いつの間にやら自宅から歩いて5分くらいのところに理髪店ができていました(通勤に使う道とは違うのですぐには気づかなかった)。これまで整髪はいつも名古屋まで行ってやっていたので取り敢えず一度試してみようとお願いしたら、襟足のところを丁寧にまとめてくれるわフェイスマッサージにパックまでしてくれるわで「良し!行きつけにしよう」と心に決めました。
こんばんは、小島@監督です。
しかしパックってドラッグストアでサンプル貰ったりした時に使ってみた事があるくらいでほとんどしたことなかったけど凄いすね。夜風呂で洗顔しようとしたら石鹸が吸い付くようで「うお~何かモチモチする!モチモチするぜ~!」と妙に感激。
さて、今回の映画は「IT/イット THE END”それ”が見えたら、終わり。」です。
2016年、メイン州デリー。カーニバルの夜にゲイ・カップルが若者の集団に暴行を受け一人は橋から川に投げ落とされた。流れに飲まれた男は薄れゆく意識の中で自身に手を差し伸べるピエロ「ペニーワイズ」(ビル・スカルスガルド)を目撃する。その事件を知ったマイク・ハンロン(イザイア・ムスタファ)は現場に駆け付け、そこで赤い風船と橋脚に書かれた「帰って来い」の血文字を発見する。「それ」の再来を確信したマイクは27年前に「それ」と戦った「ルーザーズ・クラブ」のメンバーに連絡を取った。
ホラー作家として、また脚本家としても活躍するビル・デンブロウ(ジェームズ・マカヴォイ)、服飾ブランドを立ち上げ成功したが夫のDVに悩まされるベバリー・マーシュ(ジェシカ・チャスティン)、人気コメディアンとなったリッチー・トージア(ビル・ヘイダー)、少年時代は太めだったがぜい肉を落としたベン・ハンスコム(ジェイ・ライアン)は建築会社を経営、エディ・カスプフラク(ジェームズ・ランソン)はリスク分析家として多数の顧客を抱え、スタンリー・ユリス(アンディ・ビーン)は事業を軌道に乗せていた。マイクからの連絡に皆動揺を隠せないが、それでもデリーへと向かう。遠き日の約束を果たすために。
世界的にヒットした1作目はまさに傑作と呼ぶに相応しい作品でしたが、その続編にして完結編が遂に公開。大人になったルーザーズ・クラブのメンバーたちが再結集してペニーワイズと最後の戦いに挑みます。
原作では現在と過去が並行して描かれていますが、過去編と現在編を作品として分離して少年編のエピソードのみで構成したことである種のノスタルジーをまとわせつつ描いてみせた1作目は単なるホラー映画の枠を超えた珠玉の青春映画として出来上がっていました。
2作目となる今作は大人編を中心にしていますが過去との関連性の中で描かれるエピソードも多いため少年時代のエピソード(演じるのはもちろんジェイデン・マーテルほか前作でルーザーズ・クラブを演じたメンバーである)も多数登場するのが特徴です。そのため構成としては、より原作に近いものになっています。
大人になったルーザーズ・クラブを待ち受けるのは現在進行形の恐怖だけではありません。27年という時の中で捨ててきた、置き去ってきた過去の「傷」、様々な悪意や理不尽がもたらす心に刺さる「とげ」のようなもの。人生には忘れることで前に進めるものも多いのですが、そういったものと再び向き合わねばならない状況に直面します。
デリーを離れたことでルーザーズ・クラブのメンバーたちはずっと街にいたマイク以外デリーの街での「恐怖」を忘れていますが街に戻ってきたことでそれを少しずつ思い出していきます。というより心の奥底で長く引きずってきたものが露見していきます。大人になって大きな成功を収めても本質的に彼らは変わっていません。大人になったからと言って決して全てにおいて強くなったわけではない。子供の頃、大人は出来る事が多くて強い存在に思えても、いざ自分が大人になってみると決してそうではない事に気付かされる、そういう感覚はきっと誰しもが経験するものでしょう。その居心地の悪さにも似た生々しい感覚をこの映画はひたすら前面に出してきます。向き合わずに済むならそれに越したことはない。でもそれは許されない。デリーという街に鬱積した負の力が彼らを縛り付けているからです。しかしその苦しさを十分に描き出すからこそ、震え慄きながらもそれに屈しないルーザーズ・クラブの友情が眩いほどに輝くのです。「ジョジョの奇妙な冒険」の名台詞じゃないですが「人間賛歌は勇気の賛歌」、そんな熱さを感じさせてくれる映画です。
無論基本はホラー映画なのでグロテスクかつショッキングなシーンも結構多いです。なのですが、監督バルバラ・ムスキエティの趣味なのか、何故か「遊星からの物体X」などジョン・カーペンター監督作品のオマージュと思しきシーンがちょいちょい出てきてちょっとリアクションに困ります(苦笑)他にも大量に小ネタが仕込んであるので探しながら観るのも一興でしょう。
また、この映画最大のネタというべきか、なんと原作者スティーブン・キング自身がカメオ出演しています。しかもビルの書く小説にダメ出しします。そのダメ出しの仕方がメタ的なネタにも映画の伏線にもなっているので要注目。
描くべき要素が非常に多いせいか、ホラー映画というジャンルにしては極めて珍しい169分という長尺が人によっては欠点と言えるでしょうが、前後編合わせて5時間を超えるこの物語を締めくくる、ラストシーンが残す余韻が実に美しく清々しい。人によっては生涯忘れられない1本になることでしょう。長いなんて言わずにどうぞ劇場でご堪能下さい。
こんばんは、小島@監督です。
しかしパックってドラッグストアでサンプル貰ったりした時に使ってみた事があるくらいでほとんどしたことなかったけど凄いすね。夜風呂で洗顔しようとしたら石鹸が吸い付くようで「うお~何かモチモチする!モチモチするぜ~!」と妙に感激。
さて、今回の映画は「IT/イット THE END”それ”が見えたら、終わり。」です。
2016年、メイン州デリー。カーニバルの夜にゲイ・カップルが若者の集団に暴行を受け一人は橋から川に投げ落とされた。流れに飲まれた男は薄れゆく意識の中で自身に手を差し伸べるピエロ「ペニーワイズ」(ビル・スカルスガルド)を目撃する。その事件を知ったマイク・ハンロン(イザイア・ムスタファ)は現場に駆け付け、そこで赤い風船と橋脚に書かれた「帰って来い」の血文字を発見する。「それ」の再来を確信したマイクは27年前に「それ」と戦った「ルーザーズ・クラブ」のメンバーに連絡を取った。
ホラー作家として、また脚本家としても活躍するビル・デンブロウ(ジェームズ・マカヴォイ)、服飾ブランドを立ち上げ成功したが夫のDVに悩まされるベバリー・マーシュ(ジェシカ・チャスティン)、人気コメディアンとなったリッチー・トージア(ビル・ヘイダー)、少年時代は太めだったがぜい肉を落としたベン・ハンスコム(ジェイ・ライアン)は建築会社を経営、エディ・カスプフラク(ジェームズ・ランソン)はリスク分析家として多数の顧客を抱え、スタンリー・ユリス(アンディ・ビーン)は事業を軌道に乗せていた。マイクからの連絡に皆動揺を隠せないが、それでもデリーへと向かう。遠き日の約束を果たすために。
世界的にヒットした1作目はまさに傑作と呼ぶに相応しい作品でしたが、その続編にして完結編が遂に公開。大人になったルーザーズ・クラブのメンバーたちが再結集してペニーワイズと最後の戦いに挑みます。
原作では現在と過去が並行して描かれていますが、過去編と現在編を作品として分離して少年編のエピソードのみで構成したことである種のノスタルジーをまとわせつつ描いてみせた1作目は単なるホラー映画の枠を超えた珠玉の青春映画として出来上がっていました。
2作目となる今作は大人編を中心にしていますが過去との関連性の中で描かれるエピソードも多いため少年時代のエピソード(演じるのはもちろんジェイデン・マーテルほか前作でルーザーズ・クラブを演じたメンバーである)も多数登場するのが特徴です。そのため構成としては、より原作に近いものになっています。
大人になったルーザーズ・クラブを待ち受けるのは現在進行形の恐怖だけではありません。27年という時の中で捨ててきた、置き去ってきた過去の「傷」、様々な悪意や理不尽がもたらす心に刺さる「とげ」のようなもの。人生には忘れることで前に進めるものも多いのですが、そういったものと再び向き合わねばならない状況に直面します。
デリーを離れたことでルーザーズ・クラブのメンバーたちはずっと街にいたマイク以外デリーの街での「恐怖」を忘れていますが街に戻ってきたことでそれを少しずつ思い出していきます。というより心の奥底で長く引きずってきたものが露見していきます。大人になって大きな成功を収めても本質的に彼らは変わっていません。大人になったからと言って決して全てにおいて強くなったわけではない。子供の頃、大人は出来る事が多くて強い存在に思えても、いざ自分が大人になってみると決してそうではない事に気付かされる、そういう感覚はきっと誰しもが経験するものでしょう。その居心地の悪さにも似た生々しい感覚をこの映画はひたすら前面に出してきます。向き合わずに済むならそれに越したことはない。でもそれは許されない。デリーという街に鬱積した負の力が彼らを縛り付けているからです。しかしその苦しさを十分に描き出すからこそ、震え慄きながらもそれに屈しないルーザーズ・クラブの友情が眩いほどに輝くのです。「ジョジョの奇妙な冒険」の名台詞じゃないですが「人間賛歌は勇気の賛歌」、そんな熱さを感じさせてくれる映画です。
無論基本はホラー映画なのでグロテスクかつショッキングなシーンも結構多いです。なのですが、監督バルバラ・ムスキエティの趣味なのか、何故か「遊星からの物体X」などジョン・カーペンター監督作品のオマージュと思しきシーンがちょいちょい出てきてちょっとリアクションに困ります(苦笑)他にも大量に小ネタが仕込んであるので探しながら観るのも一興でしょう。
また、この映画最大のネタというべきか、なんと原作者スティーブン・キング自身がカメオ出演しています。しかもビルの書く小説にダメ出しします。そのダメ出しの仕方がメタ的なネタにも映画の伏線にもなっているので要注目。
描くべき要素が非常に多いせいか、ホラー映画というジャンルにしては極めて珍しい169分という長尺が人によっては欠点と言えるでしょうが、前後編合わせて5時間を超えるこの物語を締めくくる、ラストシーンが残す余韻が実に美しく清々しい。人によっては生涯忘れられない1本になることでしょう。長いなんて言わずにどうぞ劇場でご堪能下さい。
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