昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
今回は久しぶりに参加した方がいたのでその方とごく親しいメンツで固まって、70~80年代中心の割と古めの歌を歌いまくる流れに。昔のアニソンは短い曲が多いので、部屋全体で67曲とかなりの量になりました。自分としても普段開けない外角低めの引き出しを遠慮なくオープンにして歌うのはなかなか久しぶりだったのでかなり楽しい時間を過ごせました。
こんばんは、小島@監督です。
たまにはこういうのも良い。
さて、今回の映画は「ブリムストーン」です。
開拓時代、アメリカ。
小さな村で助産師として働くリズ(ダコタ・ファニング)は、ある理由から口は聞けないが村では頼られる存在であり、年の離れた夫と二人の子供と共につましくも幸せに暮らしていた。
そんなある日、村に一人の牧師(ガイ・ピアース)が赴任してきたことでリズの暮らしは一変する。牧師は告げる、「私はお前の罪を罰するために来た」と。リズは家族に身の危険が迫っていることを伝えるのだが…
ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に選出され、上映されるやその内容に批評家たちの間でも議論が起きたという刺激的な作品が現在公開中です。
開拓時代のアメリカを舞台とするいわゆる「西部劇」的な設定ではありますが、製作したのはアメリカではなく(アメリカ資本は入っていますが)、撮影も製作もオランダ・フランスを始めとしたヨーロッパ各国の合同体制で製作された異色の映画です。
偏執的で狂信的な牧師の執拗な攻撃に苦しみながらも抗い続けるリズの生き様を描くこの物語は4幕構成で展開し、第1章でリズの幸福をすり潰しにかかる牧師の姿を描いたのち、第2章と第3章では思いもかけぬ切り口で牧師が言うリズの「罪」の根源を語り、終章までをミステリアスかつサスペンスフルに描き出していきます。連続ドラマのように前の章で語られたことが後の章で伏線として活きる巧みな構成で、148分という長尺ながら全くだれることが無いところに今作の脚本と監督を手掛けたマルティン・コールホーヴェンの手腕がうかがえます。
また全編を通して生々しく時に残酷なバイオレンス描写が頻出しますが、暴力シーンを見せたくて入れているのではなくきちんと物語の中で意味のあるものとして入れこんでいる辺りもさすがです。
全体を通して描かれていくのは開拓時代の徹底した女性への抑圧。妻は夫とのセックスを拒むことを許されず、娼館に生きる女たちは男たちにどんな責め苦を味わわされてもそれを拒否する権利を与えられず、反抗して声を上げようとするのならそれこそ命を懸けなければならない。法律も信仰心も男性優位で女性を護りはしない。そんな身も心も焼き尽くされるような中でまさに命懸けでその宿命に抗い続ける一人の女性を描くこの映画は、長い準備期間を経て完成した作品であるにもかかわらず期せずして昨今Twitterを始めとしたSNSで旋風を巻き起こす「#MeToo」のムーブメントを思い起こさせます。宗教的な色彩も強いこの映画はフェミニズム論だけでなく社会学的な観点で見ても興味深い物語に映るのではと思います。
このパワフルな物語を演じる俳優の演技にも注目です。己の信仰心と支配欲に囚われリズに歪な感情をぶつけ続けその全てを破壊しようとする最狂最悪のストーカー牧師を演じるガイ・ピアース、どれほど汚辱にまみれようと凛とした眼差しを失くさず苛烈な運命と戦うリズを演じるダコタ・ファニングと、そしてその少女時代を念じるエミリア・ジョーンズ、全て忘れがたい名演技ばかりで、映画の印象をより重厚なものにしてくれます。それとにわかに信じ難いのですが「言葉を失くした2児の母」なんて難役を演じたダコタ・ファニング、まだ23歳!幼い頃から第一線で活躍してきた名優とは言えその歳でここまで成熟できるものなのかとビビります。チートが過ぎる。
観る者にうねるようなエネルギーを叩き付ける、非常に凄みのある映画です。と同時にとてもしんどい映画でもあります(苦笑)。
新年早々こんな重苦しいのは観たくないわー!という方も多い事でしょう、強くお薦めしたりは致しません。派手な大作よりもズシンと来る重みのある作品が観たい、という方のみ劇場へ足を運んでみてください。
今回は久しぶりに参加した方がいたのでその方とごく親しいメンツで固まって、70~80年代中心の割と古めの歌を歌いまくる流れに。昔のアニソンは短い曲が多いので、部屋全体で67曲とかなりの量になりました。自分としても普段開けない外角低めの引き出しを遠慮なくオープンにして歌うのはなかなか久しぶりだったのでかなり楽しい時間を過ごせました。
こんばんは、小島@監督です。
たまにはこういうのも良い。
さて、今回の映画は「ブリムストーン」です。
開拓時代、アメリカ。
小さな村で助産師として働くリズ(ダコタ・ファニング)は、ある理由から口は聞けないが村では頼られる存在であり、年の離れた夫と二人の子供と共につましくも幸せに暮らしていた。
そんなある日、村に一人の牧師(ガイ・ピアース)が赴任してきたことでリズの暮らしは一変する。牧師は告げる、「私はお前の罪を罰するために来た」と。リズは家族に身の危険が迫っていることを伝えるのだが…
ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に選出され、上映されるやその内容に批評家たちの間でも議論が起きたという刺激的な作品が現在公開中です。
開拓時代のアメリカを舞台とするいわゆる「西部劇」的な設定ではありますが、製作したのはアメリカではなく(アメリカ資本は入っていますが)、撮影も製作もオランダ・フランスを始めとしたヨーロッパ各国の合同体制で製作された異色の映画です。
偏執的で狂信的な牧師の執拗な攻撃に苦しみながらも抗い続けるリズの生き様を描くこの物語は4幕構成で展開し、第1章でリズの幸福をすり潰しにかかる牧師の姿を描いたのち、第2章と第3章では思いもかけぬ切り口で牧師が言うリズの「罪」の根源を語り、終章までをミステリアスかつサスペンスフルに描き出していきます。連続ドラマのように前の章で語られたことが後の章で伏線として活きる巧みな構成で、148分という長尺ながら全くだれることが無いところに今作の脚本と監督を手掛けたマルティン・コールホーヴェンの手腕がうかがえます。
また全編を通して生々しく時に残酷なバイオレンス描写が頻出しますが、暴力シーンを見せたくて入れているのではなくきちんと物語の中で意味のあるものとして入れこんでいる辺りもさすがです。
全体を通して描かれていくのは開拓時代の徹底した女性への抑圧。妻は夫とのセックスを拒むことを許されず、娼館に生きる女たちは男たちにどんな責め苦を味わわされてもそれを拒否する権利を与えられず、反抗して声を上げようとするのならそれこそ命を懸けなければならない。法律も信仰心も男性優位で女性を護りはしない。そんな身も心も焼き尽くされるような中でまさに命懸けでその宿命に抗い続ける一人の女性を描くこの映画は、長い準備期間を経て完成した作品であるにもかかわらず期せずして昨今Twitterを始めとしたSNSで旋風を巻き起こす「#MeToo」のムーブメントを思い起こさせます。宗教的な色彩も強いこの映画はフェミニズム論だけでなく社会学的な観点で見ても興味深い物語に映るのではと思います。
このパワフルな物語を演じる俳優の演技にも注目です。己の信仰心と支配欲に囚われリズに歪な感情をぶつけ続けその全てを破壊しようとする最狂最悪のストーカー牧師を演じるガイ・ピアース、どれほど汚辱にまみれようと凛とした眼差しを失くさず苛烈な運命と戦うリズを演じるダコタ・ファニングと、そしてその少女時代を念じるエミリア・ジョーンズ、全て忘れがたい名演技ばかりで、映画の印象をより重厚なものにしてくれます。それとにわかに信じ難いのですが「言葉を失くした2児の母」なんて難役を演じたダコタ・ファニング、まだ23歳!幼い頃から第一線で活躍してきた名優とは言えその歳でここまで成熟できるものなのかとビビります。チートが過ぎる。
観る者にうねるようなエネルギーを叩き付ける、非常に凄みのある映画です。と同時にとてもしんどい映画でもあります(苦笑)。
新年早々こんな重苦しいのは観たくないわー!という方も多い事でしょう、強くお薦めしたりは致しません。派手な大作よりもズシンと来る重みのある作品が観たい、という方のみ劇場へ足を運んでみてください。
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