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ちゅうカラぶろぐ


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本日の昼ごろ、漫画家・松本零士さんの訃報が。
 SFというものを、初めて意識したのはもしかしたら「銀河鉄道999」だったかもしれません。漆黒の宇宙を汽笛を響かせながら駆ける蒸気機関車の姿、永遠に生きられる機械の体を求めながら、有限の中で眩しく輝く生命と感情の煌めきを描き上げたドラマに少年の日の自分は釘付けになりました。

 こんばんは、小島@監督です。
 その命は尽きて遠く時の輪の接するところまで旅立ってしまっても、魂は尽きる事なく作品の中で輝き続けることでしょう。
 ご冥福をお祈りいたします。

 さて、今回の映画は「仕掛人・藤枝梅安 第一作」です。

 品川台町で鍼医者を営み町民から慕われる藤枝梅安(豊川悦司)には、「蔓」と呼ばれる元締めから報酬をもらい、生かしてはおけない者を闇に葬る「仕掛人」としてのもう一つの顔があった。その日も「仕掛」を終えた梅安は、同じ仕掛人仲間であり、楊枝作りの職人でもある彦次郎(片岡愛之助)の家に泊まったその帰り道、浪人・石川友五郎(早乙女太一)が刺客に襲撃されるも返り討ちにする場を目撃した。
 後刻、梅安は蔓である羽沢の嘉兵衛(柳葉敏郎)から料理屋・万七の女将・おみの(天海祐希)を葬ってほしいという新たな仕掛を依頼される。おみのの素性の調査を始めた梅安は、やがて思いがけない事実を知ることになる。

 かつては隆盛を誇りながらめっきり製作本数が減ってしまった時代劇。CSの時代劇専門チャンネルはそれに抗うように気骨のある作品を発表し続けていましたが、池波正太郎生誕100周年という今年に「剣客商売」「鬼平犯科帳」と並ぶ彼の代表作の一つである「仕掛人・藤枝梅安」を世界へ発信すべく二部作を連続公開という形で映画化。その第一作が現在公開中です。なお、タイトルの「第一作」はあくまで便宜上の呼称のようで画面に表示されるタイトルはただ「仕掛人・藤枝梅安」となっています。
 また、終盤に第二作への引きとなるシーンがあるものの、ほぼ第一作単体で作品として成立しており、例えば今作を観ないままに第二作(4月公開予定)だけを鑑賞しても恐らく問題は無いのではと思います。

 重厚な出演陣のアンサンブル、暗めの色調がもたらすハードで劇画的な雰囲気、川井憲次の手掛ける音楽、全てが一体となって非常に魅力的な映像が展開します。特に主演・豊川悦司の匂い立つような苦み走った色気がこの彩度を落とした映像にベストマッチ。その居住まいだけで映画の格を一段階上げるパワーを放っています。
 登場人物の業が絡み合った、かなり凝ったシナリオをしているためかところどころテンポの悪い箇所が見受けられるものの、この欠点を補って余りある面白さがあります。

 鍼医者として人を救う一方で、その鍼で人の命を奪う梅安。善と悪、生と死が紙一重で併存する矛盾を最も良く表現しているのが池波正太郎作品ではお馴染みともいえる食事のシーン。この映画でも劇中に何度も登場します。単純で素朴な料理ほど美味しそうに見えるのもポイントですが、梅安と彦次郎が口にするそれらの食事たちの多くがさながら「最後の晩餐」のように仕掛人の業を強調しているのが見事です。

 このご時世に敢えて攻めた時代劇を世に送り出す矜持を存分に見せてくれる、熱い逸品。こういうのが観たい、観てみたいと思っている方も結構いるのでは。スクリーンで時代劇を観る楽しさを多くの方に味わって欲しいですね。

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