先週、アニメーション作家の第一人者であった高畑勲さんがお亡くなりに。
それまでデフォルメされた感情表現が主流であったアニメーションに繊細な感情表現を持ち込んだほか、社会生活や自然環境などを綿密に調査し作品に取り込むなどし、何より「特別でない市井の人物を主役に据えても作品を成功させられる」ことを証明してみせて日本のアニメーションの方向性を大きく変えた人物です。
東映動画(現・東映アニメーション)在籍時代に熱心な労働組合活動を行っていたことでも知られ、アニメーターの地位向上を訴え続けた方でもありその活動の中で出会った宮崎駿監督に大きな思想的影響を与えた人物でもあります。
興行成績的な話で言えばいくつもの作品で大赤字を出している(1999年製作の「ホーホケキョ となりの山田くん」ではDVDなどソフトや関連商品の売上で最終的に黒字化を成功させるが興行収入では製作費の半分も回収できなかった)ので宮崎駿氏の足下にも及ばないレベルですが(苦笑)、彼がいなければ日本のアニメーションは現在のような成長は遂げなかったでしょう。
2000年を過ぎて以降は監督作品こそ「かぐや姫の物語」1本だけであるものの、「キリクの魔女」といった海外アニメーションの翻訳や「レッドタートル ある島の物語」のプロデュースなど晩年まで精力的にアニメーションの現場に関わり続けました。
ご高齢だったとは言え惜しい方を亡くしました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
こんばんは、小島@監督です。
しかし追悼特集で作品を放送してくれるのは嬉しいのですが何もよりによりによって一番重たい「火垂るの墓」にしなくても…却って気が滅入ってしまう(苦笑)
さて、今回の映画は「映画プリキュアスーパースターズ!」です。
野乃はな(声・引坂理恵)たちは、はぐたん(声・多田このみ)に花畑を楽しんでもらうべく、郊外へと出かけて行った。はぐたんと共に満開の花々を満喫するはなたち。ところがそこに突然巨大な怪物が現れた。「ウソバーッカ」(声・北村一輝)と名乗るその怪物の攻撃に翻弄され、さあや(声・本泉莉奈)とほまれ(声・小倉唯)がさらわれてしまう。
ウソバーッカは更にほかのプリキュアたちも打倒すべくその場を去って行った。はなはウソバーッカの姿に微かに記憶をかすめるものを感じるが、まずは危機を伝えるべく宇佐美いちか(声・美山加恋)へと会いに行くのだった。
毎年恒例となった春のプリキュアシリーズ・クロスオーバー映画、今年は現在放送中の「HUGっと!プリキュア」を物語の主軸に、「キラキラ☆プリキュアアラモード」と「魔法つかいプリキュア!」のキャラクター達総勢12人が登場し華やかで賑やかな物語が展開します。
短い上映時間(約70分前後)とフォーマットと制約が極めて多い中で様々な工夫を凝らすこのシリーズを毎回感心しながら観ていますが、今作もなかなかに見せてくれます。
今作最大の特徴は全編に散りばめられたアイルランドをモチーフとしたビジュアルの数々です。主人公・はなが幼い頃に家族で旅行し不思議な妖精クローバー(声・小野賢章)と出会った街はアイルランドの首都ダブリンですし、そのクローバーもアイルランドのシンボルがシャムロック(クローバーのこと)から名前とデザインのモチーフにしているようです。また、そのクローバーが「力」を使う時などに画面に現れる独特な紋様があるのですが、それらはアイルランドの国宝であり「世界で最も美しい本」と言われる聖書の手写本「ケルズの書」の装飾に施された紋様がビジュアルモチーフになっています。
また、音楽面でも新たに書き起こされたBGMの多くがケルティック・サウンドがベースになっていたりとコンセプトが統一されているのが大きなポイントです。
余談ですが、今作の公開日は3月17日。アイルランドでは「聖パトリック・デー」という祝祭日で、アイルランドにキリスト教を広めた聖人・聖パトリックの命日に当たります。「聖パトリック・デー」はアイルランドに限らず世界各地でパレードが行われていたりしますが、日本では横浜や表参道などでパレードが行われていたりアイリッシュ・パブでフェアが開催されたりするほかは知名度はまだそれほどでもなく、作中でも特に「聖パトリック・デー」について言及されてはいません(パンフレットでは触れられている)。ひょっとしたら子供たちに訴求力の高いプリキュアで印象付けて今後押していきたいオトナの意向が働いているのかもしれませんが。
劇場用作品だけあって作画のレベルも総じて高く、アクションは勿論のこと「そこでそんなにグリグリ動かしますか?」と言いたくなるような、むしろコメディシーンで無駄に躍動感出していたりするのが楽しく、ダレることなく最後まで突っ走ります。
物語については重要なポイントである「約束」の落としどころがいささか安易に感じられる部分があるのが難点ですが、そもそも全体の尺が短いので掘り下げ方としては必要十分は満たしているといえるでしょう。
今年シリーズ15周年を迎えたプリキュア。何かいろいろ仕掛けてくる気満々のようです。その皮切りともいえるこの映画は、シリーズの原動力は充分に感じられる一本です。登場作品やキャラクター達に愛着のある方もそうでない方も、この機会に観てみるのも一興ですよ。
それまでデフォルメされた感情表現が主流であったアニメーションに繊細な感情表現を持ち込んだほか、社会生活や自然環境などを綿密に調査し作品に取り込むなどし、何より「特別でない市井の人物を主役に据えても作品を成功させられる」ことを証明してみせて日本のアニメーションの方向性を大きく変えた人物です。
東映動画(現・東映アニメーション)在籍時代に熱心な労働組合活動を行っていたことでも知られ、アニメーターの地位向上を訴え続けた方でもありその活動の中で出会った宮崎駿監督に大きな思想的影響を与えた人物でもあります。
興行成績的な話で言えばいくつもの作品で大赤字を出している(1999年製作の「ホーホケキョ となりの山田くん」ではDVDなどソフトや関連商品の売上で最終的に黒字化を成功させるが興行収入では製作費の半分も回収できなかった)ので宮崎駿氏の足下にも及ばないレベルですが(苦笑)、彼がいなければ日本のアニメーションは現在のような成長は遂げなかったでしょう。
2000年を過ぎて以降は監督作品こそ「かぐや姫の物語」1本だけであるものの、「キリクの魔女」といった海外アニメーションの翻訳や「レッドタートル ある島の物語」のプロデュースなど晩年まで精力的にアニメーションの現場に関わり続けました。
ご高齢だったとは言え惜しい方を亡くしました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
こんばんは、小島@監督です。
しかし追悼特集で作品を放送してくれるのは嬉しいのですが何もよりによりによって一番重たい「火垂るの墓」にしなくても…却って気が滅入ってしまう(苦笑)
さて、今回の映画は「映画プリキュアスーパースターズ!」です。
野乃はな(声・引坂理恵)たちは、はぐたん(声・多田このみ)に花畑を楽しんでもらうべく、郊外へと出かけて行った。はぐたんと共に満開の花々を満喫するはなたち。ところがそこに突然巨大な怪物が現れた。「ウソバーッカ」(声・北村一輝)と名乗るその怪物の攻撃に翻弄され、さあや(声・本泉莉奈)とほまれ(声・小倉唯)がさらわれてしまう。
ウソバーッカは更にほかのプリキュアたちも打倒すべくその場を去って行った。はなはウソバーッカの姿に微かに記憶をかすめるものを感じるが、まずは危機を伝えるべく宇佐美いちか(声・美山加恋)へと会いに行くのだった。
毎年恒例となった春のプリキュアシリーズ・クロスオーバー映画、今年は現在放送中の「HUGっと!プリキュア」を物語の主軸に、「キラキラ☆プリキュアアラモード」と「魔法つかいプリキュア!」のキャラクター達総勢12人が登場し華やかで賑やかな物語が展開します。
短い上映時間(約70分前後)とフォーマットと制約が極めて多い中で様々な工夫を凝らすこのシリーズを毎回感心しながら観ていますが、今作もなかなかに見せてくれます。
今作最大の特徴は全編に散りばめられたアイルランドをモチーフとしたビジュアルの数々です。主人公・はなが幼い頃に家族で旅行し不思議な妖精クローバー(声・小野賢章)と出会った街はアイルランドの首都ダブリンですし、そのクローバーもアイルランドのシンボルがシャムロック(クローバーのこと)から名前とデザインのモチーフにしているようです。また、そのクローバーが「力」を使う時などに画面に現れる独特な紋様があるのですが、それらはアイルランドの国宝であり「世界で最も美しい本」と言われる聖書の手写本「ケルズの書」の装飾に施された紋様がビジュアルモチーフになっています。
また、音楽面でも新たに書き起こされたBGMの多くがケルティック・サウンドがベースになっていたりとコンセプトが統一されているのが大きなポイントです。
余談ですが、今作の公開日は3月17日。アイルランドでは「聖パトリック・デー」という祝祭日で、アイルランドにキリスト教を広めた聖人・聖パトリックの命日に当たります。「聖パトリック・デー」はアイルランドに限らず世界各地でパレードが行われていたりしますが、日本では横浜や表参道などでパレードが行われていたりアイリッシュ・パブでフェアが開催されたりするほかは知名度はまだそれほどでもなく、作中でも特に「聖パトリック・デー」について言及されてはいません(パンフレットでは触れられている)。ひょっとしたら子供たちに訴求力の高いプリキュアで印象付けて今後押していきたいオトナの意向が働いているのかもしれませんが。
劇場用作品だけあって作画のレベルも総じて高く、アクションは勿論のこと「そこでそんなにグリグリ動かしますか?」と言いたくなるような、むしろコメディシーンで無駄に躍動感出していたりするのが楽しく、ダレることなく最後まで突っ走ります。
物語については重要なポイントである「約束」の落としどころがいささか安易に感じられる部分があるのが難点ですが、そもそも全体の尺が短いので掘り下げ方としては必要十分は満たしているといえるでしょう。
今年シリーズ15周年を迎えたプリキュア。何かいろいろ仕掛けてくる気満々のようです。その皮切りともいえるこの映画は、シリーズの原動力は充分に感じられる一本です。登場作品やキャラクター達に愛着のある方もそうでない方も、この機会に観てみるのも一興ですよ。
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