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ちゅうカラぶろぐ


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昨日名古屋では千秋楽を迎えた劇団四季の「ゴーストアンドレディ」、最終公演は配信もやってくれるということで観てました。ミュージカルとして洗練されつつも藤田和日郎原作らしい泥臭い熱さも持ち合わせた珠玉の名作を映像でも堪能。やっぱり痺れるほどにエモーショナルで震えるほどに熱い。12月からは大阪でも公演が始まるそうですが、瞬く間に人気を獲得した演目でもあるので鑑賞のハードルが低くなるこう言った配信公演も折々でやって欲しいですね。

 こんばんは、小島@監督です。
 ところで「ゴーストアンドレディ」を現地で観たとき私は「藤田和日郎原作なのに女性客がい多い!」と思ったのですが、劇団四季ファンの家族に言わせると「劇団四季なのに男性客が多い!」と思ったそうで、触れてるものの違いで全く真逆の印象を受けるのが何とも(笑)

 さて、今回の映画は「近畿地方のある場所について」です。

 オカルト雑誌の編集長・佐川(夙川アトム)が失踪した。残された編集部員・小沢(赤楚衛二)は出版社からこのまま次号を落とすようなことがあれば雑誌を廃刊にすると通告され佐川が残した資料から特集記事を組み直すためにフリーライターの瀬野(菅野美穂)に協力を求めた。資料の再検証と再取材を通して小沢と瀬野は佐川が調べていた事件や怪現象が全て近畿地方のある場所に繋がっていることに気づく。

 民俗学者折口信夫氏によれば夏場が怪談の季節となったのは死者の魂が帰ってくるとされるお盆の時期に「涼み芝居」と称して「東海道四谷怪談」などの幽霊譚や怪異譚で冷んやりしてもらう趣向が定着していったからだとか。私の子どもの頃も夏場にホラーなTV番組が良く放送されていましたし、「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」などでもちょっぴりホラーテイストなエピソードが登場するのが定番だったように思います。1990年代後半に花開いた「Jホラー」ムーブメントも遠い日の残響と化して夏場にホラーもすっかり廃れてしまったかと思いきや今年はひと味違います。「ドールハウス」「事故物件ゾク恐い間取り」、洋画では「アンティル・ドーン」「V/H/Sビヨンド」「IMMACULATE聖なる胎動」が相次いで公開、更に先週「8番出口」が封切られ「カラダ探しTHE LAST NIGHT」「侵食」「男神」が9月公開待機と今までの冷遇ぶりはどこへ行ったんだくらいのホラー過剰供給(笑)。さすがに全ては見切れそうにありません。

 そんな中で目玉として公開されたのが2023年に発表されるや大評判となった小説を原作にした「近畿地方のある場所について」です。監督は昨年の「サユリ」のスマッシュヒットも記憶に新しい白石晃士。脚本には原作者背筋も参加する形で製作されました。
 
 いわゆる都市伝説を紐解いていくことになる前半は様々な形で語られる怪異譚をPOVホラーの名手白石晃士が本領を発揮していてビデオテープやWEB動画の質感を活かした趣向を凝らした恐怖映像が次から次へと飛び出して来てかなりガチめに怖いことに加えて、見せ方のバリエーションの多さにカタログ的な面白さがあります。この導入部、ショート動画が席巻しつつある昨今らしいとも言えますね。
 物語のギアが少しずつ上がって行き後半に突入することになりますが、ここで白石晃士監督ならではの味というか作風が炸裂しており、早い話が怪異に物理で挑みかかるようになる上に変なドライブがかかります。これが良くも悪くもと言ったところで私みたいに白石晃士監督作品を見慣れてる人は楽しめると思いますが原作のざわりとした感触を楽しみたい向きには特にラストの展開はだいぶ趣旨が違うように感じられるでしょう。賛否両論がかなり大きいのも分かります。

 また、今作の見どころの一つとして菅野美穂が主演している点が挙げられます。菅野美穂はキャリアの初期は路線を探っていたのか意外とホラーにも出演していて「世にも奇妙な物語」では3作で主演していたりします。映画の方でも1999年に伊藤潤二の漫画を原作にした「富江」で主演しており今作で実に約25年ぶりのホラー主演はいちファンとしてアガリます。そして期待を裏切らないカッ飛んだ演技を見せてくれ、それに受けて立つ赤楚衛二も良い演技していてこの2人の掛け合い観ているだけで元が取れた気になりました。これを機にまたこう言ったジャンルにも積極的に出て欲しいですね。

 個人的にはもうちょっと「見せ切らない」方向に作ってくれる方が好みなんですがB級的な楽しさを提示してくれるので猛暑から少しでも逃げたい時に観るにはちょうどいいかと思います。冷んやりは…しないかもしれませんが(笑)

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先週の休日、予定があって出かけたら電車が止まっていて駅で40分ほど足止め。当初の予定を変えざるを得なくなり観たいと思っていた映画も時間が合わなくなってしまいました。とは言え何か観ていきたいと時間が合うものを探したらいました。それが今回のコレ。

 こんばんは、小島@監督です。

 さて、そんなワケで今回の映画は「大長編タローマン万博大爆発」です。

 1970年、日本は万博開催に沸き立っていた。しかし万博会場は突如奇獣と謎の集団の襲撃を受ける。彼らは2025年の未来から万博を消滅させるためにやって来たのだという。でたらめな奇獣に対抗するにはでたらめな力を必要としているが、未来は秩序と常識に満ち溢れでたらめな力は絶滅寸前にまで陥っていた。地球防衛軍「CBG」は万博を守るためタローマンともども未来へと向かう。

 「1970年代に製作・放送された特撮ヒーロー番組」というコンセプトで画家・岡本太郎の作品と言葉をモチーフに製作された特撮番組、2022年突如としてNHKの深夜に現れ話題をかっさらった5分間のミニ番組「TAROMAN」がまさかの映画化。「1970年に製作された映画」という体裁で令和7年ではなく「昭和100年」としての2025年を舞台に、シュールレアリスム全開のでたらめな冒険がスクリーンで展開します。TVシリーズでの異質な視聴感の一翼を担ったと言っても良いサカナクション山口一郎による解説も当然のように盛り込まれ、基本的にTVシリーズと同じフォーマットながら映画としてちゃんとパッケージングされた作品になっています。
 正直言って最初は本編は45分くらいで残りの時間全部タローマンが珍妙に踊ってるだけもあり得ると危惧していましたがそんなことはなくて安心しました(笑)

 TVシリーズから全作を手掛けているのは藤井亮監督。長編映画はコレが初監督作になりますが、CMやMVなどで数々の実績のある人物です。電通在籍時代に手がけたサノヤス造船のCM「造船番長」シリーズや赤城乳業の「ガリガリ君」などで受賞歴もある藤井監督、2019年よりフリーとなり現在はショートフィルムの製作が活動のメインとなっているようですね。そんな彼の独自の映像世界が文字通り爆発しているのが今作です。
 
 今となっては廃れつつあるアナログな特撮技法をふんだんに盛り込み、かつわざわざ映像を古めかしく見える加工を施して半世紀前の作品っぽく見せている手法は劇場版でも健在ながら、ここは敢えてこう言う古めかしい言い方をしますが「ブラウン管から飛び出して更に大暴れ」しているのが特徴で、大嘘を大真面目に吐き通すためにあらゆるアイディアが詰め込まれた「なんだこれは!?」な映像と展開が105分みっちり続きます。計算尽くでやっているのは分かるのですがそれにしたってトンチキ過ぎて追いつかない、「考えるな感じろ」過ぎるサイケな画のオンパレードでどうしようもなく面白いか全くもってつまらないかの2つに1つ、恐らく間はありません。

 一応TVシリーズを観ているに越したことはないのですが、観ていた人たちでも良く分かってないので特に予備知識も要りません。気になるけど映画館まで足を運ぶのはちょっと怖いという方、YouTubeで公式が冒頭の4分ほどを配信しています。そこで観たものが105分続くと思っていただければだいたい合っているのでそれで決めてください。え?そんな電子ドラッグ耐えられそうにない?まあまあそう言わずせっかくならうっかり観に行ってしまいましょう。自分の中に毒を持つのです(笑)

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昨日でお盆休みが終わって今日から仕事、という方も多いのではないでしょうか。私は先週の前半だけが休みで後半はもう仕事でしたが、ひたすらゴロ寝したり仲間内で酒を呑んだりカラオケ行ったり超長い映画を観たりアイドルのライブに行ったり何だかんだ充実してました。アイドルライブの方はメンバー全員がバースデーライブ衣装を着る特別公演で、今年1月最推しのバースデーライブ当日高熱出してブッ倒れて行けなかった悔いをようやく晴らせて感無量。

 こんばんは、小島@監督です。
 しかし何故か休日の前日に限ってトラブルで電車が止まっちゃったのだけは玉に瑕。待ちぼうけ食らってる間に映画観に行ったりしたのでただじゃ転びませんでしたがね、フフフ。

 さて、今回の映画は「東京裁判」です。

 1945年、太平洋戦争は日本がポツダム宣言を受け入れ全面降伏する形で8月15日に終結した。終戦後の日本を統治する連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーは戦後処理の一環として戦争犯罪人の裁判の開始を望み、翌1946年1月19日極東国際軍事裁判所条例が発布された。A級戦犯28名を確定して5月3日に開廷したその裁判は「東京裁判」とも呼ばれている。戦後日本の進路を決定付けたと言って良いその裁判は何を裁き、何が裁かれなかったのか。

 戦後80年という節目の年である今年、特に今月はTV・ラジオ・新聞など大手メディアで様々なアプローチでの回顧特集が組まれています。映画もその例に漏れず、新作でも「木の上の軍隊」「雪風YUKIKAZE」が現在公開中であるほか主にミニシアターを中心に旧作の特集上映も行われています。今回取り上げるこの「東京裁判」もそうした流れの中でリバイバル上映された1本です。

 「東京裁判」は1983年に公開されたドキュメンタリー映画です。監督は「人間の條件」「切腹」などで知られた巨匠・小林正樹で、彼のフィルモグラフィーでは唯一のドキュメンタリーになります。裁判が結審してから25年後、アメリカ国防総省が保管していた記録映像の一般公開を機に企画されたこの作品は50万フィートに及ぶ長尺のフィルムを5年かけて編集した、上映時間4時間37分途中休憩ありという大作です。公開から35年を経た2018年、フィルムの修復・高精細化と音声の修復を施した4Kデジタルリマスター版が製作され翌2019年に全国公開されました。以後毎年夏に各地のミニシアターなどで巡回上映される定番のプログラムになりつつあります。

 膨大な一次資料を丹念に紐解いた、歴史の生き証人のような映画です。
 主軸は確かに東京裁判の模様それ自体にあるのですが、この映画の凄みはそこだけに依拠するものではありません。開幕後は日本が敗戦し東京裁判がいかにして始められたかを日本史ではなく世界史の視点から語ります。世界の大きなうねりの中で覇権を夢見てしまった日本がどんな事件に呼応し、どのような決断をしたか、あるいはせざるを得ないところに追い込まれていたのかを詳細に語り明かして行くのです。世界の動きに連動した日本の動きを有機的に見通す、俯瞰を通り越して鳥瞰図でも見ているかのようなこの非常に高い視座はそれ自体かなり新鮮に思う方も多いはずです。この視点を維持しながら、しかし映画は記録映像そのものの力を最大限に活かして裁判に臨んだ数々の人々のドラマをも活写していきます。天皇の戦争責任を断じたいウェッブ裁判長、マッカーサーの意を汲み天皇の戦争責任を問わない決着を図りたいキーナン検事、そもそもこの軍事裁判の意義に根底から疑問を抱いているパル判事、連合国側から選任されながらも有効な反対尋問を取り続け原子爆弾投下を問題として取り上げたブレイクニー弁護人、そして東條英機ら被告人たち、歴史の結節点での彼らの立ち居振る舞いが肉声と共に綴られている凄みは並大抵のものではありません。裁判中に被告同士で利益が相克し互いに敵対する場面があったかと思えば米ソ間で既に冷戦を思わせる際どいやり取りが出て来たりもします。

 ところで、4Kリマスター版の製作にあたり音声のレストア作業も極めて繊細に行われたようで、その白眉が前半早々に現れます。いわゆる「玉音放送」で天皇が読み上げた詔書の全文が当時の音声をクリアにする形で収録されています。「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」という一節が戦争もののドラマや映画に良く引用されているアレです。超がつくほど有名な玉音放送ですが意外と現在において全てを聞けるプログラムは少ないです。私も今回初めて聴きました。

 前編だけでも桁違いの情報量で尋常じゃない重みがあり、ようやく休憩に入った時にはもうぐったりするほど体力を削られましたがそれでもまだ折り返し(笑)。後編はその上を行く超重量級の圧力が待っています。それでもこの映画に触れた時間は非常に有意義なものでした。右寄りにも左寄りにも耳の痛くなるだろうトピックが多く、「見たいものだけを見て」「知りたいことしか知ろうとしない」人たちの語るものの「軽さ」とは対局の存在です。歴史を知ることはこれから先を考えることの第一歩。先行きの見えない時代の中でそれでも何かを理解しようとするのなら、こうして振り返り続けなければならないのです。敢えて結論を付けていないこの映画は、そうすることの重みと大切さを観る者に伝えてくれているのです。

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お盆休みに入りましたが強めの雨が降り続いていて必要な買い物を済ませる以外は出かけたりせずにほぼ引きこもり状態。たまにはこんな時間も良いですね。深刻な大雨ではないからこんなこと言えますが、数年前の身動き取れなくなるほどの降り方されたらさすがに怖い。九州で被害に見舞われていれる方々のご無事を祈ります。

 こんばんは、小島@監督です。

 さて、今回の映画は、特集上映「EU FILM DAYS 2025」より「FLEE/フリー」です。

 アフガニスタンで生まれ育ったアミンは共産主義体制下で父を当局に連行され、その後はムジャヒディンの侵攻による首都カブールの陥落から辛くも逃れる形で国を脱した。約20年後、彼は公的には内戦で家族を皆殺しにされただ1人デンマークへ流れ着いたことになっている。そこに至るまでにアミンの身に何があったのか。友人である映画監督ヨナス・ポヘール・ラスムセンに、アミンは自身の半生を語り出す。

 アイドルマスター765オールスターズのライブを観に横浜へ行こうとしていたその前日、仕事帰りの電車が大雨で運転見合わせになって足止めを食ってしまい、横浜行きの準備も全くできていない焦りもある中で再開までの時間を潰そうと入ったナゴヤキネマ・ノイでちょうど上手くタイムテーブルがハマっていたのがこの映画でした。2021年の作品で、翌2022年に日本でもロードショーされましたがその頃は観れずに終わってしまった一本が、全く思いもかけない形で機会が巡って来ました。

 アニメーションという媒体が持つ意外なほどの強みを感じさせてくれる作品です。基本的に映画は映画監督ラスムセンがアミンにインタビューし、彼の半生を聞き取る形で展開します。当時のニュース映像のフッテージなど実写映像も多く使われていますが大半はアニメーションで語られます。過酷な内容故に実写では凄惨になり過ぎることもアニメであればそれを抑えることができ、なおかつ感情移入もしやすくなるように思われます。比較的シンプルな描線で枚数も決して多くない今作はビジュアルに抑制が効いていながらも温かみがあり、主役であるアミンの「語り」を邪魔していません。そして何より今作に限って言えば全てが明らかにされれば「法」の庇護を失ってしまうアミンや関係者たちの身体と生命の安全を図れるというのが最大のメリットでしょう。こう言った方向でアニメーションを最大限活用している作品は初めて観た気がします。

 国を追われたアミンたち。しかし彼らの敵は戦争だけではない。逃げ込んだロシアでは難民として認定されず就労ビザも無いので不法滞在者扱い。ソ連から崩壊したばかりのロシアは社会機構が硬直していて彼らを助けられるほどの力は無く警官は腐敗して弾圧しながら金品をせしめて行く。どうにか脱出しようにも密航業者はそのほとんどが難民を食い物にする連中ばかり。さらに悪いことにアミンはゲイであることを自認しています。イスラム原理主義であるタリバン支配下となったアフガニスタンではアミンの生きられる場所はありません。出身国に強制送還される結末だけは何としても避けなければならない。どれだけマイルドに描かれていても息が詰まるような状況の連続です。アミンが生き抜けて来たのは彼に類稀なる力があったからではなく微かな幸運の糸をどうにか掴み取れただけに過ぎません。

 実はドキュメンタリーをアニメーションでもって語るという手法は意外なほど古いです。2008年にはアリ・フォルマンが1982年のレバノン内戦での自身の経験をもとにアニメ化した「戦場でワルツを」という作品がありますし、更に遡れば1918年に漫画家ウインザー・マッケイがイギリス船籍の客船ルシタニア号がドイツのUボートに沈没させられた、いわゆる「ルシタニア号事件」のてん末を描いた「ルシタニア号の沈没」があります。戦争やそれに翻弄された人々について語った作品が多いところに宿命のようなものを感じますね。

 まあ正直言ってライブを観に遠征しようかという前の晩に観るような映画ではないことだけは確かですが(笑)、それでも心震える一本との出会いは嬉しいものです。
 今も世界は変わっておらず、各地で哀しみが降り積もっています。だからこそ観る価値のある一本です。私は周回遅れも良いところでスクリーン鑑賞の機会を掴まえましたが、単に観るだけならAmazonプライムなどで観られます。戦争に思いを馳せる機会が増えるこの時期、こう言ったアプローチから考えてみるのもまた有意義な時間となるでしょう。

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昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。と言いながらすいません、今回欠席してます。
 私みたいなお太り様ではちょっとヤバいくらいの汗ダルマになってしまうような暑さの中、横浜まで行って来ました。

 こんばんは、小島@監督です。

 さて、昨日はKアリーナ横浜にて
THE IDOLM@STER 765PRO ALLSTARS LIVE ~NEVER END IDOL!!!!!!!!!!!!!~
day2を観てきました。765プロオールスターズ3年ぶりの単独ライブ、前回はまだコロナ禍で声出しができなかったのでそれもOKとなると恐らくは7年ぶりではないかと思われるライブです。叶うならday1も観たかったのですが、職場の事情でどうしてもどちらかしか観られない状況だったので早い段階でチケットを入手出来たday2のみに絞っての鑑賞になりました。

 後でセットリストを確認してみるとday1は懐かしい曲を入れ込ませながらも結構新しい試みを取り込んでいて懐古主義に陥らない作りをしており、現地勢できなかった上にちょうど開演時間中仕事帰りの電車が止まってしまって配信もリアルタイム視聴が叶わないという残念過ぎるあり様にぐぬぬしたとは言えその挑戦を忘れない姿勢を好ましく思っていました。さて、ではそれを踏まえてday2はもっと先を見据えた感じになるのかと思っていたら違いました。20年間の集大成を、4時間弱の時間の中で限界以上に詰め込んでみせてきました。

 不動のテーマ曲「THE IDOLM@STER」で開幕した後は「GO MY WAY‼︎」「relations」など最初期の楽曲が次から次へと飛び出します。中にはライブでの披露が10年以上ぶりなんてものもあったのではないでしょうか。そうでなくても「CDに収録されていたメンバーで」の披露が実は初めてというのもあったりして、古参の方ほど刺さってしまうようなセットリスト。敢えて今、そのアイドルの原点もしくはターニングポイントとなるような楽曲を「今の出演者が出し得る全力で」見せてくる、そんなパフォーマンスの数々は、楽曲もキャラクターもただ過去に置いてきた思い出を懐かしむためだけのものには絶対にしない意思をひしひしと感じさせます。出演者の中には自分より歳上の方もいますが彼女たちがステージを駆け回る姿は惚れ惚れする程にカッコ良い。そうだ、いつだってこの人たちは全力だった。

 ライブの最後にはプロデュース初日を終えたプロデューサーへ向け、これをいつか目にする日が来ることを願ってアイドルがそれぞれにメッセージを収録するという内容の映像が用意され、その後「ねえ最初に出会った日、覚えているかな?」という歌詞で始まる夢を追うアイドルたちの希望と決意に加えてプロデューサーへの感謝を込める名曲「Destiny」へと繋げる趣向には、何をやっていてこの後何を歌うかの予想も付いていたのですがそれでも避けられない破壊力がありました。

 20周年も終わりではなく通過点の一つにする思い、新たなブランドが立ち世界が広がっていく中でも最前線で妹や弟たちに背中を見せていくことを決めた矜持と覚悟に震え、気付けば何だかよく分からないくらいに泣きながらライブを観ていました。
 アイマスに少しでも興味をお持ちならぜひ今回のライブの配信をどうぞご覧になってみてください。私が十数年追い続けたアイドルたちはこんなにもカッコいいんですよ。私も負けていられない。

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先日、「ストリーマー」という韓国のB級ホラーを観ていたら(正直出来はイマイチなのであまりお薦めはしません(笑))、主人公たちが廃墟の中で古いカレンダーを見つけて盛り上がるシーンがあったのですが、それが1988年というところに私の中のナニかが大ダメージ。そうね!20代の人にとっては生まれる前よね!!でもソウルオリンピックをリアルタイムで見てたクチにはまあまあショックよ!

 こんばんは、小島@監督です。
 20世紀も気づけばだいぶ遠くに。おぅふ。

 さて、今回の映画は「スーパーマン」です。

 崩壊した惑星クリプトンから地球に送り込まれたカル=エルは心優しいケント夫妻に育てられ、今はクラーク・ケント(デイビッド・コレンスエット)として大手新聞社「デイリープラネット」で記者として暮らす一方で地球の平和と人々を守る超人「スーパーマン」として日々戦い続けていた。
 だが、スーパーマンを敵視する天才科学者にして億万長者のレックス・ルーサー(ニコラス・ホルト)によりスーパーマンを破滅させるための陰謀が静かに進行していた。

 2013年製作の「マン・オブ・スティール」から始まった「DCエクステンデッド・ユニバース」が一旦幕を閉じ、「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」を手掛けたジェームズ・ガンがトップに就任して新たなユニバースを展開させることになり、その第一弾になります。ジェームズ・ガンらしい陽性で明るい大活劇でユニバースの門出を華々しく飾ります。

 冒頭からして意表を突いてくる作品です。スーパーマンはその知名度からしてもう改めてオリジンのエピソードを語り直さなくても良いという判断なのか、最初のカットの字幕でスーパーマンが3年前にヒーローデビューしたことがシンプルに語られ、何ならヒロインであるロイス・レイン(レイチェル・ブロスナハン)とももう恋仲になっていてほぼ説明無しで舞台が整っている状態で、かつスーパーマンがレックス・ルーサーの策にハマってヴィランにボコボコにされたところから始まります(笑)。いわゆる「マーベル・シネマティック・ユニバース」以降ヒーロー映画が量産されたことで「文法」のようなものが浸透してきたことや「スターウォーズ」のように最初にあらすじを見せた先達もいるからこそ可能になった手段と言えますね。

 「マン・オブ・スティール」や続編の「バットマンvsスーパーマン」ではザック・スナイダー監督はスーパーマンをキリストのメタファーとして描き、ダークでシリアスな作風の中でキリスト教的精神を体現する崇高な雰囲気を持ったものとなっていましたが、ジェームズ・ガンの描く新たなスーパーマンは人間臭く不完全で、それ故に自身の手で抱えきれない時は他に助力を求められる柔軟さを持っています。
 そのため「スーパーマン」というタイトルながらワンマン映画ではなくミスター・テリフィック(エディ・ガテギ)、グリーン・ランタン(ネイサン・フィリオン)、ホークガール(イザベラ・メルセド)らヒーロー仲間が次々と登場し、初っ端からチーム戦が展開します。特にミスター・テリフィックは主役顔負けの大活躍。そしてこの「無敵のスーパーマン」でないことが終盤の展開に生きてきてヒーロー映画らしい熱さをたたえたクライマックスが待っています。

 そしてこの映画のもう一つの大きなポイントが超パワーを持つスーパードッグ・クリプト。やんちゃな性格の飼い犬のあるあるがこれでもかとばかりに詰め込まれたマスコットキャラクターで犬を飼ったことが無くても「何かこんな動きしてる犬見たことある!」と思ってしまう人も多いのでは。その奔放さでスーパーマンどころかレックス・ルーサーさえも翻弄されてしまうクリプトの可愛らしさが今作の絶妙なアクセントになっています。

 極めて出来の良い作品なのですが「鬼滅の刃」大旋風の煽りを受けて公開から半月しか経過していないのにもう隅に追いやられてしまっているのが正直もったいないくらい。「ファンタスティック4」も封切られて「ジュラシック・ワールド」の新作も控えている手前割りを食いっぱなしになりそうなので鑑賞を検討している方はお早めに。

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蓋を開ければ与党の大敗と既存のスタイルの限界が見えたような今回の参院選。皆さま投票には行かれましたでしょうか。こういう祭りは参加してこそです。旧来からの政党が伸び悩む一方で新興勢力も台頭する多党体制の兆しが見え、先行きがなかなか見えないですね。

 こんばんは、小島@監督です。
 いやでもホント取り敢えず手取りをもう少し増やしておくれ。

 さて、今回の映画は「鬼滅の刃無限城編第一章猗窩座再来」です。

 決戦の時は来た。産屋敷耀哉(声・森川智之)の策略により一度は鬼舞辻無惨(声・関俊彦)を追い詰めるに至るが、無惨は逆に鬼殺隊を無限城に追い込み全滅を図る。無数の鬼たちの襲来をかわしながら胡蝶しのぶ(声・早見沙織)は上弦の弐・童磨(声・宮野真守)と、我妻善逸(声・下野紘)は上弦の陸・獪岳(声・細谷佳正)と対峙する。そして竈門炭治郎(声・花江夏樹)と冨岡義勇(声・櫻井孝宏)は上弦の参・猗窩座(声・石田彰)と因縁の再会を果たす。

 2020年、コロナ禍に喘いだ日本映画界を救い史上最高興収を叩き出した「鬼滅の刃無限列車編」、そこからTVシリーズにフィールドを戻して「遊郭編」「刀鍛冶の里編」「柱稽古編」と進みいよいよ最終章となる「無限城編」が三部作の劇場版として公開が始まりました。封切り後の初週は全国のシネコンで軒並み1日20回以上、中には40回に達する破格の上映体制が組まれ3連休というカレンダーも手伝ってその多くで満席かそれに近い集客を獲得し僅か3日で興収50億(!)を突破する勢いを見せています。

 異様なほどの期待を背負っての公開となった今作ですが、さすがはufo table。軽々と超えて来ます。というか期待したものが最高純度でお出しされてくる時間がみっちり続く驚異の映像体験が待っています。
 原作の主題と描写を吟味し整理できるところは整理しながらアニメでしかやれないカメラワークと表現に昇華させる映像、精緻な音響設計とフィルムに合わせて書き上げられた椎名豪・梶浦由紀コンビによる音楽のダイナミズム、「こんな演技できるの!?」と言いたくなるくらいに次から次へと飛び出す実力派声優たちの名演、これらが混然となり観客を圧倒する時間が155分間1秒も余さず続きます。

 物語は「無限列車編」の終盤で突如登場し煉獄杏寿郎と死闘を繰り広げ、炭治郎たちにとってもターニングポイントとなった猗窩座との対決が中心となり、ちょうど「無限列車編」と対になっている構図です。「無限列車編」では単に強さに固執している面だけが強調されていた猗窩座の背景が明らかになります。「鬼滅の刃」という作品は鬼となった者のバックボーンが物語にがっちり組み込まれる時とそうでない時とあって、ハイボリュームなアクションで押す仕様はどれも変わらないものの「遊郭編」のように強く組み込まれてる時の方がドラマとしてより面白くなる傾向にあり、今作はまさにそのパターン。ドラマとアクションの高次元で充実しているだけでなく密度も恐ろしく高く、上映中何気無く腕時計を見たら「こんなにがっつり見せてもらえているのにまだ1時間ちょっとしか経ってない!?」という時間感覚がおかしくなるような密度をしています。

 これ単体で既に尋常じゃない面白さながらこれでまだ第一章。まだいくつも山場が控えています。取り敢えず早く続きが観たい!という渇望を胸に劇場へ再度足へ運んでしまいたくなるので完全にチョロい(笑)現代日本における商業アニメーションの極致かつ最高峰、ネタバレに怯えるタイプの作品ではないので初動の過熱が落ち着いてからでも充分ですが是非スクリーンで味わっていただきたいですね。

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