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ちゅうカラぶろぐ


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先日、アニメーター木村貴宏さんの訃報が。
 「勇者王ガオガイガー」「コードギアス反逆のルルーシュ」のキャラクターデザインや作画監督が特に有名ですが80年代からアニメ製作に参加したほか、艶やかなボディラインを描ける画風を活かして90年代には「スチームハーツ」「VIPER」「ヴァリアブル・ジオ」などPCのアダルトゲームでも手腕を発揮しており、こちらで名前を覚えた方も少なくないのではないでしょうか。全体的にアニメらしい強調されたシルエットとビジュアルをしているのにフィギュアとして立体化した時に映えるデザインをしていたのも特徴で、2000年代に美少女フィギュアが活況を見せた事がありましたがその一翼を彼の生み出したキャラクターが担っていたようにも思います。
 「コードギアス」がロングシリーズとなったためにあまりそうは見えませんでしたが2010年代前半を最後にキャラクターデザインなどを手掛けることは無くなり、近年は原画での参加を主舞台としていましたが長く闘病されていたようですね。また彼の描くキャラクターが躍動するところを観たかった…

 こんばんは、小島@監督です。
 それにしても今年はまだ始まって3か月も経っていないのに訃報が多すぎる…

 さて、今回の映画は「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」です。

 アメリカでコインランドリーを営む中国系移民のエヴリン(ミシェル・ヨー)とウェイモンド(キー・ホイ・クァン)の夫婦。しかし店は赤字続きで国税庁から監査を受けている真っ最中。そんな中で故郷の中国から認知症を患う父親ゴン(ジェームズ・ホン)が来訪してくる上、「彼女」のいる娘ジョイ(ステファニー・スー)とも折り合いが悪くエヴリンの心労はピークに達していた。
 ある日領収書の束を抱えて国税庁を訪れたエヴリンは、同行したウェイモンドが突然「私は別の宇宙から来た。全宇宙を破壊しようとするジョブ・トゥパキが迫っている」と言い出す。混乱するエヴリンに、ウェイモンドは並行宇宙に存在する別の自分が持つスキルを取得する方法を教えるのだが。

 毎年このくらいの時期になると色々な洋画のポスターに躍る「アカデミー賞最有力」の文字。皆さんこのコピーを持つ映画にどんな印象を抱きますか?重厚な史劇でしょうか、あるいは感動的なヒューマンドラマでしょうか。しかし今年は一味も二味も違います。○○を△△に××するとかそれはもうちょいとここではダイレクトに書けないような下ネタも盛大に飛び出すジャンル無用の珍品が、作品賞を始め実に7冠を獲得し賞レースを席巻しました。
 マーベル映画でもおなじみの「マルチバース」を題材に、ひょんなことから宇宙存亡の危機と戦う羽目になった初老の主婦の活躍を描きます。

 ここでのマルチバースとは「あの時自分はこの道を選んだがあっちを選んだらこうなっていた」という無限のIFと可能性の世界。思いがけずその「可能性」にアクセスできるようになったエヴリンは、生活に追われて家庭崩壊の危機に直面している現実から飛び出していきます。エヴリンの混乱同様に観客も唐突にマルチバースの戦いに放り込まれ、状況も理屈も良く分からぬまま未見性の塊のような映像と展開に翻弄されることになります。IFの世界の中にはウォン・カーウァイの「花様年華」やピクサーの「レミーのおいしいレストラン」のパロディみたいなものもあり、更には画面のアスペクト比までちょいちょい切り替わるフリーダムぶり。
 しかもやたらガチャガチャしているのに謎の疾走感があり、中だるみも尻すぼみもしないまま走り切った挙句に最後は何だか感動させられてしまう不思議。私は一体何を観ていたのだろう。実写化された「セクシーコマンドー外伝すごいよ!マサルさん」だろうか。

 無茶苦茶な映画だけれどそれをやり切って見せる主演2人の演技も尋常じゃありません。キャリアの集大成と言って良いエヴリン役ミシェル・ヨーはもちろんですが、子役時代に「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」や「グーニーズ」で脚光を浴びるもその後は映画製作の方にシフトし長く俳優業から離れていたウェイモンド役キー・ホイ・クアンは本格的な復帰後第一作となる今作で見事どころじゃないカムバックを果たしました。しかもミシェル・ヨーは主演女優賞を、キー・ホイ・クァンは助演男優賞をそれぞれ獲得する栄誉に浴しています。

 コレが作品賞まで獲ってしまうとは保守的と思われたアカデミー賞も結構ロック。こういうのは熱いうちに押さえておくに限るので上映中にスクリーンで観ておきましょう。かなりトガってるので合わない方も多いかとは思いますがそれはそれ!

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