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ちゅうカラぶろぐ


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ここ数日妙に疲労感が強くて体が重かったこともあってこの連休は半分は寝て過ごしてました。こんなにひたすら眠っていたのは何だか久しぶりな気がします。たまにはこんな休日の過ごし方も良いかな。
 こんばんは、小島@監督です。
 そして起きている時間は何故か「サガフロンティア」やってました。以前ゲームアーカイブスで購入してPS VITAに落としてプレイしていたのですが、途中でメモリーカードのデータが破損して挫折。今度はちゃんとエンディングまで行きたいのぅ。

 さて、今回の映画は「散り椿」です。

 享保15年、元扇野藩士・瓜生新兵衛(岡田准一)は藩内の不正を訴えたが聞き入れられず藩を追われ、妻・篠(麻生久美子)を伴って京に移り住んでから8年の歳月が流れていた。しかしそれだけの時間を経てもなお藩から刺客が差し向けられ襲撃される落ち着かない日々を過ごしていた。
 重病を患っており自身の死期が近いことを悟った篠は新兵衛にある「約束」を託し藩に戻って欲しいと告げる。
 篠が息を引き取った後、新緑の頃、新兵衛は扇野藩へと帰ってきた。それによりかつて藩を揺らした不正騒ぎの関係者たちの心がざわめく。再び藩内に陰謀の風が吹き荒れようとしていた…

 冒頭の雪が降るなか新兵衛が刺客に襲撃されるシーンから映画全編その全てのショットが切り出せば絵になりそうな息を呑むほどに美しい映像に圧倒される時代劇の登場です。昨年12月に亡くなった葉室麟の小説を原作に、脚本には「雨あがる」(2000年製作)「博士の愛した数式」(2006年製作)などの小泉堯史、音楽には「NHKスペシャル 映像の世紀」(1995年)やドラマ「白い巨塔」(2003年)など幅広く活躍する加古隆、監督は1970年代から撮影監督として数多くの作品に関わり、2009年「剱岳 点の記」以降は監督としても活躍する、80歳を目前にしても精力的に映画製作を続ける木村大作が手掛けています。木村大作は黒澤明のもとで下積みをしていた経験があるほか、小泉堯史も黒澤明のもとで長く助監督をしていた経歴があり、こだわりの強い画作りなどに黒澤明の遺伝子を感じさせる1本になっています。

 この映画、いろいろ見所はあるのですが、まず主演岡田准一の存在感が半端無いです。その居住まいや所作だけでなく殺陣のキレが一人だけ別格で違います。共演している西島秀俊や池松壮亮なども決して悪くない(むしろ上手い)のですがそういう部分ではなくそもそも格闘家として鍛錬量が違うというか良くそんな低い体勢で綺麗に構えられるなと感心する体幹の据わり方が凄いです。もうこの惚れ惚れするような動きを観てるだけで充分払ったお金分の価値はあるグレードに達しています。実は岡田准一はいくつかのシーンで殺陣の監修も行っているほかワンシーンだけながら撮影も行っており演技以外の関与度合いが大きいのもポイントです。
 あと個人的には本気になったら真顔で(というか虚ろに近い表情で)敵を叩き斬る西島秀俊の殺陣もなかなか印象的だったのでこの辺りは推したい。
 
 そして先述の画の美しさが本当に見事です。このデジタル全盛のご時世に敢えてフィルムカメラをそれも同時に5台も回す多重撮影を行い緊張感の高い凛とした映像世界を作り上げています。しかもオールロケ。撮影手法からオールドスタイルですが、そういうものだからこそ成し得る「画」があるのだということを実感させてくれます。
 一方で物語そのものは出来たそばから古典的な印象が強く良くも悪くも「時代劇」なため、これで良いと思う方も食い足りなく感じる方もいらっしゃるでしょう。登場人物の心情を演技で見せる部分と台詞で語る部分のバランスがかなり際どい所にあるためこの語り口が綺麗にハマる人は実はそう多くないかもしれません。

 欠点はそれなりにあるとは言え圧倒的な画の力で見せる映画ゆえ、観てみるならやはりスクリーンでの鑑賞をお薦めしたい作品です。これぞ日本映画というその粋をどうぞ堪能してみてください。

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