ちゅうカラぶろぐ


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水樹奈々の全国ツアー全公演の中止やアニサマが来年への延期など大型ライブイベントの中止・延期がここ数日に相次いで発表されました。アニサマ、実はチケットを入手していたので開催されれば初めての現地参戦になる予定だったのですが、それは来年以降に持ち越しのようです。現時点であと1件、開催の可否を運営側が保留しているライブがあるのですが、それを除くと今夏の私の予定は事実上の白紙。夏が始まる前に終わってしまいそうです。

 こんばんは、小島@監督です。
 緊急事態宣言も解除され、6月に入った今日から通常営業に戻ったところも多いのですが、まだまだこれまで通りとは行かないですね。

 さて、今回の映画は「AKIRA」AKIRAです。

 1988年、関東で「新型爆弾」が爆発したのを機に第三次世界大戦が勃発。
 それから31年後、戦後復興した「ネオ東京」では軍と反政府ゲリラの衝突が続いていた。
 不良少年の金田(声・岩田光夫)は仲間の甲斐(声・草尾毅)・山形(声・大倉正章)・鉄雄(声・佐々木望)らとつるんで暴走行為に明け暮れる日々を過ごしていた。ある日暴走中に鉄雄はタカシ(声・中村龍彦)と衝突する。子供でありながら老人のようなタカシの姿に鉄雄は愕然とする。更に鉄雄を助けようとした金田たちの前に軍が現れ、鉄雄は軍によって研究所に連れ去られてしまった…

 1980年代のアニメというのは、高畑勲・宮崎駿・富野由悠季といった70年代以前から製作に携わってきたクリエイター達が監督として脂が乗り始めていた一方、庵野秀明・河森正治などが新世代として台頭し始め、それまでのイメージであった「子供の観るもの」だけではなくなりつつあった時代で、爛熟し始めていた時期とも言えるでしょう。家庭用ビデオの普及によりテレビアニメだけではなくリリース形態がビデオフォーマットのみのOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)が製作され始め、よりコアなターゲットに訴求する作品が生まれやすい地盤ができつつある時期でもありました。
 そんな最中の1988年に製作・公開されたのがこの「AKIRA」です。作中の時期と重なるということもあってか、公開から30数年を経た今年、4Kリマスターによる画質向上と音源のリミックスを施したIMAX版が製作されIMAXシアターを擁する各地のシネコンで上映されています。IMAX版、封切りは4月初頭だったので恐らく当初の予定ではゴールデンウイーク向けの大作が公開されるまでの繋ぎのプログラムだったと思うのですが、全てが延期されている今は事実上のロングラン状態に。そのおかげで観ることができました。

 映画序盤に登場する「急制動をかけた金田のバイクが路面に火花を散らしながら画面手前から奥へと滑っていく」ショットが、その後洋の東西を問わず現在に至るも多くの映像作品でインスパイアされているほど、多大な影響を及ぼした作品です。それだけではなくテールライトの残像が尾を引くように軌跡を描きバイクの挙動を表現する、広角や望遠といったレンズを意識した構図を多用するなど当時としては斬新な映像表現が目白押し。動きのダイナミズム、緻密な背景作画、容赦のないバイオレンス描写など海外での「ジャパニメーション」のイメージに先鞭をつけた作品と言えるでしょう。今観ても異常なほどの情報量。これまで何度か自宅で鑑賞したことはあるのですが、スクリーンで観ると桁違いです。エネルギーの奔流がほとんどそのまま叩き付けられているような感覚さえ味わいます。

 現在の視点で観ると興味深いところとしてはビジュアルのイメージ。軍と反政府ゲリラの衝突の様子は安保闘争や全共闘運動を思わせますし、現在では水質浄化が進み魚も棲めるようになった河川もゴミが漂う汚水のままであったり、発展した科学と昭和的な情緒が同居するサイバーパンクな都市のイメージと合わせてそのビジュアルはどこかノスタルジック。80年代を体感したことのない方には古くも新しくもあるこのビジュアルは不思議な印象を受けるのではないでしょうか。

 「AKIRA」は日本のアニメを紐解いていくときに避けては通れない作品の一つ。不意にグロテスクな描写も出てきたりはしますが、そういうのが苦手な方でもスクリーンで観られるこの機会を利用して、世界にすら影響を与えたマグマのようなエネルギーを味わってみてほしいですね。

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