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ちゅうカラぶろぐ


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この週末開催されていたアニサマの初日でサプライズゲストとして「アイドルマスター」の如月千早(今井麻美)が登場して「蒼い鳥」を1曲だけ披露して大喝采を浴びていったことが評判になりました。
 それを聞いて「ああ、千早らしいな」と思ってしまったのはきっと私だけではないのでしょう。「そういうことができる人」だと長い時間かけて観てきましたから。きっとその会場にも立っていたのでしょう、如月千早が。

 こんばんは、小島@監督です。
 しかしおかげで来月のバンナムフェスが尚のこと楽しみになってきました。待ち遠しい…!

 さて、今回の映画は「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」です。

 リュカ(声・佐藤健)は父パパス(声・山田孝之)と共に宿敵ゲマ(声・吉田鋼太郎)に連れ去られた母マーサ(声・賀来千香子)を探す旅を続けていた。
 ある時ラインハットの王子ヘンリー(声・坂口健太郎)がモンスターに拉致され、パパス親子はそれを追跡に向かったが、それはゲマの策略だった。パパスはリュカの眼前で殺され、ヘンリー共々誘拐され奴隷としての日々を送ることになった。
 それから10年、ヘンリーと共に一計を講じ脱出に成功したリュカは父の遺志を継ぎ「天空の剣」を扱える勇者を探す旅に出るのだった。

 1980年代から続く日本を代表するRPGの金字塔「ドラゴンクエスト」、映像化されるのもこれが初めてではなく1989年にTVアニメ化されてもいますが、映画となると「ダイの大冒険」や「ロトの紋章」など世界観を生かした派生作品からの劇場版のみで、これまでのゲームを直接的に原作とした映画化、それもフルCGでのアニメ化はこれが実質初めてといっていいでしょう。実は劇場用作品ではないのですがドラクエは一度実写化もされています(「勇者ヨシヒコ」のことではない)、1988年に製作された「ファンタジア・ビデオ」がそれで、すぎやまこういちの手によるフルオーケストラの音楽をバックにセリフのないサイレントで展開する作品で、製作は後に「新世紀エヴァンゲリオン」を手掛けることになるGAINAX。特撮部分は「陰陽師」の尾上克郎や「シン・ゴジラ」の樋口真嗣が担っていたり、竜王役で庵野秀明が出演したりしています。
 
 さて、話を「ユア・ストーリー」の方に戻しましょう。
 物語の評価が非常に高いドラクエ5をベースにしたこの作品は、親子3世代で展開する長い物語を105分でやろうとしているので多くの「成長」のプロセスをバッサリカットした超ハイペースで展開します。映像としての出来は良く、特に5の主人公はバギ系の魔法が得意というのを生かして特にバギマが(ゲーム中ではそう長く一線級では使えないのだが)大迫力で大活躍してくれます。俳優たちの演技もなかなかでリュカ演じる佐藤健が思いのほか「役者の顔が見えない」ことと、有村架純演じるビアンカが想像以上に可愛いのがポイント高いです。
 一方でこの速い展開に対し、ほぼゲームのままで使われているすぎやまこういちの音楽のリズムが合っていないというのが問題です。ドラクエの音楽は実はかなりゆっくりであり、自分のペースで進められるゲームの方ではそれがマッチしているのですがこういうアレンジを施した映画ではそれが裏目に出てしまっています。そのまま使うのは要所にとどめてもっと大胆にアレンジしても良かったのではと感じます。

 そして各所で賛否両論の展開が待つ終盤。実は私はそこそこ高く買っています。「そのまま映像化したのでは絶対に勝てない」のをよく理解した上でのリスキーな冒険に敢えて踏み切った点に対してです。「ドラクエじゃなくても良かったのでは」という声も聞きましたが、こういうのはメジャータイトルでやるからこそ効果的ともいえます。相当に危うい道であり、またその道に踏み切るための準備が十全であったとも言い切れませんでしたが。
 もう一つ興味深い点は、ここでのリュカとあるキャラクターとのやり取りが言ってみれば「古い」点です。恐らくこれは監督山崎貴のゲームに対するイメージであろうと同時にシナリオを監修した堀井雄二が長く向き合ってきた感覚でしょう。日本のゲーム市場を牽引した人物がもしかしたら今でも「この感覚」と戦っているかもしれないのはどこか切ない感じもします。そして100館規模のメジャー作品でコレを語るならできれば15年前までには通っているべきステップだったようにも思えます。この辺りに「名探偵ピカチュウ」のような作品を生み出せるようになったハリウッドのようなゲームと映画の距離感を作り出せずにいる日本のゲーム市場と映画市場の「遠さ」を感じます。

 賛否はどうあれ、ドラクエのプレイ遍歴も含めて観た者同士で語り合えるという点では決して悪い作品ではないでしょう。公開も終盤に差し掛かり上映回数も少なくなってはいますが、まだの方は一度ご覧になってみるのも一興ですよ。

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