ちゅうカラぶろぐ


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新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
 正月三が日からベネズエラでとんでもないことが起きててビビります。ロシアのウクライナ侵攻、パレスチナ情勢に加えて台湾でも火がつきそうになってて嫌でも世界情勢から目の離せない年になりそう。

 こんばんは、小島@監督です。
 ノー天気に映画を楽しめる日常が失われないことを切に祈ります。

 さて、今回の映画は「手に魂を込め、歩いてみれば」です。

 イスラエルによるガザ攻撃が続いていた2024年、イラン出身の映画監督セピデ・ファルシは急ぎ現地へ取材を行い人々の声を聞き取り伝える必要性を感じていた。しかし、封鎖されたガザへ入る術が無い。そこで知人を通して知り合ったガザ在住のフォトジャーナリスト・ファトマ・ハッスーナとコンタクトを取り、彼女とのビデオ通話を中心とした映画の製作を決意する。

 「もし死ぬなら、響き渡る死を」とその人は言った。いよいよジェノサイドの色が濃くなって来たガザ情勢。電気や水のインフラも途絶えがち、食糧も滞り気味、更にイスラエルは「国境なき医師団」のガザ入りをも制限しようとしています。国際情勢の発火点の一つとしてジャーナリストたちの関心も高く、連日ニュースで報じられているだけでなく以前このブログでも紹介した「ネタニヤフ調書」「ノー・アザー・ランド」と言った作品が世に問われています。また、現在の侵攻が始まる前に製作されて当時のガザの様子を捉えた「ガザ・サーフ・クラブ」(2016年)「ガザ 素顔の日常」(2019年)と言った作品もここ数年で相次いで公開され、それらを通して現在の状況に思いを馳せることもできます。
 そんな中で、また一つ力強く尊い作品が生まれました。

 映画のほとんどはセピデ監督とファトマとのビデオ通話を別のスマホで撮影した映像で構成されており、しかも映像も音声も途切れがち。正直言って少なからず見辛い箇所が散見されます。しかし少ない選択肢の中で敢えてこの手法を選び映画にしたセピデ監督の選択は、開幕から程なくして結実していることに観客は気づきます。

 会話の向こうにヘリやドローンのローター音や爆発音が聞こえ、明日をも知れない状況下にありながらファトマは笑顔を絶やさず、故郷を愛し、カメラを手に街を歩き詩も詠む。聡明で多才で現況に諦め切ってはいない。言葉の端々に見えるのはファトマが持つ強さと笑顔を失わない明るさ。蹂躙されゆく街を射し照らす一条の光のよう。なかなか繋がらない通話にハラハラし、接続できたことにホッとする。しかし状況はじわじわと悪くなって行く、そんな表現し難い胸苦しさが全編を貫きます。
 通話の合間に差し挟まれる写真もフォトジャーナリストであるファトマが撮影したもので、破壊されゆくガザ地区を詩情に満ちた写真で切り取っています。

 映画が進むにつれ、度重なる空爆でファトマの友人や家族が命を落とし、ファトマ自身も鬱のような症状を訴えその笑顔にも翳りが見え始めます。それでも絶望の中で僅かな光を見出そうとするファトマを誰が笑うことができましょう。
 しかし現実は残酷で、昨年4月ファトマは家族と共に空爆で死亡したことがワールドニュースでも報じられました。何の因果かセピデ監督はファトマが命を落とす前日に通話しており映画の最後はその映像で締め括られています。その会話の内容と突き付けられた現実との落差にただ呆然と立ち尽くすかのような感覚を味わいました。

 これは、何名と無機質な数字で語られる死者一人一人に人生があったことを教えてくれると同時に、人が持つ美しさと祈りと怒りに満ちたパワフルな映画です。いや、「映画鑑賞」という言葉をどこかで超えた映像体験をもたらす作品でもあります。
 願わくば、この映画が多くの方の目に止まりますように。それこそがファトマの願いでもあるだろうから。

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昨日の有馬記念、レースを牽引したのは11番人気コスモキュランダ。結果的には2着でしたが「有馬記念に脇役はいない」というのを思い知らされました。

 こんばんは、小島@監督です。
 ええ、買った馬券は見事に惨敗でございます(苦笑)

 さて、今年最後の更新となる今回は恒例の「今年の5本」をお送りします。

⒈ 国宝
 今年1本選ぶとしたらやはりコレ。「今年を代表する映画になる」と書いたら本当になってしまいました。実写邦画の興収記録を塗り替えるまで行っちゃうとは思いませんでしたが。6月封切り作品なのに何とまだ上映が続いています。

⒉ トワイライト・ウォリアーズ/決戦!九龍城砦
 古き良き香港映画の熱さを今に蘇らせてくれる一本。クンフーに魂を震わせろ!硬直!!みんな大好きサモ・ハンも出ているぞ!Blu-ray/DVD発売中、またAmazonプライム・ビデオでの配信も始まりました。皆、年末年始にキメようぜ!

⒊ 教皇選挙
 教皇選挙の舞台裏で行われる暗闘とミステリー。荘厳な絵画のようなビジュアルと重厚な物語で観客を引き込みます。何の巡り合わせか公開中に本当にコンクラーベが始まったこともニュースになりました。Blu-ray/DVD発売中。各種プラットフォームにて配信中。

⒋ Flow
 世界が洪水に飲まれて行く中、一匹の猫の旅が始まる。セリフ無きアニメーションが魅せる豊かなイマジネーション。良く目にする日本アニメとは大きく文法が異なりますが、だからこその面白さがあります。Amazonプライム・ビデオにて配信中。

⒌ ビーキーパー
 今年は年明け一発目から豪速球が飛んで来ました。ステイサムが!最短最速でリベンジする!というお定まりの内容なのに異様に高いテンションで滅茶苦茶面白い。難しいものは要らない。こういうものが欲しくなる時の選択肢が増えました。Blu-ray/DVD発売中。Amazonプライム・ビデオにて配信中。

 今年5本選ぶならこんな感じ。何と全てが上半期公開作品。決して下半期が物足りないわけではなかったのですが、前半があまりに良すぎました。
 ここからはそれ以外で印象に残った作品をご紹介。こちらでも現在の視聴可能状況も記載しておきます。参考になれば幸いです。

・劇映画孤独のグルメ
 テレ東の名作ドラマがまさかの映画化。松重豊が主演だけでなく脚本と監督までこなしました。ドラマのフォーマットは維持しつつも普段とは違うテイストで楽しませてくれます。そしてやっぱりお腹が空きます(笑)。Blu-ray/DVD発売中。各種プラットフォームにて配信中。
・ミッシング・チャイルド・ビデオテープ
 母から送られてきたビデオテープには失踪した弟が映っていた。ジャンプスケアも使わなければVFXも最小限という作りで、日本的な質感たっぷり味わえるホラーです。各種プラットフォームにて配信中。
・愛を耕すひと
 北欧の至宝マッツ・ミケルセンが母国デンマーク開拓史の英雄を演じた歴史ドラマ。できたそばからクラシックな風格漂う重厚な逸品。ラストシーンが清々しい余韻を残します。各種プラットフォームにて配信中。Blu-ray/DVDは今月ようやくリリースされました。
・ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-
 声優たちがラップバトルするメディアミックスプロジェクト「ヒプノシスマイク」のアニメ映画。観客の投票によって上映中に展開が変わるという他に類を見ないインタラクティブ性が新たなエンターテインメントの形を提示してくれました。2月公開作品なのに現在も断続的に上映が行われています。ただ、特殊な上映形態故かソフト化などはまだアナウンスされていません。
・ノー・アザー・ランド/故郷は他にない
・ネタニヤフ調書/汚職と戦争
 深刻な人道的危機に陥っているパレスチナ。世界的な注目度も高く様々なアプローチで数多くのドキュメンタリー映画が製作されました。立場や国籍を超えて手を取り合う2人のジャーナリストが作り上げた「ノー・アザー・ランド」、取調べのリーク映像を叩き台にネタニヤフを挑戦的に告発する「ネタニヤフ調書」、いずれも現状を変えたい切実な願いを感じる作品です。現在もジャーナリストや市井の人々がカメラやスマートフォンを手に現状を訴え続けています。1日も早い終結を祈って止みません。
 「ノー・アザー・ランド」はBlu-ray/DVD発売中、各種プラットフォームにて配信中。
 「ネタニヤフ調書」はミニシアターを中心に各地の映画館にて巡回上映中。
・名探偵コナン隻眼の残像
 今年のコナンは長野県を舞台に復讐と贖罪の物語が描かれます。普段はコミックリリーフな毛利小五郎が終始シリアスモードで映画を牽引し、大人たちの活躍が目立つ骨太な作品に仕上がっていました。Blu-ray/DVD発売中。
・罪人たち
 1932年アメリカ南部を舞台に人々とヴァンパイアの一夜の死闘が開幕します。ホラーを下敷きにしながらアメリカでの移民の歴史をブルースとケルティックミュージックの激突と共に描く異色作。Blu-ray/DVD発売中。各種プラットフォーム配信中。
・ミッションインポッシブル・ファイナルレコニング
 トム・クルーズがエージェント・イーサン・ハントを演じる人気シリーズの最新作は第1作からの30年間を網羅したまさに集大成。俳優が自らの肉体のみで限界に挑戦するアクションとスタントの迫力から見える矜持。トム・クルーズはやっぱり最後のムービースターです。Blu-ray/DVD発売中。各種プラットフォームにて配信中。
・スーパーマン
 何度目かのリブートとなるスーパーマン。ジェームズ・ガン監督の手腕が冴え渡り、新たなヒーローの誕生を高らかに歌い上げます。Blu-ray/DVD発売中。各種プラットフォームにて配信中。
・鬼滅の刃 無限城編第一章猗窩座再来
 劇場版三部作として最終章の幕が上がった鬼滅の刃。童磨、獪岳、そして猗窩座との死闘が濃密なドラマと共に描かれます。7月封切り作品ですが現在も上映中。第二章も待ち遠しい。
・宝島
 アメリカにも日本にも翻弄され続けてきた激動の戦後沖縄史を描く激情のドラマ。興業成績だけ見れば「国宝」に大きく水を空けられてしまいましたが、作品の質そのものは引けを取りません。沖縄を中心にロングラン上映が続いています。
・ファイナル・デッドブラッド
 15年ぶりに帰って来た「ファイナルデスティネーション」シリーズ最新作。日常の何気ない一コマを不穏に映す手腕が冴え、バリエーション豊富な死のピタゴラスイッチと、シリーズ全作を包括するストーリーと共に観客を惹きつけます。Blu-ray/DVD発売中。各種プラットフォームにて配信中。
・爆弾
 酔って警察に捕まった男は爆破を予告した。映画の半分は取調室の中で展開する、静と動のメリハリが効いたサスペンス。佐藤二郎、山田裕貴、染谷将太ら主演陣による火花散る珠玉の演技バトルが必見です。現在公開中。
・羅小黒戦記2ぼくらが選ぶ未来
 インディーズから出発し今や中国を代表するアニメとなった「羅小黒戦記」の最新作は手描きアニメの楽しさを更に進化させた映像に深化した物語が乗って非常に質の高い作品に仕上がっています。日本アニメの遺伝子が世界でも羽ばたいていることを実感できる一本。現在公開中。
・WEAPONS/ウェポンズ
 ひとクラス全員の子どもたちが消えた、異様な状況から邪悪に翻弄される人々を描きます。スティーブン・キングやディーン・クーンツを彷彿とさせるモダンホラーの快作。現在公開中。

 こんなところでしょうか。また今年はようやく「東京裁判」(1983)「七人の侍」(1954)のスクリーン鑑賞が叶ったり、「もののけ姫」「新世紀エヴァンゲリオンAir/まごころを、君に」(共に1997)と再会できたのも嬉しかったですね。
 来年はどんな映画に出会えるのでしょうか。それでは皆さん、良いお年を!

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昨日放送された「M-1グランプリ」、ご覧になった方も多いでしょう。優勝したたくろうも見事でしたが、私的にストライクだったのはドンデコルテ。報われずにいる中年の機微と不平不満をすくい上げ的確に言語化して笑いに昇華させる凄みに痺れました。選んでいた言葉からして恐らく社会学にも造詣がある上に異様なほど巧みな話術。長年埋もれたこんな才能がフッと輝き出す瞬間を見られるのが「M-1」の面白さですね。

 こんばんは、小島@監督です。
 ドンデコルテ、しばらく注目していよう。

 さて、今回の映画は「WEAPONS/ウェポンズ」です。

 その夜、午前2時17分。メイブルック小学校のジャスティン・ギャンディ(ジュリア・ガーナー)が担任を受け持つクラスの生徒たちが1人を残して同時にベッドから起き上がり闇夜へ駆け出してそのまま失踪した。警察はジャスティンと唯一残った生徒アレックス・リリーを聴取するが手掛かりは得られず1ヶ月が経過した。生徒は戻らず事件の犯人と疑われ休職を余儀無くされたジャスティンは、アレックスと接触を試みるが。
 一方で息子が失踪したアーチャー・グラフ(ジョシュ・ブローリン)も遅々として進まない捜査に業を煮やし自身でも調査を開始。すると監視カメラの映像からある異様な状況に気付くのだが。

 ホラー小説の大家スティーブン・キング、あるいはスティーブン・スピルバーグ監督の映画では郊外を舞台にした作品が度々登場します。1970年代に州間高速道路(インターステイト・ハイウェイ)が整備され、過密化した都市部からいわゆる中流層が離れて新興住宅街が全米各地に造成され、都市へのアクセスも容易なそれらの街は通勤のベッドタウンとしての機能も果たしつつそれぞれが「アメリカ」の縮図となりました。キングやスピルバーグはそう言った「郊外」が持つ舞台の可能性にいち早く着眼し一時代を築いたと言って良いでしょう。それから半世紀近くを経て物語の舞台として定着した「郊外」は、近年でも「ゴーストバスターズ/アフターライフ」などの秀作が登場しています。今作「WEAPONS/ウェポンズ」も間違い無くその系譜に名を連ねるモダンホラーの逸品です。

 「これはある街で起きた、本当の話」という少女の声の語り出しで映画は始まります。郊外の小学校の生徒が1クラスぶんまるごと失踪し、大人たちは慌てふためき、警察の捜査も難航、自分たちでは解決できぬまま多くの者が亡くなったという。もうこのイントロだけで掴みはバッチリ、この手のジャンル映画にしては長い128分という上映時間も何のその、謎多き前半から怒涛の後半まで観客を強力に牽引します。

 映画は少々特殊な構造をしており、キャラクターの名を冠した6つの章で構成されています。各章はジャスティンやアーチャーなど章題となった人物の視点で展開、いわゆる「羅生門」的構造です。それぞれのエピソードは時系列では部分的に重なっており、章が進むにつれて全体像が見えていきます。観客は1章2章ではそもそもの行方すら掴ませない展開に、後半全貌が見えた後も「コレどうやって落とすの!?」という状況に翻弄されます。その翻弄のされ方がとても楽しい、というのがこの映画の面白さです。最後の一発逆転ぶりはもう「ジョジョの奇妙な冒険」でも読んでいるかのよう。提示されている粗筋と全く結び付かない「WEAPONS/ウェポンズ」というタイトルも、最後まで観ればなるほどというほかありません。
 フイっとこういうのが登場して来るから映画を観るのはやめられません。

 この作品も当初配信スルーになる予定だったと聞きます。本国での好評を受けて劇場公開へと舵を切った今作はワーナー・ブラザース・ジャパンの最後の洋画配給作品となりました。最後に挙げるにはクセの強い花火ですが、それもまたらしいというところでしょうか。
 公開ももう終盤に差し掛かっていますが、ブッ飛んだユニークな映画が欲しい方は是非どうぞ。

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いや〜近鉄特急「ひのとり」、想像以上に快適ですね!新幹線より安いし!
 大阪行く機会があればまた使おう。

 こんばんは、小島@監督です。
 なお行きは先に病院へ寄ったら思いのほか待ち時間が長くて予約した新幹線に間に合わなかった模様。

 さて、そんなわけでこの土日京セラドーム大阪まで「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD 2025 」を観に行って来ました。「アイドルマスター」シリーズ20周年を記念し、「765プロオールスターズ」「シンデレラガールズ」「ミリオンライブ」「SideM」「シャイニーカラーズ」「学園アイドルマスター」の6ブランドに加えてvtuberプロジェクト「vα-liv(ヴイアライヴ)」もゲスト枠で登場、Day1とDay2で出演者は総入れ替えし、2日間の総出演者数は118人にも上るという破格の規模でのライブイベントです。こんなお祭りはそれはもう観に行くしかない。

 そんなDay1、私なんとチケットの席番がアリーナ席最前列。
ドームライブでアリーナ最前列。そんなチケット引ける日が人生にあるとは。しかもDay1は自担の水瀬伊織役釘宮理恵さんと北条加蓮役渕上舞さんが両方出演。最早ただの本気では足りない。出ましたよ、過去イチの声が。自分はまだこんな声出せるんだ。
 開幕全員登場したところで自分の席位置がちょうど箱崎星梨花役麻倉ももさんの立ち位置の真正面で「もちょカワイイ…」と思いながらオープニングMC観てたり、最後の曲「アイNEED YOU」で三峰結華役希水しおさんがもうニコニコしながらウッキウキで踊ってるのが可愛らしくてその動きを真似してたら指差しながら満面の笑みで返してくれて何かちょっとファンになりそうだったり、何より荷物になるから持って行くのを最後まで迷いながら結局持って行った伊織ジャンボうちわに釘宮理恵さんがリアクションくれたのが最高に嬉しかった。
 けれどDay1は夢心地過ぎてところどころのポイントでしか覚えていることが無くてあの曲のどこがどうとか何も言えません(笑)

 さすがにDay2はスタンド席。心穏やかに観ていられました(笑)。
 両日ともセットリストの大半で他ブランドの誰かが混じってくる、ものの表現で「越境する」と言い回したりする歌唱メンバー構成でゴージャスなお祭り感を演出しています。そのメンバーも何かしら作品の文脈をベースに人選しているのでそれが分かるとなお楽しいのがミソ。中でも技アリはSideMの元教師トリオ「S.E.M」の楽曲「From teacher to future!」に2番から「学園アイドルマスター」のメンバーが入ってくる演出が胸熱。教師から生徒へ、またアイドルとしての先輩から後輩へのエールとして歌詞の持つ力を最大限に活かすステージでした。

 欲を言えば多くの曲数を聴かせたい意図は充分に分かるしお祭りとしては確かに面白いもののメドレーパートがせっかくならフルコーラスで聴きたかったものが多かったことと、特にDay2は歌唱力の高いメンバーが多かったので何曲かバラードも聴いてみたかったこと、後はブロック毎のMCが非常に短く約4時間中あまり休憩と呼べる時間が少なかったのが難点というところでしょうか。

 Day1では最後に天海春香役中村繪里子さんが花海咲季役長月あおいさんに演出用の銀テープを首に巻いて共に踊る場面があったり、Day2の最後には如月千早役今井麻美さんが「学マス」の花海佑芽役松田彩音さんを呼び止め挨拶とハグする一幕も。「それぞれの時間、それぞれの歩幅でアイマスに関わってくれたらそれが嬉しい」と客席だけでなくキャストに向けても伝える今井麻美さんの姿に救われる気分でいた人も多かったのでは無いでしょうか。きっとこうやって繋がって行くのでしょう。20年は終わりではなく通過点。自分としても否応無く段々とこれまでのような密度の濃い付き合い方はできなくなって行くのでしょうが、ふと見た時に、まだそこで輝いていてくれたら嬉しいですね。


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約10年間楽しませてもらって来た「僕のヒーローアカデミア」がいよいよ今週で最終回。これまでの積み重ねの全てが収束して行った最終決戦の昂揚とは打って変わって、1人1人の痛みと後悔、そして踏み出す一歩をじっくりと描くエピローグはまさに万感の極み。最後に緑谷出久たちはどこへたどり着くのか、放送が待ち遠しいような、彼らとの別れを迎えたくないようなそんな複雑な気分です。

 こんばんは、小島@監督です。
 最終回放送に合わせてFINAL SEASON全話を一挙上映するイベントも。先約が無ければ行きたかった…ッ!

 さて、今回の映画は「果てしなきスカーレット」です。

 16世紀デンマーク、王弟クローディアス(声・役所広司)と王妃ガートルード(声・斉藤由貴)の謀略により国王アムレット(声・市村正親)は処刑された。父の復讐を誓った王女スカーレット(声・芦田愛菜)だったが、果たすことなくクローディアスにより毒を盛られ気付いたときには「死者の国」にいた。現世で死んだ者が堕とされる場所だという死者の国だが、何故かクローディアスもまたこの世界にいることを知り、改めて復讐を果たすことを誓った。
 そんな中、スカーレットは現代の日本から死者の国にやって来た看護師・聖(声・岡田将生)と出会う。成り行きで共に死者の国を旅することになった2人。この出会いはスカーレットの復讐に何をもたらすのか。

 「時をかける少女」「竜とそばかすの姫」などで現代日本アニメーションのトップクリエイターの1人である細田守監督、大きな規模で公開されるのが常の監督なので万人向けの映画を作れる方のように思えますがその実かなり思想が強い方です。「バケモノの子」(2015年)以降原作・脚本も一手に手掛けているのもフィルムメーカーとしての我の強さ故でしょう。そんな細田守監督、今は古典に興味があるのでしょうか、「竜とそばかすの姫」では「美女と野獣」が大きくフィーチャーされていましたが、今作ではシェイクスピアの「ハムレット」をベースにダンテの「神曲」の要素などを織り交ぜたダークファンタジーを作り上げて来ました。

 蓋を開けたらあまりの不入りに驚きましたが、では愚にもつかない程の駄作かと言えばそんなことはありません。生者の世界と死者の世界を手描きの2Dとセルルックの3DCGとで描き分けたビジュアルはその色彩感覚、カット単位の情報量の多さも相まって迫力充分です。エフェクトを多用して迫力を醸成する昨今の主流とは一線を画し、映像の面白さで言ったら間違いなく今年トップクラスでしょう。

 問題とされるシナリオですが、破綻していると言われてもいますが実は意外とロジカル。言っては何ですが「ハウルの動く城」以降の宮崎駿監督作品の方がよほど破綻しています。
 恐らくはハムレットとオフィーリアの要素を両方入れ込ませたであろうスカーレットは変に人物像がブレたキャラクターとして描かれていますが、少女期に父を謀殺され復讐を誓った時にある意味で成長が止まっており、肉体的な成熟とは裏腹に精神面では未成熟という歪つさを宿していると言えば理解できます。
 映像の力が強い割にはセリフで語っている比率が高いのはシェイクスピアを意識しているからでしょうか。シェイクスピア劇というのはまずセリフやダイアログを意識して組み上げるものと聞きます。ただそれ故に例えば「鬼滅の刃」のような多弁さとは別種の、アニメにしては珍しい過剰さが付いて回るのでその辺が気になる人には気になってしまうでしょう。
 何より、出演者の皆さんとても良い演技をしてくれているものの、芦田愛菜、岡田将生を筆頭に役所広司、市村正親、斉藤由貴、吉田鋼太郎、松重豊、染谷将太らというそうそうたるメンバーでシェイクスピア劇の翻案をやるならそれはもう舞台で観たくないかい?という欲求を越えるイメージを提供し切れていないのが一番の問題のように思えます。

 400館規模で公開されるにしては「商品」としての性格より作家の我が前面に出た「作品」としての個性が強すぎるためストライクゾーンが異様に狭く、正直ちょっと薦めづらいのも確かです(苦笑)。しかし否定が強めの賛否両論になるのは頷けますが、初動からつまずいたのにはやはり驚きを隠せません。TV局主導やタイアップ攻勢を含めた宣伝戦略の在り方など映画興行も時代が変わりつつあるのかもしれませんね。それでも配信で流れるようになったり地上波放送が繰り返されたりする内に評価がちょっとずつ変わっていくような、そんな予感もあるような無いような。ただ今更来場者特典付けるのはさすがに遅いとしか(苦笑)

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先日解禁日を迎えたボジョレー・ヌーヴォー、「11月第3木曜日」が世界共通の解禁日で日本では時差の関係で本国フランスより早めに飲むことができます、というのが売り文句の一つだったりするのですが、実はこの11月第3木曜日解禁が制定されたのが1985年。今年はちょうど40周年の節目に当たります。そんな今年、ボジョレー地域は夏場に気温高めで乾燥した日が続いたようでブドウの出来が良く、「思ったよりも美味しいぞ」というのが正直な印象。軽やかなのは当然ながら結構余韻が長く芯のある味わいしてました。

 こんばんは、小島@監督です。
 ショップでセール対象になる今月中旬あたりから空輸のストレスも消えて味が落ち着いて来るので飲み頃ですよフフフ。

 さて、今回の映画は「ネタニヤフ調書 汚職と戦争」です。

 終わりの見えないガザ・イスラエル紛争。そのキーマンたる首相ベンヤミン・ネタニヤフは汚職疑惑で在任中に刑事起訴され現在に至るも係争中の人物でもある。汚職捜査での当人や関係者への警察尋問の映像が何者かの手によりリークされた。その映像を元にジャーナリストのチームは取材を開始。権力に固執するネタニヤフの実像に切り込んでいく。

 長期にわたる権力の座は、かくも人を堕落させるものなのか。
 ただの露悪趣味に堕することも少なくないジャーナリズム、しかしそれでも本質は勇気にあるのではないか、そう思わせてくれるほど矜持と怒りに満ちた告発のドキュメンタリーです。イスラエルとアメリカのチームによる合作ですが、イスラエルでは圧力により上映禁止、親イスラエルの立場を取る現トランプ政権下のアメリカでも公開の目処が立っていないという作品です。極めて危険なそんな作品を観ることができるのは、地政学的にも文化的にもそこまでイスラエルにおもねる必要の無い日本だから、というのもあるでしょうか。

 取調室の生々しいやり取りが見せるのは権力に固執し、収監に怯え、浮気がバレたことで妻に弱みを握られその増長を止められない、醜悪と言っても良い男の姿。類稀な記憶力を誇りながら平気で「知らない」と嘘をつき続ける太々しさ。ニュース映像で見ることのできる姿とは明らかに違うネタニヤフの姿を捉えます。利益供与した相手のために税法改正まで目論んだ(しかも実現した)という話だけでもまあまあヤバいのですが、後半になるといよいよ汚職の話だけでは済まなくなって来ます。

 権力の座から下ろされたくないネタニヤフはある時期からたがが外れていったとジャーナリストたちは分析しています。そのために極右勢力と手を組み、彼らの増長を許してしまいました。またカタールを経由してハマスに資金供与していたこともあぶり出し、現在に至るジェノサイドの道行を丹念に示してくれます。数万人を犠牲にしてなお止まらない虐殺の根源のおぞましさにただただ戦慄します。それでも国家元首を相手に果敢な捜査を行う警官、取調映像をリークした誰か、自身にも身の危険があろう中で映画を製作するジャーナリストたち、さすがに我慢の限界に達して声を上げる市民たち、そんな彼らの姿に微かな希望を見い出すのみです。

 リーク映像の持つ強さを最大限に活かしたかったのでしょうが、それが却って映画の語り口をくどくさせてしまっていて前半ちょっぴり眠気に襲われたりもしましたが(苦笑)、権力に溺れた者が欲望で国を破壊していく様に震え、しかしそれを克明に描き出した勇気に奮える作品です。これは決して対岸の火事ではない。

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この連休中は胃腸を悪くしてしまいどこにも出かけられず家でぐったりしてました。だいぶ復調してきたもののまだ本調子とまでは行かず、明日からの出勤もちょっぴり心配。唯一のメリットはここ数日で体重が4kg落ちて血圧も上が130台だったのが110台まで下がって数字だけ見たらむしろ健康体に近づきつつあるところですね(笑)。余分な水分と塩分が体から一気に抜け落ちたようです。

 こんばんは、小島@監督です。
 快癒した後もこれを維持できるかどうかが問題。

 さて、今回の映画は「爆弾」です。

 警視庁野方署に酔っ払って暴れた1人の男が連行されて来た。スズキタゴサク(佐藤二郎)と名乗った男は、しかし自身の記憶も身分を証明できるものも持っていないという。スズキは取り調べを担当した等々力(染谷将太)に、自分は霊感があるので事件解決のための協力をさせて欲しいと申し出、「10時に秋葉原で何か起きる」と告げた。
 果たして本当に秋葉原で爆発事件が発生する。スズキは更なる爆弾の存在を示唆。この異常事態に野方署には特別捜査本部が設置され、本庁から取調官として清宮(渡部篤郎)と類家(山田裕貴)が派遣され、スズキと対峙することになるのだが。

 名優たちによる火花散る演技対決。劇映画や舞台劇を観るまさに醍醐味と言えるものでしょう。それを存分に味わえる珠玉のサスペンス映画です。監督は「帝一の國」「恋は雨上がりのように」などを手掛けた永井聡。CM製作でも定評のある同氏のキャリアベストと言って良い出来映えに仕上がっています。

 何と言っても高い知能を持ちながら奇妙に無邪気で全体像を容易に掴ませないスズキタゴサクを演じる佐藤二郎が圧巻です。いやもうマジで何であんな死んだ魚みたいな目したまま無邪気に喋れるんだ。特徴的な10円ハゲもかつらではなく地毛をその形に剃ったとか。対する染谷将太、渡部篤郎、山田裕貴もそれに呼応するように力強い演技で映画を牽引、更に言えば現場を駆けずり回っているので直接的にはほとんどスズキと関わらない役どころを演じる伊藤沙莉や坂東龍太まで良い演技しています。
 ストーリーテリングも実に巧みで、取調室の中という密室劇に近いパートが大半を占める構成ながら、微かな情報をもとに現場を駆け回る(ついでに言うと染谷将太も途中から外へ出るようになる)動的なパートを随所に入れ込ませて緩急を付けつつ、取調室でのパートも取調官の心情に合わせてカメラアングルや手ブレ、照明の強度などを繊細に微調整して撮影されており先の読ませないシナリオと共に高い緊迫感を維持し、観客を引き込みます。

 また今作、ちょっと思い切りが良いと言いますか、このジャンルとこの規模の作品でほぼ社会的テーマ性ゼロのエンタメに振り切った作りになっているのもポイント高いです。娯楽に社会性など無い方が良いなんてもちろん言いませんが、変にそういう方面への色気を見せてしまうと却って興醒めになってしまうことも少なくない中では見事です。
 正直なところ、中盤までの引きの強さから考えると動機や発端のあたりが弱いかなという気もしますが、登場人物に感情移入しにくいタイプの作品なのでこれはこれで良いのでしょう。娯楽映画としての完成度は極めて高いです。

 公開から間も無く1ヶ月を経ようとしていますが、まだかなりの集客力を維持しているようでこの連休には満席となった映画館もあるとか。今年は特に日本映画が快進撃を続けていますが、そこに新たにもう一本加わったようですね。

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