昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
週末天候が不安定な状況であったため、参加者数はイマイチなのでは…?と思いきや初参加の方も含めてかなりの数に。皆さん凄い。
ところでその歌会のさなかに妙にデカいトートバッグをやり取りしてる光景を目撃した方、多かろうと思います。その正体はコレ。
「一番くじアイドルマスターシンデレラガールズPart1」です。
ちゅうカラのアイマスP10人で共同出資し一番くじをロット買い(総額83,000円、景品数100点)しました。写真中央上部の赤いボックスは「ラストワン賞」の渋谷凛フィギュア(A賞の物と色違い)です。実は賞品で一番配分がデリケートだったのはフィギュアではなく写真左部の色紙。全部で10種あるのですが各種1点ずつしかない(フィギュアは2点あるものもある)ために「欲しい対象の各人の重要度を比較して配分」という状況。私の場合、特に2枚の内の下の「北条加蓮」は絶対に譲れない。346プロにおける私の担当は彼女なのだ。
こんばんは、小島@監督です。
それにしても「Part1」という表記がコワイ!Partいくつまであるんだ…⁉
さて、今回の映画は「白鯨との闘い」です。
1850年、気鋭の作家ハーマン・メルヴィル(ベン・ウィショー)は、自身に届けられた手紙を受けある男の元を訪ねていた。男の名はトム・ニカーソン(ブレンダン・グリーソン)。苦悩の末、トムは自身の体験を語り始めた…
1819年、船長ジョージ・ポラード(ベンジャミン・ウォーカー)、一等航海士オーウェン・チェイス(クリス・ヘムズワース)を擁する捕鯨船エセックス号はナンタケットを出港し、太平洋を目指した。そこで彼らを残酷な運命が待っているとも知らずに…
メルヴィルの傑作「白鯨」、そのベースになったといわれるエセックス号遭難事件を映画化した作品です。
事件の舞台となった19世紀前半は捕鯨の最盛期で、アメリカ沿岸部からそれこそ世界中の海へ出航していきました。1853年のペリーの浦賀来航など日本史にもその影響が及んだ時期でもあります。目的は鯨肉ではなく鯨油。19世紀前半当時鯨油はろうそくなどの灯火用、機械用潤滑油、マーガリン原料等多用途に用いられており捕鯨は一大産業でした。また同時に鯨骨も多くの家具や工芸品に利用されました。この流れは1859年にペンシルベニア州で機械掘削による油井が出現したこと、1863年にロックフェラーが石油精製業に乗り出し大量生産を可能にするまで続いていきます。また、19世紀半ばに発生したカリフォルニア・ゴールドラッシュにより労働者が鉱山へ大量流出したことも衰退の一因ともいわれています。
話を映画の方に戻しましょう。
エセックス号は鯨を求め世界中の海を旅し、そして「白鯨」に出会います。しかしタイトルに「闘い」とありますが、この映画の骨子はメルヴィルの小説のように狂気じみた白鯨への追跡行ではありません。むしろ白鯨との遭遇戦すら物語を構成する一要素に過ぎません。そこに至るまでの航海、そして白鯨と遭遇したその先こそが重要視されて作られています。怒りの「咆哮」とも悲痛な「絶叫」のようにも見える大自然からの痛烈な反撃を受けてその厳しさを真正面から受けざるを得なくなった男たちの全ての日々こそが「闘い」そのものとして描かれます。
それ故映画は主人公である一等航海士チェイスや船長ポラードの主観ではなく新米船乗りであった若き日のトム(演じるのはトム・ホランド)の昔語りとして語られる構成を取るほか全体的に冷静で俯瞰的な視座を取っているのもポイントです。
映像面でちょっと印象的だったのがカメラの位置。時折捕鯨用のヤスの先やマスト、ボトルシップの瓶口など妙なアングルでの映像が挿入されるのがユニーク。3D上映もあるためのちょっとした工夫なのかもしれませんが、映画の中で良いアクセントになっています。
タイトルから人智を超えた怪物とのバトルを中心にしたスペクタクルを期待すると肩透かしを食いますが、人間と大自然との関わり方を追求した重厚なエンターテインメントとして高いレベルを誇った重い印象を残す一本です。年末年始の超大作攻勢が一段落したこの時期、こういう作品はいかがでしょうか。
週末天候が不安定な状況であったため、参加者数はイマイチなのでは…?と思いきや初参加の方も含めてかなりの数に。皆さん凄い。
ところでその歌会のさなかに妙にデカいトートバッグをやり取りしてる光景を目撃した方、多かろうと思います。その正体はコレ。
「一番くじアイドルマスターシンデレラガールズPart1」です。
ちゅうカラのアイマスP10人で共同出資し一番くじをロット買い(総額83,000円、景品数100点)しました。写真中央上部の赤いボックスは「ラストワン賞」の渋谷凛フィギュア(A賞の物と色違い)です。実は賞品で一番配分がデリケートだったのはフィギュアではなく写真左部の色紙。全部で10種あるのですが各種1点ずつしかない(フィギュアは2点あるものもある)ために「欲しい対象の各人の重要度を比較して配分」という状況。私の場合、特に2枚の内の下の「北条加蓮」は絶対に譲れない。346プロにおける私の担当は彼女なのだ。
こんばんは、小島@監督です。
それにしても「Part1」という表記がコワイ!Partいくつまであるんだ…⁉
さて、今回の映画は「白鯨との闘い」です。
1850年、気鋭の作家ハーマン・メルヴィル(ベン・ウィショー)は、自身に届けられた手紙を受けある男の元を訪ねていた。男の名はトム・ニカーソン(ブレンダン・グリーソン)。苦悩の末、トムは自身の体験を語り始めた…
1819年、船長ジョージ・ポラード(ベンジャミン・ウォーカー)、一等航海士オーウェン・チェイス(クリス・ヘムズワース)を擁する捕鯨船エセックス号はナンタケットを出港し、太平洋を目指した。そこで彼らを残酷な運命が待っているとも知らずに…
メルヴィルの傑作「白鯨」、そのベースになったといわれるエセックス号遭難事件を映画化した作品です。
事件の舞台となった19世紀前半は捕鯨の最盛期で、アメリカ沿岸部からそれこそ世界中の海へ出航していきました。1853年のペリーの浦賀来航など日本史にもその影響が及んだ時期でもあります。目的は鯨肉ではなく鯨油。19世紀前半当時鯨油はろうそくなどの灯火用、機械用潤滑油、マーガリン原料等多用途に用いられており捕鯨は一大産業でした。また同時に鯨骨も多くの家具や工芸品に利用されました。この流れは1859年にペンシルベニア州で機械掘削による油井が出現したこと、1863年にロックフェラーが石油精製業に乗り出し大量生産を可能にするまで続いていきます。また、19世紀半ばに発生したカリフォルニア・ゴールドラッシュにより労働者が鉱山へ大量流出したことも衰退の一因ともいわれています。
話を映画の方に戻しましょう。
エセックス号は鯨を求め世界中の海を旅し、そして「白鯨」に出会います。しかしタイトルに「闘い」とありますが、この映画の骨子はメルヴィルの小説のように狂気じみた白鯨への追跡行ではありません。むしろ白鯨との遭遇戦すら物語を構成する一要素に過ぎません。そこに至るまでの航海、そして白鯨と遭遇したその先こそが重要視されて作られています。怒りの「咆哮」とも悲痛な「絶叫」のようにも見える大自然からの痛烈な反撃を受けてその厳しさを真正面から受けざるを得なくなった男たちの全ての日々こそが「闘い」そのものとして描かれます。
それ故映画は主人公である一等航海士チェイスや船長ポラードの主観ではなく新米船乗りであった若き日のトム(演じるのはトム・ホランド)の昔語りとして語られる構成を取るほか全体的に冷静で俯瞰的な視座を取っているのもポイントです。
映像面でちょっと印象的だったのがカメラの位置。時折捕鯨用のヤスの先やマスト、ボトルシップの瓶口など妙なアングルでの映像が挿入されるのがユニーク。3D上映もあるためのちょっとした工夫なのかもしれませんが、映画の中で良いアクセントになっています。
タイトルから人智を超えた怪物とのバトルを中心にしたスペクタクルを期待すると肩透かしを食いますが、人間と大自然との関わり方を追求した重厚なエンターテインメントとして高いレベルを誇った重い印象を残す一本です。年末年始の超大作攻勢が一段落したこの時期、こういう作品はいかがでしょうか。
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ひょんな流れから昨日現在も劇場版が公開中の「ガールズ&パンツァー」のTVシリーズ全12話を一気見することに。劇場版が面白かったのでその内観ようとは思っていたのですが思いもよらない形でその機会が巡ってきました。
マニアックに作るならいっそこれくらいやってくれた方が清々しい、半端無い戦車へのこだわりが楽しいですね。あんこうさんチームを筆頭に様々なキャラクター達への愛着も湧いてきたので、上映期間終わる前にもう一度劇場版を観てみたいかも。大洗にもいずれ足を運んでみなければな(笑)
こんばんは、小島@監督です。
そうそう前回歌会でのじゃんけん大会でゲットしたマンゴスチン・ワインも遂に飲んでみました。
甘口かと思ったらかなりの辛口!微かにマンゴスチンの香りが残っているものの果実保有の糖分をほぼ発酵させている上に樽熟成させた造りになっているようで、ちょっと癖の強い味でしたが、たまたまあったレアチーズケーキとの相性が抜群でした(笑)
さて、今回の映画は「完全なるチェックメイト」です。
アメリカ合衆国とソビエト連邦が世界を二つに分けていた冷戦時代。1972年夏、アイスランド首都レイキャビクで一つの「戦争」が勃発していた。アメリカ代表ボビー・フィッシャー(トビー・マグワイア)とソ連代表ボリス・スパスキー(リーヴ・シュレイバー)によるチェスの世界選手権である。全24局の勝敗を以て決する世界選手権、初戦はスパスキーの勝利に終わり、その2戦目、なんとフィッシャーは会場に現れず不戦敗となった。
ニュースキャスターは煽る「フィッシャーは次に何をしでかすのか?」と。果たしてフィッシャーは対局場という「戦場」に戻れるのだろうか。
冷戦期、それは武力による全面戦争が起きない代わりにスポーツやアートなど様々な分野で米ソの、いわば「代理戦争」が起きていた時期でもあります。そんな中で開催された1972年のチェス世界選手権での戦いを軸に、ボビー・フィッシャーという一人の天才の半生を追った物語がこの映画です。
映画はまず第2局でフィッシャーが対局をボイコットしたエピソードを見せた後過去へ遡り幼いフィッシャーがチェスの才能を開花させ、早熟の天才がチェスの世界で成功していく様を描き出していきます。ま~そこで描出されるフィッシャーのめんどくさい人物像と言ったら!
重要な試合でも気に入らなければ即座に棄権し、自身の望む対局環境や法外な報酬を要求、周囲やマスコミに対して無礼な暴言を吐く傍若無人な自信家。IQ187という頭脳を持ちながら荒唐無稽な陰謀論を頭から信じ込み「盗聴されてるに違いない」と片っ端から部屋の電話を壊してしまう妄想癖。それでいて純粋なまでに正直な努力家。長くチェスの世界に君臨していたソ連を打倒すべくフィッシャーをアメリカの兵士に育てようと野心的な弁護士も近づきますが結局はフィッシャーに振り回される羽目になります。このフィッシャーをトビー・マグワイアが「鬼気迫る」と表現してもいいほどの凄みで演じ上げています。
チェスについてはルールを知っておいた方がより楽しいのは確かでしょうが、全く知らなくても楽しむのに問題無いようにきめの細かな演出がなされ頭脳と神経を限界以上にまで酷使する頂上決戦を展開します。この辺り「グローリー」(1989年製作デンゼル・ワシントン主演)、「ラスト・サムライ」(2003年製作トム・クルーズ、渡辺謙主演)などの戦争ドラマで知られる監督エドワード・ズウィックの練達の手腕によるものでしょう。
チェスの世界で成功していくほどに神経を病んでいき言動が常軌を逸していくフィッシャーを観ていると、チェスが早い段階でコンピューターに凌がれてしまった理由が何となく分かるような気がします。「何千何万と選択肢があっても正解は一つだけ」で「いかに最短最速でその正解を掴むかが重要」で「ミスるとリカバリーが難しい」なんて極めようとするならまともな神経では耐えられようはずがありませんし、それは確かにコンピューターこそが得意とする分野でしょう。
実は日本とも縁浅からぬ人物であるボビー・フィッシャー。あまり映画でも取り上げられない題材ですし、この機会に盤上の「戦争」を味わってみてはいかがでしょうか。
マニアックに作るならいっそこれくらいやってくれた方が清々しい、半端無い戦車へのこだわりが楽しいですね。あんこうさんチームを筆頭に様々なキャラクター達への愛着も湧いてきたので、上映期間終わる前にもう一度劇場版を観てみたいかも。大洗にもいずれ足を運んでみなければな(笑)
こんばんは、小島@監督です。
そうそう前回歌会でのじゃんけん大会でゲットしたマンゴスチン・ワインも遂に飲んでみました。
甘口かと思ったらかなりの辛口!微かにマンゴスチンの香りが残っているものの果実保有の糖分をほぼ発酵させている上に樽熟成させた造りになっているようで、ちょっと癖の強い味でしたが、たまたまあったレアチーズケーキとの相性が抜群でした(笑)
さて、今回の映画は「完全なるチェックメイト」です。
アメリカ合衆国とソビエト連邦が世界を二つに分けていた冷戦時代。1972年夏、アイスランド首都レイキャビクで一つの「戦争」が勃発していた。アメリカ代表ボビー・フィッシャー(トビー・マグワイア)とソ連代表ボリス・スパスキー(リーヴ・シュレイバー)によるチェスの世界選手権である。全24局の勝敗を以て決する世界選手権、初戦はスパスキーの勝利に終わり、その2戦目、なんとフィッシャーは会場に現れず不戦敗となった。
ニュースキャスターは煽る「フィッシャーは次に何をしでかすのか?」と。果たしてフィッシャーは対局場という「戦場」に戻れるのだろうか。
冷戦期、それは武力による全面戦争が起きない代わりにスポーツやアートなど様々な分野で米ソの、いわば「代理戦争」が起きていた時期でもあります。そんな中で開催された1972年のチェス世界選手権での戦いを軸に、ボビー・フィッシャーという一人の天才の半生を追った物語がこの映画です。
映画はまず第2局でフィッシャーが対局をボイコットしたエピソードを見せた後過去へ遡り幼いフィッシャーがチェスの才能を開花させ、早熟の天才がチェスの世界で成功していく様を描き出していきます。ま~そこで描出されるフィッシャーのめんどくさい人物像と言ったら!
重要な試合でも気に入らなければ即座に棄権し、自身の望む対局環境や法外な報酬を要求、周囲やマスコミに対して無礼な暴言を吐く傍若無人な自信家。IQ187という頭脳を持ちながら荒唐無稽な陰謀論を頭から信じ込み「盗聴されてるに違いない」と片っ端から部屋の電話を壊してしまう妄想癖。それでいて純粋なまでに正直な努力家。長くチェスの世界に君臨していたソ連を打倒すべくフィッシャーをアメリカの兵士に育てようと野心的な弁護士も近づきますが結局はフィッシャーに振り回される羽目になります。このフィッシャーをトビー・マグワイアが「鬼気迫る」と表現してもいいほどの凄みで演じ上げています。
チェスについてはルールを知っておいた方がより楽しいのは確かでしょうが、全く知らなくても楽しむのに問題無いようにきめの細かな演出がなされ頭脳と神経を限界以上にまで酷使する頂上決戦を展開します。この辺り「グローリー」(1989年製作デンゼル・ワシントン主演)、「ラスト・サムライ」(2003年製作トム・クルーズ、渡辺謙主演)などの戦争ドラマで知られる監督エドワード・ズウィックの練達の手腕によるものでしょう。
チェスの世界で成功していくほどに神経を病んでいき言動が常軌を逸していくフィッシャーを観ていると、チェスが早い段階でコンピューターに凌がれてしまった理由が何となく分かるような気がします。「何千何万と選択肢があっても正解は一つだけ」で「いかに最短最速でその正解を掴むかが重要」で「ミスるとリカバリーが難しい」なんて極めようとするならまともな神経では耐えられようはずがありませんし、それは確かにコンピューターこそが得意とする分野でしょう。
実は日本とも縁浅からぬ人物であるボビー・フィッシャー。あまり映画でも取り上げられない題材ですし、この機会に盤上の「戦争」を味わってみてはいかがでしょうか。
ようやくいろいろが落ち着いてきたので昨年から棚上げになっている事のいくつかに手を付け始めています。
その筆頭として遂に「メタルギアソリッド5ザ・ファントムペイン」始めました!ええ!購入から実に4か月も経過してようやくPS4起動です!相変わらず最近のハードはセットアップに時間かかるなコンチクショー!
こんばんは、小島@監督です。
ま~エンディングまでに何か月かかるか分かりませんがじっくり進めていきます。
さて、今回の映画は「美術館を手玉にとった男」です。
2011年、アメリカ各州の美術館に展示されていた大量の絵画が実は贋作であることが発覚した。
それは実に奇妙で特殊な贋作事件であった。1人の男が多くの学芸員やキュレーターすら騙し切る精巧な贋作を次々と製作しては大金で売却するのでなく無償で寄贈していたのだ。
男の名はマーク・ランディス。30年以上の長きに渡り贋作を美術館に寄贈し続け、騙された美術館は全米で20州46館に上った。当時オクラホマシティ美術館に勤務していたマシュー・レイニンガーが贋作群の存在に気づき各州の美術館に確認を取ったことでニューヨーク・タイムズなどのマスメディアも事件を知り大々的に報道。FBIまでも捜査に乗り出すが金銭授受の証拠が一切無かったゆえに立件にまでは至れなかった。
この映画は、贋作を作り続ける男マーク・ランディスと彼を追う男マシュー・レイニンガー、そして彼らを取り巻く人々、それぞれの苦悩と良心を描き出すドキュメンタリー。
映画の内容で何が一番驚くってこれがフィクションじゃなくてドキュメンタリーだというその一点に尽きる実にユニークな作品です。
主だった美術館がその権威を失墜させられたこの逸話は高額の美術品の寄贈が常態化しているアメリカだからこそ起き得た事件ともいえますが、それとてマーク・ランディスという奇妙で不世出な天才なくしては成り立たないというのが面白い。
この作品はまず当人へのインタビューなどを交えてランディスの人物像を探り当てようとします。
統合失調症をはじめ複数の精神疾患を患うランディスがインタビューを通じて語る言葉は恐らく単純な共感とは相容れないものばかりでしょう。映像を観るに自身の行為がそもそもなぜ美術館が迷惑がっているか理解しきってはいないのではないかという気もします。その反面、美大在学経験を持つとはいえほぼ独力で本物と見紛うほどの精巧な贋作を作り上げる手腕の見事さにはある種の感嘆を抱かずにはいられません。
そしてこの映画にはもう一人主人公がいます。ランディスの贋作第一発見者マシュー・レイニンガーです。彼もまた奇妙なまでに執念に駆り立てられランディスを追い続け、こだわりすぎたがゆえに当時勤めていた美術館を失職してしまったことをインタビューで語ります。しかしだからと言って追跡を諦めない。この映画はランディスとレイニンガー、2人の姿を交互に描きまるで「逃亡者」か「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」か何かを思い起こさせるような作りになっていますが、しかしドキュメンタリーであるがゆえに類型的なライバル関係には収まらない2人の関係性に複雑な印象を観る者に与えます。
この映画は共感しにくい人物のユニークな事件を描いた作品ではありますが、根底にあるのは社会的な疎外感に耐えた男が社会と関わるために自身ができることに全力を尽くそうとする姿であり、そこには普遍的な「人生」があります。
編集の妙というか、ドキュメンタリーにしては作劇を意識した起承転結がかなりはっきり分かる構成になっているので普段こういったジャンルを見慣れない人にも比較的見やすい作品になっているはず。
名古屋での公開は既に終了してしまっていますが、どこかでふっと出会う機会が出来たなら、この風変わりで魅力的な作品を味わってみてほしいですね。
その筆頭として遂に「メタルギアソリッド5ザ・ファントムペイン」始めました!ええ!購入から実に4か月も経過してようやくPS4起動です!相変わらず最近のハードはセットアップに時間かかるなコンチクショー!
こんばんは、小島@監督です。
ま~エンディングまでに何か月かかるか分かりませんがじっくり進めていきます。
さて、今回の映画は「美術館を手玉にとった男」です。
2011年、アメリカ各州の美術館に展示されていた大量の絵画が実は贋作であることが発覚した。
それは実に奇妙で特殊な贋作事件であった。1人の男が多くの学芸員やキュレーターすら騙し切る精巧な贋作を次々と製作しては大金で売却するのでなく無償で寄贈していたのだ。
男の名はマーク・ランディス。30年以上の長きに渡り贋作を美術館に寄贈し続け、騙された美術館は全米で20州46館に上った。当時オクラホマシティ美術館に勤務していたマシュー・レイニンガーが贋作群の存在に気づき各州の美術館に確認を取ったことでニューヨーク・タイムズなどのマスメディアも事件を知り大々的に報道。FBIまでも捜査に乗り出すが金銭授受の証拠が一切無かったゆえに立件にまでは至れなかった。
この映画は、贋作を作り続ける男マーク・ランディスと彼を追う男マシュー・レイニンガー、そして彼らを取り巻く人々、それぞれの苦悩と良心を描き出すドキュメンタリー。
映画の内容で何が一番驚くってこれがフィクションじゃなくてドキュメンタリーだというその一点に尽きる実にユニークな作品です。
主だった美術館がその権威を失墜させられたこの逸話は高額の美術品の寄贈が常態化しているアメリカだからこそ起き得た事件ともいえますが、それとてマーク・ランディスという奇妙で不世出な天才なくしては成り立たないというのが面白い。
この作品はまず当人へのインタビューなどを交えてランディスの人物像を探り当てようとします。
統合失調症をはじめ複数の精神疾患を患うランディスがインタビューを通じて語る言葉は恐らく単純な共感とは相容れないものばかりでしょう。映像を観るに自身の行為がそもそもなぜ美術館が迷惑がっているか理解しきってはいないのではないかという気もします。その反面、美大在学経験を持つとはいえほぼ独力で本物と見紛うほどの精巧な贋作を作り上げる手腕の見事さにはある種の感嘆を抱かずにはいられません。
そしてこの映画にはもう一人主人公がいます。ランディスの贋作第一発見者マシュー・レイニンガーです。彼もまた奇妙なまでに執念に駆り立てられランディスを追い続け、こだわりすぎたがゆえに当時勤めていた美術館を失職してしまったことをインタビューで語ります。しかしだからと言って追跡を諦めない。この映画はランディスとレイニンガー、2人の姿を交互に描きまるで「逃亡者」か「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」か何かを思い起こさせるような作りになっていますが、しかしドキュメンタリーであるがゆえに類型的なライバル関係には収まらない2人の関係性に複雑な印象を観る者に与えます。
この映画は共感しにくい人物のユニークな事件を描いた作品ではありますが、根底にあるのは社会的な疎外感に耐えた男が社会と関わるために自身ができることに全力を尽くそうとする姿であり、そこには普遍的な「人生」があります。
編集の妙というか、ドキュメンタリーにしては作劇を意識した起承転結がかなりはっきり分かる構成になっているので普段こういったジャンルを見慣れない人にも比較的見やすい作品になっているはず。
名古屋での公開は既に終了してしまっていますが、どこかでふっと出会う機会が出来たなら、この風変わりで魅力的な作品を味わってみてほしいですね。
皆さん明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。
ま~正直なところこの年末年始は30日まで仕事して年明けも2日から出勤だったので正月感はほぼゼロだったんですが(苦笑)贅沢は言わないからたまには三連休したい。
こんばんは、小島@監督です。
それはそれとして新年歌会ではマンゴスチン・ワインなんて面白い物をゲットできてホクホクでした。酒のプロの末席に身を置く者としてはこういうあまり馴染みの無い物に好奇心そそられてしまいます。飲んだら感想をアップしなくては。
さて、2016年1発目となる今回の映画は「ガールズ&パンツァー劇場版」です。
華道、茶道と並び戦車を用いた武道「戦車道」が大和撫子の嗜みとされている世界、戦車道全国高校生大会で優勝を収めた西住みほ(声・渕上舞)ら大洗女子学園の面々は、優勝記念として知波単学園とともにダージリン(声・喜多村英梨)率いる聖グロリアーナ学園とカチューシャ(声・金元寿子)らを擁するプラウダ学園混成チームとのエキシビジョン・マッチを行っていた。
試合後、健闘を称え温泉で親交を深めていたみほたち。そこに、生徒会長角谷杏(声・福園美里)を緊急召喚せよとの報が入る。後刻、杏からみほたちに全国大会優勝によって回避されたはずの大洗女子学園廃校が決定したとの知らせがもたらされるのであった。
実のところ公開直後あたりから例によってTVシリーズは観ていないにも関わらず少なからぬ方から「いいから是非観に行ってくれ」と薦められてまして、昨年暮れのちゅうカラ忘年会に参加する前にちょうどいいタイミングだからと観に行ってきました。
鑑賞した時点で既に公開4週目か5週目だったのですが、場内ほぼ満席という状況に少なからず驚きました。しかも恐らく結構なパーセンテージでリピーターの方が多そうな雰囲気。愛されてる作品だなと思います(笑)
全編通して30人以上のキャラクターが登場するとあって、正直なところ初見ではほとんどのキャラの名前が頭に入ってきません(苦笑)しかし、それだけの人数を登場させながら「プラウダ学園」や「あんこうチーム」「ツインテールのパスタ」などの作中でのポジションがコンスタントかつ明確に示してくれるおかげで「まったく見分けがつかない」という事態に陥らないあたりに巧さを感じます。
この巧みさは物語にも活かされ、ポンポンと歯切れよくエピソードが繰り出されダレる隙も少なく、序破急をかっちり踏まえて終盤へ向けてテンポアップしてゆく、実に手堅い作りをしています。もっとも、多すぎる人物故にエピソードの掘り下げが今一つ足りない部分があるのは否めませんが、物語以上に「劇場版」という「お祭り感」を重視して作られている映画なので、これはこういうものでよいのでしょう。
この映画を何より他のアニメ映画と明確に差別化しているのは音響面です。最大の肝が「戦車戦」であるため、豊富な種類の戦車の駆動音や射撃音、弾道の風切り音などが大迫力かつ綿密な設計の元に組み上げられ、映画館では文字通り音響に包まれる感覚を味わいます。その音響を最大限に活かしながら、かつアニメならではのハッタリのきいたアイディアをふんだんに盛り込んで展開される戦車戦こそがこの映画の醍醐味です。
よほど高価な音響システムを用意しない限りは自宅では体感不可能な、「これぞ映画」と言って差し支えない部分でしょう。特殊な音響設備を用い、この映画の音響監督を務めた岩浪美和氏自身が出向いて調整を行った立川シネマシティでは全日全回特別音響での爆音上映を行いファンから大好評を得ているというのも分かります。もし上映館の選択が可能であるならより音響の良い場所を選んだ方がより深く楽しめる類の作品であることは間違いないでしょう。
キャラが把握しきれない以外は確かに初見でもあまり問題は無い(笑)、日本アニメの底力を感じさせてくれる作品です。既に封切から2か月近くが経過し、上映を終了する映画館も出てきていますが、まだまだ強い集客力を誇っています。興味のある方はぜひあの音響を体感しに行ってはいかがでしょうか。
ガルパンはいいぞ(笑)
ま~正直なところこの年末年始は30日まで仕事して年明けも2日から出勤だったので正月感はほぼゼロだったんですが(苦笑)贅沢は言わないからたまには三連休したい。
こんばんは、小島@監督です。
それはそれとして新年歌会ではマンゴスチン・ワインなんて面白い物をゲットできてホクホクでした。酒のプロの末席に身を置く者としてはこういうあまり馴染みの無い物に好奇心そそられてしまいます。飲んだら感想をアップしなくては。
さて、2016年1発目となる今回の映画は「ガールズ&パンツァー劇場版」です。
華道、茶道と並び戦車を用いた武道「戦車道」が大和撫子の嗜みとされている世界、戦車道全国高校生大会で優勝を収めた西住みほ(声・渕上舞)ら大洗女子学園の面々は、優勝記念として知波単学園とともにダージリン(声・喜多村英梨)率いる聖グロリアーナ学園とカチューシャ(声・金元寿子)らを擁するプラウダ学園混成チームとのエキシビジョン・マッチを行っていた。
試合後、健闘を称え温泉で親交を深めていたみほたち。そこに、生徒会長角谷杏(声・福園美里)を緊急召喚せよとの報が入る。後刻、杏からみほたちに全国大会優勝によって回避されたはずの大洗女子学園廃校が決定したとの知らせがもたらされるのであった。
実のところ公開直後あたりから例によってTVシリーズは観ていないにも関わらず少なからぬ方から「いいから是非観に行ってくれ」と薦められてまして、昨年暮れのちゅうカラ忘年会に参加する前にちょうどいいタイミングだからと観に行ってきました。
鑑賞した時点で既に公開4週目か5週目だったのですが、場内ほぼ満席という状況に少なからず驚きました。しかも恐らく結構なパーセンテージでリピーターの方が多そうな雰囲気。愛されてる作品だなと思います(笑)
全編通して30人以上のキャラクターが登場するとあって、正直なところ初見ではほとんどのキャラの名前が頭に入ってきません(苦笑)しかし、それだけの人数を登場させながら「プラウダ学園」や「あんこうチーム」「ツインテールのパスタ」などの作中でのポジションがコンスタントかつ明確に示してくれるおかげで「まったく見分けがつかない」という事態に陥らないあたりに巧さを感じます。
この巧みさは物語にも活かされ、ポンポンと歯切れよくエピソードが繰り出されダレる隙も少なく、序破急をかっちり踏まえて終盤へ向けてテンポアップしてゆく、実に手堅い作りをしています。もっとも、多すぎる人物故にエピソードの掘り下げが今一つ足りない部分があるのは否めませんが、物語以上に「劇場版」という「お祭り感」を重視して作られている映画なので、これはこういうものでよいのでしょう。
この映画を何より他のアニメ映画と明確に差別化しているのは音響面です。最大の肝が「戦車戦」であるため、豊富な種類の戦車の駆動音や射撃音、弾道の風切り音などが大迫力かつ綿密な設計の元に組み上げられ、映画館では文字通り音響に包まれる感覚を味わいます。その音響を最大限に活かしながら、かつアニメならではのハッタリのきいたアイディアをふんだんに盛り込んで展開される戦車戦こそがこの映画の醍醐味です。
よほど高価な音響システムを用意しない限りは自宅では体感不可能な、「これぞ映画」と言って差し支えない部分でしょう。特殊な音響設備を用い、この映画の音響監督を務めた岩浪美和氏自身が出向いて調整を行った立川シネマシティでは全日全回特別音響での爆音上映を行いファンから大好評を得ているというのも分かります。もし上映館の選択が可能であるならより音響の良い場所を選んだ方がより深く楽しめる類の作品であることは間違いないでしょう。
キャラが把握しきれない以外は確かに初見でもあまり問題は無い(笑)、日本アニメの底力を感じさせてくれる作品です。既に封切から2か月近くが経過し、上映を終了する映画館も出てきていますが、まだまだ強い集客力を誇っています。興味のある方はぜひあの音響を体感しに行ってはいかがでしょうか。
ガルパンはいいぞ(笑)
気づけばもう今年最終週。今年は何だかいろいろありすぎて早いような長いような、不思議な気分です。
今回のブログを書くために今年観た映画を振り返っていたのですが、「これって今年だったか」と思う作品がいくつかあって、自分の時間感覚にちょっと苦笑しています。
こんばんは、小島@監督です。
みなさんの2015年はどんな1年でしたか?
さて、今年最後の更新となる今回は今年観た57本(手元の記録より。ライブビューイング除く)の映画からベスト5をチョイス!
例年同様現在の鑑賞可能状況も併記します。
1.マッドマックス 怒りのデス・ロード
今年1本選ぶとしたらもうコレしかない!Witness me!V8!V8!
既にBlu-ray等がリリースされていますが、現在も各地でイベント上映が行われています。
2.野火
1人の男が戦場の極限を生きる姿を描いた作品。戦後70年という今年、国内外で第2次大戦を回顧する様々な作品が生まれましたが、最も重い余韻を残したのがコレ。ぜひ多くの方に観ていただきたい。
今夏公開された作品ですが、現在も各地のミニシアターで上映中。東海3県では今月26日より刈谷日劇で公開。また名古屋シネマスコーレでも来年アンコール上映の予定あり。ただ、DVD等のリリース予定は今のところ無いようです。
3.顔のないヒトラーたち
アウシュビッツ裁判開廷へ向け奮闘する若き検事の苦闘を描くドラマ。「野火」同様最も重量級の感銘を受けた洋画。現在各地のミニシアターで公開中。
4.アメリカン・スナイパー
クリント・イーストウッド監督が手掛けた、実在のスナイパー・クリス・カイルの生涯を描いた物語。凄腕のスナイパーをある種のヒーローとしては「描かない」、冷徹ともいえる視点に圧倒される。
Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
5.スターウォーズ フォースの覚醒
新たなる「神話」開幕。いろいろ深入りした話をするにはまだ早いかな(笑)
全国の映画館にてただいま絶賛公開中!
今年はかなり選出に迷いましたがベスト5はこんな感じです。続けて次点として印象に残った映画をご紹介。こちらは観た順に並べるので特に順位とかはないです。
・インターステラー
クリストファー・ノーランが手掛けるSF。昨年公開の作品ですが私が観たのが今年なので。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。というかもはや廉価版も発売中(笑)
・TATSUMI マンガに革命を起こした男
今年逝去した劇画家辰巳ヨシヒロの自伝的作品「劇画漂流」と短編6作品をアニメ化した逸品。現在DVD発売中。
・6才のボクが、大人になるまで
1人の少年が6才から18才になるまでの12年間を本当に12年かけて撮影した色んな意味で破格の作品。これも昨年公開の作品なんですが、私が観たのが今年なので。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・イミテーション・ゲーム
ドイツの暗号機エニグマの解読に挑む数学者アラン・チューリングの奮闘を描く。アラン役ベネディクト・カンバーバッチの演技が秀逸。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・セッション
プロドラマーを目指す青年と鬼教官とのいわば「殺し合い」を描く音楽映画。圧巻のクライマックスを是非堪能してほしいところ。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・シンデレラ
ディズニーのリーサルウェポンの実写化。これがかなり骨太な作品で面白い。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・BORUTO -NARUTO THE MOVIE
ナルトの息子ボルトの活躍と「NARUTO」のエピローグ的位置づけのエピソードを描くアニメ。円熟味を感じる語り口に躍動感溢れる作画で期待以上にハイレベルな逸品。既に公開は終了。Blu-ray等のソフトは来年7月発売予定。
・ナイトクローラー
小悪党がパパラッチの世界でのし上がっていく様を描いた異色の成長譚。主演ジェイク・ギレンホールの演技がとてもコワイ。現在も各地で上映中。東海3県では豊田市のトヨタグランドでただいま公開中。Blu-ray等は来年2月19日リリース予定。
・僕たちの家に帰ろう
少数民族ユグル族の兄弟が夏休みに親のところへと帰るまでを描くロードムービー。物語自体はシンプルだがその向こうに見えるものが奥深い佳品。残念ながら既に公開が終了している上にソフトの発売も未定のままというのが惜しい。
・蒼き鋼のアルペジオ アルス・ノヴァCadenza
技術の進歩による映像表現の進化を今年一番見せつけたアニメ映画。「どうかしてる」は褒め言葉である。公開はほぼ終了。Blu-ray等は3月19日発売予定。
・ミッションインポッシブル ローグ・ネイション
トム・クルーズ製作・主演のシリーズ最新作。「どういう作品であるべきか」というものに対して一切の迷いが無い清々しさが作品の質を上げている。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・キングスマン
何故かスパイ映画花盛りだった今年、居並ぶ作品群にあって異色の輝きを放つ逸品。サヴィル・ロウに身を包んだエージェントが世界を混乱に陥れようとする陰謀に立ち向かう。これまでのスパイ映画のパロディを含めシニカルなブラックユーモアが横溢する。「Manner makes Man(マナーが紳士を作る)」Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
こんなところでしょうか。今年は佳作良作ボンクラ映画、どこを取っても「大当たり」といえる作品が続出。ここで取り上げていない中にも綺羅星のような輝きを放つ作品もあり、まさに当たり年でした。正直仕事が忙しくて鑑賞本数60本に届かなかったのが残念でならないくらいです。来年も豊作だと嬉しいなぁ。どんな映画に会えるのか、今から楽しみです。
今回のブログを書くために今年観た映画を振り返っていたのですが、「これって今年だったか」と思う作品がいくつかあって、自分の時間感覚にちょっと苦笑しています。
こんばんは、小島@監督です。
みなさんの2015年はどんな1年でしたか?
さて、今年最後の更新となる今回は今年観た57本(手元の記録より。ライブビューイング除く)の映画からベスト5をチョイス!
例年同様現在の鑑賞可能状況も併記します。
1.マッドマックス 怒りのデス・ロード
今年1本選ぶとしたらもうコレしかない!Witness me!V8!V8!
既にBlu-ray等がリリースされていますが、現在も各地でイベント上映が行われています。
2.野火
1人の男が戦場の極限を生きる姿を描いた作品。戦後70年という今年、国内外で第2次大戦を回顧する様々な作品が生まれましたが、最も重い余韻を残したのがコレ。ぜひ多くの方に観ていただきたい。
今夏公開された作品ですが、現在も各地のミニシアターで上映中。東海3県では今月26日より刈谷日劇で公開。また名古屋シネマスコーレでも来年アンコール上映の予定あり。ただ、DVD等のリリース予定は今のところ無いようです。
3.顔のないヒトラーたち
アウシュビッツ裁判開廷へ向け奮闘する若き検事の苦闘を描くドラマ。「野火」同様最も重量級の感銘を受けた洋画。現在各地のミニシアターで公開中。
4.アメリカン・スナイパー
クリント・イーストウッド監督が手掛けた、実在のスナイパー・クリス・カイルの生涯を描いた物語。凄腕のスナイパーをある種のヒーローとしては「描かない」、冷徹ともいえる視点に圧倒される。
Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
5.スターウォーズ フォースの覚醒
新たなる「神話」開幕。いろいろ深入りした話をするにはまだ早いかな(笑)
全国の映画館にてただいま絶賛公開中!
今年はかなり選出に迷いましたがベスト5はこんな感じです。続けて次点として印象に残った映画をご紹介。こちらは観た順に並べるので特に順位とかはないです。
・インターステラー
クリストファー・ノーランが手掛けるSF。昨年公開の作品ですが私が観たのが今年なので。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。というかもはや廉価版も発売中(笑)
・TATSUMI マンガに革命を起こした男
今年逝去した劇画家辰巳ヨシヒロの自伝的作品「劇画漂流」と短編6作品をアニメ化した逸品。現在DVD発売中。
・6才のボクが、大人になるまで
1人の少年が6才から18才になるまでの12年間を本当に12年かけて撮影した色んな意味で破格の作品。これも昨年公開の作品なんですが、私が観たのが今年なので。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・イミテーション・ゲーム
ドイツの暗号機エニグマの解読に挑む数学者アラン・チューリングの奮闘を描く。アラン役ベネディクト・カンバーバッチの演技が秀逸。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・セッション
プロドラマーを目指す青年と鬼教官とのいわば「殺し合い」を描く音楽映画。圧巻のクライマックスを是非堪能してほしいところ。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・シンデレラ
ディズニーのリーサルウェポンの実写化。これがかなり骨太な作品で面白い。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・BORUTO -NARUTO THE MOVIE
ナルトの息子ボルトの活躍と「NARUTO」のエピローグ的位置づけのエピソードを描くアニメ。円熟味を感じる語り口に躍動感溢れる作画で期待以上にハイレベルな逸品。既に公開は終了。Blu-ray等のソフトは来年7月発売予定。
・ナイトクローラー
小悪党がパパラッチの世界でのし上がっていく様を描いた異色の成長譚。主演ジェイク・ギレンホールの演技がとてもコワイ。現在も各地で上映中。東海3県では豊田市のトヨタグランドでただいま公開中。Blu-ray等は来年2月19日リリース予定。
・僕たちの家に帰ろう
少数民族ユグル族の兄弟が夏休みに親のところへと帰るまでを描くロードムービー。物語自体はシンプルだがその向こうに見えるものが奥深い佳品。残念ながら既に公開が終了している上にソフトの発売も未定のままというのが惜しい。
・蒼き鋼のアルペジオ アルス・ノヴァCadenza
技術の進歩による映像表現の進化を今年一番見せつけたアニメ映画。「どうかしてる」は褒め言葉である。公開はほぼ終了。Blu-ray等は3月19日発売予定。
・ミッションインポッシブル ローグ・ネイション
トム・クルーズ製作・主演のシリーズ最新作。「どういう作品であるべきか」というものに対して一切の迷いが無い清々しさが作品の質を上げている。Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
・キングスマン
何故かスパイ映画花盛りだった今年、居並ぶ作品群にあって異色の輝きを放つ逸品。サヴィル・ロウに身を包んだエージェントが世界を混乱に陥れようとする陰謀に立ち向かう。これまでのスパイ映画のパロディを含めシニカルなブラックユーモアが横溢する。「Manner makes Man(マナーが紳士を作る)」Blu-ray/DVD/ダウンロード版発売中。
こんなところでしょうか。今年は佳作良作ボンクラ映画、どこを取っても「大当たり」といえる作品が続出。ここで取り上げていない中にも綺羅星のような輝きを放つ作品もあり、まさに当たり年でした。正直仕事が忙しくて鑑賞本数60本に届かなかったのが残念でならないくらいです。来年も豊作だと嬉しいなぁ。どんな映画に会えるのか、今から楽しみです。
昨日はショーグンさん主催のちゅうカラ忘年会に参加してきました。ここ数年ずっと開催日と私の出勤日が重なってしまっていたため、忘年会に参加できたのは結構久しぶりです。最近は歌会後の素材屋での食事会にも参加できていませんでしたし、何だか久しぶりに味わう雰囲気を堪能しました。
こんばんは、小島@監督です。
来年はもう少し食事会にも参加できるようになりたいのぅ…
さて、今回の映画は「スターウォーズ フォースの覚醒」です。
ええ、初日初回に観に行きましたよ!そのために休み取りましたからね!
過剰なタイアップはともかく、予告編やチラシですらストーリーについて全くネタバレをせずにやりきった公式に敬意を表して今回は粗筋の記載は致しません。また今回のブログもストーリーには極力触れない方向で行きます。
前作「エピソード3シスの復讐」から10年ぶりに新作が公開です。この超大作をジョージ・ルーカスから引き継いだのはJ・J・エイブラムス。「エイリアス」「LOST」などのドラマシリーズを手掛けた手腕が評価され、「ミッション:インポッシブル3」で初監督。その後「スタートレック」のリブート2作品でも高い評価を受けています。ある意味最も手堅い人選といえるでしょう。
ちなみにジョージ・ルーカスはもともと「スターウォーズ」を9部作として構想していたことが知られていますが、今回の作品はその初期構想とも違うそうです。ルーカス氏は今回ほとんど製作には携わっていないとか。
だからと言って作品が残念などという事はありません。今作はこの壮大な叙事詩に新たな系譜を刻み込むに足るだけの「格」を十分に備えています。
ストーリーにしろキャラクターにしろ原典(特にエピソード4から6までの旧3部作)に対しての非常に高いリスペクトを下地にしながらも、エイブラムスがドラマで培った手腕を遺憾なく発揮している部分もあり、ある種古典とも言える物語に現代的な風を吹き込んでいるのが特徴です。
ストーリーに盛り込まれている要素の多さを思えばだいぶテンポの良い映画ではありますが、序盤いささかもっさりしてるところもあり(これも原典へのリスペクトなのか…も…?)、また、キャラクターの心情より物語の進行を優先しているように感じられる箇所もところどころにあり、1本の映画としては粗が多いと言わざるを得ませんが、提示されたドラマや世界観の広がり、ラストの引きなど3部作の序章としては満点に近い出来といえるでしょう。
もっともエイブラムス氏は風呂敷を広げるのは上手いものの畳み方にイマイチ難がある印象なので先々一抹の不安はあるのですが(苦笑)
とはいえ粗があろうが何だろうが、先ずはこの新たな叙事詩の誕生を素直に喜びたい気分です。
既にシリーズのファンの方、30年の時を刻んだハン・ソロやレイア姫、30年経っても変わらないC-3POやR2-D2、チューバッカといったお馴染みのキャラクターたちがあなたの来訪を待っています。
まだ「スターウォーズ」をちゃんとは観たことの無い方、この機会にこの壮大な世界に触れてみませんか?1本の映画の公開がこれほど祝祭的な気分を作り上げてくれる、それをずっと待っているファンがいる、そんな作品はそうそうありませんよ。
そうそう、最後にもう一つだけ。今作は、かつてブッ飛んだ意訳や誤訳で少なからぬファンにトラウマを植え付けた戸田奈津子御大が字幕担当ではありません。こういったSFやアクション物の字幕監修で定評のある林完治氏が担当しております。字幕版しか時間が合わないなんて方も安心してお入りください(笑)!
こんばんは、小島@監督です。
来年はもう少し食事会にも参加できるようになりたいのぅ…
さて、今回の映画は「スターウォーズ フォースの覚醒」です。
ええ、初日初回に観に行きましたよ!そのために休み取りましたからね!
過剰なタイアップはともかく、予告編やチラシですらストーリーについて全くネタバレをせずにやりきった公式に敬意を表して今回は粗筋の記載は致しません。また今回のブログもストーリーには極力触れない方向で行きます。
前作「エピソード3シスの復讐」から10年ぶりに新作が公開です。この超大作をジョージ・ルーカスから引き継いだのはJ・J・エイブラムス。「エイリアス」「LOST」などのドラマシリーズを手掛けた手腕が評価され、「ミッション:インポッシブル3」で初監督。その後「スタートレック」のリブート2作品でも高い評価を受けています。ある意味最も手堅い人選といえるでしょう。
ちなみにジョージ・ルーカスはもともと「スターウォーズ」を9部作として構想していたことが知られていますが、今回の作品はその初期構想とも違うそうです。ルーカス氏は今回ほとんど製作には携わっていないとか。
だからと言って作品が残念などという事はありません。今作はこの壮大な叙事詩に新たな系譜を刻み込むに足るだけの「格」を十分に備えています。
ストーリーにしろキャラクターにしろ原典(特にエピソード4から6までの旧3部作)に対しての非常に高いリスペクトを下地にしながらも、エイブラムスがドラマで培った手腕を遺憾なく発揮している部分もあり、ある種古典とも言える物語に現代的な風を吹き込んでいるのが特徴です。
ストーリーに盛り込まれている要素の多さを思えばだいぶテンポの良い映画ではありますが、序盤いささかもっさりしてるところもあり(これも原典へのリスペクトなのか…も…?)、また、キャラクターの心情より物語の進行を優先しているように感じられる箇所もところどころにあり、1本の映画としては粗が多いと言わざるを得ませんが、提示されたドラマや世界観の広がり、ラストの引きなど3部作の序章としては満点に近い出来といえるでしょう。
もっともエイブラムス氏は風呂敷を広げるのは上手いものの畳み方にイマイチ難がある印象なので先々一抹の不安はあるのですが(苦笑)
とはいえ粗があろうが何だろうが、先ずはこの新たな叙事詩の誕生を素直に喜びたい気分です。
既にシリーズのファンの方、30年の時を刻んだハン・ソロやレイア姫、30年経っても変わらないC-3POやR2-D2、チューバッカといったお馴染みのキャラクターたちがあなたの来訪を待っています。
まだ「スターウォーズ」をちゃんとは観たことの無い方、この機会にこの壮大な世界に触れてみませんか?1本の映画の公開がこれほど祝祭的な気分を作り上げてくれる、それをずっと待っているファンがいる、そんな作品はそうそうありませんよ。
そうそう、最後にもう一つだけ。今作は、かつてブッ飛んだ意訳や誤訳で少なからぬファンにトラウマを植え付けた戸田奈津子御大が字幕担当ではありません。こういったSFやアクション物の字幕監修で定評のある林完治氏が担当しております。字幕版しか時間が合わないなんて方も安心してお入りください(笑)!
昨日の歌会に参加された皆さん、お疲れ様でした。
今回はクリスマススペシャルという事でプレゼント交換がありましたが、皆さんは何をご用意して何を頂きましたか?
私は今回、今年誕生30周年にして2作目の舞台が今年2015年でもあった映画シリーズ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のBlu-ray BOXをご用意しました。今回初参加の方のもとに渡ったようで、楽しんでいただければ幸いです。
そしてゲットしたのはヒロキさんチョイスの「ピコファルコン」というトイヘリ(超小型のラジコンヘリ)。びっくりするほど小さいです。お正月にでも一度遊んでみよう。
こんばんは、小島@監督です。
歌会自体も今回はアイマスやったりうたプリやってみたりとガッツリ楽しめました。今月カラオケやる機会はもうなさそうなので、歌い納めとしては上々の気分です。
さて、今回の映画は「リトルプリンス 星の王子さまと私」です。
名門学校への受験のため、勉強漬けの毎日を送る少女(声・マッケンジー・フォイ)。母親(声・レイチェル・マクアダムズ)の言いつけと決めごとを守るしっかり者ではあるが、友人のいない寂しさを抱えている。
夏休みを前に名門校の学区内へ引っ越してきたが親子だったが、隣には風変わりな老人(声・ジェフ・ブリッジス)が住んでいた。
ある時少女が隣から飛んできた紙飛行機を何気なく開いてみると、そこには砂漠で遭難した飛行士が「星の王子」と名乗る少年と出会う物語が綴られていた…
飛行士にして作家であったアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの不朽の傑作「星の王子さま」、そのアニメ化にして原典にない「その後」を描き出す異色のアニメ映画です。
個人的には結構気に入っていても、さてそれを人に薦める際にどんな言葉を使ったものかちょっと悩む作品というのにたまに出会うことがありますが、この「リトルプリンス」はまさにその典型のような作品でした。
公開前に結構大々的な宣伝が展開されていましたが、これはかなり癖の強い、人を選ぶ作品です。
物語は前半老人が少女に自身の体験談として「星の王子さま」の物語を語り伝えていくことで展開します。言うまでもなく老人のモデルはサン=テグジュペリその人でしょう。1944年にコルシカ島で消息不明になった彼が現代に生きているかも、と思わせるその語り口にちょっぴり心が熱くなります。
また、面白いのは用いられている表現方法で、現代のパートはフルCGで、過去のパートはストップモーション(静止している物体を1コマごとに僅かずつ動かしながら撮影しあたかも連続して動いてるかのように見せる撮影技法)で製作され、アナログとデジタルが一つの映画の中で同じ世界観でもって共存しているというユニークなスタイルをしています。
登場人物の全てに固有名詞が無いのも特徴です。敢えて「名前」という「枠」をぼかすことで原作の持つ寓話性、幻想性を薄れないようにした工夫なのでしょう。こういった原作への底抜けのリスペクトは全編にわたって貫かれています。
で、この映画の何が難しいかといえば後半部分です。後半、少女はある決意を以て行動を起こします。そして「星の王子」のその後が描かれることになるのですが、こここそがこの映画の評価を大きく左右する部分です。「余計な部分」とみるか「見事な補完」とみるか、コレはもう観てもらう以外に無い、としか言いようがないのです。
ですが、「大人にならざるを得なかった人が、子供と子供だった大人たちへ向けて語っている」という「星の王子さま」の持つスタンスは決して殺してはいません。非常なリスペクトと愛情を以て作られたそれは、むしろ印象としては、「星の王子さま」を映像化する機会を得た監督マーク・オズボーン(代表作に「カンフー・パンダ」(2008年)など)が全霊を以て作り上げたファンレターのようにも見えます。
どういう感想を自分が抱くかをその目で確かめてみて欲しいですね。
そうそう、今回実は吹替えで観たのですが、これが結構出来がいいです。特に老人役津川雅彦とその津川雅彦が絶賛したという少女役鈴木梨央が絶品です。なので字幕・吹替え気にせず観に行ってみてください。
今回はクリスマススペシャルという事でプレゼント交換がありましたが、皆さんは何をご用意して何を頂きましたか?
私は今回、今年誕生30周年にして2作目の舞台が今年2015年でもあった映画シリーズ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のBlu-ray BOXをご用意しました。今回初参加の方のもとに渡ったようで、楽しんでいただければ幸いです。
そしてゲットしたのはヒロキさんチョイスの「ピコファルコン」というトイヘリ(超小型のラジコンヘリ)。びっくりするほど小さいです。お正月にでも一度遊んでみよう。
こんばんは、小島@監督です。
歌会自体も今回はアイマスやったりうたプリやってみたりとガッツリ楽しめました。今月カラオケやる機会はもうなさそうなので、歌い納めとしては上々の気分です。
さて、今回の映画は「リトルプリンス 星の王子さまと私」です。
名門学校への受験のため、勉強漬けの毎日を送る少女(声・マッケンジー・フォイ)。母親(声・レイチェル・マクアダムズ)の言いつけと決めごとを守るしっかり者ではあるが、友人のいない寂しさを抱えている。
夏休みを前に名門校の学区内へ引っ越してきたが親子だったが、隣には風変わりな老人(声・ジェフ・ブリッジス)が住んでいた。
ある時少女が隣から飛んできた紙飛行機を何気なく開いてみると、そこには砂漠で遭難した飛行士が「星の王子」と名乗る少年と出会う物語が綴られていた…
飛行士にして作家であったアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの不朽の傑作「星の王子さま」、そのアニメ化にして原典にない「その後」を描き出す異色のアニメ映画です。
個人的には結構気に入っていても、さてそれを人に薦める際にどんな言葉を使ったものかちょっと悩む作品というのにたまに出会うことがありますが、この「リトルプリンス」はまさにその典型のような作品でした。
公開前に結構大々的な宣伝が展開されていましたが、これはかなり癖の強い、人を選ぶ作品です。
物語は前半老人が少女に自身の体験談として「星の王子さま」の物語を語り伝えていくことで展開します。言うまでもなく老人のモデルはサン=テグジュペリその人でしょう。1944年にコルシカ島で消息不明になった彼が現代に生きているかも、と思わせるその語り口にちょっぴり心が熱くなります。
また、面白いのは用いられている表現方法で、現代のパートはフルCGで、過去のパートはストップモーション(静止している物体を1コマごとに僅かずつ動かしながら撮影しあたかも連続して動いてるかのように見せる撮影技法)で製作され、アナログとデジタルが一つの映画の中で同じ世界観でもって共存しているというユニークなスタイルをしています。
登場人物の全てに固有名詞が無いのも特徴です。敢えて「名前」という「枠」をぼかすことで原作の持つ寓話性、幻想性を薄れないようにした工夫なのでしょう。こういった原作への底抜けのリスペクトは全編にわたって貫かれています。
で、この映画の何が難しいかといえば後半部分です。後半、少女はある決意を以て行動を起こします。そして「星の王子」のその後が描かれることになるのですが、こここそがこの映画の評価を大きく左右する部分です。「余計な部分」とみるか「見事な補完」とみるか、コレはもう観てもらう以外に無い、としか言いようがないのです。
ですが、「大人にならざるを得なかった人が、子供と子供だった大人たちへ向けて語っている」という「星の王子さま」の持つスタンスは決して殺してはいません。非常なリスペクトと愛情を以て作られたそれは、むしろ印象としては、「星の王子さま」を映像化する機会を得た監督マーク・オズボーン(代表作に「カンフー・パンダ」(2008年)など)が全霊を以て作り上げたファンレターのようにも見えます。
どういう感想を自分が抱くかをその目で確かめてみて欲しいですね。
そうそう、今回実は吹替えで観たのですが、これが結構出来がいいです。特に老人役津川雅彦とその津川雅彦が絶賛したという少女役鈴木梨央が絶品です。なので字幕・吹替え気にせず観に行ってみてください。