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ちゅうカラぶろぐ


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4月に存在を知って以降、何だかんだ月1回くらいのペースでライブを観に行ってしまっているアイドルユニット「THE ENCORE」、仕事上がりにスーツ姿のままで行ったりすることが多いのと普段でもジャケットを良く着ているのがライブハウスでは実はちょっぴり浮いていたらしく、先日特典会(ライブ後にアイドルの人にサインもらったりチェキ撮ったりする場。という認識で良いはず)でメンバーの方にどうやら私は「たまに現れるスーツのおじさん」で覚えられているらしいと知って変な笑いが。

 こんばんは、小島@監督です。
 これはもう後方プロデューサー面を通すしかない。

 さて、今回の映画は「わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!ドキドキ!ゲームの世界で大冒険」です。

 人気ゲーム「ドキドキ♡タヌキングダム」で遊ぶために集まったいろは(声・種崎敦美)たち。ところが突然怪し気なタヌキのような存在が現れゲームの世界に吸い込まれてしまう。いろはとはぐれてしまった飼い犬のこむぎ(声・長縄まりあ)はいろはと再会するために猫のユキ(声・松田颯水)と共にゲームの世界でタヌキたちとの対決に挑む。一方、辛うじてゲームに吸い込まれることなく済んだ悟(声・寺島拓篤)は現実世界からいろはたちを救おうと行動を開始する。

 はい、今年もやってまいりましたプリキュアの季節。当然のようにちゃんと観に行っております。主人公が犬、というところが目を引く今年の「わんだふるぷりきゅあ!」、飼い主であるいろはと共に変身しバディとして困難に立ち向かいます。動物との絆がメインテーマである「わんぷり」は後半に差し掛かり人間の手により絶滅した動物が人間への憎悪を持って登場し、物語が転機を迎えています。TVシリーズの陰影が深くなり始めた中で公開された今回の劇場版は、核となるメインテーマはそのままにサプライズとお祭り感で彩る作品になっています。

 率直な感想を言うと、「軸は定まっているのに付加要素が多すぎて散らかっているように見える」印象です。今回ゲストとして「魔法つかいプリキュア!」と「ひろがるスカイ!プリキュア」のメンバーが揃って登場するほか、サプライズでイケボを披露するアイツがいることも相まって非常に画面は賑やかかつ華やかです。ただ結果的にそれらの要素が本筋の掘り下げを妨げてしまっています。今作の脚本は「アイカツ!」シリーズや「アイドルマスターミリオンライブ」など群像劇の差配に定評のある加藤陽一が手掛けていますが、さすがに尺に対して入れるべき人物とやるべきことが多すぎたようでまとまり切ってないと言わざるを得ません。

 一方でゲーム世界でのデフォルメの効いたビジュアルは可愛らしく、手を変え品を変えの様々なステージで躍動する、何ならダンスまでするファンシーさはTVシリーズと上手く差別化が図れていてポイントが高く、何だかんだゲームの世界にいる状況を楽しんでしまっているこむぎやユキの言動と合わせて心地良い楽しさを提供できているように思えます。

 シリーズ20周年という節目を圧倒的ボリュームで飾ってみせた昨年の「プリキュアオールスターズF」のような重厚感はありませんが、「ちゃんとお子様の方を向いている映画」という意味ではじゅうぶん及第点の一本です。場内の照明を落とし切らず音量も少し絞った小さなお子様連れを対象として「デビュー上映会」の定番プログラムになっているプリキュアとしてはこの視座は無くさないで欲しいですね。
 そんなこと言ってる私、プリキュアを映画の方も観るようになってもうすぐ15年!よもやこんなに長い付き合いになるとは(笑)

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ちゅうカラのホームページが全面リニューアルされました!さながら企業IPのページかと思うくらいのデザインが洗練されてて驚きます。是非一度お立ち寄りください。

 こんばんは、小島@監督です。
 とは言えこのブログは変わりません。基本的に毎週月曜日に更新しております。読んで頂ければ幸いです。

 さて、今回の映画は「エイリアン:ロムルス」です。
 リニューアル一発目からホラーとか何かすいません(笑)

 太陽の光も差し込まないウェイランド・ユタニ社の植民惑星の鉱山で働くレイン(ケイリー・スピーニー)は、亡父の形見でもあるアンドロイドのアンディ(デヴィッド・ジョンソン)と暮らしながらこの星を脱出することを夢見ていた。ある日レインは、元カレのタイラー(アーチー・ルチーノ)から衛星軌道上に宇宙ステーションが廃棄されたまま漂っており、そこから冬眠ポッドを盗み出せばこの星から抜け出せると誘われる。会社に書類を勝手に書き換えられ他の惑星への転籍を潰されたレインは誘いに乗った。
 仲間たちと共に宇宙ステーション「ロムルス」に乗り込んだレイン。首尾よく冬眠ポッドを見つけ出すことに成功するが、ポッドの燃料を探している最中にエラーが発生し、レインたちは覚醒した凶暴な宇宙生物の襲撃を受ける。

 リドリー・スコットとダン・オバノンが生み出したSFホラーの金字塔「エイリアン」、その後はジェームズ・キャメロン、デヴィッド・フィンチャーら様々な監督たちがメガホンを取ることになるこのシリーズは、どの作品も監督の映像作家としての個性が強く出ていて、連続した物語としては一貫性が無いものの作品ごとにガラリと変わるテイストを楽しめる懐の深さがあります。そんな系譜にまたひとり、名乗りを上げた監督が現れました。
 今作を手掛けたのは、盲目の老人宅だから容易いと泥棒するために忍び込んだらとんでもない目に遭う青年たちの恐怖を描いた「ドント・ブリーズ」が記憶に新しいフェデ・アルバレス。シリーズの過去作へのリスペクトを存分に込めつつ自身のテイストを入れ込むことも忘れない快作に仕上がっています。

 時系列的にはシリーズ第1作と第2作に横たわる空白の57年間に起きた事件という位置付けの今作、実はシリーズの中には同じ設定で描かれた物語が存在します。偶発的にエレン・リプリーのコールドスリープが解除され、エレンが再びゼノモーフの恐怖と向き合うことになる小説版「エイリアン:虚空の影」、エレンの娘アマンダが行方不明の母親を探す中でたどり着いた宇宙ステーションで母が何と戦ったのかを知り、ステーションからの脱出を図るゲーム「エイリアン:アイソレーション」があります。どちらも意識的にクラシックな雰囲気を持つように作られているのが特徴で、特に「アイソレーション」の画面の隅々まで行き渡るこだわりぶりは実に見事。これをフェデ・アルバレス監督が知っていたどうかはわかりませんが、「ロムルス」の方もコンソール系が全てCRTモニターだったりセットや小道具へのこだわりが全編を貫いている上、ゼノモーフやフェイスハガーも敢えてCG主体ではなくアニマトロニクスを活用してクラシックなテイストに拍車をかけています。

 セリフやシチュエーションなどにシリーズへのオマージュが散りばめられていてファンにはニヤリとさせられる一方で、主要人物のほとんどが若く無鉄砲な者ばかりというのが今作独自の特徴です。これまでエイリアンシリーズは番外編とも言うべき「エイリアンVSプレデター」を除いて主要人物はほぼ成熟した大人たちで占められており、こうした閉塞した状態を打破すべく果敢に危険へ飛び出して行く、若さ故の勇気と無知無謀が紙一重で共存する若者たちのドラマが展開されたことはこれまで無いため、一見するとオーソドックスなティーンホラーなのですが「エイリアン」でこれが語られること自体が新鮮で上手い具合にミックスアップが効果を発揮しています。

 初めは怯えるだけだったレインたちも自身の生存を懸け反撃の可能性を見い出すようになると画面も熱を帯びるようになり、静かなゴシックホラーだった第1作から海兵隊の熱血バトルアクションへとシフトチェンジした第2作へ、見事に橋渡しをしてみせます。
 とは言え単純に作品として出来が良く、シリーズにまつわるあれこれを知らなくてもこれ単体で充分楽しめるのが良いですね。むしろこれまで未見の方にシリーズを知ってもらう良い入り口になっていると思います。この作品が登場したことで「エイリアン」はようやく連続したシリーズとして一本線が通ったようにも感じます。公開が終盤に近づきつつありますが、虚空の中で展開する極限のサバイバルをどうぞスクリーンでご堪能ください。

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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
 と言って私は今回不参加。すいません、横浜行ってました。この連休、大雨だったところも少なくないようですが横浜は見事な晴天。そして超暑い。これでもかとばかりに大汗かいてました。

 こんばんは、小島@監督です。
 次回は参加する予定です。

 さて、この連休Kアリーナ横浜にて開催された 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT FANTASY」 を観に行って来ました。ゲームアプリ「シンデレラガールズスターライトステージ」のリリース9周年を記念したライブイベントです。シンデレラガールズは今年2〜4月に出演者を10人以下に絞りキャパ1,500人規模のホールを渡るツアーを展開していましたが、今回は20人以上が出演する1年ぶりの大規模イベントです。

 剣と魔法のファンタジーな世界の冒険譚というコンセプトのもと、出演者に勇者や踊り子、天使など9つの役柄を割り振りそれに合わせた衣装と歌曲が用意されているのが今回の特徴。スクリーンの映像をフル活用しセットリストで物語を紡いでいきます。アイドルマスターでは「シャイニーカラーズ」で同種の趣向が盛り込まれたことがありますが、シャニマスのように2日間で使われる楽曲はほとんど変わらないのに全く違う物語を展開してみせたりというハイコンテクストなことはせず、基本的にday1、 day2とも共通の流れをしており単独でも完結するように作り上げていました。

 大きな特徴としてはライブの進行を2部構成としている点。息を継ぐ箇所が長めのMCを取り入れた中間の一ヶ所だけ、というのは3時間超のライブとしてはかなり攻撃的。オールスタンディングでもないのにこんなに長いこと立ちっぱなしにしていたのも珍しい。終盤はバトルアニメのクライマックスが如く力強いナンバーをこれでもかとばかりに投入して来て終わる頃にはへとへとでした。
 興味深いのはファンタジー的な世界観だから、ということだからか楽曲の持つ雰囲気重視で「ささのはに、うたかたに」「Halloween code」「あの子が街に来なサンタ」と七夕、ハロウィン、クリスマスの楽曲が同じ一線上でステージのコンセプトからも外れず共存しているところで、季節の歌でも様々な使い方ができる面白さを提供してくれています。

 今回自分が取れたのがバルコニー席だったのですが、照明やレーザーを使った演出の妙に定評のあるJUNGO氏の演出意図を変にあちこち見回したりしなくても一望できるというのが面白く、そもそも音響が良い会場なのも相まってライブへの没入感が素晴らしい非常に贅沢な時間でした。あと個人的には我が担当である望月聖役原涼子さんの歌声を最高の席位置で聴けたのも嬉しい。
 デレステがサービス規模を縮小している中での大型イベントということもあって事前には不安視する声もありましたが、終わってみれば新しい様々な可能性も感じさせてくれるイベントでした。来年にはデレステ10周年記念のツアーが開催されることも発表。まだまだ楽しみは続きそうです。
 来年…名古屋に新しいアリーナもオープンしますし、そこで名古屋公演してくれると嬉しいのだけどな〜。

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先日年一の健康診断を受診。例年は職場が健診車を呼ぶ日があるのでその日に受けるようにしているのですが、思うところあって今年は内視鏡検査を受けることにしたためこれまで行ったことの無いクリニックへ足を運ぶことに。
 何が驚いたって採血をしたスタッフが顔見知りだったことですね(笑)。余計なことが喋りづらいとても静かな空間だったので敢えて事務的なやり取り以外はしませんでしたが、内心は「そんなことある!?」と我が内なる善逸君が大騒ぎしておりましたですよ。世間は狭い。

 こんばんは、小島@監督です。
 内視鏡検査、初めて受けたのですが麻酔が効いて半分寝てるような状態の間に終わってしまったのでバリウム飲むよりずっと楽。来年もこれで行こう。

 さて、今回の映画は「サユリ」です。

 郊外にある中古の一軒家を買い取り、引っ越して来た神木家。引っ越しを機に離れて暮らしていた祖父・章造(きたろう)と認知症を患う祖母・春枝(根岸季衣)も呼び寄せて三世代7人での新生活が始まった。ところが暮らし始めて早々に次男の俊(猪俣怜生)は何かを感じ取り不安を覚え、春枝はひたすらにある一点を見つめ続けるようになる。長男・則雄(南出凌嘉)は学校で違うクラスの住田(近藤華)に呼び止められ「気をつけて」と忠告された。
 やがて神木家を惨劇が襲う。弟思いだった長女・径子(森田想)は突然俊に暴力を振るったかと思えば時を置かずに父・昭雄(梶原善)が怪死する。人ならざる「何か」の存在の猛威に次々と命を落とす神木家の者たち。なす術なく全滅は避けられないかに思われたが。

 世界的にも大きな影響を及ぼしたと言っていい「リング」や「呪怨」を旗手としてジャンルを確立してきた「Jホラー」と呼ばれる作品たち。元を辿れば「怪談」に源流を見ることもできるからか生者と死者の情念の相克を物語の主眼に据え、大抵の場合怪異に対して一度は打ち勝つあるいは逃げ切ったように見えても実はまだ、というラストになることが多く実質ほぼテンプレのようなものになっています。そのモヤモヤとした感覚をも味わうのがJホラーの楽しみ、と言えばそうなのですが、不完全燃焼に思う方も多いでしょう。そんな作品たちへのカウンターパンチとも言える出色の逸品が登場しました。
 押切蓮介が2010年に発表したホラー漫画を、鬼才・白石晃士監督が見事に映像化。色んな意味でホラーの枠を軽々と飛び越えるエネルギッシュな作品になっています。

 物語は前半は正統派のオカルトホラーとして展開。新居に棲みついていた悪霊に翻弄される家族の姿を色調を少し落とした映像でしっかりと怖く作ってあります。しかし後半に差し掛かると認知症を患っていた春枝ばあちゃんが突如覚醒。なんと悪霊に対して復讐を始めます。この後半のパワーが尋常ではありません。もはやどっちが悪役か分かったものじゃないクライマックスのスパルタンぶりも含めて何も知らずにいつものホラー映画を期待して観に行った人がいたらブッ飛ぶこと必至。
 思えば白石晃士監督は呪術で支配しようとする相手に反撃に打って出る「カルト」や怪異に対して金属バットでカチ込む「戦慄怪奇ファイル・コワすぎ!」シリーズなど人間がオカルトに怯えたままにしない作品を以前から作って来た実績があり、遂に自身のテイストにがっちりハマった原作と出会ってしまったようです。

 悪霊に対抗するのは強い信仰心でも超能力の才能でもなく生きている人間の生命力。おばあちゃんというよりある種の敬意を持って「ババア」と呼びたい春枝の力強い生き方と言葉に背中を押され勇気付けられる人も少なくないはず。このジャンルを超えた飛翔ぶりはちょっと類似作品が思いつきません。Jホラーが持つこう着したイメージをこの1本で覆すほどのパワーを秘めています。白石晃士監督の、現時点での最高傑作と言って過言ではないでしょう。まさに観るエナドリ。「元気ハツラツ」に、「命を濃く」したいあなたは是非とも劇場へ!太極拳を習いたくなるかもしれないぜ!

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まさか一つの台風で一週間引っ張ることになろうとは。挙げ句に日本を縦断することなく消えてしまうし。しかも場所によっては甚大な被害に。長雨による交通への影響も結構なもので、私も出勤を取りやめて自宅待機してた日があったり何なら今日もダイヤを狂わされていつもより長い時間電車に揺られたりしています。

 こんばんは、小島@監督です。
 今月半ばにしばらくぶりの泊まりがけの遠征が控えているのですが、天候、問題無いと良いな…

 さて、今回の映画は「モノノ怪・唐傘」です。

 「大奥」、そこは世を統べる「天子様」の世継ぎを産むために各地から美女・才女たちが集められ独自の社会を形成する特別な場所。そこに二人の新人女中アサ(声・黒沢ともよ)とカメ(声・悠木碧)が足を踏み入れた。自身の才覚を持ってキャリアアップを図りたいアサと憧れた大奥に自分の居場所を見つけたいカメ、性格がまるで違う二人だが妙に気が合い、二人の間に絆が生まれていく。しかし、最高職位である歌山(声・小山茉美)は冷徹な表情の裏に何かを隠していた。そして大奥には奇怪な事件が起こり始める。そこにまとわりついた「情念」に立ち向かうべく、「薬売り」(声・神谷浩史)は大奥に迫る。

 元をたどれば2006年に放送された、日本古来の著名な怪談を独自解釈を加えてアニメ化した企画「怪~ayakashi~」の中の一篇「化猫」が好評を博し、翌年にはその登場人物の一人であった「薬売り」(「化猫」の時はただ「男」としてクレジットされていた)を主人公として単独のTVアニメ「モノノ怪」が製作・放送されました。その後コミック版や小説などが出版されたり舞台化がされたりしましたが、監督・中村健治を始め中核スタッフが再結集しアニメーション作品としては実に17年ぶりとなる新作が製作、劇場用長編として今夏公開されました。公開から1か月以上が経過していますが根強い人気を獲得しているようでロングラン中。おかげで先日ようやく観ることができました。

 近世日本をモチーフにした世界観と、和紙の質感をテクスチャーとして取り入れた極彩色でアバンギャルドなビジュアルは健在。TVシリーズのファンだった身にはこのビジュアルだけでもう入り込めてしまうくらいに唯一無二の存在感です。むしろ17年間の技術力の向上に劇場版としてのスケールアップが加わり非常に密度と情報量の多い画面をしています。
 
 物語はアサとカメ、二人の友情を軸としつつ、成り上がるためには自身の大切な何かを捨てなければならないという大奥の巨大で硬直した官僚機構の側面を見せながら、続発する怪事件の原因を薬売りが紐解いていくホラーミステリとして重層的に展開します。様々な要素がさながら万華鏡のように組み上げられ、直接的な言葉では語らない部分も多く初見の方は面食らってしまうかもしれませんが、これこそが「モノノ怪」の味わいでもありファンにとっては「変に分かり易くなくていい」というひねくれた誉め言葉を発してしまうところでもあります。

 とにかく、上映中に観れて良かった。強烈な没入感をもたらす圧倒的な情報量はスクリーンでなくては味わいきれるものではありません。野心的な作品を多く放送していた時期の「ノイタミナ」作品らしいエッジの効いた面白さは今も強い存在感を放ちます。聞けばこの劇場版は三部作の予定で第二作が来年3月公開を目指して準備中とか。まだまだ薬売りの怪異譚を楽しませてもらえそうです。

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今週半ばに東海地方を直撃するかに思われた台風10号が進路を西へ西へと変えて行ってどうやら日本を縦断していくようなコースに。東海地方はむしろ週末に直撃しそうでそれはそれで戦々恐々。

 こんばんは、小島@監督です。
 何にしても大事にならないと良いのですが。

 さて、昨日一昨日とロームシアター京都で開催された「アイドルマスター」のライブイベント「961 PRODUCTION presents 『Re:FLAME』 」を観に行って来ました。
 演じる声優たちが実際に歌い踊るリアルイベントの現在の潮流の嚆矢の一つと言っていい「アイドルマスター」ですが、2018年頃からいわゆるxR技術を活用して声優ではなくキャラクターそのものがオンステージするライブイベントを開催するようになりました。今年に入ってからも既に「菊地 真 ・ 萩原 雪歩 twin live “ はんげつであえたら ”」や「315 Production presents F@NTASTIC COMBINATION LIVE 」などが開催されています。もちろん声を当てているのは声優の方たちなので歌曲は事前収録や過去のアーカイブ音源からの採録、MCはイベントの趣旨によって収録だったり生だったりするようですが、キャラクターの実在性を強く演出して見せることを最大の特徴として、これまでのライブイベントとはひと味違う没入感を作り出します。

 今回「出演」したのは星井美希、我那覇響、四条貴音の3人。2009年にPSP用ソフトとして発売された「THE IDOLM@STER SP」で大手プロダクションである961プロが送り込むライバルユニット「Project fairy」のメンバーとして登場します。ゲームの方ではエピローグで主人公であるプロデューサーが所属する765プロへ移籍してくることになり、2011年放送のTVアニメやそれ以降にリリースされたゲームでは最初から765プロのアイドルとして登場しますが、今回のライブでは961プロのアイドルユニットとして961プロ社長黒井崇男プロデュースという体で進行しました。

 先述の「はんげつであえたら」もそうだったのですが、このイベント、配信で観るのと現地で鑑賞するのとではガラリと雰囲気が変わります。配信の方ではカメラワークのフル活用に加えて特殊効果なども積極的に取り入れて非常にダイナミックかつ洗練された映像作品を観ているような印象です。一方で現地ではスクリーンに映像を投影するものの実際にステージにセットが組まれスポットライトやレーザー光線と言った演出装置も使われて本当のアイドルライブのように見せており、映像も正面アングル固定でキャラクターが曲の終わりに暗転して舞台袖に捌けたり立ち位置を変えたりするのがうっすら見えるのもリアルです。

 そんなライブのセットリスト、今回のイベントに合わせて作られた新曲を除くとほとんどが10年以上前の楽曲で固められて、古参の私大歓喜。特にアンコールで使われた「Colorful days」は前が私が初めてアイマスライブを現地で観た5th anniversary以来実に14年ぶりという披露で湧き出る感慨でうっかり涙目。古いと言っても多くでリアレンジが施され楽曲のパワーを再認識させてくれ、懐古趣味に囚われていないのが良いですね。

 イベントの終わりにはお見送り会と称して3人がエントランスロビーで観客に挨拶(何とここは生で客にリアクションしてくれる!)という趣向もあり、最後まで実在感の演出に手を抜かないところは見事でした。
 こういうやり方と見せ方があるのかと終始感心と興奮しっぱなしの時間でした。アイマス、まだまだ熱い鉱脈があるぜ。

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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
 ここ数回欠席だったり途中で早抜けしないといけなかったりで、最後までフル参加できたのがしばらくぶりでしたがやはり楽しい。かなりテキトーなリクエストにちゃんと応えてもらったりして嬉しいようなちょっと申し訳ないような気持ちに(笑)。

 こんばんは、小島@監督です。
 コロナ禍を経てから尚更実感するのですが、お腹から声を出す機会は定期的に作っておかないとね!

 さて、今回の映画は「風が吹くとき」です。

 イギリスの片田舎で暮らすジム(吹替・森繁久彌)とヒルダ(吹替・加藤治子)の夫婦。二度の大戦をくぐり抜け、子供を育て上げ老境に差し掛かった今は静かに余生を送っていた。ある日ラジオから新たな世界大戦が勃発し、核爆弾が発射される恐れがあると報じられる。ジムは配布された政府のパンフレットに従い家にあるものを使ってシェルターを作り始める。
 果たしてその時はやって来た。核爆弾が炸裂し、強い閃光と激しい爆風が全てを焼き尽くしてゆく。どうにか爆発を生き延びた2人は、国からの救援を信じてパンフレットに従いシェルターでの生活を始めるが。

 原作は「スノーマン」「さむがりやのサンタ」で知られるレイモンド・ブリッグズが1982年に発表したイラストブック。それを日系アメリカ人2世であるジミー・T・ムラカミの脚色・監督によって1986年にアニメ映画化されたのが今作です。実写映像を織り交ぜたり模型やタイポグラフィを使ったカットを挿入したり挑戦的な手法を取りながらも抑制の効いた語り口で映画を作り上げたアニメーション作家ジミー・T・ムラカミは1989年にロングシリーズとなる「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」を手掛けて名を知られた人物で、アイルランドのディングル国際映画祭には彼の功績を湛えてアニメーション業界に貢献者に送られる賞が設けられ、彼の名を冠してムラカミ賞と呼ばれています。「風が吹くとき」は翌年には日本でも公開され、吹替版の製作には「戦場のメリークリスマス」で知られる大島渚が演出を担いました。主演した森繁久彌、加藤治子はともに戦前から演劇経験とキャリアがある当時既に重鎮と呼べる人物であり、朴訥に見える中に奥深さを感じる演技を聞かせてくれます。

 物語はほぼジムとヒルダの2人しか登場せず、イギリス流のユーモアを交えた会話が全編にわたり続くものの、事態はそんな楽観的な2人を嘲笑うかのように静かにかつ確実に深刻の一途を辿っていきます。そんな2人が核爆弾炸裂後の世界で生活の頼りとする政府発行のパンフレット、その記述に沿って2人は生きていこうとするのですが、家の扉を外して壁に立てかけクッションを敷き詰めて簡易シェルターを作ったり、窓を白いペンキで塗り込んだり、どう考えてもそれが核爆弾や放射線に対し何か効果があるとは思えません。しかしそれを基に何日か生きられれば国が救助を派遣してくれると2人は信じています。先の大戦の苦しかった日々も2人にとっては懐かしい勝利体験であり、今回もイギリスの勝利を信じて疑いません。もはや勝者などいない状況になっているにも関わらず。
 そのイノセントさこそが残酷極まりないのです。更に恐ろしいのは悪い冗談かブラックな風刺にしか見えないそのパンフレット、なんと実在した代物です。それも発行は1976年。核保有国が開発競争に明け暮れた時期に国内に配布していたガイドブックがこの体たらくとは。被爆国であった日本では写真はもちろん絵画、詩、文学、マンガなどの創作物にその惨状やその後の影響を伝えるものが多く作られ人口に膾炙したのとは対照的です。
 
 穏やかで、それでいて冷徹かつ残酷なこの映画は公開から37年を経てなお鮮烈に観る者に訴えかけるパワーを持つ作品であり、もたらす余韻は重く長く、打ち鳴らす警鐘は今も静まりません。まだ観たことが無いのであればどうか一度ご覧になってみてください。「一生に一度は絶対に観るべき」、これはそんな類の作品です。一度でじゅうぶんです。二度目を観る度胸は今のところ私には無いです。

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