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ちゅうカラぶろぐ


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この冬日本中で猛威を振るっているインフルエンザ。私の職場もご多分に漏れず感染して休む者が続出。そんな中で奇跡的に発症もせず元気でいられる自分の体は意外に丈夫なようです。ただそのお陰(?)で休日が一つ吹っ飛び出勤せざるを得なくなる羽目に(苦笑)。まあこういう時は仕方がない。私もいつかかっちゃうか分からないし。

 こんばんは、小島@監督です。
 皆さんも体調管理には気を付けましょう。

 さて、今回の映画ですが、そんな状況なのでここ最近映画を観に行くということが出来ずにいるのでDVDなどで自宅で鑑賞した作品の中から一つをご紹介。今回は「野良犬」です。

 ある夏の日、刑事の村上(三船敏郎)は射撃訓練帰りのバスでコルト式拳銃をすり取られ、犯人を追うも見失ってしまった。拳銃にはまだ実弾が残っていたため自分の銃が事件に使われることを危惧した村上はスリ係の市川刑事(河村黎吉)の助言を得て女スリのお銀(岸輝子)に目を付け、お銀に頼み込み拳銃の闇ブローカーの情報を得た。
 そんな折、淀橋で強盗傷害事件が発生。鑑識により事件に使われた拳銃は村上のものだと判明する。責任を感じた村上は辞表を提出するが上司の中島係長(清水元)はそれを受け取らず、むしろ積極的に捜査に参加させようと淀橋署のベテラン刑事・佐藤(志村喬)と引き合わせ組ませることにするのだった。

 実は朝日新聞社が昨年1月から発売しているパートワークマガジン「黒澤明DVDコレクション」を毎号購入しています。当初はパンフレットの復刻版が付く最初の3号だけのつもりでいたらそのまま泥沼。気付けば絶賛コンプリート進行中。只今28号。しかも黒澤明監督作品って全30作だから30号で終わりかと思っていたら製作や脚本のみで参加していた作品もラインナップに加わって全40号に増えました。何てことだ!まともに観る機会の無かったものが観られるチャンスが出来たのは嬉しいけどちょっと複雑な気分だよ!

 で、「野良犬」はそんなラインナップの一つ。1949年の作品です。刑事が拳銃をすられたことから始まる物語は、派手さを排した硬質な作りと新米とベテラン2人のコンビが事件を追うスタイルが鮮烈な印象を与えいわゆる「刑事もの」の原点として日本だけでなく海外でも多大な影響を与えた作品です。この「野良犬」で黒澤明が用いて当時先鋭的で今では一般的となった演出技法の一つに悲壮的なシーンで敢えて明るい音楽を流すことでその悲しみをより際立たせる、つまり相反する2つのイメージを重ね合わせてその印象をより深いものにする「対位法」という技法が用いられている点も挙げておきましょう。
 全編を貫くヒリヒリするような緊張感が特徴の作品ですが、それを支えているのは助監督を務めた本多猪四郎と撮影監督山田一夫の手腕によるところが大きく、特に村上刑事が拳銃を探し上野や銀座の闇市を歩き回るシーンでは同じ服装を着た本多と山田が歩いて隠し撮りした実際の闇市だそうです。ほかにも闇ブローカーを追って後楽園球場で張り込むシーンがあるのですが、そこで登場する映像は実際に1949年7月に行われた巨人対南海戦のもので、現在のような2リーグ制になる直前(1950年より2リーグ制へ移行)の1リーグ制時代の様子という点でも興味深く、終戦直後の東京の様子が各所に見て取れる、現在となっては高い資料性を誇る映像が頻出するのも興味深いところでしょう。また特撮ファンには言わずと知れたところでしょうが本多猪四郎はこれより5年後の1954年に「ゴジラ」の監督を担い映画史に燦然とその名を刻むことになります。

 70年前と古い作品ですが、一つのジャンルを確立した「原点」として今なお色褪せない輝きを放つ逸品です。「午前十時の映画祭」などでリバイバル上映されることもあるほかレンタルや配信などで触れられる機会も比較的多い方の作品なのでチャンスが来たら是非ご覧になっていただきたい1本ですね。

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