエッジの効いた面白さは今も強い存在感を放ちます。聞けばこの劇場版は三部作の予定で第二作が来年3月公開を目指して準備中とか。まだまだ薬売りの怪異譚を楽しませてもらえそうです。

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