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ちゅうカラぶろぐ


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少し前から気分がふさぎがちになり、仕事でもミスが増えたというか思考がクリアにならない時間が増えてきて、これはさすがに何かがおかしいと心療内科への受診を始めたところ、「軽度のうつ病」と診断されました。
 職場にも説明して上司と面談した結果、来週から約1か月間休職することに。今までが過労気味だった影響が遂に出てしまったのかも。しばらくゆっくりしますよ。
 
 こんばんは、小島@監督です。
 職場でストレスチェックとかやるところも多いかと思います。あの結果が芳しくない時はマジでカウンセリングとか心療内科とか行った方が良い。1年放置したらここまで悪化した私からのアドバイスです。 

 さて、今回の映画は「線は、僕を描く」です。

 家族を亡くし深い哀しみに沈んでいた大学生の青山霜介(横浜流星)は、友人から紹介された絵画展設営のアルバイトで水墨画との出会いを果たす。
 巨匠・篠田湖山(三浦友和)に声を掛けられ水墨画を学び始めた霜介は、白と黒の濃淡だけで表現する水墨画の玄妙な世界へ魅せられていく。

 競技かるたに青春をかけた高校生たちを描いた青春映画の金字塔「ちはやふる」、監督小泉徳宏を筆頭にその製作陣が再結集し、今度は「水墨画」をモチーフに新たな青春映画を送り出しました。

 全てが必要十分に整い、音楽も過剰に盛られたりすることも無く実に端正に作り上げられた映画です。作中何度か登場する書家たちによる揮毫会のシーンも殺陣のようなダイナミズムに満ち、一見静的な要素の多いモチーフに思えるこの作品に躍動感をもたらしています。
 何より主人公の青年・霜介を演じる横浜流星が素晴らしい。傷心の只中にあり、恐らく世界がきっとモノクロームに見えていたであろうところから水墨画を知り、色彩を取り戻していく様を繊細に演じています。
 
 一見単純に過ぎる物語の構図に一つの変化球として存在するのが、ヒロインともいえる湖山の孫娘、清原果耶演じる篠田千瑛です。師匠である湖山は、霜介に「何か」を見出し弟子にスカウトするも教えるのが下手過ぎるため、湖山に代わって水墨画の基礎を教えることになります。霜介にとって水墨画への世界の扉を用意したのは湖山ですが、扉を開いた霜介の手を取る導き手となるのは千瑛、しかしその千瑛の方は新進気鋭の美人水墨画家として注目を集めるも彼女自身はスランプに陥っています。師であり祖父である湖山に複雑な感情を向ける千瑛と、喪失の哀しみに折り合いを付けられずにいる霜介、2人の葛藤が交差し物語を牽引します。

 そんな2人を見守るのは湖山だけではありません。特に江口洋介演じる西濱湖峯は年長者として2人を支えると同時に、ある意味で一番おいしいところをさらっていきます。いやもうズルいすよアレは(笑)

 正直非の打ち所がない作品ですが、逆を言えばあまりに端正に過ぎて全てが予想の範囲に収まり突き抜けては行かないのが欠点と言えば欠点です。さらりと気分良く観られると言うのも重要な要素なのでコレは一概に悪いこととは言えません。水墨画というこれまであまり映画では用いられてこなかったモチーフに挑む俳優たちの演技の相乗効果だけでも十二分に楽しい作品です。薫風のような爽やかな作品を観たくなった時に、是非どうぞ。
 

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