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ちゅうカラぶろぐ


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皆さん、明けましておめでとうございます。今年は元旦がいきなり担当日ということで、年明けから通常営業!そんなわけで今年もよろしくお願いします。

 こんばんは、小島@監督です。

 さて、そんな2024年最初の映画は、「ウィッシュ」です。

 地中海の沖合の島にあるロサス王国、偉大な魔法使いマグニフィコ王(声・クリス・パイン、吹替・福山雅治)が治めるその国は「願いが叶う国」と呼ばれていた。そこで暮らす少女アーシャ(声・アリアナ・デボーズ、吹替・生田絵梨花)の願いは間もなく100歳の誕生日を迎える祖父サビーノ(声・ヴィクター・ガーヴァー、吹替・鹿賀丈史)の願いが叶うこと。しかしアーシャは国民全ての願いをマグニフィコ王が支配している事を知ってしまう。皆の願いを取り戻したいと願うアーシャに、「願い星」が応え、スターが空から舞い降りるのだった。

 昨年2023年はウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年に当たるメモリアルイヤーでした。それを記念して製作されたミュージカルアニメです。
 まず本編開始前に上映される短編「ワンス・アポン・ア・スタジオ」がいきなり圧巻です。ディズニースタジオにミッキーやミニーを始め白雪姫やティンカーベル、ベイマックスやニック&ジュディなどディズニーの数々の作品を彩ってきたキャラクター達が総登場する賑やかなお祭り作品ですが、ほんの一言の為だけに原語版も吹替版も極力オリジナルキャストを揃えてくれているほか、一部はライブラリ音声を使用しており、この令和に何と山田康雄さんや大塚周夫さんが出演する新作が観られます。

 煌びやかに100周年を祝う短編を経て始まる「ウィッシュ」本編も、例えば願い星スターはミッキーマウスから着想して作り上げられたキャラクターで、その表情や仕草もミッキーマウスを取り入れたものになっているなどディズニー映画の数々の要素を散りばめた作品になっています。いくつかはホームページでも紹介されていますが全て見つけ出すとなると結構大変では?というくらいに多種多様に詰め込まれています。

 物語の方もファンタジーから現実へ踏み出し自身の理想へ向けて歩き出す近年の主流を力強いナンバーで見せるスタイルで、一見すると単純な映画ではあるのですが、マグニフィコ王の一筋縄ではいかない人物造形と共に思いのほか複雑さを内包しています。次々と外から人が移住してくるロサス王国はそのまま移民の国アメリカの戯画化でしょうし、人々の願いを集めながらそれを私欲に使い、自身への脅威を国へのそれと同一視し力に溺れていくマグニフィコ王の姿は、作品の企画が動き出したのは2018年らしいことを思えば先のトランプ政権を重ねて見ることもできそうです。
 ディズニー作品はある時期から政治的なファクターを暗喩として忍ばせるというよりは割と率直に見せに来てしまう悪癖を抱えていますが、良くも悪くも今作でもそれが踏襲されてしまっています。このある種のきな臭さ、私は少し鼻についてしまいました。

 一方で今回私は吹替版で観たのですが、特にアーシャ役生田絵梨花とマグニフィコ王役福山雅治が共に素晴らしい演技と歌唱で物語を牽引してくれるのは特筆すべき今作の魅力です。この2人の演技のためにスクリーンで観るだけの価値はあると言い切ってしまえるくらいです。更に言うと石丸幹二や武内駿輔、尾上松也、松たか子ら尋常じゃないメンバーがモブ役でアンサンブル出演しているのも豪華です。
 全体的に観て創立100周年を謳うならもう一つ大きな弾みを見せて欲しかった気もしますが、トータルでは良くできた映画です。吹替版の出来が良いのでスケジュールが合うものを気軽に選んで良いのも長所。ポリティカル・コレクトネスの臭みが隠しきれていないのは自国だけでなく最初から世界を相手にしないといけないことへの難しさもあるのでしょう。100周年を超えて、その難しさと折り合いを付けつつそれでも傑作を生み出せる強さをまた見せて欲しいですね。

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