ちゅうカラぶろぐ


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この連休に台風が来るかもということで、結構マジに構えていたらむしろ週明けに来そうな雰囲気で却ってちょっとビビっています。やめて。3日後に久々のライブ遠征の予定があるのよ。

こんばんは、小島@監督です。
どうせならさっさと過ぎ去って欲しい。

さて、今回の映画は「レッドタートル ある島の物語」です。

嵐の中、海に放り出された男が漂流している。
九死に一生を得て男は小さな無人島に辿り着いた。男は無人島からの脱出を試みるが、その度に見えない「力」によって島に引き戻される。
絶望に歯噛みする男の前に、やがて一人の女が現れる。

一体どういう潮流なのか分かりませんが、今年の夏から初秋にかけてはつくづくユニークで質の高いアニメ映画を鑑賞する機会に恵まれています。
スタジオジブリの最新作として公開された「レッドタートル」は日本・フランス・ベルギーの合作による長編アニメーション映画です。監督は、いずこかへ去った父親を待ち続ける少女の人生を僅か8分間に凝縮して描いた「岸辺のふたり」(2000年製作)でアカデミー賞短編アニメーション賞受賞ほか世界各国の映画祭で絶賛されたマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット。一切セリフの無いサイレントである「岸辺のふたり」同様、「レッドタートル」もセリフらしいセリフを排した(笑い声や叫び声は上がるが)サイレントに近い作りになっています。
アニメーション製作の実作業はフランス中心で行われたそうで、背景の細密な描き込みに比べキャラクターなどはどこかエルジェの「タンタンの冒険」などを思い起こさせる、描線と陰影の少ないビジュアルをしています。

プロットそのものはシンプルながら、セリフが無い事で寓話性が極限まで強調され、全体的に幻想的な雰囲気が漂い、厳然たる「事実」として観客に提示される事象がかなり少ないのが特徴です。
物語の大きなモチーフそのものは例えば日本の「天の羽衣」やアイルランドの「セルキー」伝承など世界各地に残る古典や民間伝承を想起させますが、変に複雑に読み込もうとするよりあるがままを観て胸中に湧き上がる感慨に身を委ねた方がいいんじゃないかな、という気がします。

81分と決して長くはない上映時間ながら、しかし「時間」の進み方はかなり穏やかでゆっくりです。人によっては、あるいは鑑賞時の体調によっては眠くなってしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし作品として質が低いかというとそんなことはありません。
どのカットも切り取れば絵本になりそうなほど完成されたビジュアルは、確かに下手にセリフを加えるよりも多くを雄弁に語ります。
ただ正直言って100館超の大規模公開に向いた作品であるとは言い難いです。どちらかと言えばミニシアター向きで、興行的には赤字になりそうなのがちょっと心配というか何というか(苦笑)
ただシネコンの大きめのスクリーンで観られる方が迫力も増しますし、ジブリ配給ということでなかなか普段観る機会の少ないアート色の強いアニメ映画を結構な回数で上映されて鑑賞できる機会が増えるというのはコレはコレでプラスだと思うので、まぁ良いかなという気もします。

一般的なジブリ映画のイメージとは大きく趣の異なるかなり癖の強い作品ですが、しかしアニメーションとしてはかなり高質。映像と音楽がもたらす詩情溢れる世界を是非堪能してみてください。


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