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ちゅうカラぶろぐ


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Blu-ray発売を目前に控えた「ガールズ&パンツァー劇場版」がここに来て今週末から何と全国150館規模での再上映が決定しました。ちょうどゴールデンウィークの大作攻勢も一段落したタイミングの良さも手伝って、多くの上映館でエース級のスクリーンでの上映です。来場者特典もあるそうですが、「公開27週目入場者プレゼント」という響きはさすがにちょっとクレイジーです(笑)

こんばんは、小島@監督です。
ここまで来ると最終興収がどこまで行くか見てみたいですね。

さて、今回の映画は「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」です。

これまで数々の世界的危機を救ってきたアベンジャーズたち。しかし世界はその代償として多くの犠牲を生んでいた。やがて、アメリカの一民間組織が世界を飛び回り活動することに各国の目は厳しいものになっていく。
そんな折、あるテロ事件の捜査を行っていたアベンジャーズたちはその過程で犠牲者を出してしまう。それを契機に遂に彼らを国連の管理下に置くための協定「ソコヴィア議定書」が締結されるに至った。
強大過ぎる自分たちの力に何らかの「歯止め」の必要性を感じていたトニー・スターク(ロバート・ダウニーJr.)は協定に賛同するが、権力の監視下では不本意な戦闘を強要されかねない事を危惧するスティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)は協定の調印を拒絶。アベンジャーズたちの対応は真っ二つに分かれ、2人の溝は深くなっていく…

2008年に製作された「アイアンマン」から続く「マーベル・シネマティック・ユニバース」、その最新作は、簡単には答えの出ない問題にアベンジャーズが二分され、遂には激突するまでに至る物語です。主役はあくまでもキャプテン・アメリカですが、ソーとハルク以外のほぼ全員が登場するので事実上の「アベンジャーズ3」と捉えても差し支えないかもしれません。
タイトルの「シビル・ウォー」とは直訳すれば「内戦」の事ですが、アメリカにとっては「南北戦争」を指す言葉でもあり、物語の内容を二重の意味で端的に示すものになっています。キャプテン・アメリカを主人公にした前作「ウィンター・ソルジャー」がベトナム戦争に絡んだ言葉でもあったため、南北戦争とベトナム戦争に因んだキーワードのもと、現代的なテロリズムとの戦いを描くキャプテン・アメリカの苦悩の旅路はアメリカ、アメリカ的正義の葛藤の道程の戯画化と捉えることもできそうです。

何年も何作もかけてドラマを積み上げてきただけあり、各キャラクターの苦悩や葛藤、そこから導き出される決断が実に地に足の着いたものになっているのが見事です。
キャプテン・アメリカとアイアンマン、双方の立場と葛藤は、言い換えれば「強大な力を大きな権力の判断に委ねるか、個人の意思に委ねるか」という事であり、その命題は、特に銃規制などに代表されるアメリカを長く苛ませる問題の姿ですし、「国境を越えて活動をすることで新たな憎悪を生んでしまう」のは現代アメリカのジレンマの姿そのものと言え、この暗喩といくつもの怨讐が織り交ざるドラマの構図が観る者を引き込みます。

何よりこの映画を優れたものにしているのはその葛藤や感情を一身に引き受けてくれるスーパーヴィランが「出てこない」という点に尽きます。それ故に登場人物同様に観客もこの重い苦悩から逃げることは出来ません。それ故、最後にこの対立を仕組んだ「犯人」が語る真相は重い余韻に満ちています。

またこの作品はヒーローアクションとしても実に優れています。ともすれば沈鬱に過ぎる物語を多彩なキャラクター達の能力を活かしたアクションを、ハッタリ効かせるところは徹底的に効かせ、生身の感じを残すべきところはちゃんと体重を感じさせるように組み立てられていて、非常にメリハリとテンポが良く、高揚感に溢れています。特に空港での乱戦シーンは物語的には相当深刻な状況なのにアクションの凄さにテンション上がる楽しいシーンになっています。

物語の性格上、最低でも前作「ウィンター・ソルジャー」の鑑賞は必須の作品ではありますが、あらゆる点で水準以上の文句ない傑作です。賑やかな内容なせいか入りも上々なようでもうしばらく上映も続きそうですし、予習してから臨むだけの価値はありますよ。



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