ちゅうカラぶろぐ


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ここ最近物を噛むと妙に痛みを感じる箇所があり、気になって歯科医に診てもらったら案の定虫歯でした。
しかも以前治療した場所のその詰め物をした下の部分がう蝕して虫歯になってました。
幸い神経を抜いたり抜歯したりと言った事態は避けられましたが、やっぱり怠けず定期的に検診してもらえば良かったなと思いましたね。

こんばんは、小島@監督です。
しかしこの治療中で仮詰めしてる時のもどかしさは、何とも…(苦笑)

さて、今回の映画はドキュメンタリー映画「メキシカン・スーツケース」です。

2007年、メキシコで「スーツケース」と呼ばれる3つの箱が発見された。そこには長く行方不明とされてきたロバート・キャパ(アンドレ・フリードマンと呼ばれることもある)、ゲルダ・タロー(キャパの恋人であり写真家。スペイン内戦のさなか乗ろうとした車輛が戦車と衝突して死亡している)、デヴィッド・シーモア(キャパや他の写真家と共に国際写真家グループ「マグナム・フォト」を結成した)の手によるネガ4,500枚が納められていた。
ネガは非常に良好な状態で残されており、これまでプリントという形でしか残されていなかった3人のスペイン内戦時代の業績が記録されていた。
この映画は、キャパのネガが最終的にICP(国際写真センター)を設立した弟コーネル・キャパの元へ返還されるまでの数奇な運命を関係者の証言で辿ると共に、「スーツケース」がメキシコで発見された事実を通してスペイン内戦時メキシコが果たした役割と今なお消えない内戦の傷痕を当時を生きた世代、それを聞いたその子供や孫たちの言葉を織り交ぜて綴るドキュメンタリーです。

上手い言葉がなかなか見つからないのですが、マグマのように強烈なエネルギーを感じる映画です。恐らくそれは監督であるトリーシャ・ジフ自身が「スーツケース」をコーネル・キャパへと渡るピースの1つであったのも関係してるのかもしれません。
この映画のスタンスは発見されたネガからファシズムと戦った民衆の姿を蘇らせるということと同時に敢えて共同墓地を掘り起しその遺体の身元確認を行う姿なども映しだし、内戦を過去の物ではなく現在のスペインが抱える問題として捉えようとしている点が特徴です。

映画の作り手が当事者の一人であるということも手伝ってか、この映画、恐ろしくストイックであるということがある意味で欠点です。コレに比べると以前このブログでも紹介したドキュメンタリー映画「ヴィダル・サスーン」や「シュガーマン」は随分エンターテインメントしてたなという気がします。作り手の膨大な熱量がほとんどフィルターにもかからず観る者に迫ってくるので86分という短めの尺ながら充実感がありすぎて観終わった後結構体力的に来ます(苦笑)

個人的にこの映画で一番驚き知的好奇心を掻き立てられたのはキャパの写真の多くを現像したという暗室助手チーキー・ヴァイスの存在です。写真を撮影した人間がいるなら現像した人間がいるのは当たり前なのですが何故かずっとキャパの写真はキャパ自身が現像していたと思い込んでいたのでチーキー・ヴァイスに絡む事柄全てが新鮮そのものでした。

この映画、シネマテークというミニシアターでの限定公開なので触れられる機会は少ないでしょう。しかしスペイン内戦を扱った作品は非常に多いのでそれを観たり読んだりするのも悪くないと思います。
例えば映画では「パンズ・ラビリンス」(監督ギレルモ・デル・トロ)、文学では「風の影」(カルロス・ルイス・サフォン著)等がありますし、日本でも逢坂剛が「カディスの赤い影」などスペインを舞台にした作品をいくつか発表しています。また、2003年に放送されたTVアニメ「明日のナージャ」で内戦とその後の独裁政権について言及したエピソードが存在したりします。
時にはこういう歴史の1ページを描いた作品に触れるのも楽しいですよ。


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