ちゅうカラぶろぐ


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日曜日の朝7時に異様な存在感を放っていたアニメ「ヘボット!」が遂に最終回に。
「クトゥルフ神話のパロディだから探偵を狂言回しにする」「セガ成分多めのゲームパロディを盛り過ぎたからしれっと井上和彦ネタを混ぜる」「フィリップ・K・ディックのパロディだからリドリー・スコットとついでにウォシャウスキー姉妹も混ぜ込む」ような本来的なターゲット層のお子様どころかその親御さんまでも簡単に振り落として疾走していく濃厚なネタを大量投入する上に、本筋としても多元宇宙をベースにしたかなりガチのSFを展開する無茶苦茶ぶり。流行りを投入するというより、観る者の読書&映画鑑賞遍歴に挑戦してくるようなネタが多いのが特徴でした。
非常に自由奔放に作られている分ネタがツボにハマらないとまるで面白くないという当たりハズレの大きさも一つの味、綺麗にまとまった作品が多い昨今には珍しい型破りなアニメで何だかんだガッツリ楽しませてもらいました。アニメってまだまだ色々やれそう。

こんばんは、小島@監督です。
とは言えこんなアレなアニメが途絶えないのも疲れるので何年に1本でいいや(笑)

さて、今回の映画は「ダンケルク」です。

1940年5月。ドイツ軍は破竹の勢いで侵攻を重ねオランダ、ベルギー、ルクセンブルク、そしてフランスが瞬く間に撃破された。
街中での襲撃を辛うじて躱してフランス北端ダンケルクの海岸までたどり着いたトミー(フィン・ホワイトヘッド)は、そこで追い詰められ撤退の船を待つ40万人の英仏連合軍の姿を見る。
一方、イギリス本国では英国海軍がダンケルクに取り残された同胞たちを救助すべく不足する艦船を民間船舶を徴用することで賄おうとしていた。小型プレジャーボートの船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)は息子ピーター(トム・グリン=カーニー)、その友人ジョージ(バリー・コーガン)と共に自ら航海に乗り出す。
また、空では撤退作戦支援のために3機のスピットファイアが発進。パイロットのファリア(トム・ハーディ)は船団を狙うドイツ軍爆撃機と遭遇する。
陸で、海で、空で。絶体絶命の地から生還するための戦いが始まる。

大作と呼べる規模で、しかし作家性の強い作品を発表し続ける稀代の映像作家クリストファー・ノーラン。その最新作は、彼のフィルモグラフィの中で初めて史実をベースにした作品です。ダンケルクに取り残された兵士たちを民間も含めた800隻以上の船舶が救援に向かい空軍もスピットファイアを度々発進させてドイツ軍の襲撃に備え、30万人以上の脱出を成功させた、いわゆる「ダイナモ作戦」の姿を描きます。

しかしそこはノーラン、一般的なイメージの戦争映画とは大きく趣の異なる作品に仕立て上げました。
この映画、何より先ず非常に台詞が少ないです。状況を説明するような台詞やシーンもほとんど無く、冒頭いきなりドイツ軍の襲撃を受け必死に逃走するトミーの姿を映し出し、そこから106分、一切途切れることなく観客を戦場のど真ん中に叩き込みます。
「ダイナモ作戦」に対する予備知識はあるに越したことはないでしょうが、無くても問題はありません。ノーランはこの映画で「戦争」を描くことに重きを置いていないからです。作中「敵」であるはずのドイツ軍の姿が一切登場しないこともそれを象徴しています。「人VS人」というより「人VS戦争(と言う災厄)」というような位置づけで概念的なものとして観るのが妥当のように思います。

この映画にはトミー、ドーソン、ファリアという3人の主人公が登場しますが、それぞれの作中で描写される時間も違います。トミーが約1週間のサバイバルを描き出していくのに対しドーソンは1日、ファリアに至っては僅か1時間ほどの出来事です。時系列が違う3つの物語を同時進行させながら、しかしやがてそれらは密接に複雑に絡みつつやがて集束していきます。
3つの物語は全て俯瞰的ではなく主観的で、「3つ見せるから物事をある程度俯瞰できる」形になっていて登場人物的には見えるものが全部、という描き方しているのも特徴的です。

CGを使いたがらないノーランのこだわりは今作でも遺憾なく発揮され、というか集大成と言って良いレベルで画面に活かされています。特にスピットファイアの空戦は、実機を飛ばすことでしか成し得ない迫力を持ったアングルが続々登場するほか、冷たい昏さが差し迫ってくるような海の色調も目を引きます。
そして特に今作では音響も出色。秒針の音と通奏低音のような不安定な音が組み合わさったハンス・ジマーの手による劇伴が作中ほぼ鳴りやまず、観る者の不安と緊張を煽り心を削っていくその手管には唸るほかありません。

また、ノーランのこだわりは「観る」と言う点においても活かされ、この「ダンケルク」は複数の上映形式で配給され通常のデジタル上映のほか、より濃密な情報量を欲するならIMAX、作品の雰囲気にマッチした質感を楽しみたいなら35㎜フィルム版と、環境が許せばその選択が可能と言うのもポイントです。私は今回35㎜フィルム版で鑑賞しましたが、フィルムに走るキズがディテールにこだわった映像とマッチしクラシックな味わいを増して「映画を観てる」という実感がより深まる印象でした。

ノーラン作品にしては短い106分という尺ではあるものの、全力疾走感が強く正直とても疲れる映画のため気楽なものを観たい時には全く向かない作品ですが、興味があるなら見逃す手はありません。娯楽性と作家性の両方を備えたこういう骨太な作品はスクリーンで味わってこそ。是非、極限の脱出劇を体感してみてください。

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