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ちゅうカラぶろぐ


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高圧洗浄機、自宅にあります(笑)
 大抵は洗車に使うことが多いですね。玄関周りの清掃にも使ったりしますが、マジでやった所とやってない所が一目で分かってしまうのでやり始めたらやり切るまで引っ込みがつかないツールです。でも便利。なお冬場は寒くて使いたくない。

 こんばんは、小島@監督です。
 昨日のかときちさんのブログ読んでたら高圧洗浄機の話してたので、つい(笑)

 さて、今回の映画は「PERFECT DAYS」です。

 東京スカイツリーに程近いところにある古びたアパートで独り暮らす寡黙な初老の男・平山(役所広司)。早朝に起床しワゴン車を駆り仕事へ向かう。渋谷区内各所の公共トイレを清掃して回り、夕方に終業。一度帰宅し車を置いた後は銭湯で汗を流し、浅草駅そばの馴染みの呑み屋でチューハイを楽しみ、家に戻って少しのあいだ読書して眠る。繰り返す日々の中で生じるささやかな変化を楽しみ、平山は今日も目を覚ます。

 足るを知る、そんな生き様。
 カンヌ映画祭で役所広司に男優賞をもたらした一本は、公共トイレの清掃員を仕事とする男の日常を淡々と綴る映画です。監督は「ベルリン・天使の詩」や「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」などで知られ、日本にも造詣の深いヴィム・ヴェンダースが務めています。
 正直言ってかなり不思議な風合いの作品で、市井の人の哀歓に焦点を当てていても例えばアキ・カウリスマキ監督のような陰影の深さはありませんし、安アパートに暮らすトイレ清掃員という主人公の造形からケン・ローチ作品のような社会的テーゼを期待させそうですがそういうものもありません。密着しながらも背景はほとんど描かれない、毎日のルーティーンをほぼ決めて暮らしている男の日常を本当にただドキュメンタリーのように淡々と描き出すだけの作品です。それだけに観る者によってかなり極端に評価の分かれる映画でしょう。
 
 このユニークな語り口は、映画の出自そのものの特異性ゆえもあるでしょう。渋谷区の公共トイレを刷新するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」、そのPRのための映像製作企画が発端と聞きます。当初は短編としてスタートしましたがその後長編映画製作へと舵を切ったそうです。企画者にはファーストリテイリング取締役の柳井康司や電通のクリエイティブディレクターである高崎卓馬らが名を連ねており、それコマーシャルフィルム的性格ゆえか平山の人物像も特殊なら出てくる公共トイレも最初から綺麗なものばかりですし、そう言った意味で社会性は意識的にオミットされているようです。本来ならシネコンのスクリーンが似合うタイプの作品ではないのですが大規模な広告戦略が打たれているのもその出自に起因しているからでしょう。

 ただ役所広司演じる主人公・平山の、毎日自分の決めたルーティーンをこなしながらオールディーズな音楽と読書を楽しみ、日々の小さな変化を苛立つでなくむしろそれを愛せる修行僧か仙人のような生き方は確かに憧れを覚えます。そうありたいと思う方も少なくないはずです。この暮らし方を成立させるためのハードルが高すぎるのが見えてしまうのが辛いところですが(苦笑)。作中の平山も最初からそういう生き方をしていたわけではなく、かなりの社会的地位を得ていながらそれを捨ててこの生き方を選び取ったことが示唆されています。

 日々の営みの中、ふと目を向ければただ生きているだけでも感じられる美しさは確かにあり、この映画は124分間、それをコンセプトとしたアートを楽しむような作品です。コロナ禍で一度は失われたもの達をようやく取り戻しつつある今、そう言ったものを愛おしむ映画、というのもまた時代の必然が生んだものかもしれませんね。

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