ちゅうカラぶろぐ


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昨日の歌会に参加された皆さんお疲れ様でした。
今回も5人も初参加の方が見えられました。皆さん結構キャラの濃い方ばかりで何とも賑やか。どなたも楽しんでいただけたなら嬉しいのですが。

こんばんは、小島@監督です。
「何か夏っぽい歌」を歌おうと考えて真っ先に浮かんだのが「キャプテン」のOP「君は何かができる」だった。そんな昨日の歌会でした(笑)

さて、今日の映画はオムニバス・アニメーション映画「SHORT PEACE」です。
「日本」をテーマに5人の作家が競演したこの映画は、アニメーションという表現方法の面白さを存分に味わえる1本になっています。

開幕を告げるオープニングシークエンスを担当するのは森本晃司。オムニバス作品「アニマトリックス」の1編「ビヨンド」やGLAYの「サバイバル」のビデオクリップなど短編で強烈な印象を与える作品の多い森本らしく、わずか3分あまりの映像でありながら圧倒的なイマジネーションの奔流に観客を飲み込みます。

2本目は嵐の夜山中で迷った男が身を寄せた祠で奇妙な状況に遭遇する「九十九」(監督・脚本森田修平)。千代紙をテクスチャーに利用したフルCGで描かれる傘や反物の柄の美しさが特徴で、幻想的なビジュアルの中、男が遭遇する奇妙な体験の顛末が描かれます。

3本目は「八百屋お七」をベースにしたと思われる、火消しの男と男に恋い焦がれるあまり火付けを行ってしまう女の悲恋を描いた「火要鎮(ひのようじん)」(監督・脚本大友克洋)。まるで浮世絵か絵巻物を想起させる日本画をそのままアニメにしたかのようなビジュアルが目を引きます。徹底したディテールのこだわりぶりも印象的。

4本目は人の言葉を理解する白い熊と空から落ちてきた鬼との死闘を描いた「GAMBO」(監督安藤裕章、キャラクターデザイン貞本義行)。
全編3DCGらしいのですが、荒々しい描線を活かした手描きアニメーションの様な独特の風合いが印象的な映像で、噴きあがる流血をものともしない異形の者同士の凄絶なバトルが観る者を圧倒します。

ラストを飾るのは「武器よさらば」(監督・脚本カトキハジメ)。1981年に大友克洋が発表した短編コミックを映像化。近未来、廃墟と化した東京でプロテクションスーツに身を包んだ小隊が突如起動した無人兵器との遭遇戦を展開します。時代物が多い中、ミリタリー色全開のSFアクションがフルCGで描かれます。

どの短編も演出に工夫を凝らした日頃TVで観る「アニメ」とは一味違う見応えのある物ばかりでアニメーションの奥深さを楽しめます。
ですが、1つ1つの短編としては満足度が高いものの5本全てを総合した1本の「映画」としてみるといささか微妙と言わざるを得ないでしょう。各作10~20分、全体でも68分という短めの尺である事、基本的にどの作品も技巧を楽しんでもらうことを主眼にした作品で短編ならではのシナリオの妙を味わう作品が無いため、オムニバスとしては少々バランスを欠いている事などが理由としてあると思えます。

この「食い足りなさ」が許容できれば、当代随一の作家たちのイマジネーションがぶつかり合うこの映画はアニメ好きな人はもちろん、最近のアニメにある種の「飽き」を感じる人には良いカウンターパンチになる事でしょう。たまにはちょっと一味違う作品を味わってみるのも良い刺激になりますよ。

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