この秋は本来なら春から夏にかけて放送する予定だった作品もずれ込んでいたりするからか、例年よりアニメの新番組が多い印象。番組表チェックしてたら深夜アニメが同時間帯に2つ3つ重なっているのも何だか久しぶり。これも一つの揺り戻しかもしれませんね。
そんな中で私の最注目は何と言っても「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」。私が中高生だったころに夢中になって読んだあの漫画がまさか今になって再アニメ化されるとは。しかもスタッフもキャストも良い!初回はアクションに躍動感を持たせつつ手堅く作り上げてる印象で先行きに期待が持てます。あとは原作のラストまで映像化してくれることを祈るのみ!
こんばんは、小島@監督です。
皆さんの今期の期待作は何ですか?
さて、今回の映画は「シリアにて」です。
シリア首都ダマスカスのアパートに住む女主人ウンム・ヤザン(ヒアム・アッバス)は、夫の帰りを待ちながら家族と共にアパートの一室に籠り、隣家のハリマ(ディアマンド・アブ・アブード)夫婦も幼子を伴ってそこに身を寄せ一種のシェルターとして内戦下で息を潜めて生きてきた。その日ハリマの夫はレバノンの首都ベイルートへの脱出の手はずを整えるために協力者の元へ出向くべくアパートを出た矢先にスナイパーに撃たれてしまう。偶然その一部始終を見ていたメイドのデルハニ(ジュリエット・ナヴィ)はそのことをウンムに伝えるがウンムはハリマがアパートの外に出ることを恐れデルハニを押しとどめるのだった。
「21世紀最大の人道危機」とも言われるシリア内戦に関する映画がここ数年公開が相次いでいます。多くはドキュメンタリーですが、事象を俯瞰的に見る事の多いドキュメンタリーとは異なり、今作のようなフィクションではより人の心情のひだをすくい上げられるところに大きな意味があると言えるでしょう。それはひとえにシリア内戦に限らず「戦争」そのものを映画でどう描き上げるかということにも繋がります。それ故にある意味では「この世界の片隅に」と似た視点を持っている作品ともいえます。
この作品最大の特徴、それは「家からほとんど出ない」ことにあります。女性たちが武器を持たぬままに家族を如何にして護ろうとするかに主眼を置いているために外で「どんな戦いが起こっているか」はほとんど意味を持たないのです。外の状況を指し示すのはカーテンの隙間や柵の合間から見える僅かな風景と音のみ。この「音」が秀逸です。銃声、爆撃音、ヘリの飛行音が戦況を伝え、近づく靴音が彼女らの家が暴力に侵食されつつあることを予感させます。この絶望的なまでの閉塞感を伴った緊張感が絶えず続くのがこの映画の特徴です。暴力の描写を極力排したことで却ってその存在を浮き立たせてみせるところに凄みがある作品です。
シリア内戦を長期化させている状況は実際のところとても複雑で、まさに混迷と言わざるを得ない状況ですが、こと一つの「家」に絞り切ってミクロな視点から見せるこの映画は俯瞰的な状況をほとんど説明しない作劇手法と相まって非常に普遍的なものを獲得していると言えるでしょう。単に「人の命と生活が危機に晒されている」という点で見れば戦争の現況がどうとかなど特に意味は無いのです。裏を返せば「予備知識が要らない」ともいえ、キツい題材ではありますが観易い部類の作品に入ります。
ベルリン国際映画祭などで高い評価を得たとはいえ題材が題材なだけに公開が限定的であまり機会を捕まえられない作品ではありますが、今まさに世界の片隅で起きている事象を描き出すこの映画、できれば多くの方にご覧になって頂きたいと思いますね。
そんな中で私の最注目は何と言っても「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」。私が中高生だったころに夢中になって読んだあの漫画がまさか今になって再アニメ化されるとは。しかもスタッフもキャストも良い!初回はアクションに躍動感を持たせつつ手堅く作り上げてる印象で先行きに期待が持てます。あとは原作のラストまで映像化してくれることを祈るのみ!
こんばんは、小島@監督です。
皆さんの今期の期待作は何ですか?
さて、今回の映画は「シリアにて」です。
シリア首都ダマスカスのアパートに住む女主人ウンム・ヤザン(ヒアム・アッバス)は、夫の帰りを待ちながら家族と共にアパートの一室に籠り、隣家のハリマ(ディアマンド・アブ・アブード)夫婦も幼子を伴ってそこに身を寄せ一種のシェルターとして内戦下で息を潜めて生きてきた。その日ハリマの夫はレバノンの首都ベイルートへの脱出の手はずを整えるために協力者の元へ出向くべくアパートを出た矢先にスナイパーに撃たれてしまう。偶然その一部始終を見ていたメイドのデルハニ(ジュリエット・ナヴィ)はそのことをウンムに伝えるがウンムはハリマがアパートの外に出ることを恐れデルハニを押しとどめるのだった。
「21世紀最大の人道危機」とも言われるシリア内戦に関する映画がここ数年公開が相次いでいます。多くはドキュメンタリーですが、事象を俯瞰的に見る事の多いドキュメンタリーとは異なり、今作のようなフィクションではより人の心情のひだをすくい上げられるところに大きな意味があると言えるでしょう。それはひとえにシリア内戦に限らず「戦争」そのものを映画でどう描き上げるかということにも繋がります。それ故にある意味では「この世界の片隅に」と似た視点を持っている作品ともいえます。
この作品最大の特徴、それは「家からほとんど出ない」ことにあります。女性たちが武器を持たぬままに家族を如何にして護ろうとするかに主眼を置いているために外で「どんな戦いが起こっているか」はほとんど意味を持たないのです。外の状況を指し示すのはカーテンの隙間や柵の合間から見える僅かな風景と音のみ。この「音」が秀逸です。銃声、爆撃音、ヘリの飛行音が戦況を伝え、近づく靴音が彼女らの家が暴力に侵食されつつあることを予感させます。この絶望的なまでの閉塞感を伴った緊張感が絶えず続くのがこの映画の特徴です。暴力の描写を極力排したことで却ってその存在を浮き立たせてみせるところに凄みがある作品です。
シリア内戦を長期化させている状況は実際のところとても複雑で、まさに混迷と言わざるを得ない状況ですが、こと一つの「家」に絞り切ってミクロな視点から見せるこの映画は俯瞰的な状況をほとんど説明しない作劇手法と相まって非常に普遍的なものを獲得していると言えるでしょう。単に「人の命と生活が危機に晒されている」という点で見れば戦争の現況がどうとかなど特に意味は無いのです。裏を返せば「予備知識が要らない」ともいえ、キツい題材ではありますが観易い部類の作品に入ります。
ベルリン国際映画祭などで高い評価を得たとはいえ題材が題材なだけに公開が限定的であまり機会を捕まえられない作品ではありますが、今まさに世界の片隅で起きている事象を描き出すこの映画、できれば多くの方にご覧になって頂きたいと思いますね。
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