ここ1週間はもうずっと先週NHK-FMで放送されていた「今日は一日アイマス三昧!」の聞き逃し配信を聴き倒しておりました。アイマスの数多い楽曲群をトークと共に9時間かけて楽しむ特集番組です。敢えて多くは語りますまい。ただもう満喫と言い切れるほどに堪能しました。
こんばんは、小島@監督です。
年1回くらいで良いからまたやってくれないかな~。
さて、今回はしばらくぶりに上映中の作品ではなく配信のものから1本。Amazonプライムを漁っていたら思いもかけないタイトルを見つけました。今回の映画は「雄呂血」です。
正義感の強い若侍・平三郎(阪東妻三郎)は漢学者・松澄永山(関操)の娘・奈美江(環歌子)に恋心を寄せていた。しかし永山の誕生祝の宴の夜、家老の息子である浪岡(山岡桃太郎)の無礼をとがめたことで喧嘩になってしまう。しかし家老の威光を恐れる同門の者たちによって平三郎一人のみがその咎を責められてしまった。また後日、奈美江を侮辱した家中の若侍を懲らしめた事が逆に永山と奈美江の誤解を招き、破門されてしまったばかりか故郷にもいられなくなってしまう。
無頼の浪人に身をやつし心が荒んでいった平三郎、そんな折にある小料理屋で奈美江に似た風貌の女性・千代(森静子)と出会い、平三郎の心はかき乱される。
1925年に製作された、伝説的とも言える剣戟映画(いわゆるチャンバラ映画)映画です。善意から起こしたことが誤解を生み、それが更なる誤解を招いて破滅の道へと陥っていく男の姿を描きます。主演の阪東妻三郎は当時まだ23歳でしたが既に多大な人気を得ていたムービースターであり、自身が主宰となってのプロダクションを立ち上げ、「雄呂血」はその第1作として製作されました。
この映画の名を不動のものとしたのはクライマックス。実に27分という長丁場での大立ち回りが展開します。上映時間は74分なので実に3分の1がクライマックス。縄や十手やさすまたなどの多くの得物が入り混じり石は投げる瓦も投げる目つぶしまでする乱戦ぶりを長回しやパンニングを駆使して見せる様は、一人斬る度に見得を切っていた当時の歌舞伎的な殺陣の見せ方から一線を画す革新的なもので世に剣戟ブームを巻き起こしただけでなく後の映画製作に多大な影響を与えました。しかも驚くべきことにこれほどの長丁場であるにも関わらず同じテを二度使っていないというから驚きです。
この殺陣を組み上げたのは市川桃栗という殺陣師ですが、興味深いことに日本映画史に残るこの作品の殺陣を手掛けながら出身や経歴は今に至るも良く分かっていない人物です。ただ彼の弟子に石原裕次郎や小林旭ら昭和の映画俳優にアクション指導(格闘の演技という意味で「技斗」と呼ばれていた)を行った高瀬将敏がいます。
現代的な視座から鑑賞すると、誤解が更なる誤解を呼び転落していく男の悲哀に今日にも通ずるものを見出せる一方で「一本気で正義感の強い」とされる平三郎の性格も、今観れば直情的かつ独善的で思い込みの激しいストーカー気質にしか見えない部分が多々あり共感しづらいところも多いでしょう。それでも90年以上の時を経てなお色褪せない迫力を有した作品です。
製作時期が時期なので当然モノクロで無声(サイレント)映画なのですが、Amazonプライムで配信されているのは音楽と活弁士の語りが付加されたバージョンとなっておりかなり観易くなっています。会員になっている方は是非映画史上名高いこの逸品に触れてみてほしいですね。
こんばんは、小島@監督です。
年1回くらいで良いからまたやってくれないかな~。
さて、今回はしばらくぶりに上映中の作品ではなく配信のものから1本。Amazonプライムを漁っていたら思いもかけないタイトルを見つけました。今回の映画は「雄呂血」です。
正義感の強い若侍・平三郎(阪東妻三郎)は漢学者・松澄永山(関操)の娘・奈美江(環歌子)に恋心を寄せていた。しかし永山の誕生祝の宴の夜、家老の息子である浪岡(山岡桃太郎)の無礼をとがめたことで喧嘩になってしまう。しかし家老の威光を恐れる同門の者たちによって平三郎一人のみがその咎を責められてしまった。また後日、奈美江を侮辱した家中の若侍を懲らしめた事が逆に永山と奈美江の誤解を招き、破門されてしまったばかりか故郷にもいられなくなってしまう。
無頼の浪人に身をやつし心が荒んでいった平三郎、そんな折にある小料理屋で奈美江に似た風貌の女性・千代(森静子)と出会い、平三郎の心はかき乱される。
1925年に製作された、伝説的とも言える剣戟映画(いわゆるチャンバラ映画)映画です。善意から起こしたことが誤解を生み、それが更なる誤解を招いて破滅の道へと陥っていく男の姿を描きます。主演の阪東妻三郎は当時まだ23歳でしたが既に多大な人気を得ていたムービースターであり、自身が主宰となってのプロダクションを立ち上げ、「雄呂血」はその第1作として製作されました。
この映画の名を不動のものとしたのはクライマックス。実に27分という長丁場での大立ち回りが展開します。上映時間は74分なので実に3分の1がクライマックス。縄や十手やさすまたなどの多くの得物が入り混じり石は投げる瓦も投げる目つぶしまでする乱戦ぶりを長回しやパンニングを駆使して見せる様は、一人斬る度に見得を切っていた当時の歌舞伎的な殺陣の見せ方から一線を画す革新的なもので世に剣戟ブームを巻き起こしただけでなく後の映画製作に多大な影響を与えました。しかも驚くべきことにこれほどの長丁場であるにも関わらず同じテを二度使っていないというから驚きです。
この殺陣を組み上げたのは市川桃栗という殺陣師ですが、興味深いことに日本映画史に残るこの作品の殺陣を手掛けながら出身や経歴は今に至るも良く分かっていない人物です。ただ彼の弟子に石原裕次郎や小林旭ら昭和の映画俳優にアクション指導(格闘の演技という意味で「技斗」と呼ばれていた)を行った高瀬将敏がいます。
現代的な視座から鑑賞すると、誤解が更なる誤解を呼び転落していく男の悲哀に今日にも通ずるものを見出せる一方で「一本気で正義感の強い」とされる平三郎の性格も、今観れば直情的かつ独善的で思い込みの激しいストーカー気質にしか見えない部分が多々あり共感しづらいところも多いでしょう。それでも90年以上の時を経てなお色褪せない迫力を有した作品です。
製作時期が時期なので当然モノクロで無声(サイレント)映画なのですが、Amazonプライムで配信されているのは音楽と活弁士の語りが付加されたバージョンとなっておりかなり観易くなっています。会員になっている方は是非映画史上名高いこの逸品に触れてみてほしいですね。
PR
この記事にコメントする