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ちゅうカラぶろぐ


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仕事上がりに良く寄っていた古本屋がこの10月いっぱいで閉店してしまうと知り、今月は極力足を運ぶようにしています。
名残惜しいから、というのももちろんですが文庫本が全品50円という文字通りの「投げ売り」状態の半端無い破壊力に何かもうバカスカ買っています。
大抵の物は数年前のタイトルが多いのですが、中にはここ2,3か月にリリースされたばかりの、普通に今書店で平積みされてる物が混ざっており、それも例外なく50円。ここまで来るとラッキーというより何だか申し訳無くなってきます。でも勿論買っちゃう(笑)

こんばんは、小島@監督です。
とは言え自分の読書ペースを考えるとそろそろ一冬越せそうな量になってきた(苦笑)

さて、今回の映画は「ジャージー・ボーイズ」です。

1950年代、ビートルズ以前に「シェリー」「君の瞳に恋してる」など、現在においてもカヴァーを重ねられる名曲を生み出し不滅の伝説を打ち立てた4人組「フォー・シーズンズ」
ニュージャージーの貧困の中に生まれ育った彼らが音楽で栄光をつかむまでの軌跡、そしてその栄光故に襲われるグループ内での嫉妬と不和、崩壊と喪失、そこからの再生を彼らが生み出した数々の楽曲と共に描き出すミュージカルです。

80歳を過ぎても尚旺盛に作品を発表し続ける巨匠クリント・イーストウッド。彼が新たに選んだ題材がミュージカル、それもポップミュージックを扱ったミュージカル、というのに結構驚きました。
クリント・イーストウッドってジャズ好きで有名だったので、こういうポップ系も行けるとは思いませんでした。

そういえば最近になって知りましたが、ミュージカルにおいて物語に合わせて楽曲を作るのではなく、この「ジャージー・ボーイズ」のように古今のヒットナンバーの披露を主眼に置いて物語をそれに合わせて組み上げるというミュージカルのスタイルを「カタログ・ミュージカル」というそうです。日本では劇団四季の定番の演目である「マンマ・ミーア!」が有名ですね。

作品は軽妙にして洒脱、近年のイーストウッド作品と言うと「硫黄島からの手紙」や「ヒア・アフター」などの重厚な作品の印象が強いですが、彼には「スペース・カウボーイ」のようなノー天気な作品もあり、こんな洒落た作品をものする事もできるとは、さすが巨匠、懐の深さが違います(笑)

この映画の大きな特徴は50~60年代のヒットナンバーが多数使われている事ももちろんですが、それ以上に物語の随所に主要キャラクターが自身の心情をモノローグではなくカメラ目線で観客に向けて語りかける、いわゆる「第四の壁を破る」演出を用いている事が印象的です。
「第四の壁」とは舞台演劇に端を発する言葉で、大道具の壁が設置される左右と奥の壁に次ぐ、演者と観客を隔てる境界線を指し、この境界線を無視して演者が観客に語りかけたりすることを「第四の壁を破る」と言います。
映画で使われた最近の実例としては「プリキュア」シリーズでミラクルライトを振るのを呼びかけたり諸注意を子供に語りかけたりするのに用いている、アレですね。

実はこの「舞台に極力近い演出」というのが時に欠点でもあります。シナリオがそもそも楽曲に重点が置かれている事もあり、いくつか「経過」がバッサリ省かれ「結果」だけが示されるエピソードがあり、物語が有機的に繋がってる感じがしにくいのが残念です。

それでもさすが数十年の時を経てなお生き残った楽曲群だけあって、音楽の素晴らしさは見事の一言。この音楽の素晴らしさが「舞台に近い演出」と特に最高次元で融合した映画ラストのある「趣向」はきっと高い満足感を得られる事でしょう。
もうすぐ公開も終盤にさしかかっていますが、音楽の良い映画はそれだけでスクリーン映えするので、機会のある方は是非映画館で味わっていただきたいですね。

ところで余談ですが、主人公のモデルになったフォー・シーズンズのリードボーカル、フランキー・ヴァリは存命どころか何とまだ現役!だそうで、今年初めての来日公演もこなしたとか。監督クリント・イーストウッドと言い、元気なお爺ちゃんが多いですね(笑)

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