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ちゅうカラぶろぐ


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せっかくの連休に超大型台風がストライク。私も昨日は映画を観に行きたい欲求をこらえて台風に備えて色々買い出ししたり車の給油に行ったりたりしてました。これを書いている今は風は強いけど雨は降っていないというところ。このまま大過なく行ければいいのですが。
 
 こんばんは、小島@監督です。
 もう一つ言うと明日の出勤は大丈夫だろうか…?

 さて、今回の映画は「サバカン SABAKAN」です。

 なかなか小説家として芽が出ずゴーストライターをしながら生計を立てる久田孝明(草彅剛)には、ある忘れられない思い出があった。
 1986年夏、長崎。久田孝明(番家一路)はキン肉マン消しゴムを集めアイドル斉藤由貴が好きな小学生。同じクラスに家が貧しくいつも同じ服を着ていてクラスで孤立している少年・竹本健次(原田琥之佑)がいた。夏休みのある日、ひょんなことから孝明は健次から「イルカを観に行こう」と誘われ「ブーメラン島」と呼ばれる場所を目指すことに。

 後になって振り返れば、自分の人生のきたし方を定めたのは決して大仰な事件ではなく、何気ない日々の中で起きたさざ波のような1日のことだったりするものです。
 空は青く高く、セミの声が鳴り響く夏の日。そんな一日のささやかな冒険は、少年をほんのちょっぴり大人にします。海辺を走り回る日焼けした子供たち、そんな子供たちをごつごつして荒っぽいけど絶妙な距離感で大人たちが見守ります。「子供が大人を見ている感覚」と「大人が子供を見ている感覚」の両方が実に良く映像化されています。
 作家が少年時代を追想する、という形で物語が進むので名作「スタンド・バイ・ミー」をほうふつとさせますが、長崎を舞台にしたグッとミニマムでローカルな雰囲気は決して単なる類似品にさせていません。
 この映画を手掛けたのは、長崎出身で元お笑い芸人でバラエティ番組の構成作家でもあるという経歴を持つ脚本家・金沢知樹。「半沢直樹」などドラマの脚本も数多く手掛けていますが、長編映画の監督としてはこれがデビュー作となります。

 ちょっと感心するのは、ほとんど全てスタジオではなくロケで撮影されているようですが、ある程度手は施しているだろうとは思えどちゃんと「昭和っぽい」雰囲気を映像が醸している点です。いやよく見つけたなあんな場所、と思えるロケーションがポンポン出てきて、恐らく多くの方がこの場所に行ったことがあるとないとに関わらずほのかなノスタルジーを感じるのではないでしょうか。

 ほとんどキャリアは無いらしいですが主演の子役2人の演技が実に瑞々しく引き込まれるうえに、出番は少ないながらも大人になった孝明を草彅剛が演じてその無二の存在感でこの映画を引き締めてくれます。
 
 最近起伏の激しい作品を見過ぎてしまっていたためか、何かヤバいオチがつくのではないかと変な気を揉みながら観ていましたが(苦笑)、そんなことはなくとても優しいところに着地するのも良いですね。
 
 決して派手さは無いものの、まるで夏休みの思い出をめいっぱい詰め込んだアルバムかタイムカプセルのような映画です。かすかなノスタルジーと共に背中を押されるような思いをする方も多いでしょう。
 エンドクレジットのあとにもう1シーンありますので、ご鑑賞の際はどうぞ最後まで席をお立ちになりませんように。

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やっと暑さもすこ〜し和らぎ過ごしやすくなりましたね。
私は夏が嫌いなので、涼しくなってくるのは大歓迎です。

ただ同時に夜もだんだん短くなってきたのを感じますが、
私は実はこの季節を夜の長さで感じるのが苦手です。

夏になれば暗くなるのが遅い、冬は早いなどと、いうのは、
なんとなくその季節に自分が何をやれたか考えて、
もったいない季節を過ごしたなどと考えてしまいます。

とりあえず、まずは台風の季節真っ只中だったりして、
またアホほど大きい台風がやってくるようですので、
メンバーの皆さんはご自分、家族の安全に配慮ください。



さて、相変わらず心苦しいながらですが、JOYSOUND金山に、
予約していた歌会のキャンセルのお願いをしてきました。

毎回、サークルのLINEグループへのキャンセル報告も、
最初はなんとなくしていたのに、今では恒例ですね。
いや、こんなこと恒例になって欲しくはないですけどね。

キャンセルをワザワザ現地に行かなくてもと言われますが、
これはなんとなく、いつもお世話になっているお店に、
少しでも感謝が伝わればと思うと足が向くのですよね。

それにいつもの店員さんの顔を見ると安心しますし、
「まだ来るぞ!」という強い意志の現れでもあります。

今回は行くといつもと違う店員さんが立っていました。
それでも「いつもお世話になっています」と声をかけます。

私は名乗りつつキャンセルをお願いをすると驚くことに、
「かときちさんのことは伺っております」とその店員さん。

当然のように私の顔は見たことなどないと思いますが、
しっかりと展開されていることに感心してしまいました

今回は感謝の差し入れを持ってきたのでそれを渡しつつ、
「店長さんにもよろしくお伝えください」とお願いすると、
なんと店長さんは退職されてしまったとのことでした。
その店長さんの時にほとんど歌会はできていませんでした。

なんにしても、歌会も長期間に渡りやれていませんが、
それでも私たちのサークルを大切にしていただき感謝です。
歌会をお店でやれないことが残念で仕方がありません。

早く、歌会を『JOYSOUND金山』でやりたいですね!

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エリザベス女王逝去の報が世界を席巻した先週ですが、アニメ界でも1人、偉大な人物が世を去りました。
 小林七郎さん。TVアニメ黎明期だった1960年代から背景美術に携わり、「あしたのジョー」「ガンバの冒険」「ルパン三世カリオストロの城」「少女革命ウテナ」など多くの作品を手がけました。2010年代に入ってからも「ミルキィホームズ」に関わっていたりとまさに生涯現役を貫きました。時に写実的に、時に淡い水彩画のように、時には大胆に省略し僅かな線だけで空間を表現してみせるその手腕に多くのアニメ監督・演出家達は支えられて来たに違いありません。極めて多くの作品に携わっていたので、多くの方が知らず彼の仕事を目にしているはずです。

 こんばんは、小島@監督です。
 時の移ろいとはどうしようもないものですが、今年も次々と偉大な先達が去っていき、何とも寂しい限りです。

 さて、今回の映画は「ブレット・トレイン」です。

 東京、久しぶりに仕事復帰した殺し屋レディバグ(ブラッド・ピット)は、東京発京都行の超高速列車に乗り込みブリーフケースを奪うという仕事を請け負う。何かにつけ不運が付きまとうレディバグだが、難易度の低い仕事に気合を入れて列車に乗り込む。容易く目的のブリーフケースを発見し、次の停車駅である品川駅で降りようとするが、ドアが開いた途端に何故か自分に強い復讐心を抱くメキシコ№1の殺し屋ウルフ(バッド・バニー)と鉢合わせし襲撃を受けてしまう。更に列車内には腕利きの殺し屋コンビ・タンジェリン(アーロン・テイラー=ジョンソン)&レモン(ブライアン・タイリー・ヘンリー)、乗務員に化けた毒使いの暗殺者ホーネット(ザジー・ビーツ)などが乗り込みブリーフケースの争奪戦が始まる。果たしてレディバグは依頼を完遂することができるのか。

 A級キャストのアンサンブルとB級テイスト満載の荒唐無稽なストーリー、アニメのようにポップなビジュアルが合わさって2時間頭空っぽにして楽しめるエンターテインメントです。原作は伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」、列車を舞台にしたエンタメということで原作でも言及のあるスティーブン・セガール主演の「暴走特急」をどこか彷彿としますが物語は結構ひねりが効いていて意外に一筋縄ではいきません。当初は日本でのロケも計画されていたそうですが、コロナ禍によりそれができなくなり、日本を舞台にしているけど日本では撮影していません。恐らくはそれすらも逆手にとって敢えて全くもってリアルとはかけ離れた、例えば名古屋と米原の間に富士山がそびえているような嘘全開の「ニッポン」をコミック的なビジュアルで見せているのが特徴です。

 バカバカしい世界観ですが決してそれに溺れず、テンポ良くキャラクターのバックボーンを見せたりアクションの組み立てやファッションでも個性を際立たせいてスタッフたちの仕事も光り、俳優陣の演技に更なる説得力を加えています。
 劇中で使われる挿入曲にも遊び心が見え、カルメン・マキの「時には母のない子のように」や坂本九の「上を向いて歩こう」のような歌謡曲までもが効果的に使われています。何よりクライマックスでは麻倉未稀の「ヒーロー」をバックに真田広之の殺陣が展開する、という驚きのシーンが登場。これに無駄にテンション上がるのはある世代以上の日本人だけでしょう(笑)

 だいぶ癖の強い作品なので合わない人もいるでしょうが、ノー天気なものを観たい方や特異なシチュエーションで展開される名優達の化学反応を楽しみたい方、次々とエッジの効いた殺し屋がエントリーしたりヤクザ天狗みたいな奴らが大挙して登場したりするのでニンジャスレイヤー大好きな人たちは絶対に楽しめると思います。どうぞスクリーンでご堪能あれ。

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ついにこの夏の目玉、ゲーム『スプラトゥーン3』が発売です。

『2』は結構プレイするも、あまり上手ではありませんが、
やって楽しいのは間違いありませんので今回も楽しみです。

パッケージ版をAmazonで注文してはいたのですが、
いつ届くのか不安なので結局ダウンロード版を買うという、
バカかと思われるような買い物をしてしまいました。

そして発売日当日にちょっと近所のジョーシンにいくと、
レジには、あまりにすごい列をなしているではないですか。

その列に並んでいる人の手にみんなスプラトゥーン3の
パッケージを持っており、人気のほどをうかがえました。

これだけの人がバトルに参加すると思うと楽しみですね。



さて、最近の新型コロナウィルスの感染者数に関しては、
一時期のことを思えば数字的には減ったと思いますが、
やはり10,000人に届いていないと言うだけですよね。

そしてマスク等はすでに常識の範囲となっていますが、
私たちの生活はコロナ流行前に戻りつつある気がします。

ただメンバーの中にも行かれる方が多いライブなどは、
声が出せない等の縛りがあり、まだまだ歯痒い感じです。

そんな中、新日本プロレスが先週から実験的にですが、
ついに声出しでの声援をOKとする興行を開始しました。

座席は以前のライブや映画館で見受けられたような、
ソーシャルディスタンスに配慮の1席飛びではありますが、
今回、声出しを主催側が認めるのは大きな決断でした。

2年6ヶ月ぶりの声出しでの興行ということなのですが、
新日本プロレスに限らず、もうそんなに経つのですね。

私はこの興行はサブスクでの視聴をしていたのですが、
試合開始前に声出しの練習があるのは面白かったです。

やっぱり声援・ブーイングがある中での選手の顔は、
いつもより楽しそうで、見ているこちらも楽しめます。

また声援が無くなってから、なにか物足りないどころか、
プロレスもちょっとつまらないとすら感じていたので、
声援があるとこれだけ雰囲気が変わることに驚きです。

試合終了後、棚橋弘至選手も久しぶりの声援を受けて、
嬉しさのあまりに泣きじゃくっていたのは印象的でした。

ライブもコール&レスポンスありきのアーティストも、
きっとそれの再会を待ちわびているかと思います。

早く声出しが当たり前にできる環境になるといいですね。

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面白いもので、声優・武内駿輔さん結婚の報に、身内でも何でもないのに親戚の伯父さんめいた心持ちになるのはやはりTVアニメ「シンデレラガールズ」のプロデューサー役に抜擢されてブレイクしたところを見てるからでしょうか。Twitter覗いたら似た心境を持った方が結構いたようで、どいつもこいつもですよ(笑)

 こんばんは、小島@監督です。
 え?私自身はどうなのかって?HAHAHA!そんなことは良いじゃないか。

 さて、この週末日本ガイシホールで開催された「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS LIKE4LIVE #cg_ootd」を、Day1は配信で、Day2は現地で観覧してきました。地元開催ってのはやっぱりいいですね!終演後に仲間内で焼肉食べてもまだ時間に余裕があるしね(笑)!

 今年4月に10周年記念ライブを開催したばかりのシンデレラガールズ、一つの区切りを経て新たなスタートとなる今回のライブでは、センターである島村卯月役大橋彩香さんが出演しているにもかかわらずメインMCを務めるセンターが高森藍子役金子有希さんと久川凪役立花日菜さんだったりと意識的にこれまでの「定番」を外す試みが盛り込まれていました。何よりDay1ではライブの最後を飾る曲として最早定番というより「お決まり」と言えるほどだった「お願い!シンデレラ」ではなく「Brand New!」を持ってきたというのはmobageの「シンデレラガールズ」が来年3月にサービス終了することが告知されていることを思えば実に象徴的であり、新たなステージへ進もうとすることのある種の決意表明とも言えるでしょう(Day2では普通に「おねシン」やってましたが)。
 また、今回はライブ開催前からInstagramやTwitterなどSNSを積極的に活用して連動企画を展開し、そこに加えてナナちゃん人形をデコレートしたり「名鉄観光」「矢場とん」「中部電力MIRAI TOWER」「名古屋市博物館」「名古屋城」など名古屋名所や在名企業各社とコラボレーションする企画「でらます!」を実施したり(こちらは10月末まで開催)ライブ内外から「お祭り感」を醸成して盛り上げてみせたのは配信がライブの主戦場になりつつある昨今へのアンチテーゼのようにも見えます。

 そのライブ自体も各キャラクター固有のソロ曲を他のメンバーがカバーする趣向がふんだんに盛り込まれ、アイドルたちの「新たな表情」と楽曲の「新たな一面」を徹底して見せて行きます。どこから弾が飛んでくるか分からない、まさに予測不能のセットリストがもたらすグルーヴが心地良い。10年かけて「定番」を築き上げて来たからこそ見せられる面白さと言えるでしょう。
 辻野あかり役梅澤めぐさん、砂塚あきら役富田美憂さん、夢見りあむ役星希成奏さんのトリオユニット「#ユニット名募集中」(そういうユニット名)を中核に据えつつ、センターの重責から離れ軽やかさを見せつつも要所をキリッと締める大橋彩香さんや、リリースから2年半越しのデュオ曲の初披露にノッたのか曲の真っ最中にパフォーマンスのレベルが上がっていく結城晴役小市真琴さんと的場梨沙役集貝はなさん、5人以上の多人数ユニットに於いて全体を取り仕切るキーパーソンとしての才を見せる堀裕子役鈴木絵理さん、写真撮らせたら強い二宮飛鳥役青木志貴さん、何かもう全方位的に可愛くてずるい乙倉悠貴役中島由貴さんなど随所に目を引く要素が多く、3時間弱というデレマスにしては若干短めの上演時間ながら実に濃密で楽しいライブでした。

 ライブの最後には次のライブの告知が。てっきり来年初頭くらいかと思いきや11月末。もう直ぐじゃないすか!しかもベルーナドームて。絶対に寒いじゃないか。しかし次回はストリングスユニットが入るとの事で今から期待値も高いです。さてどうしたものか。
 11年目を迎えてもなお攻め続けるシンデレラガールズ、楽しみは尽きませんが、自分の財布とは本気で相談しないといけないかも(苦笑)

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火曜日の仕事中、私のスマホに電話がかかってきました。

知らない電話番号で、とりあえず名乗らずに出てみると、
「かときちさんのお電話でよろしいでしょうか?
本日予約の時間となりましたが」とどうやら歯医者です。

しかしながら私の記憶では確か水曜日だったはずですし、
歯医者の予約に合わせて有給を水曜日にしたので、
「間違えるはずないじゃん!」と診察券を確認します。

するとしっかり診察券裏の予約日時に「火曜日」とあり、
どうやら間違えていたのは私の方で変な汗が噴き出ます。
結局、「すいません、完全に間違えてました!」
と平謝り。

「いえいえ全然いいですよ、予約を取り直しましょう」と、
大変優しく接してくださり、もっと申し訳ない気持ちに。

皆さんは歯医者をすっぽかしたことはあるのでしょうか?



さて、雨の中を歩くのってうっとおしいと思いませんか?

特に予定がなければ、出かけなければ関係ないですが、
予定を入れてしまってどうしても外を歩く必要があると、
「ああ、傘をさすのか」と面倒くさくなりますよね。

まして雨が降らないまでも、可能性があったりすると、
傘を常備しなければならず、これまた面倒くさいです。

車で出かけるにしても、乗り降りの度に濡れながら、
傘を広げたり畳んだりするのは、結構しんどいですよね。

ところで、先日は母の誕生日を目前に控えた時のこと、
プレゼントは何が欲しい?と聞くと傘が欲しいと言います。
しかも折り畳みでなく、大きい傘がいいと結構具体的。

せっかくだから高級な傘をプレゼントしようと探すと、
皇室の方が使っているというブランドにたどり着きます。

確かに高いですが、品質は大変良さそうですので、
高齢の母に似合うのを見繕って購入することにしました。

実際、それを手に取ると大変しっかりした作りですし、
模様もプリントなどではなく全て刺繍されています。
これは傘と言えど所有欲を満たすには充分と言えます。

これです!

ちょっと奮発して所有欲を満たす高級な傘を買えば、
雨の中でそれをさすという優越感に浸れるようになって、
傘をさすという手間も楽しくなるのではないでしょうか?

それどころか、むしろちょっとした雨くらいだったら、
傘をさしたくて降って欲しいとまで思うかもしれません。
(さすがにそれはないと思いますが)

というわけで、最近そんな所有欲を満たす傘選びのため、
ずっとその傘を販売するサイトを眺めております。

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「アイドルマスターシンデレラガールズ」の10周年を記念するOVA「ETERNITY MEMORIES」の配信イベントが昨日あり、がっつり鑑賞してました。ゲーム内で好評を博したイベントをベースにしたエピソードを始めとして、190人のキャラクター全員が登場するなど10年間の軌跡をこれでもかとばかりに盛り込んだ50分間。情報量が多すぎてちょいと追い切れないレベルの密度でしたが、このごった煮的なところもデレマスの魅力。今週末のライブを前に弾みを付けてくれる良いものが観れました。

 こんばんは、小島@監督です。
 作中、初めてのCDのリリースイベントを基にしたカットがあったのですが資料用としてもほとんど写真が残っていなかったのにたまたま作画スタッフの1人が当時1ファンとしてイベントに赴き撮影した写真を持っていてそれを資料として描き起こしたそうです。何という縁。
 僅か数秒のショットにも、時に歴史が宿る事があるものです。

 さて、今回の映画は「NOPE/ノープ」です。

 南カリフォルニアの片田舎で映画撮影に使われる馬の飼育をして暮らすヘイウッド家。しかし当主で優れた調教師でもあるオーティス(キース・デイヴィッド)はある日空中からの落下物に当たり事故死してしまう。跡を継いだ息子のOJ(ダニエル・カルーヤ)だが父のようにははうまくいかず、妹エメラルド(キキ・パーマー)とと共に撮影現場に向かうが、そこでトラブルを起こし仕事を不意にしてしまった。
 やむなくOJは牧場の近くで西部劇のテーマパークを経営している元子役俳優のジュープ(スティーブ・ユアン)に馬を何頭か売りに出さざるを得なくなってしまう。
 その日の夜、停電が発生し。馬たちが怯えだした。OJは上空に巨大な「何か」が存在するのを目撃する。

 「ゲットアウト」「アス」と言った個性的な作品で脚光を浴びたジョーダン・ピール監督の長編第3作、過去作は配信でしか観ていないのでちゃんとスクリーンで一度鑑賞してみたいなと思っていたところに新作が来てくれました。モチーフとしては未確認飛行物体、いわゆる「UFO」ものですが、そこはジョーダン・ピール監督、一筋縄ではいきません。空に現れた飛行物体、それに遭遇したOJたちは恐ろしいとは思いながらも逃げるどころか何とどうにかしてUFOを撮影して売り込んで一獲千金を目論みます。何ならギリギリまでおびき寄せようとさえするクソ度胸ぶりを発揮。「アス」あたりでも見受けられましたが監督のこの独特の明るさが今作でも表れています。
 また、今作の撮影監督を務めたのは「TENET」などクリストファー・ノーラン作品でカメラを担ってきたホイテ・バン・ホイテマ。スタジオではなくロケ中心であることに加えてIMAXカメラをフルに駆使したダイナミズム溢れる映像が作品に更なる説得力をもたらしています。

 オープニングタイトルで、馬に乗った黒人騎手の姿を投影した連続写真が象徴的に登場します。作中でも言及されますがこれは1878年に写真家エドワード・マイブリッジが撮影した連続写真で、「ゾエトロープ」(回転覗き画とも言われる、静止画を早回ししてのぞき窓を通して観ることで画を動いているように見せる機械)などを使って「動画」としての再生が可能になった写真であり、即ち世界最初期の映像の一つです。ですが作中でも言われるように撮影した人の名は残っていますが騎乗していた黒人騎手の名は残っていません。映画ではこの騎手がOJの祖先という設定になっています。これが象徴するのは「忘れられた存在」たちです。それはOJとエメラルドが黒人であることだけでなく、CG技術の隆盛により実際の馬を使っての映画撮影の機会も奪われつつあることを指し示し、また、かつてはドラマで人気を博した子役であったジュープも「ある事件」をきっかけにショービズから遠ざかりかつての自身の栄光が残した財産を糧に田舎のテーマパークでどうにか再起を図ろうと足掻いていることも指し示しています。
 そんな表舞台から忘れ去られた人たちの前に飛行物体が現れた時、彼らは自分なりの方法で自分を忘却の彼方に追いやろうとする世界に一矢報いようとするのです。それが絶対的に不利で無謀な状況であろうとも。何故なら彼らが取り戻したいのはアイデンティティーだからです。

 ところでジョーダン・ピール監督、結構アニメ好きなようで、クライマックスに「AKIRA」を思い起こさせるシーンがあるほか、ところどころでオマージュしたと思しきショットが飛び出します。その辺を注意して観てみるのも一興でしょう。あと本編には特に関係ないものの何より個人的に目を引いたのが、OJら登場人物たちが何と「キリン一番搾り」を呑むシーンがあります。あれはさすがに身を乗り出してしまいました(笑)
 
 相変わらずクセは強く好き嫌いの分かれるタイプの作品ですが、独自路線を貫くジョーダン・ピール監督の才気煥発さがスクリーンを縦横無尽に駆け回るような楽しさは実に魅力的。俗っぽさ上等。危機的状況でも歯を食いしばり立ち上がる人間のたくましさをどうぞスクリーンでご堪能あれ。

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