こんばんは、小島@監督です。
年度末でまあまあ忙しく、今回は前置き無しで本題に入ります。
とまあ年度末進行の只中に強引にスケジュールを組み込み、この週末にさいたまスーパーアリーナで開催された「THE IDOLM@STER 765 MILLIONSTARS HOTCHPOTCH FESTIV@L!! 2 」を観に行って来ました。とは言えさすがに両日参加はできずday1のみの鑑賞ですが。
「ハッチポッチフェスティバル」は「アイドルマスター」の765プロオールスターズと「ミリオンライブ!」のミリオンスターズ、同じ事務所の先輩後輩という間柄の出演者たちによる合同ライブイベントです。2017年10月以来実に7年半ぶりとなる開催となった今回は、その7年半の間に着実にキャリアを積んで来たミリオンスターズと、それでもその一歩先を走り続ける765プロオールスターズのパフォーマンスがぶつかり合う極めて熱いステージになっていました。
もともとベースとなるゲームやアニメでは天海春香ら765プロオールスターズも普通に登場し、共演する楽曲やドラマCDなども当たり前のように数多く製作されて来たのですが、ことライブとなるとCDのリリースイベントのような小規模なもの以外は基本的に区分けされてきたので7年半ぶりとなる今回は、そもそもまず「やり残したままのものが多すぎる」という「場」に対する「飢え」がファンの間に共通認識に近いものがあり、遂にその「時」が来たという印象です。また2023年に放送されたTVアニメの記憶もまだ新しく、新規参入してきた方が多いタイミングでの開催というのも実に嬉しい采配ですね。そこも考慮されてか、イベント全体として昨年4ヶ所8公演開催されたミリオンライブ10thツアーの番外編、言わば「act5」のような性格も包含していたようにも見えました。
ライブはTVアニメ版「ミリオンライブ」のOP曲「Rat a tat!」で開幕。そこから選曲と歌唱メンバーの妙、そしてパフォーマンスの質の高さと熱さで圧倒する全26曲。正直言ってセットリストはもっと遊び倒して来るかもとも思っていたのですが、披露される機会の少なかったものや長くライブでは歌われてこなかったナンバーを多く織り交ぜていてとてもエモーショナル。個人的には最推しの水瀬伊織役釘宮理恵さんが今回よほどコンディションが良かったのか、どの曲もパフォーマンスがノッていて可愛らしかったのがとても目と耳に心地良かった(笑)。それにしても765プロオールスターズの皆さんは年齢的に私と同じくらいの人もいるというのに年々最高を更新し続ける凄みには敬服せざるを得ません。ライブへの熱狂とは別に襟を正すような思いを抱くこともしばしば。
そしてやはり驚かされるのは天海春香役中村繪里子さんの大黒柱ぶり。MCでどれだけとっ散らかったノリになろうが(何なら本人もそれに乗っていようが)最後にはビシッと締めて「アイドルマスターのステージを完遂させる」、その居住まいは見事というほかありません。20年間1人のキャラクターと共に作品の中心で歩き続けて来て、今もなお最前線で立っている人の持つ輝きは違います。行けるところまで天海春香と共に歩んで頂けたら嬉しいですね。
しかし悔やまれるのはこの日程…!職種によりけりなのでしょうが社会人に年度末は辛い…スケジュールが1週前か後だったら、あるいは日曜日の開演時間が17時30分ではなく15時30分スタートだったならと思わずにはいられません。特に開演時間はアンケートに書いておこう。ぐぬぬ。
年度末でまあまあ忙しく、今回は前置き無しで本題に入ります。
とまあ年度末進行の只中に強引にスケジュールを組み込み、この週末にさいたまスーパーアリーナで開催された「THE IDOLM@STER 765 MILLIONSTARS HOTCHPOTCH FESTIV@L!! 2 」を観に行って来ました。とは言えさすがに両日参加はできずday1のみの鑑賞ですが。
「ハッチポッチフェスティバル」は「アイドルマスター」の765プロオールスターズと「ミリオンライブ!」のミリオンスターズ、同じ事務所の先輩後輩という間柄の出演者たちによる合同ライブイベントです。2017年10月以来実に7年半ぶりとなる開催となった今回は、その7年半の間に着実にキャリアを積んで来たミリオンスターズと、それでもその一歩先を走り続ける765プロオールスターズのパフォーマンスがぶつかり合う極めて熱いステージになっていました。
もともとベースとなるゲームやアニメでは天海春香ら765プロオールスターズも普通に登場し、共演する楽曲やドラマCDなども当たり前のように数多く製作されて来たのですが、ことライブとなるとCDのリリースイベントのような小規模なもの以外は基本的に区分けされてきたので7年半ぶりとなる今回は、そもそもまず「やり残したままのものが多すぎる」という「場」に対する「飢え」がファンの間に共通認識に近いものがあり、遂にその「時」が来たという印象です。また2023年に放送されたTVアニメの記憶もまだ新しく、新規参入してきた方が多いタイミングでの開催というのも実に嬉しい采配ですね。そこも考慮されてか、イベント全体として昨年4ヶ所8公演開催されたミリオンライブ10thツアーの番外編、言わば「act5」のような性格も包含していたようにも見えました。
ライブはTVアニメ版「ミリオンライブ」のOP曲「Rat a tat!」で開幕。そこから選曲と歌唱メンバーの妙、そしてパフォーマンスの質の高さと熱さで圧倒する全26曲。正直言ってセットリストはもっと遊び倒して来るかもとも思っていたのですが、披露される機会の少なかったものや長くライブでは歌われてこなかったナンバーを多く織り交ぜていてとてもエモーショナル。個人的には最推しの水瀬伊織役釘宮理恵さんが今回よほどコンディションが良かったのか、どの曲もパフォーマンスがノッていて可愛らしかったのがとても目と耳に心地良かった(笑)。それにしても765プロオールスターズの皆さんは年齢的に私と同じくらいの人もいるというのに年々最高を更新し続ける凄みには敬服せざるを得ません。ライブへの熱狂とは別に襟を正すような思いを抱くこともしばしば。
そしてやはり驚かされるのは天海春香役中村繪里子さんの大黒柱ぶり。MCでどれだけとっ散らかったノリになろうが(何なら本人もそれに乗っていようが)最後にはビシッと締めて「アイドルマスターのステージを完遂させる」、その居住まいは見事というほかありません。20年間1人のキャラクターと共に作品の中心で歩き続けて来て、今もなお最前線で立っている人の持つ輝きは違います。行けるところまで天海春香と共に歩んで頂けたら嬉しいですね。
しかし悔やまれるのはこの日程…!職種によりけりなのでしょうが社会人に年度末は辛い…スケジュールが1週前か後だったら、あるいは日曜日の開演時間が17時30分ではなく15時30分スタートだったならと思わずにはいられません。特に開演時間はアンケートに書いておこう。ぐぬぬ。
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まさについ先ほど、Zepp Nagoyaで私が最近推してるアイドル「THE ENCORE」の4thワンマンライブ「超戦」を観てきました。こういうライブステージ主体で活動しているグループにとってZeppは恐らく目標とすべき舞台の一つではないかと思います。アイドルたち自身もコンディションのピークをここに合わせて来てますし、運営もいつも以上に力が入っており、演出・パフォーマンスともにエネルギッシュ。つられてこちらもめっちゃ声を張り上げたり腕を振ったりですよ(笑)
反面さすがにソールドアウトとまではいかなかったようで、MCではそこにわずかな悔しさを滲ませており、目標と言えど到達点にはしていないところが見えたのも応援している身としてはちょっと嬉しかったり。
こんばんは、小島@監督です。
アイドルたちは大抵ライブ後にファンとチェキ撮ったりする「特典会」というのまでがワンセットなのですが、こういうワンマンライブの時はがっつり時間を取っており、何なら今もまだ続いています。渾身のパフォーマンスの後だし終わったらじっくりと休んで欲しいところ。
さて、今回の映画は「逮捕しちゃうぞthe MOVIE」です。
1年間に渡る警視庁での研修プログラムを終え、辻本夏実(声・玉川砂記子)と小早川美幸(声・平松晶子)が墨東署に帰って来た。懐かしい顔ぶれの帰還に浮かれた空気が漂う署内。しかし葵双葉(声・松本梨香)と二階堂頼子(声・小桜エツ子)が警邏中に放置車両から大量の銃器を発見した。折しも墨東署管内各地で信号機の一斉故障が発生。更には隅田川で銃器の密輸取引が行われるというタレコミが入った。緊張が走る中、警視庁の蟻塚警視正(声・渡部猛)が課長(声・政宗一成)を訪ねてくる。蟻塚は事件の首謀者が課長に接触を試みると考えていた。課長が口を閉ざす中、墨東署に桜橋の爆破予告が入った。
藤島康介のコミックを原作に1994年にOVA化された後、1996〜2007年までの間に実に4度のTVアニメが放送された「逮捕しちゃうぞ」。1999年には劇場版が製作されました。今年アニメ化30周年記念として限定的ながらその劇場版がリバイバル上映されました。公開後に一度だけ地上波放送されたことがあり、その時に観たきりの作品で実に二十数年ぶりの再会になりました。
徹底したロケハンを行い、実在の東京のスポットがリアルに描き込まれストーリーに組み込まれているのが特徴です。リアリティを突き詰めながらどこまで「嘘」をつけるかに主眼が置かれており、シリアスに物語を運びつつもコミカルかつライトな描写が随所に差し挟まれて絶妙なアクセントとなっています。
都心のインフラに対してテロ攻撃を仕掛けるという着想で緊張感の高いシナリオをものにしたのは十川誠志。「BLEACH」や「戦闘妖精雪風」などの脚本を手掛け、現在でも「デジモンゴーストゲーム」など第一線で活躍しています。1999年ごろはまさに気鋭と言った時期で、2005年には首都の地下鉄網が混乱に陥れられる実写映画「交渉人真下正義」のシナリオも執筆しており、当時興味を引かれていたモチーフだったかもしれませんね。
1990年代末の東京を克明に描写したこの作品を今観るとまた別の感慨が湧いて来ます。同じく東京下町の情景を深掘りし物語に落とし込んだ「機動警察パトレイバーthe movie」が1989年の作品なのでこの10年間の差異を見比べてみるのも一興でしょう。また何より2012年に開業した東京スカイツリーが建設前であり、現在の情景に至る都内各所の再開発もまだ未着手だったりするので意外と現在とは同じようで違うはずです。物語とは別に1999年からのこの四半世紀の風景の相違を見い出す面白さがあります。
更にもう一点、この映画の主題歌「CALLING」を歌っている「NITRO」というユニット、この曲のためだけの限定ユニットで優香など当時売り出し中だったアイドルがメンバーになっているのですが、中に現在「TRUE」としてアニソンシンガーとしても活躍しまた作詞家として数多くの楽曲提供も行なっている唐沢美帆がいます。改めてこの映画を観てエンドクレジットで一番驚いたのがそこでした(笑)
映像作品とは、できた時点である意味でタイムカプセルのようなものです。痺れるような作劇の面白さは25年経っても色褪せることはなく、それでいて描かれた在りし日の風景に思いを馳せる。そして現在との違いの中に横たわるのは郷愁だけとは限りません。近年、舞台となった土地を詳細に描写することで「聖地」として訪問する流れを生むことも常態化してきました。そんな作品たちも10年20年後に再会した時には、描かれた風景に懐かしさだけではないものを見出せるかもしれませんね。
反面さすがにソールドアウトとまではいかなかったようで、MCではそこにわずかな悔しさを滲ませており、目標と言えど到達点にはしていないところが見えたのも応援している身としてはちょっと嬉しかったり。
こんばんは、小島@監督です。
アイドルたちは大抵ライブ後にファンとチェキ撮ったりする「特典会」というのまでがワンセットなのですが、こういうワンマンライブの時はがっつり時間を取っており、何なら今もまだ続いています。渾身のパフォーマンスの後だし終わったらじっくりと休んで欲しいところ。
さて、今回の映画は「逮捕しちゃうぞthe MOVIE」です。
1年間に渡る警視庁での研修プログラムを終え、辻本夏実(声・玉川砂記子)と小早川美幸(声・平松晶子)が墨東署に帰って来た。懐かしい顔ぶれの帰還に浮かれた空気が漂う署内。しかし葵双葉(声・松本梨香)と二階堂頼子(声・小桜エツ子)が警邏中に放置車両から大量の銃器を発見した。折しも墨東署管内各地で信号機の一斉故障が発生。更には隅田川で銃器の密輸取引が行われるというタレコミが入った。緊張が走る中、警視庁の蟻塚警視正(声・渡部猛)が課長(声・政宗一成)を訪ねてくる。蟻塚は事件の首謀者が課長に接触を試みると考えていた。課長が口を閉ざす中、墨東署に桜橋の爆破予告が入った。
藤島康介のコミックを原作に1994年にOVA化された後、1996〜2007年までの間に実に4度のTVアニメが放送された「逮捕しちゃうぞ」。1999年には劇場版が製作されました。今年アニメ化30周年記念として限定的ながらその劇場版がリバイバル上映されました。公開後に一度だけ地上波放送されたことがあり、その時に観たきりの作品で実に二十数年ぶりの再会になりました。
徹底したロケハンを行い、実在の東京のスポットがリアルに描き込まれストーリーに組み込まれているのが特徴です。リアリティを突き詰めながらどこまで「嘘」をつけるかに主眼が置かれており、シリアスに物語を運びつつもコミカルかつライトな描写が随所に差し挟まれて絶妙なアクセントとなっています。
都心のインフラに対してテロ攻撃を仕掛けるという着想で緊張感の高いシナリオをものにしたのは十川誠志。「BLEACH」や「戦闘妖精雪風」などの脚本を手掛け、現在でも「デジモンゴーストゲーム」など第一線で活躍しています。1999年ごろはまさに気鋭と言った時期で、2005年には首都の地下鉄網が混乱に陥れられる実写映画「交渉人真下正義」のシナリオも執筆しており、当時興味を引かれていたモチーフだったかもしれませんね。
1990年代末の東京を克明に描写したこの作品を今観るとまた別の感慨が湧いて来ます。同じく東京下町の情景を深掘りし物語に落とし込んだ「機動警察パトレイバーthe movie」が1989年の作品なのでこの10年間の差異を見比べてみるのも一興でしょう。また何より2012年に開業した東京スカイツリーが建設前であり、現在の情景に至る都内各所の再開発もまだ未着手だったりするので意外と現在とは同じようで違うはずです。物語とは別に1999年からのこの四半世紀の風景の相違を見い出す面白さがあります。
更にもう一点、この映画の主題歌「CALLING」を歌っている「NITRO」というユニット、この曲のためだけの限定ユニットで優香など当時売り出し中だったアイドルがメンバーになっているのですが、中に現在「TRUE」としてアニソンシンガーとしても活躍しまた作詞家として数多くの楽曲提供も行なっている唐沢美帆がいます。改めてこの映画を観てエンドクレジットで一番驚いたのがそこでした(笑)
映像作品とは、できた時点である意味でタイムカプセルのようなものです。痺れるような作劇の面白さは25年経っても色褪せることはなく、それでいて描かれた在りし日の風景に思いを馳せる。そして現在との違いの中に横たわるのは郷愁だけとは限りません。近年、舞台となった土地を詳細に描写することで「聖地」として訪問する流れを生むことも常態化してきました。そんな作品たちも10年20年後に再会した時には、描かれた風景に懐かしさだけではないものを見出せるかもしれませんね。
昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
いや今回めっちゃ歌いました。部屋全体で73曲やったらしいです。今まで歌ったことない、普段滅多に歌わない曲までバカスカ投入。前回参加できなかった分まで借りを返すかのような勢いで歌い倒しました。何ならついでにスポーツ部屋にもちょっぴりお邪魔できたりして大満足でした。
こんばんは、小島@監督です。
今回やれたら良いなくらいに思ってたカードまで全ツッパしちゃったのでまたあれこれ準備しなきゃ(笑)
さて、今回の映画は「ヒプノシスマイクdivision rap battle」です。
武力による争いが根絶し女性が覇権を握るようになった世界、しかしそれでも争いは絶えず闘争は銃火器ではなく人の精神に干渉する「ヒプノシスマイク」を通したリリックをぶつけ合うバトルによって行われるようになった。
数々のライバルを打倒し勝ち残った6つのディビジョンの戦士たち。政権の中枢・中王区で国を統べる3人の女性首脳への挑戦権を勝ち取り、栄光を掴むための最後のディビジョン・ラップ・バトルに挑む。
映画はいつどこで観ても同じもの、不文律のような原則への挑戦。
元を辿ればキングレコードの内部レーベルEVIL LINE RECORDSが手掛ける声優によるラップミュージックプロジェクト、それを原作に様々な広がりを見せる「ヒプノシスマイク」、2度のTVアニメを経て初めての劇場用長編アニメ映画が公開中です。
その最大の特徴は何と言っても劇場公開用映画としては日本で初めてとなる観客の投票によって途中の展開と結末が変わる観客参加型のインタラクティブムービーである点です。観客は事前にアプリをダウンロードし、本編開始前にスクリーンに表示されるQRコードを読み取ることでエントリー。本編が始まると所定の箇所でスマホに投票画面が表示され、その結果によって映画の展開が変わります。その展開は48パターン、そして7パターンの結末が用意されています。展開により上映時間も変動し最大で7分程度変わるとか。ものの例えではなく本当に「観る度に変わる」映画です。鑑賞料金も通常より高めの2,500円に設定されている作品ですが、かかる手間暇を思えば妥当なところでしょう。
凝った趣向ゆえにプロット自体はとてもシンプル。
冒頭に中王区も含めた7つのディビジョンのチームのあり様を見せるエピソードをイントロダクションとして展開した後は、最後までひたすらにラップバトル。トーナメントを勝ち上がったチームが王者たる中王区とファイナルマッチを戦い勝者を決します。上映時間の大半をラップバトルに注ぎ込んでいる点や、場内の雰囲気も含めてその日その回を観た人たちだけが共有できる即時性を有しているため実質的に映画というよりライブを観ている感覚が近いです。
投票結果はアプリの画面で表示される以外にオフィシャルサイトでも閲覧できるようになっているのもポイント。しかも各劇場の全上映回の結果が確認でき、それぞれの劇場の傾向が見えるのが面白い。例えば名古屋市内では5箇所で上映されていますが、多くは満遍なく結果が散らばっているのに対して唯一ミッドランドスクエアだけは地元志向が強固で90%を超える勝率でナゴヤ・ディビジョン「Bad ass temple」の圧勝です。ナゴヤ・ディビジョンエンド以外を観たいなら他の映画館へ行くべき、なんて事が読み取れます。
コロナ禍によって配信で映画を観ることが浸透してしまった結果、映画は「映画を映画館で観る」という根底そのものが問い直される時期に来ています。それは自宅では不可能な映像と音響のスペックでゴージャスな体験を味わってもらうことであったり、あるいは今まで名前しか聞いたことの無かった古い作品を掘り起こして紹介することであったり、様々な試みがなされていますが「時を改めれば違うものが見える」という形態もまた製作の手間を思えば主流には決してならないだろうとは言え、一つのあり方の提示となっていると言えるでしょう。映画を観に行くということは2時間非日常に身を預けること。そんなことを思い出させてくれる鑑賞体験でした。
何ならもう一度くらい観てもいい。というか中王区のお姉さまたちが勝利するところはちょっと観たい(笑)。
いや今回めっちゃ歌いました。部屋全体で73曲やったらしいです。今まで歌ったことない、普段滅多に歌わない曲までバカスカ投入。前回参加できなかった分まで借りを返すかのような勢いで歌い倒しました。何ならついでにスポーツ部屋にもちょっぴりお邪魔できたりして大満足でした。
こんばんは、小島@監督です。
今回やれたら良いなくらいに思ってたカードまで全ツッパしちゃったのでまたあれこれ準備しなきゃ(笑)
さて、今回の映画は「ヒプノシスマイクdivision rap battle」です。
武力による争いが根絶し女性が覇権を握るようになった世界、しかしそれでも争いは絶えず闘争は銃火器ではなく人の精神に干渉する「ヒプノシスマイク」を通したリリックをぶつけ合うバトルによって行われるようになった。
数々のライバルを打倒し勝ち残った6つのディビジョンの戦士たち。政権の中枢・中王区で国を統べる3人の女性首脳への挑戦権を勝ち取り、栄光を掴むための最後のディビジョン・ラップ・バトルに挑む。
映画はいつどこで観ても同じもの、不文律のような原則への挑戦。
元を辿ればキングレコードの内部レーベルEVIL LINE RECORDSが手掛ける声優によるラップミュージックプロジェクト、それを原作に様々な広がりを見せる「ヒプノシスマイク」、2度のTVアニメを経て初めての劇場用長編アニメ映画が公開中です。
その最大の特徴は何と言っても劇場公開用映画としては日本で初めてとなる観客の投票によって途中の展開と結末が変わる観客参加型のインタラクティブムービーである点です。観客は事前にアプリをダウンロードし、本編開始前にスクリーンに表示されるQRコードを読み取ることでエントリー。本編が始まると所定の箇所でスマホに投票画面が表示され、その結果によって映画の展開が変わります。その展開は48パターン、そして7パターンの結末が用意されています。展開により上映時間も変動し最大で7分程度変わるとか。ものの例えではなく本当に「観る度に変わる」映画です。鑑賞料金も通常より高めの2,500円に設定されている作品ですが、かかる手間暇を思えば妥当なところでしょう。
凝った趣向ゆえにプロット自体はとてもシンプル。
冒頭に中王区も含めた7つのディビジョンのチームのあり様を見せるエピソードをイントロダクションとして展開した後は、最後までひたすらにラップバトル。トーナメントを勝ち上がったチームが王者たる中王区とファイナルマッチを戦い勝者を決します。上映時間の大半をラップバトルに注ぎ込んでいる点や、場内の雰囲気も含めてその日その回を観た人たちだけが共有できる即時性を有しているため実質的に映画というよりライブを観ている感覚が近いです。
投票結果はアプリの画面で表示される以外にオフィシャルサイトでも閲覧できるようになっているのもポイント。しかも各劇場の全上映回の結果が確認でき、それぞれの劇場の傾向が見えるのが面白い。例えば名古屋市内では5箇所で上映されていますが、多くは満遍なく結果が散らばっているのに対して唯一ミッドランドスクエアだけは地元志向が強固で90%を超える勝率でナゴヤ・ディビジョン「Bad ass temple」の圧勝です。ナゴヤ・ディビジョンエンド以外を観たいなら他の映画館へ行くべき、なんて事が読み取れます。
コロナ禍によって配信で映画を観ることが浸透してしまった結果、映画は「映画を映画館で観る」という根底そのものが問い直される時期に来ています。それは自宅では不可能な映像と音響のスペックでゴージャスな体験を味わってもらうことであったり、あるいは今まで名前しか聞いたことの無かった古い作品を掘り起こして紹介することであったり、様々な試みがなされていますが「時を改めれば違うものが見える」という形態もまた製作の手間を思えば主流には決してならないだろうとは言え、一つのあり方の提示となっていると言えるでしょう。映画を観に行くということは2時間非日常に身を預けること。そんなことを思い出させてくれる鑑賞体験でした。
何ならもう一度くらい観てもいい。というか中王区のお姉さまたちが勝利するところはちょっと観たい(笑)。
先月「宇宙よりも遠い場所」を完走した後、次に観たのが「僕の心のヤバイやつ」。ちょっと厨二病こじらせた少年とクラスメイトの少女との不器用な初恋を描くラブコメアニメです。主人公市川の心象描写や図書室や保健室など学校のロケーション、年中行事を使ったエピソードの組み立て方がとても上手く、とっくに錆びついて忘れ去ったと思っていた遠い昔の記憶の引き出しが開くような感覚に身悶えしたり締め付けられたり。こんな感覚に捉われるアニメも久しく無く、観ている時間もまた宝物のようでした。
こんばんは、小島@監督です。
「僕ヤバ」は新規カットを交えた劇場用の総集編を準備中だとか。アレを?スクリーンで?とても観たいが耐えられるかしら。
さて、今回の映画は「ノー・アザー・ランド/故郷は他にない」です。
ヨルダン川西岸のマサーフェル・ヤッタで暮らすパレスチナ人の青年バーセルはイスラエル軍の占領が進み隣人たちの家が取り壊されていく様をカメラで撮影し続け、世界へ発信していた。そんな彼の元へイスラエル人ジャーナリスト・ユヴァルが訪れる。自国政府の暴力的な行いに忸怩たるものを感じていたユヴァルは危険を承知でマサーフェル・ヤッタへ赴いて来たのだ。同じ思いで行動する2人はやがて友となるが、軍の破壊行為は日に日に過激さを増していく。
イスラエルとパレスチナ、現代史においてあまりに深く憎悪と悲哀の爆心地であり続けた地で今何が起きているのか、それこそ当事者の目線で語られるドキュメンタリーです。マサーフェル・ヤッタは1967年からイスラエル占領下にある地域でありイスラエル政府は軍の訓練場の建設を決定し、また最高裁判所もその姿勢を支持したことで住民の強制移住が推し進められています。まるで真綿で首を絞めるかのように日ごと週ごとに1軒ずつ取り壊されていく家屋。時には学校のような公共の場さえ破壊されていきます。その様をパレスチナ人ジャーナリストでこの映画の共同監督の1人であるパーセル・アドラーはひたすらに撮影し続け発信を繰り返して来ました。
井戸さえ埋められ生活を断たれていく住民たち、しかも軍の訓練場と言いながら何故かイスラエルから入植者たちが現れ住宅が建築されていく。さらには入植者たちが暴徒化して住民を襲い死者まで出る事件も発生。重大な人権侵害と侵略行為を観客は目の当たりにします。アクション映画のようにヒーローが駆けつけることは無く、ただただ理不尽に晒される姿が捉えられています。
当事者が撮影しているが故に主観的な視線を獲得したこの映画は、破壊行為に対し決然と立ち向かう一方で呆然としながらただカメラを回すしかない無力感すらも浮き彫りにして行きます。この映画が強いのは、ギリギリのところで折れてはいないという点でしょう。この映画が誕生したこと自体が国境を超えた連帯の結実とも言え、そこに一筋の希望が見出せます。
まさにジャーナリズムの矜持を感じさせるこの映画は各地で絶賛され、ベルリン国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞と観客賞をW受賞しただけでなく、先日アメリカでアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を獲得しました。特にアカデミー賞での受賞は私としては正直意外で、トランプ政権発足後パレスチナへの人道支援の中止を決定するなどイスラエルへの支持を打ち出した政府の方針に異を唱えるような姿勢を見せる気骨が今のハリウッドにあるとはちょっと思っていなかったからです。
観ていて苦しくなるような作品ですが、それでも向き合うべきものがある力作。
当のイスラエルでは政府主導の上映中止運動が起こるほど、今渦中にいる一本です。これが普通に観られるということはまだそれに触れられる自由があるという事。祈りと決死の覚悟が宿ったこの映画が、1人でも多くの方の目に留まりますように。
こんばんは、小島@監督です。
「僕ヤバ」は新規カットを交えた劇場用の総集編を準備中だとか。アレを?スクリーンで?とても観たいが耐えられるかしら。
さて、今回の映画は「ノー・アザー・ランド/故郷は他にない」です。
ヨルダン川西岸のマサーフェル・ヤッタで暮らすパレスチナ人の青年バーセルはイスラエル軍の占領が進み隣人たちの家が取り壊されていく様をカメラで撮影し続け、世界へ発信していた。そんな彼の元へイスラエル人ジャーナリスト・ユヴァルが訪れる。自国政府の暴力的な行いに忸怩たるものを感じていたユヴァルは危険を承知でマサーフェル・ヤッタへ赴いて来たのだ。同じ思いで行動する2人はやがて友となるが、軍の破壊行為は日に日に過激さを増していく。
イスラエルとパレスチナ、現代史においてあまりに深く憎悪と悲哀の爆心地であり続けた地で今何が起きているのか、それこそ当事者の目線で語られるドキュメンタリーです。マサーフェル・ヤッタは1967年からイスラエル占領下にある地域でありイスラエル政府は軍の訓練場の建設を決定し、また最高裁判所もその姿勢を支持したことで住民の強制移住が推し進められています。まるで真綿で首を絞めるかのように日ごと週ごとに1軒ずつ取り壊されていく家屋。時には学校のような公共の場さえ破壊されていきます。その様をパレスチナ人ジャーナリストでこの映画の共同監督の1人であるパーセル・アドラーはひたすらに撮影し続け発信を繰り返して来ました。
井戸さえ埋められ生活を断たれていく住民たち、しかも軍の訓練場と言いながら何故かイスラエルから入植者たちが現れ住宅が建築されていく。さらには入植者たちが暴徒化して住民を襲い死者まで出る事件も発生。重大な人権侵害と侵略行為を観客は目の当たりにします。アクション映画のようにヒーローが駆けつけることは無く、ただただ理不尽に晒される姿が捉えられています。
当事者が撮影しているが故に主観的な視線を獲得したこの映画は、破壊行為に対し決然と立ち向かう一方で呆然としながらただカメラを回すしかない無力感すらも浮き彫りにして行きます。この映画が強いのは、ギリギリのところで折れてはいないという点でしょう。この映画が誕生したこと自体が国境を超えた連帯の結実とも言え、そこに一筋の希望が見出せます。
まさにジャーナリズムの矜持を感じさせるこの映画は各地で絶賛され、ベルリン国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞と観客賞をW受賞しただけでなく、先日アメリカでアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を獲得しました。特にアカデミー賞での受賞は私としては正直意外で、トランプ政権発足後パレスチナへの人道支援の中止を決定するなどイスラエルへの支持を打ち出した政府の方針に異を唱えるような姿勢を見せる気骨が今のハリウッドにあるとはちょっと思っていなかったからです。
観ていて苦しくなるような作品ですが、それでも向き合うべきものがある力作。
当のイスラエルでは政府主導の上映中止運動が起こるほど、今渦中にいる一本です。これが普通に観られるということはまだそれに触れられる自由があるという事。祈りと決死の覚悟が宿ったこの映画が、1人でも多くの方の目に留まりますように。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」や「ダークナイト」「バック・ドラフト」などの劇伴で知られる作曲家ハンス・ジマーが5月に初来日ライブを、しかも名古屋公演があると知り、ウキウキ気分で最速先行の抽選にエントリーしようとしたらぴあのクレジットカードを作る必要があって心底がっかり。流石にそこまではしたくない。
こんばんは、小島@監督です。
2次抽選はそこまでしないでエントリーできると良いなぁ…
さて、今回の映画は「バンパイアハンターD」です。
人類が最終戦争により衰亡して1万年近い時を経た未来、人類は「貴族」と呼ばれたバンパイア達の支配下にあった。しかしその「貴族」たちも種族的衰退と精神的退廃の中にあり徐々に繁栄を失いつつあった。再び繁栄の糸口を掴んだ人類は「貴族」に反旗を翻し都から追い立てるに至るが、なお不死に近い生命力と超常の能力は人類を脅かし続けていた。「貴族」に対抗するための必然として「貴族」を狩るプロフェッショナル「ハンター」が誕生した。中でも「貴族」と人間の混血児「ダンピール」は最高のハンターであるとされた。そしていつしか一際美しい容貌を持つ黒衣の青年「D」(声・田中秀幸)の名が人々に囁かれるようになる。
ある夜、荘園主エルバーン(声・清川元夢)の令嬢シャーロット(声・篠原恵美)が貴族マイエル・リンク(声・山寺宏一)によって誘拐された。エルバーンは「D」にシャーロット奪還を依頼する。一方で先んじて依頼を受けたボルゴフ(声・屋良有作)率いるマーカス兄弟もまたシャーロットとマイエルを追っていた。
よもやもう一度スクリーンで出会えることが出来ようとは。
伝奇小説の第一人者・菊地秀行により1983年に第1巻が刊行され現在もシリーズが続くゴシックホラー「吸血鬼ハンターD」、その中の第3巻「妖殺行」を原作として2000年にまず海外での上映が先行する形で劇場版アニメが製作されました。日本では翌2001年に公開されましたが、英語音声日本語字幕という上映形態も手伝い、高い評価を得ながらもそれほど反響は大きくなかったように思います。現在ではDVDも廃盤となり配信にもかからず長く幻の作品状態になっていましたが、マフィア梶田と中村悠一のWEB番組「わしゃがなTV」で取り上げられたことで再評価の機運が高まり、リマスターBlu-rayの発売決定と製作25周年というタイミングで初の日本語音声によるスクリーン上映が実現しました。
私も結局DVDでも観る機会が無かったため実に四半世紀ぶりの再会となりました。
改めて観てもため息が出そうなほど超絶美麗、ここまで描き込めるものなのかと惚れ惚れするほどの緻密な作画が全編に渡り展開します。監督はアクションエンターテインメントの分野で世界的に高い支持を集め、後継への影響も大きい川尻善昭。もともとハードボイルドな作品を得意とする方で、伝奇作家菊地秀行の作品とは相性が良く1987年の「妖獣都市」は川尻監督の出世作と言える一本です。ダイナミックなアクションを流麗そのものの作画で見せつつ、原作の陰鬱で耽美な世界観を余す事なく画として構築し、それでいて叙情的でもある今作はまさに川尻善昭の真骨頂と言えるでしょう。全体的にセリフがそれほど多くはないのも特徴で、画自体が雄弁に語ってくれるアニメ映画の楽しさに溢れています。
2000年製作のこの映画は、アニメ製作がアナログからデジタルへ移行する過渡期の最中の作品であり一部にデジタル技術が用いられているものの、基本的にはセル画での手塗りで描かれたアニメの最後期に当たる作品です。手数を惜しまない手工業の極致とでも言うべきでしょうか、この頃公開された作品には今観れば一種の到達点のような輝きがあります。1週間限定ではなかなか厳しいかもしれませんが滅多に無い機会ですし、今では失われた超絶技巧がもたらす迫力をスクリーンで味わっていただきたいですね。
こんばんは、小島@監督です。
2次抽選はそこまでしないでエントリーできると良いなぁ…
さて、今回の映画は「バンパイアハンターD」です。
人類が最終戦争により衰亡して1万年近い時を経た未来、人類は「貴族」と呼ばれたバンパイア達の支配下にあった。しかしその「貴族」たちも種族的衰退と精神的退廃の中にあり徐々に繁栄を失いつつあった。再び繁栄の糸口を掴んだ人類は「貴族」に反旗を翻し都から追い立てるに至るが、なお不死に近い生命力と超常の能力は人類を脅かし続けていた。「貴族」に対抗するための必然として「貴族」を狩るプロフェッショナル「ハンター」が誕生した。中でも「貴族」と人間の混血児「ダンピール」は最高のハンターであるとされた。そしていつしか一際美しい容貌を持つ黒衣の青年「D」(声・田中秀幸)の名が人々に囁かれるようになる。
ある夜、荘園主エルバーン(声・清川元夢)の令嬢シャーロット(声・篠原恵美)が貴族マイエル・リンク(声・山寺宏一)によって誘拐された。エルバーンは「D」にシャーロット奪還を依頼する。一方で先んじて依頼を受けたボルゴフ(声・屋良有作)率いるマーカス兄弟もまたシャーロットとマイエルを追っていた。
よもやもう一度スクリーンで出会えることが出来ようとは。
伝奇小説の第一人者・菊地秀行により1983年に第1巻が刊行され現在もシリーズが続くゴシックホラー「吸血鬼ハンターD」、その中の第3巻「妖殺行」を原作として2000年にまず海外での上映が先行する形で劇場版アニメが製作されました。日本では翌2001年に公開されましたが、英語音声日本語字幕という上映形態も手伝い、高い評価を得ながらもそれほど反響は大きくなかったように思います。現在ではDVDも廃盤となり配信にもかからず長く幻の作品状態になっていましたが、マフィア梶田と中村悠一のWEB番組「わしゃがなTV」で取り上げられたことで再評価の機運が高まり、リマスターBlu-rayの発売決定と製作25周年というタイミングで初の日本語音声によるスクリーン上映が実現しました。
私も結局DVDでも観る機会が無かったため実に四半世紀ぶりの再会となりました。
改めて観てもため息が出そうなほど超絶美麗、ここまで描き込めるものなのかと惚れ惚れするほどの緻密な作画が全編に渡り展開します。監督はアクションエンターテインメントの分野で世界的に高い支持を集め、後継への影響も大きい川尻善昭。もともとハードボイルドな作品を得意とする方で、伝奇作家菊地秀行の作品とは相性が良く1987年の「妖獣都市」は川尻監督の出世作と言える一本です。ダイナミックなアクションを流麗そのものの作画で見せつつ、原作の陰鬱で耽美な世界観を余す事なく画として構築し、それでいて叙情的でもある今作はまさに川尻善昭の真骨頂と言えるでしょう。全体的にセリフがそれほど多くはないのも特徴で、画自体が雄弁に語ってくれるアニメ映画の楽しさに溢れています。
2000年製作のこの映画は、アニメ製作がアナログからデジタルへ移行する過渡期の最中の作品であり一部にデジタル技術が用いられているものの、基本的にはセル画での手塗りで描かれたアニメの最後期に当たる作品です。手数を惜しまない手工業の極致とでも言うべきでしょうか、この頃公開された作品には今観れば一種の到達点のような輝きがあります。1週間限定ではなかなか厳しいかもしれませんが滅多に無い機会ですし、今では失われた超絶技巧がもたらす迫力をスクリーンで味わっていただきたいですね。
まさに今日、それもつい先ほど、一つの試験を受けてきました。その名も「アイドルマスター検定」!
今年20周年を迎えて様々な施策やイベントを打っているアイマスですがその中でも指折りに珍妙なイベントです。試験時間90分間、全120問でリスニングテストまである本格派。試験前後にはキャストや中核スタッフが登壇してのトークショーも用意され、ちゃんと「イベント」の性格も持たせていたのが面白い。ペーパーテスト自体が自分には久しぶりですし、鉛筆片手に真剣に頭抱える「遊び」の場としても極めて楽しい時間でした。
こんばんは、小島@監督です。
実際のところ大して事前準備しないほぼ記念受験のノリで受けたのですが、やってみたらマジになってる自分がいて「もっとちゃんと準備すれば良かった」と軽く後悔してしまうところも含めてしっかり検定試験してました(笑)次があるかは分かりませんが、機会があればまたトライしたいですね。
さて、今回の映画は「野生の島のロズ」です。
嵐によって輸送機から脱落したケアロボット「ロッザム7134」通称ロズ(声・ルピタ・ニョンゴ、吹替綾瀬はるか)は無人島に漂着した。偶発的に起動したロズは役割を求めて島を彷徨うが、動物たちに怖がられてしまい近づけない。ロズは動物の言語を学び動物たちをケアしようとするが相手にされないまま逆にグリズリーのソーン(声・マーク・ハミル、吹替田中美央)に追われる羽目になってしまう。ソーンから逃げる中でロズは雁の巣を壊してしまい、一個の卵だけが残された。卵から孵化した雁のひな鳥キラリ(声・キット・コナー、吹替鈴木福)は刷り込みによってロズを親だと思うようになる。ロズはキツネのチャッカリ(声・ペドロ・パスカル、吹替柄本佑)、オポッサムのピンクシッポ(声・キャサリン・オハラ、吹替いとうまい子)らの協力を得ながらキラリを育てようと試みるが。
ただただ、素晴らしいというほかない。
「リロ&スティッチ」「ヒックとドラゴン」で知られるアニメーション作家クリス・サンダース監督とドリームワークスアニメーションから新たな傑作が生まれました。もしも無機質なロボットが子育てを通して「心」が生まれたら?SFにおける定番とも言えるテーマに見事なアプローチで映画化しています。
動物はみな油彩画を思わせる淡いビジュアルをしており、また背景美術は全て手描きで描き起こされていて、そんな柔らかな画の中に佇む無機質なロズの姿はそれだけで極めて印象深いものになっています。球体型の胴体にフレキシブルに動く長い手足というロズのデザインはどこか宮崎駿監督作品に登場したロボットを思わせます。クリス・サンダース監督は宮崎駿監督へのリスペクトが強い方なのでもしかしたらある程度は意識的にそうしているのかもしれません。
ロズはやがては渡りができるようになるまでキラリを育てる中で次々と不測の事態に出会い、それに対応していくうちに徐々に自身に設定されたプログラムから逸脱するようになっていきます。その中で本来ならあり得ない「心」を獲得していくことになります。いわゆる「シンギュラリティ」ですが、改まって説明や強調すること無しに自然と物語の中に溶け込んでいることに驚かされました。
そしてさらに驚くことにこれでも物語の半分でしかないという点です。
予告編ではロズが子育てする点にのみフォーカスしているのでそれが映画のクライマックスかと思っていたのですが、そこからさらに跳ねてみせます。
物語が後半に入るに至り、実は島の外の世界が思いがけない姿をしている点などイメージの飛翔が実に見事。しかもそれに対しての説明がほとんどされないので多くは観る者の想像に委ねられているのも私としてはとてもポイントが高いです。終盤の展開や映像など見方によってはどこか宗教画的な雰囲気すら漂っています。
ところでドリームワークスアニメーションの完全自社製作としてはこれが最後の作品で今後は外部スタジオを多用する製作体制へと移行することになっているとか。今後はこういうこだわりの強い画作りをしたタイトルはもしかしたら減っていってしまうかもしれません。それを思うとこれは目に焼き付けておいて欲しい。
年中何かしらのアニメ映画が公開されている日本では少々目立ちにくいかもしれませんが、是非スクリーンでこの鮮やかな映像を味わっていただきたいですね。
今年20周年を迎えて様々な施策やイベントを打っているアイマスですがその中でも指折りに珍妙なイベントです。試験時間90分間、全120問でリスニングテストまである本格派。試験前後にはキャストや中核スタッフが登壇してのトークショーも用意され、ちゃんと「イベント」の性格も持たせていたのが面白い。ペーパーテスト自体が自分には久しぶりですし、鉛筆片手に真剣に頭抱える「遊び」の場としても極めて楽しい時間でした。
こんばんは、小島@監督です。
実際のところ大して事前準備しないほぼ記念受験のノリで受けたのですが、やってみたらマジになってる自分がいて「もっとちゃんと準備すれば良かった」と軽く後悔してしまうところも含めてしっかり検定試験してました(笑)次があるかは分かりませんが、機会があればまたトライしたいですね。
さて、今回の映画は「野生の島のロズ」です。
嵐によって輸送機から脱落したケアロボット「ロッザム7134」通称ロズ(声・ルピタ・ニョンゴ、吹替綾瀬はるか)は無人島に漂着した。偶発的に起動したロズは役割を求めて島を彷徨うが、動物たちに怖がられてしまい近づけない。ロズは動物の言語を学び動物たちをケアしようとするが相手にされないまま逆にグリズリーのソーン(声・マーク・ハミル、吹替田中美央)に追われる羽目になってしまう。ソーンから逃げる中でロズは雁の巣を壊してしまい、一個の卵だけが残された。卵から孵化した雁のひな鳥キラリ(声・キット・コナー、吹替鈴木福)は刷り込みによってロズを親だと思うようになる。ロズはキツネのチャッカリ(声・ペドロ・パスカル、吹替柄本佑)、オポッサムのピンクシッポ(声・キャサリン・オハラ、吹替いとうまい子)らの協力を得ながらキラリを育てようと試みるが。
ただただ、素晴らしいというほかない。
「リロ&スティッチ」「ヒックとドラゴン」で知られるアニメーション作家クリス・サンダース監督とドリームワークスアニメーションから新たな傑作が生まれました。もしも無機質なロボットが子育てを通して「心」が生まれたら?SFにおける定番とも言えるテーマに見事なアプローチで映画化しています。
動物はみな油彩画を思わせる淡いビジュアルをしており、また背景美術は全て手描きで描き起こされていて、そんな柔らかな画の中に佇む無機質なロズの姿はそれだけで極めて印象深いものになっています。球体型の胴体にフレキシブルに動く長い手足というロズのデザインはどこか宮崎駿監督作品に登場したロボットを思わせます。クリス・サンダース監督は宮崎駿監督へのリスペクトが強い方なのでもしかしたらある程度は意識的にそうしているのかもしれません。
ロズはやがては渡りができるようになるまでキラリを育てる中で次々と不測の事態に出会い、それに対応していくうちに徐々に自身に設定されたプログラムから逸脱するようになっていきます。その中で本来ならあり得ない「心」を獲得していくことになります。いわゆる「シンギュラリティ」ですが、改まって説明や強調すること無しに自然と物語の中に溶け込んでいることに驚かされました。
そしてさらに驚くことにこれでも物語の半分でしかないという点です。
予告編ではロズが子育てする点にのみフォーカスしているのでそれが映画のクライマックスかと思っていたのですが、そこからさらに跳ねてみせます。
物語が後半に入るに至り、実は島の外の世界が思いがけない姿をしている点などイメージの飛翔が実に見事。しかもそれに対しての説明がほとんどされないので多くは観る者の想像に委ねられているのも私としてはとてもポイントが高いです。終盤の展開や映像など見方によってはどこか宗教画的な雰囲気すら漂っています。
ところでドリームワークスアニメーションの完全自社製作としてはこれが最後の作品で今後は外部スタジオを多用する製作体制へと移行することになっているとか。今後はこういうこだわりの強い画作りをしたタイトルはもしかしたら減っていってしまうかもしれません。それを思うとこれは目に焼き付けておいて欲しい。
年中何かしらのアニメ映画が公開されている日本では少々目立ちにくいかもしれませんが、是非スクリーンでこの鮮やかな映像を味わっていただきたいですね。
冬アニメの消化も今ひとつなのにこういう時に限って旧作にどハマりしてしまう罠。女子高生4人が南極を目指す「宇宙よりも遠い場所」を何気なく観始めたらこれがもうどストライク。清々しい青春ドラマと南極観測のディテールにかき立てられる知的興奮に気づけば一気見。ニューヨークタイムズが取り上げたというのも納得の面白さでした。
こんばんは、小島@監督です。
それにしても出会うのが30年遅かった。10代の頃に出会っていたらきっと南極目指してましたよ(笑)
さて、今回の映画は「トワイライト・ウォリアーズ決戦!九龍城砦」です。
1980年代香港。密入国したチャン・ロッグワン(レイモンド・ラム)は身分証を獲得すべく港湾を支配するボス(サモ・ハン)の元へ赴くもトラブルになり、九龍城砦へ逃げ込んだ。ロッグワンは九龍城砦を支配するロン・ギュンフォン(ルイス・クー)やその右腕であるソンヤッ(テレンス・ラウ)と出会い城砦での生活を始めるが。
熱い時代を生きた者たちの矜持。
1990年代初頭まで香港に存在したスラム街「九龍城砦」、現地の本来の読み方ではありませんが「クーロンじょう」という読み方に親しみがある方も多いのではないでしょうか。施政権がはっきりしないまま放置された城砦は無計画に増築が重ねられ、「一度入ると出られない」と言われるほど迷路のような状態になったと聞きます。1970年代、無法を極めた状態に対抗するため住民たちが自警団を結成したことで治安が徐々に回復し、平穏が訪れた時期がありました。とは言えど1997年の中国への香港返還へ向けて1987年には香港政庁が住民の強制移住と九龍城砦の取り壊しを決定。数年後にはもうこの場所は無くなっているだろうという不安や焦燥が住民に通奏低音として響く時期。これがこの映画の時代背景です。
どこまでも熱く観る者を震わせてくれる、ド直球の熱血少年漫画のような映画です。ストーリーは大味でご都合主義。しかし出てくるキャラクターが誰も彼も魅力的。特にルイス・クー演じるロン・ギュンフォンの燻し銀の色気は出色です。谷垣健治が手掛けたアクションは天井知らずのボリュームで超ハイカロリー。エンターテインメントとはこういうものさ!という気概と熱量が全編に満ち溢れています。香港映画のオールドファンにとってはレジェンドと言うべきサモ・ハン・キンポー(現サモ・ハン)が70代になってもなお衰えぬキレを見せてくれるのも嬉しいところ。
九龍城砦が取り壊され中国へ返還された香港は、中国共産党により民主主義が骨抜きにされ今や往時の輝きは見る影も無くなり中国の一地方都市に変容させられてしまいました。香港映画界も時代の波に抗えず、俳優やスタッフの海外流出、巨大な大陸資本の流入により独自世界の多くは失われたと言って過言ではないでしょう。
この映画はそんな輝いていた時代の香港映画を思わせてくれる点においてどうしようもなくノスタルジーを感じさせ、それが唯一無二の味わいともなっています。
しかし消えかけていてもその残照はどこまでも烈しく熱い。この映画、実は大陸資本が全く入っていません。香港の資本のみで製作されたこの作品にもしもあなたが強いロマンを感じたなら、それは時代に埋もれさせられた魂を蘇らせ再び火を灯そうと集まった者たちの矜持の結晶です。
幸いにもというべきか香港映画史上最大のヒットとなった「トワイライト・ウォリアーズ」は三部作となることが決定され、2作目3作目が製作準備に入ったそうです。続報を楽しみに待ちたいところですね。
こんばんは、小島@監督です。
それにしても出会うのが30年遅かった。10代の頃に出会っていたらきっと南極目指してましたよ(笑)
さて、今回の映画は「トワイライト・ウォリアーズ決戦!九龍城砦」です。
1980年代香港。密入国したチャン・ロッグワン(レイモンド・ラム)は身分証を獲得すべく港湾を支配するボス(サモ・ハン)の元へ赴くもトラブルになり、九龍城砦へ逃げ込んだ。ロッグワンは九龍城砦を支配するロン・ギュンフォン(ルイス・クー)やその右腕であるソンヤッ(テレンス・ラウ)と出会い城砦での生活を始めるが。
熱い時代を生きた者たちの矜持。
1990年代初頭まで香港に存在したスラム街「九龍城砦」、現地の本来の読み方ではありませんが「クーロンじょう」という読み方に親しみがある方も多いのではないでしょうか。施政権がはっきりしないまま放置された城砦は無計画に増築が重ねられ、「一度入ると出られない」と言われるほど迷路のような状態になったと聞きます。1970年代、無法を極めた状態に対抗するため住民たちが自警団を結成したことで治安が徐々に回復し、平穏が訪れた時期がありました。とは言えど1997年の中国への香港返還へ向けて1987年には香港政庁が住民の強制移住と九龍城砦の取り壊しを決定。数年後にはもうこの場所は無くなっているだろうという不安や焦燥が住民に通奏低音として響く時期。これがこの映画の時代背景です。
どこまでも熱く観る者を震わせてくれる、ド直球の熱血少年漫画のような映画です。ストーリーは大味でご都合主義。しかし出てくるキャラクターが誰も彼も魅力的。特にルイス・クー演じるロン・ギュンフォンの燻し銀の色気は出色です。谷垣健治が手掛けたアクションは天井知らずのボリュームで超ハイカロリー。エンターテインメントとはこういうものさ!という気概と熱量が全編に満ち溢れています。香港映画のオールドファンにとってはレジェンドと言うべきサモ・ハン・キンポー(現サモ・ハン)が70代になってもなお衰えぬキレを見せてくれるのも嬉しいところ。
九龍城砦が取り壊され中国へ返還された香港は、中国共産党により民主主義が骨抜きにされ今や往時の輝きは見る影も無くなり中国の一地方都市に変容させられてしまいました。香港映画界も時代の波に抗えず、俳優やスタッフの海外流出、巨大な大陸資本の流入により独自世界の多くは失われたと言って過言ではないでしょう。
この映画はそんな輝いていた時代の香港映画を思わせてくれる点においてどうしようもなくノスタルジーを感じさせ、それが唯一無二の味わいともなっています。
しかし消えかけていてもその残照はどこまでも烈しく熱い。この映画、実は大陸資本が全く入っていません。香港の資本のみで製作されたこの作品にもしもあなたが強いロマンを感じたなら、それは時代に埋もれさせられた魂を蘇らせ再び火を灯そうと集まった者たちの矜持の結晶です。
幸いにもというべきか香港映画史上最大のヒットとなった「トワイライト・ウォリアーズ」は三部作となることが決定され、2作目3作目が製作準備に入ったそうです。続報を楽しみに待ちたいところですね。