先日久しぶりにワインをブラインドテイスティングする機会があったのですが、大体の産地くらいは掴めたものの品種まではイメージが湧かない中途半端な印象に自分の感覚が鈍っているのを実感してしまいました。このコロナ禍で数か月まともに「ワインをテイスティングする」ということから離れていたツケを叩きつけられたような感じです。ちゃんと味を知る機会を作らねばなるまいて。
こんばんは、小島@監督です。
またいろいろ勉強し直しだな~
さて、今回の映画は「劇場版Fate/stay night [Heaven's feel] Ⅲ spring song」です。
少年は遂に覚悟を決めた。
真実から目を逸らさず、一人の少女を救い、自分の選んだ正義を貫くことを決めた。
歪みに歪んだ「第五次聖杯戦争」のさなか、兄・慎二を殺害し自身の犯した罪に溺れ体を黒く染め上げた間桐桜(声・下屋則子)は、祖父・臓硯(声・津嘉山正種)の思惑をも超えて暴走してゆく。
そんな桜を救うべく立ち上がることを決めた衛宮士郎(声・杉山紀彰)は、行動を開始する。その士郎に意外にも言峰綺麗(声・中田譲治)が助力を申し出るのだった。
2004年に発売されたヴィジュアルノベルゲール「Fate/stay night」、3つのルートで構成されたその作品の最後のルート、間桐桜をメインヒロインとするシナリオなので「桜ルート」と通称される「Heaven's Feel」を3部作として劇場公開するプロジェクトの最終章が遂に公開です。初めて「Fate/stay night」がアニメ化されたのは2006年なので実に10年以上の時をかけて映像化が完結したことになります。
3部作通して高いレベルの映像を維持している作品ですが、さすが最終章だけあって入魂の映像美で圧倒してきます。静的なシーンはどこまでも端正に、動的なシーンでは文字通り縦横無尽にキャラクターが躍動します。アニメ映画としてこの画面のハイカロリーぶりはシンプルに「売り」と言える部分で、スクリーンで味わう醍醐味に溢れていると言えるでしょう。
物語の方も長大なシナリオの中盤~終盤のエピソードを吟味・咀嚼し構成され、クライマックスまで熱量を高めていくことに成功していて見事です。メインヒロインである桜の心情描写、その桜と凛の関係性、「第4のヒロイン」ともいうべきイリヤのクローズアップの度合い、そして衛宮士郎と言峰綺麗の相克など要所を押さえつつ、時に原作に対して更に一歩踏み込んでみせるあたりに監督須藤友徳と脚本桧山彬の作品への理解度の高さが垣間見えます。
もう一つ、この映画はテンポというかリズムがとても良い。特にラスト間近に凛が桜へ向けたある質問に対し桜が応えるまでの「間」は出色で、作品の進行速度をプレイヤーが恣意的に決められるゲームにはなし得ない映像作品ならではのものと言えます。映像化に当たりちゃんと製作陣が「映画」であることを意識し続けたことが結実した瞬間でした。
惜しむらくは本来なら3月末に公開するはずだったことで、ラストシーンの美しさはできればやっぱり春に観たかったなぁというか。おのれコロナ。
この作品、公開日がお盆休み中だったおかげで初日を捕まえて観に行きましたが、その日は席数を半数にしているとは言え最終的に全上映回がほぼ満席となったそうで、私も久々にキャラクターTシャツを着てる人やら缶バッジやストラップをいくつもデイパックに装着してる人を見かけました。映画界隈も厳しい話の多い昨今でしたが久しぶりの明るいニュースだったように思えます。これに続く作品が増えてくるようになると嬉しいですね。
こんばんは、小島@監督です。
またいろいろ勉強し直しだな~
さて、今回の映画は「劇場版Fate/stay night [Heaven's feel] Ⅲ spring song」です。
少年は遂に覚悟を決めた。
真実から目を逸らさず、一人の少女を救い、自分の選んだ正義を貫くことを決めた。
歪みに歪んだ「第五次聖杯戦争」のさなか、兄・慎二を殺害し自身の犯した罪に溺れ体を黒く染め上げた間桐桜(声・下屋則子)は、祖父・臓硯(声・津嘉山正種)の思惑をも超えて暴走してゆく。
そんな桜を救うべく立ち上がることを決めた衛宮士郎(声・杉山紀彰)は、行動を開始する。その士郎に意外にも言峰綺麗(声・中田譲治)が助力を申し出るのだった。
2004年に発売されたヴィジュアルノベルゲール「Fate/stay night」、3つのルートで構成されたその作品の最後のルート、間桐桜をメインヒロインとするシナリオなので「桜ルート」と通称される「Heaven's Feel」を3部作として劇場公開するプロジェクトの最終章が遂に公開です。初めて「Fate/stay night」がアニメ化されたのは2006年なので実に10年以上の時をかけて映像化が完結したことになります。
3部作通して高いレベルの映像を維持している作品ですが、さすが最終章だけあって入魂の映像美で圧倒してきます。静的なシーンはどこまでも端正に、動的なシーンでは文字通り縦横無尽にキャラクターが躍動します。アニメ映画としてこの画面のハイカロリーぶりはシンプルに「売り」と言える部分で、スクリーンで味わう醍醐味に溢れていると言えるでしょう。
物語の方も長大なシナリオの中盤~終盤のエピソードを吟味・咀嚼し構成され、クライマックスまで熱量を高めていくことに成功していて見事です。メインヒロインである桜の心情描写、その桜と凛の関係性、「第4のヒロイン」ともいうべきイリヤのクローズアップの度合い、そして衛宮士郎と言峰綺麗の相克など要所を押さえつつ、時に原作に対して更に一歩踏み込んでみせるあたりに監督須藤友徳と脚本桧山彬の作品への理解度の高さが垣間見えます。
もう一つ、この映画はテンポというかリズムがとても良い。特にラスト間近に凛が桜へ向けたある質問に対し桜が応えるまでの「間」は出色で、作品の進行速度をプレイヤーが恣意的に決められるゲームにはなし得ない映像作品ならではのものと言えます。映像化に当たりちゃんと製作陣が「映画」であることを意識し続けたことが結実した瞬間でした。
惜しむらくは本来なら3月末に公開するはずだったことで、ラストシーンの美しさはできればやっぱり春に観たかったなぁというか。おのれコロナ。
この作品、公開日がお盆休み中だったおかげで初日を捕まえて観に行きましたが、その日は席数を半数にしているとは言え最終的に全上映回がほぼ満席となったそうで、私も久々にキャラクターTシャツを着てる人やら缶バッジやストラップをいくつもデイパックに装着してる人を見かけました。映画界隈も厳しい話の多い昨今でしたが久しぶりの明るいニュースだったように思えます。これに続く作品が増えてくるようになると嬉しいですね。
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