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ちゅうカラぶろぐ


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皆さん、明けましておめでとうございます!本年も宜しくお願い致します。
 年末、仕事納めのあとサウナへ。休職中やその前後、幾人かの方から薦められていたものの行かずじまいになっていたのを丁度いいしとこの機会にと行ってきました。良く言う「ととのう」とかはイマイチ分からないのですが、サウナ→水風呂→休憩のムーブを3セットも決めればそりゃ指先までホカホカして気分が良い。その日の晩も睡眠導入剤を使うことなく長時間ぐっすり眠れたのでなるほどもっと早くからやってみても良かったかなと思いましたね。
 
 こんばんは、小島@監督です。
 サウナ、これからもちょいちょい機会を見つけて行った方が良いかもしれない。

 さて、今年最初の映画は「かがみの孤城」です。

 中学生のこころ(声・當真あみ)は学校での居場所を失くし、自室に引きこもる日々が続いていた。ある日、突然部屋の鏡が光り出した。こころは吸い込まれるように鏡に触れるとその中に吸い込まれ、気が付くと大きな孤城の前に居た。城には自分と同じような状況の6人の中学生が。さらに狼の仮面をかぶった「オオカミさま」(声・芦田愛菜)という少女が現れ、「城に隠された鍵を見つければ、どんな願いでも叶えてやろう」と告げる。
 期限は1年間。戸惑いながらもこころたちの奇妙な日々が始まる。

 「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国」「アッパレ!戦国大合戦」の2作品で大きな話題を集めて後、「河童のクゥと夏休み」「カラフル」など海外でも高い評価を得る原恵一監督の最新作がお正月映画の一つとして公開されました。原作も近年「朝が来る」「ハケンアニメ!」と映像化が相次ぐ辻村深月。かなり「強い」布陣と言えるでしょう。
 
 実に原恵一らしい登場人物の心情に寄り添った繊細でリリカルなテリングが活きた作品です。
 ファンタジックな設定と物語であるにもかかわらず、地に足が付き、また決して大仰には進んでいかず、物語に潜む謎よりもむしろこころたちの「生きづらさ」やそれにどうにか向き合おうとする葛藤の方に強くフォーカスされているのが特徴です。寄りにも寄って眼鏡をかけた少年が謎解きの代名詞みたいな声で喋る上にひとネタキメてくれるキャラクターもいたりしますがそこはそれ(笑)
 アニメ映画としていくらかデフォルメされたものになっていますが、こころたちが受けるいじめの描写がかなり容赦が無く、現在それに直面している方、あるいはかつてそうだった方にはかきむしられるような思いをする方もいるかもしれません。ですがただ露悪的にそういうものを描き出すのではなくその先に大きな希望が待っているのでどうか少しだけ踏みとどまって欲しいですね。

 原作がジュブナイル小説ということで、作中に用意された謎や伏線もそれほど難しいものではなく聡い人なら中盤くらいで気づいてしまうかもしれないのですが、だからと言ってカタルシスが削がれることは無いところに作劇の巧さが光ります。終盤のダイナミックな伏線回収のスピード感は見事としか言いようが無く、正直鳥肌が立つほどでした。
 エンドクレジットにもある趣向が施されているのですが、これがもう反則と言っていいレベルで思わず落涙。

 この作品で自分の中の何かが救われた気持ちになる方も、あるいは一生の宝物になる方もいるかもしれません。実に気持ちの良い作品でした。私、自身を持ってお薦めします。是非多くの方にこの映画をご覧になって頂きたいですね。

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今年は自分のメンタルが遂に限界に来て1ヵ月休職したのが何よりのトピック。来年は心身共に健康でいたい。

 こんばんは、小島@監督です。

 さて、今年最後の更新となる今回は恒例の、「今年の5本」と題して今年の映画を振り返ります。
例年同様現在の鑑賞可能状況も記載しますので参考になれば幸いです。

1.トップガン・マーヴェリック
 今年は洋画・邦画ともに豊作に感じられた1年でした。甲乙つけがたい名作だらけの中で1本だけ選ぶならこれ。名優トム・クルーズの孤高とも言うべき矜持と覚悟がスクリーンを疾走します。既にBlu-rayとDVDもリリースされ配信も始まっていますが、わずかながら現在でも劇場で上映が続いています。

2.RRR
 ナートゥをご存じか?圧倒的インド。観るエナドリ。何もかもが爆盛の超絶エンターテインメント。ただ全力で鑑賞するのだ!現在ロングラン公開中。版権の問題なのかインド映画はソフト化が他と比べると遅い傾向にあるため興味ある方は是非とも上映中に機会を掴まえて欲しいですね。

3.ハケンアニメ!
 邦画なら今年はこれが随一でした。アニメ創作現場の葛藤を熱量たっぷりに描くお仕事エンターテインメント。背中を押される気分になる方もきっと多いはず。Blu-ray/DVD/各種配信発売中。

4.スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
 少年の青春の終わりに、3人のスパイダーマンが集結する。煮え切らないままに完結させられた過去のシリーズも全て肯定し、新たな一歩を描いてみせた奇跡のような1本。正直今年正月にこれを観たときはいきなり今年のトップが来たかと思いましたが、まさかそれを上回る作品がこんなにポンポン現れようとは想像以上です。Blu-ray/DVD/各種配信発売中。

5.THE FIRST SLAM DUNK
 原作者井上雄彦自らが監督する新たなる「SLAM DUNK」、精密を極める音響と空間設計がもたらすバスケットボールのリアリズムに酔いしれる凄み溢れるアニメ映画になりました。現在公開中。好評を得てロングランになりそうです。

 5本選ぶならこんな感じ。今年はコロナ禍の鬱憤を晴らすかのように傑作が数多く上映される年になりました。また、配信が鑑賞のフォーマットとして定着しつつある中で、「映画館で鑑賞する」ことの意味を強く持つ作品が続々と登場するようになったのも大きいですね。
 さて、ここからはそれ以外にも印象に残った作品を振り返ります。こちらは鑑賞順に列記していきます。

・チック、チック…ブーン!
 アンドリュー・ガーフィールドがミュージカル「RENT」を生み出した夭折の作家ジョナサン・ラーソンの半生を演じるミュージカル。成功を夢見ながらも上手くいかず時間だけが過ぎていく青年の葛藤を誠実かつダイナミックに描きます。私は劇場上映で鑑賞しましたが実は上映の方が限定的で基本フォーマットはNetflix。
・ウェスト・サイド・ストーリー
 巨匠スティーブン・スピルバーグの手によるブロードウェイ・ミュージカルの定番の映画化。計算され尽くした映像の凄みに圧倒される。Blu-ray/DVD/各種配信発売中。
・ザ・バットマン
 「バットマン」の最新作は「DC」の「D」は「ディテクティブ(探偵)」の「D」、というのを思い出させてくれる逸品。しかしDC映画は最近迷走が激しくてこの先どこへ行ってしまうのか。Blu-ray/DVD/各種配信発売中。
・ハッチングー孵化‐
 フィンランド発の奇妙なホラー。少女の秘密が幸福な家族の仮面をはぎ取っていく。かなりエグイが忘れ難い印象を残す1本。DVD発売中。
・シン・ウルトラマン
 庵野秀明・樋口真嗣のコンビが送る新たなるウルトラマン。徹底して空想科学テイストを前面に押し出した画作りが良くも悪くも鮮烈。Amazonプライムにて配信中。Blu-ray/DVDは2023年4月12日発売予定。
・メタモルフォーゼの縁側
 17歳の女子高生と75歳のおばあちゃんがBLコミックを通じて交流する異色のドラマ。繊細な心の機微を美しい映像と演技で見せてくれます。Blu-ray/DVD/各種配信発売中。
・神々の山嶺
 夢枕獏の小説を原作に、何とフランスでアニメ化。切り詰めたタイトな構成で登頂に挑む男の心情を描き出します。ソフト化はまだ先のようですがAmazonプライムにて2023年1月6日より配信開始予定。
・ONE PIECE FILM RED
 劇場版ワンピースの新機軸。それにしてもヒロインのウタが連日年末の歌番組を席巻するようになろうとは。8月封切作品ながら現在も上映が続いています。
・NOPE/ノープ
 ジョーダン・ピール監督が描く「最悪の奇跡」とは。様々なオマージュやリスペクトも感じられるユニークなスリラー。配信発売中。Blu-ray/DVDは2023年1月6日発売予定。
・ブレット・トレイン
 東京発京都行の高速鉄道の中で殺し屋たちのバトルロワイアルが始まる。ブラッド・ピットを始めとした一級の名優たちが全力でB級を作りにかかっている悪ノリが楽しい。Blu-ray/DVD/各種配信発売中。
・サバカン/SABAKAN
 1980年代の長崎を舞台に、少年のひと夏の冒険を描く佳作。心地良い涼風のような作品だ。不定期に上映が続いているほか、ソフトについては草彅剛・稲垣吾郎・香取慎吾3人のユニット「新しい地図」のオフィシャル通販にて受注販売されています。
・ロード・オブ・ザ・リング三部作
 映画自体は2002~2004年の作品ですが、今年4Kリマスター・IMAXフォーマットで再上映されました。映画そのものが持つパワーをようやく余すことなく上映できるようになったのだなと思わされる映画体験でした。
・ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
 1本の映画の全てを懸けて語られる、若くして世を去った俳優チャドウィック・ボーズマンへ向けた哀悼の言葉。こういう作りが許されるほどの喪失感の大きさを作り手も受け手も共有しているというのは他では得難い経験でした。現在公開中。
・すずめの戸締まり
 新海誠監督の最新作は、初めて現実の災害である東日本大震災を正面から描くものになりました。前作「天気の子」よりは尖った部分が少なくなりましたが、その分作品の軸足はしっかりしたものになったように感じられます。現在公開中。
・窓辺にて
 国際的にも評価を高めつつある今泉力哉監督の最新作は同氏らしい等身大の恋愛模様を独特のリズムの会話で綴る会話劇。起伏も少なく145分と長尺なのにそれで退屈と感じさせない不思議な心地良さがある。現在公開中。
・犯罪都市THE ROUND UP
 冷酷非道な犯罪者に挑むのは、最強の男マ・ドンソク。自身のストロングポイントが良く分かってるマ・ドンソクの迷いの無い役者っぷりが楽しく、濃度と熱量の高いノワールを気持ちよく観ていられる。現在公開中。またBlu-ray/DVDは2023年4月5日発売予定。
・アバター/ウェイ・オブ・ウォーター
 映画の進化、そのそばにはいつもジェームズ・キャメロン。むしろ彼でなければ扱いきれないところまで来てしまっているのだろうか。現在公開中。この圧倒的な没入感は是非3Dで味わって頂きたい。
・時には昔の話を
 昨年没した俳優・森山周一郎の足跡を、生前収録された当人のインタビューを中心に構成したドキュメンタリー。TVドラマがまだ生放送で製作され、洋画や海外ドラマの吹替が勃興したTV黎明期から活躍し、やがて「刑事コジャック」という当たり役を掴み、遂に代名詞ともいうべき「紅の豚」に至る道のりを綴ります。チャーミングさとダンディズムに溢れた森山周一郎氏の言動に痺れながら、語られる数多くのトピックに好奇心を刺激される逸品。各地のミニシアターで不定期上映中。ただ今年の上映分は全て終了。ソフト化の予定も今のところ無いとか。

 改めて振り返ると今年は邦画を結構観ているなという印象。多分「ハケンアニメ!」の影響かも(笑)
 来年はどんな映画に出会えるでしょうか。

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昨日の放送で大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が最終回に。緩急自在の油断ならない三谷幸喜のシナリオに主演小栗旬を筆頭にした俳優陣の熱のこもった演技が合わさり、1年かけて積み上がっていく物語の起伏に翻弄される楽しさ味わわせてもらいました。

 こんばんは、小島@監督です。
 近年に無い盛り上がりを見せた後だけに来年の「どうする家康」のハードルが既に高いですが、そこも含めて楽しみにしていよう。

 さて、今回の映画は「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」です。

 地球から遠く離れた惑星「パンドラ」、元海兵隊員のジェイク(サム・ワーシントン)は先住民ナヴィの女性ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と結ばれ、3人の子供をもうけ、また故・グレイス・オーガスティン博士(シガニー・ウィーバー)の遺児キリ(同じくシガニー・ウィーバー)を養女として迎え幸せな日々を過ごしていた。
 しかし、一度は去った地球人類はパンドラに再来しブリッジヘッドシティという新たな作戦基地を建設。ジェイク一家の生活は一変した。このままでは森の民オマティカヤ族の集落も危険にさらされると判断したジェイクは家族と共に森を去ることを決意。長い旅の末に族長トノワリ(クリフ・カーティス)が統べる海の部族メトケイナ族の集落に身を寄せることになる。

 VFXや撮影、上映に至る映画にまつわる様々な機材や技術の進歩、その最先端にはいつも彼がいるような気がする映画監督ことジェームズ・キャメロン。その最新作にして「アバター」13年ぶりの続編が登場です。2009年に公開された前作も3D映画が一気に普及するほど驚異の映像世界を見せつけてくれましたが、それから十数年の進歩をこれでもかというスケールで見せつけてくれます。せっかくならばとIMAX3Dバージョンで観ましたが、色調の限界に迫るような鮮やかな海洋の表現はもちろん3Dで見せる被写界深度の深さは他の追随を許さないものがあり、3D映画は今年数本鑑賞していますが迫力が頭抜けています。また、一部劇場のみながら今作はハイフレームレート上映(通常の秒間24コマではなく秒間48コマで上映する方式)も行われています。以前この方式を採用していた「ホビット」3部作(2012~14年)では動きが滑らかになる代わりにショットの一つ一つにどこか妙な安っぽさが感じられましたが今作ではそれも無くなっており、ただひたすらに桁違いの情報量を持つ映像が全編に渡り展開します。

 確固たる映像世界を楽しんでもらうのが第一義にあるためか、物語は新鮮さというよりむしろどこか古き良き西部劇のような、古典的というかオーセンティックな印象。物語の中核が「逃げる者」と「追う者」であるところなどはジェームズ・キャメロン監督の代表作である「ターミネーターをほうふつとしますね。前作同様に環境問題への提起が入り込んでいるのも環境保護活動家でもある同氏のイズムの表れのようにも思えます。

 ただ、起承転結の「起」の部分だけで1時間も使うのはさすがに長すぎると言うか、ちょっとかったるさを感じていささか眠くなってしまいましたが(苦笑)。いやそりゃ192分と長大な上映時間にもなりますわ。上映時間の長さは良くも悪くもこの映画のネックで、うっかり通路前の席を取ってしまったばかりに上映中はトイレに立つ人が何度も私の前を横切る羽目に。うぅむ。
 第3作目となる続編が既に準備段階らしく、今作だけで言った場合に放りっぱなしになる謎や伏線もあるため、長い時間に見合った結末になっていないように感じる方もいるのではないでしょうか。

 それでもこの驚愕の映像美はスクリーンで観て十分すぎるくらいの対価をもたらしてくれるはず。是非その迫力を堪能して欲しいですね。鑑賞の前にはトイレに行くこともお忘れなく。

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この喪失感をどう言い表したら良いのか。「アニソンの帝王」こと水木一郎さんの訃報が流れてきてさすがにショックを隠し切れません。
 1,000曲を超えるレパートリーを持ち「アニソン」という言葉が存在する前からキャリアを積み続け、アニソンが1つのカテゴリー足りうるに至った道を切り開いた、まさにフロンティアでありトップランナーでした。長い闘病の末に車椅子を使うようになりながらも亡くなる直前までステージに立ち続け生涯現役を貫いた姿は、実に熱くカッコ良い生き様でした。

 こんばんは、小島@監督です。
 それにしてもどちらも高齢だったとは言え、渡辺宙明さんと水木一郎さんが共に同じ年に逝かれるとは。連れて行き過ぎですよ…

 さて、今回の映画は「THE FIRST SLAM DUNK」です。

 父を亡くし、また兄をも喪った宮城リョータ(声・仲村宗悟、少年期の声・島袋美由利)は母と妹とともに故郷の沖縄を離れることになった。家族を喪った痛みを埋められないまま、兄との唯一の繋がりであるバスケットボールだけは続けていた。時が経ち、高校生となったリョータは湘北高校のバスケ部に入部し、仲間たちと念願のインターハイ出場を果たした。その2回戦、生前兄が目標としていた全国最強と謳われる山王工業との戦いに挑む。

 1990年代を代表するコミックの一つと言って良く、当時バスケブームを生み出した立役者でもありこれをきっかけにバスケを始めてプロになった選手も多い「SLAM DUNK」、90年代半ばにTVアニメ化もされ好評を博しましたがそこから実に四半世紀ぶりに、しかも原作者井上雄彦自ら脚本と監督を手掛けてのアニメ映画化です。
 フルCGで描かれるゲームシーンのビジュアルや、前売り券の販売開始後に出演者がTVアニメとは全員違うことが発表される間の悪さも批判の的となり、一抹の不安を感じましたが観てみれば全てが杞憂でした。

 恐らく井上雄彦氏の中に時間感覚や空間認識まで含めた確固たるイメージあるのでしょう、精密に設計された画面が全編に渡り展開します。今回普通の上映方式のもので観ましたが、IMAXやDolby Atmosのような方式で観たら特に音響面で印象が大きく変わりそう。「ガールズ&パンツァー」とはまた一味違う形で音響の凄みを味わえる作品だと思えます。また、なるほど確かにこれほど綿密にバスケの試合を作ろうとするなら手描きよりCGの方が相性が良いでしょう。手描きアニメで作ろうとしたらかかる予算はCGで作るそれより遥かに高くなりそうです。

 主人公を原作と同じ才能に溢れ陽気な桜木花道(声・木村昴)ではなく湘北メンバーの中では比較的地味な部類の宮城リョータに据えたのも観てみれば納得です。物語は試合開始とともに始まり、試合の流れと共にリョータの回想シーンが並行して描かれます。現在と過去を交互に描きリンクさせることで感情のうねりを生みだす。作劇の手法として近いものを上げるとケビン・コスナー主演、サム・ライミ監督の「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」あたりになるでしょうか。奇しくもと言うべきか、喪失と再生が主題になっているという意味で「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」とも共通しています。序盤は一見ドライに見える画面ながらその熱量は素晴らしく、原作は読破していてよく知っているはずの物語に気が付けば食い入るように見ていました。

 よほどTVアニメ版に強い思い入れが無い限りはこのダイナミズムにくぎ付けになること必至の強烈な映画です。原作者が監督まで務めてここまでのものとなると「AKIRA」に匹敵すると言っても差し支えないかもしれません。これは是非映画館で味わって頂きたいですね。

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病院から復職OKの診断が出て、明日から職場復帰できることになりました。少しずつ元に戻していければなと思います。当面は以前の半分以下の業務量で残業も無しという形で職場と話しもまとまっていますしね。

 こんばんは、小島@監督です。
 とは言えまるまる一か月休みを取っていたのでさすがにちょっと気後れします(苦笑)

 さて、今回の映画は「すずめの戸締まり」です。

 女子高生の岩戸鈴芽(声・原菜乃華)は、宮崎で叔母の環(声・深津絵里)と2人で暮らしている。ある朝、鈴芽は「廃墟の扉」を探しているという青年・宗像草太(声・松村北斗)と出会う。
 草太の後を追って山奥の廃墟へやってきた鈴芽は、そこで古びた扉を見つけた。その扉を開けてみると、そこにはここではない別の世界が広がっていた。しかし足を踏み入れようとしてもただ扉をくぐるだけでその「世界」に踏み込むことはできない。鈴芽は扉の近くにあった不思議な形の石を引き抜くと石は猫のような姿へと変わって走り去ってしまった。
 一旦はその場を去った鈴芽だったが、鳴り響く緊急地震警報と共に空に赤黒いミミズのような「何か」が這っているのを目の当たりにする。それがあの「扉」から出ているものだと直感した鈴芽は急いで扉のところまで戻ると、そこにはどうにかして扉を閉じようとする草太の姿があった。

 大ヒットを記録した「君の名は。」「天気の子」に続く新海誠監督の新作は、災厄をもたらす廃墟の扉「後戸」を探す青年と、うっかり後戸を開けたことが縁で奇妙な旅に出ることになる少女のロードムービーです。前作「天気の子」がいささかマニアックというかオタク臭さが強すぎる傾向がありましたが、今作ではそう言った性癖の露出(?)は鳴りを潜めきっちりマスへとアピールするエンターテインメントになっています。その辺のところはまたしても神木隆之介と花澤香菜を良い感じのところに起用するにとどめ(笑)、必勝を義務付けられたメジャータイトルで見事なバランス感覚を見せる新海誠監督のこの辺りの手腕はさすがの一言。スペクタクルに満ちた映像の迫力も見事で、ロードムービーにありがちなテンポの単調化に陥るギリギリのところが見極められ、終盤まで怒涛の展開を見せます。

 隕石落下や異常気象などカタストロフを描いてきた新海誠監督、今作では「地震」が重要なファクターとなっており、作中で東日本大震災がストレートに描き出されます。隠喩ではなくダイレクトにこれが数百館規模のメジャー作品で描かれることの意味は決して小さくないでしょう。「君の名は。」で描かれた隕石落下も震災の暗喩だったに違いありませんが、当時としてはまだファンタジーに落とし込まざるを得なかった部分も、あれから11年の時を経て、ある意味ではようやくここまで来たと言えるのではないでしょうか。
 また、「地震」という要素に着目した時、鈴芽が旅路の中で立ち寄る場所、あるいはその経路がどのような意味を持つか、気づける方は気づくはず。「ブラタモリ」を良く観ていると尚更理解しやすいかもしれません。
 現実に起こった災害を材に取った以上、物語の核心の部分で曖昧なファンタジーめいたことはできず、核の部分へのアプローチは今までより一歩踏み込んで見せた印象です。ある種の「割り切れなさ」を感じさせるのも現実故の重さでしょう。

 知る人ぞ知るアニメ作家の一人であった新海誠監督、スターダムに押し上げられてからも萎縮することなく作品を発表しキャリアを積み重ね独自のスタイルを気づき上げてきました。アニメ作家として名匠の領域に足を踏み入れようとしています。「集大成」といううたい文句は若干大げさのようにも思えますが決して間違ってはいません。「この人の作品を観ておけば間違いない」、そう思わせてくれるところまで来ているように思えますね。

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週末、東京へ遠征してきました。
 昨日は朝から東京競馬場へ。ジャパンカップを観戦してきました。G1レースを直に観るのは初めてです。午前中に開催される未勝利戦の段階から場所を取って時に馬券を買いつつ観戦。次第次第に増えてくる観客たち。場内だけでも数多くの飲食店が営業しているのに場外にも多くのキッチンカーが連なり、更にはレースまでの間に多彩なイベントも催されたりして大きなお祭りのよう。
 11のオープンレースを経て始まるジャパンカップ、ターフに出走馬が入った途端に変わる場内の空気、自身が大きなレースに出てることに間違いなく自覚のある出走馬たちはそれまでの11レースに出てきた馬たちとは明らかに「格」が違いました。始まる前に流している姿を見ているだけで鳥肌が立ってきたほどです。そんな「格」を備えた馬が18頭並び立つ威容。スターティングゲートの最終調整に入るスタッフたち、中継のスタンバイに入るカメラクルー、出走の時を間近に控え、上がっていく観客の期待混じりのボルテージがビリビリ来ます。これが、G1レース…!!

 こんばんは、小島@監督です。
 TVで観ているだけでは決して味わえなかった時間でした。まさに百聞は一見に如かず。あと、こんなに長いこと日の光を浴びたのも何だか久しぶり(笑)

 さて、その前日の土曜日は、ベルーナドームまで「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Twinkle LIVE Constellation Gradation」を観てきました。「冬」と「星」をコンセプトに、一部ブロックではバックバンドとストリングスユニットを擁してのシンデレラガールズの新たなライブイベントです。9月に名古屋で開催された「#cg_ootd」同様にコンセプトを明確に打ち出しセットリストを構成し演出を組み立てているのが特徴で、豊富な楽曲群を思えばこのスタイルは今後も続いていくものと思われます。また、これも前回のライブから踏襲されているのがMC。シンデレラガールズのCVとして、また声優としても比較的キャリアの浅い人とベテラン勢をツートップでメインMCに据えており、今回は昨年新たにCVとして抜擢された西園寺琴歌役安齋由香里さんと、ベテランの北条加蓮役渕上舞さんがMCを務めていました。幕間のコーナーでも仕切りをキャリアの浅い人に任せる場面が多く、これも今後引き続いていく要素かもしれません。 

 野外に近いベルーナドームというロケーションを使い「冬」と「星」をイメージした楽曲に初披露の曲を織り交ぜていくスタイルでセットリストを組む今回のライブ、TVアニメでクライマックスに使われた「流れ星キセキ」を開幕に、「冬空プレシャス」などが展開。中盤にはドームの屋根を全天スクリーンとしてプラネタリウムやVJに活用しダイナミックしたショーアップで「You're stars shaine on me」「星環世界」更にはアイマス5ブランド合同曲として製作された「VOY@GER」を単独ライブとしては先陣を切っての初披露などコンセプトに沿わせながらも驚きを与える選曲で見せてくれます。

 バックバンドとストリングスユニットも登場する後半にも「冬」を連想する「White again」「Memories」などが生演奏ならではのアレンジで披露されたほかバラード調にアレンジされた「Nocturne」では披露メンバーが前川みく役高森奈津美さんと多田李衣菜役青木瑠璃子さんという人選の妙も手伝って実に「エモい」。このブロック、配信で観ていたDay2でもちょっと季節感は無視しているものの「レッド・ソール」「君のステージ衣装、本当は…」「Driving My Way」などバックバンドが映えるところを良くチョイスしていて実に楽しい。

 ライブ終盤には、今年に入り長いスパンでシンデレラガールズとコラボレーションを続けてきたももいろクローバーZがサプライズ登場!というか一度観てみたいと思っていたももクロをこんな形で初めて観ることになろうとは。シンデレラガールズとコラボレーションという形ながらももクロらしいフォーメーション重視のパフォーマンスの華々しさが素晴らしく、やっぱりトップアイドルはオーラが違うなと思いましたね。しかしDay1でこんなサプライズ見せてDay2どうする気だ?と思っていたら「冬だから」という理由だけで広瀬香美を呼んでくる豪腕。パフォーマンスのパワーにもビビりましたが、ただでさえ強すぎる人が好き放題喋り倒す自由なMCにも圧倒。「せっかくだから曲書きたい。書かせてよ」とか「また呼んでね!」とかこちらとしては嬉しいが偉い人が頭を抱えそうなことをポンポン言ってくれます。しかもこの方あまつさえ開幕前にシークレットでピアノを1曲披露してしまうという荒業まで。

 長い付き合いなのに未だに油断できねぇなアイマス!
 来年2月予定の5ブランド合同ライブも楽しみになってきました。それまでに心身のコンディションを整えておかなきゃ。

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いよいよヤバくなってきたTVを先日買い換えました。これまで使っていた42型から55型4Kへ。ここまでインチを上げてもTVそれ自体の大きさは前のと大して変わらない、というのが購入の決め手。何せ前のは15年使っていたので何を買っても前より綺麗だろうなとは思っていましたが想像以上に綺麗。スポーツ中継とか見ても分かり易いくらいに迫力が上がっててびっくり。

 こんばんは、小島@監督です。
 今プレイしている「ブラッドボーン」も暗いところが良く見えるようになってプレイ環境が格段に向上しました。だからと言って難易度の高いこのゲームの進行が速くなるワケではないんですけども(苦笑)

 さて、今回の映画は「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」です。

 ワカンダ国王ティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)は死の床にあった。科学者である妹のシュリ(レティーシャ・ライト)は兄を救おうと懸命に努力するが報われること無くティ・チャラは崩御。それは同時にワカンダは国の守護者たるブラックパンサーを失うことを意味していた。
 ワカンダが独占する鉱石ヴィヴラニウムを入手したいアメリカは、海底の鉱脈を探し当てるが調査船が何者かの襲撃を受け壊滅した。同じ頃、ワカンダにも侵入者が。女王ラモンダ(アンジェラ・バセット)とシュリの前に現れたその人物は海の王国タロカンの王ネイモア(テノッチ・ウェルタ・メヒア)だった。ヴィヴラニウム探査の手が海底にまで及んだことで自国が侵害されることを危惧したネイモアはヴィヴラニウム探知機を製作した科学者の引き渡しを要求するのだった。

 喪ったものはあまりに大きく、その穴を埋めることなどできはしない。
 それはある意味で現実に対する虚構の完膚なきまでの敗北だったかもしれません。2020年に癌で急逝した名優チャドウィック・ボーズマン。世界的に高い評価を得た「ブラックパンサー」の続編は、名優の死を受け敢えて代役を立てることをせずにシナリオを1から作り直し、現実の俳優の死をそのまま物語に反映させました。こういう形で作られた作品は極めて珍しいように思います。
 ティ・チャラというカリスマを喪ったワカンダの人々、特にラモンダとシュリは喪失を受け入れる時間もろくに得られないままに「王の責任と選択」をことあるごとに迫られます。そして観客もこう思わずにはいられないのです、「ティ・チャラならどうしただろうか?」と。
 前作がアカデミー賞作品賞にノミネートされた程に高く評価された一因として優れたポリティカル・フィクションであった点も挙げられますが、今作は前作程の政治性は無く全体を貫くストーリー自体は決して奇をてらわずむしろ正攻法や王道ともいえるラインであるのは、ひとえにサプライズよりも向き合わねばならないことがあるからです。

 もちろんマーベル映画らしくアクションのボリュームやバリエーションも上々で、特に今作で初登場するリリ・ウィリアムズ(ドミニク・ソーン)こと「アイアンハート」の空中戦も行えるアクロバティックなバトルは見事にスクリーン映えする迫力。リリは来年ディズニープラスにて主役作も配信予定であり、そこでの活躍を期待させるデビューとしては十分すぎるくらいでしょう。ただ重要なポイントとしてはワカンダにしろ今作戦うことになるネイモア率いるタロカンにしろ、積み重ねられた理不尽の結果戦うことになってしまった、即ち理由なき戦闘であるが故に激しいアクションを重ねども爽快感やカタルシスとは縁遠いものとしてある点です。

 長い葛藤の末に、ティ・チャラのいない世界への決意と共に新たなブラックパンサーが誕生します。一人の俳優へのリスペクトと追悼を映画一本の全てを懸けて捧げ、そのスピリットを継承し一歩を踏み出す。シリーズとしては異色以外の何物でもないでしょう。しかし、喪失と再生の過程を丁寧に描き上げた珠玉の一本であることは間違いありません。
 さらば、チャドウィック・ボーズマン。

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